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ミュージカルアニー2012 感想

T組 満足度星星星星半星
S組 満足度星星星星半星
公演時期 2012年4月28日(土)~5月13日(日)
会場 青山劇場
演出 ジョエル・ビショッフ
演出補 伊藤明子
翻訳・訳詞 瀬戸千也子/伊藤明子
振付 ボビー吉野
音楽監督・編曲 神尾修
歌唱指導 保高史子
訳詞 片桐和子
タップ振付 藤井真梨子
美術デザイン ピーター・ウルフ
照明デザイン 沢田祐二
舞台監督 長沼仁
ミュージカル『アニー』の原作者
脚本 トーマス・ミーハン
作曲 チャールズ・ストラウス
作詞 マーティン・チャーニン

あらすじ

1933年、ニューヨーク。 孤児院で暮らす、赤毛の少女アニー。 孤児院には父親や母親を亡くした子供たちが、たくさんいます。 ただ、アニーの両親だけは、まだわかりません。 『すぐに引き取りにまいります』という、 自分が赤ん坊の頃に書かれた両親の手紙・・・・・ その言葉を信じて、アニーは11年間支えにしてきました。 しかし、いつまでたっても両親は迎えに来てくれません。 ついに、アニーは孤児院を出る決心をします・・・・・

感想

ジョエル氏、12年目の演出。 今回、音楽監督が変わったということで、 曲調、テンポが変わりましたね。 私が思うに、かなりゆっくり、間合いもあります。 子供にも歌詞が聞き取りやすいように、という感じでしょうか?

美術的にはミロのヴィーナス。 あれって今までありましたっけ? 私は気づかなかったので、今回あって驚きました。 それからウォーバックスとグレースと結婚の部分。 かなり見つめ合ってましたね。 ここも新しい演出。 「愛」がある。 ここも演出上のテンポというか、間合いなのでしょうか?

タップのシーン、いつもと比べるとかなり長いですよね? ここも本当に良かった。 タップはこのぐらいあっていいと思う。 それだけタップキッズに選ばれる人は、すごい練習量。 並大抵の練習ではタップキッズには選ばれない。 見る人が見ればわかりますが。

アニーズが歌う、「おしゃれは笑顔から 」 ここのダンスが、正直イマイチかな~? なにか物足りない。 せっかくアニーズ見せ場なのに。 たぶん、いつもと同じ演出なのかもしれませんが、 他の部分が楽しかったせいか、ここは物足りなく感じました。

ストリートチャイルドも、こんなに小さいんですね。 いつもこんな感じでしたっけ? それに毎回、印象度がどんどん少なくなる。 あと、ジュライがモリーを抱えての腹話術。 ここも腹話術のまま歌うことになったんですね。 腹話術のままだったり、普通に歌ったり、 毎回異なる。

気になった役者

アニーの二人。 「ミュージカルアニー」を長年観続けている人にしてみれば、 「あの子が良かった」とか、 「あの子の方が上」とか、 どうしても過去を美化してしまう。 比較してしまう。 かくいう私もそう。 懐古主義にならないよう、気をつけてはいますけど、 なかなか難しい。 そういうことをひっくるめて、 ステルス・マーケティングも無い、ガチの感想のサイト、 「エターナルファンタジー」 そこをを長年運営している管理人、 「聖橋流」という名前において、 私の矜持にかけて、 両アニーともに、本当に素晴らしかったです。

1993年から観ていますが、 過去のアニーと比べる必要なんてないけれど、 私が観る限り遜色ない。 自信もっていい。 私なんて偉くもなんともないけど、太鼓判を押す。 地方公演もぜひ頑張ってほしい。 私がここまで言うなんて珍しい。

アニー役 松田亜美

本人がパンフレットにも記載しているように、 サバサバ系なアニー。 とはいえ、私が観るかぎり、そこまでサバサバでもない。 どちからというと、やっぱり王道系。 ルックスはかわいいし、瞳もパッチリで、 第一印象は間違いなく好印象でしょう。 静止画でもOKという感じ。 引き込まれるし、集中できるし、全く飽きない。 歌も演技も、私は言うことないな~ 素晴らしいと思います。

歌唱力に関しては、これだけ歌えれば十分すぎるほど十分。 深みとか、もう少し伸ばしてほしいところとか、 ぜいたくすぎる要求が思いついてしまうほど。 現状で私は言うことない。 表情がたまに服部杏奈アニーのようになるので、 どちからというと、ちょっとコメディな表情にもなる。 面白い三枚目なアニーになるので、観ていて楽しい。 あえてちょっとだけツッコミを入れるとすると、 セリフが軽いかな~?という部分もあります。 これは声質の問題かもしれませんが。 まっ、成長していくと低音も徐々に強調していくので、 そこまで気になる問題でもない。

アニー役 菊池愛

パッと見、印象は薄いと思う。 ただ、彼女の場合はだんだんとゆっくりハマッテいく感じ。 観ている間に、じわじわ~と親近感、愛着感が増していく。 そこまでちょっと時間がかかります。 微妙に舌なめずりなセリフ口調。 それが悪いわけではなく、良い舌なめずり。 ややアニメ声も加わって、なんというか、 いじらしいアニー。 セリフもせつない。 ほわ~んとした部分もある。 メリハリがある感じかな?

あと、ウォーバックスとのやりとりで、 「残念だな~」のところの表現は新しい。 たぶん、今までにない言い方だと思います。 菊池愛オリジナルでしょうか? やりますね! 素直に面白かったです。 あえてひとつツッコミを入れるとすると、 ゆっくり歌う時、うまいのだけれど、ちょっと鼻唄になるかな? 他は全く気づきませんでしたが、スローな曲調のところは気になりました。 そこだけ。 両アニーが素晴らしくて、楽し過ぎた所以か、 アニーズの印象度が低くて申し訳ない。

スマイル組は、 ペパー役、丹下愛結のダンスでの脚上げとか、 ダフィ役、大内万奈の笑顔とかかな? テシー役、國分亜沙妃は、バンフレットの写真よりも実物の方がいい。 あくまで見た目だけど、ほんわかしている感じ。 「おしゃれは笑顔から」の歌、MCもいい。 マニアック好きなので、私はこのテシー好きですね。

トゥモロー組、 まず思ったことは、ペパーの廣瀬奏はミスキャスティング。 私は合ってないと思う。 メイキングでかなり注目され、私も気になっていました。 アニーは残念だったものの、ペパーですから。 本人の雰囲気とかかなり異なるので、心配はしていました。 やっぱり観ていて優しい雰囲気。 ツンツンした感じとか、意地悪な感じとか、あまり感じません。 無理やり演じているのがわかってしまう。 もちろん、子役とはいえ女優ですから、 ペパー役の演技に頑張ってほしいのはわかるけれど、 そもそもの時点で配役は違うと思う。

最近ですとNHKの大河ドラマ「平清盛」 藤原頼長役の山本耕史も合ってない。 好きな役者なのに、合ってないとガッカリする。 それでも演じなければいけないんですけど。 逆に「薄桜記」の丹下典膳役はバッチリ。 配役ってそれだけ難しい。

歌はやっぱりすばらしい。 短いソロだけれど、十分に伝わるもの。 あとはダンスかな。 脚もまだあがらないですし、 「おしゃれは笑顔から」のダンスシーンは閉口。 申し訳ない。 頑張ってほしい。

ジュライ役の林ひなこは、 前述した腹話術のところ、ここはすごくうまかったです。 歌唱力はありますね。

ダフィ役の五味汐梨は過去にたくさんの舞台に出演していて、 ある意味ベテラン。 ココスマイル5アルプスの少女ハイジ等。 流石の一言。 演技力もあるし、脚も良く上がる。 トゥモロー組は彼女がキーポイントかな?

ストリート・チャイルド役は、今回ほとんど印象に残りませんでした。 やや片山佳音のルックスが印象に残るくらいかな?

ハニガン役、松本明子

まず、私が最初に思ったことは、 ハニガン役、松本明子のヒール。 これは気づくでしょ、一番。 そんなに詳しいわけではないけれど、 かなり高いと思います。 おそらくは、他のキャストやアニー、アニーズとのバランスを考えて、 やはり背の高さを重視したのでしょうね。 松本明子は、そのヒールで机の上に登るし、踊ったり、走ったりしている。 かなり大変だったことと思います。 並々ならぬ努力の賜物・・・と勝手に解釈。

そして、それはセリフづかい、声質にもあらわれている。 かつてSET本公演 任侠るねっさんすを見た時の演技は、 普段のバラエティの雰囲気はあまり変わりませんでした。 今回のハニガン役は、普段のイメージと全く異なることもあり、 声質を変えていますね。 明るいコメディの部分を消したい一心だったのでしょう。 自分なりのハニガンのイメージを作り上げている。 ものすごい努力だと思う。

歌唱力は言うことない。 元歌手ですから。 ただ、僣越ながら、 ちょっぴりだけおこがましく言わせてもらうとすると、 歌っている時の歌唱力は抜群だけれど、 歌いつつ演技をする・・・というところはまだかな~?と思いました。 これはミュージカル女優の人はすぐに気づくでしょうね。 あと、ダンスは少なめ。 そこぐらい。 そこまでチェックしない人にしてみれば、気にならないレベル。

それから、今回はこのハニガンと、グレースの彩輝なおが、 かなりコメディチックに演出されています。 いままではどちらかと言うと、 グレースの前ではハニガンは良い人ぶるのですが、 今回はあからさま。 敵対心あおって、メラメラな感じです。 それがコメディとして成り立っている。 ここは面白い。

グレース役の彩輝なお

初めて拝見しましたが、 イメージにピッタリ。 どちらかというと、岩崎良美のグレースのような感じ。 ただ、立ち振る舞いは以外と男性と女性、両方の雰囲気がある。 今回はけっこう松本明子ハニガンとやりあう演出なので、 ただ凛々しいだけじゃなくて、静かな張り合いも楽しかったです。

「斬鬼さん」こと、松田賢二も本当にかっこよかった。 私的に「響鬼」が好きで、 「斬鬼」もメチャクチャ好きだったことも要因ですが。 渋く怖い部分と、コメディチックな部分、両方兼ね備えてますから。 歌唱力もあってビックリ。 あんなに歌えるとは思いませんでした。 さらにはマッジ夫妻に変装した時、あんなに高音も出せるとは驚き。 ごめんなさい。 役者として松田賢二が好きなので、ちょっと甘め。

リリー役の垣内彩未

2000年の元アニー。 たしか私は観劇できなかったと思います。 色気やセクシーさよりも、キャピキャピした印象が強いリリー。 あと脚線美も印象深い。 北川理恵はたいした賞でもありませんが、 エターナルファンタジー演劇大賞 2010年MVP 私が選んだくらいですから、注目はしないとです。 実力ありすぎて言うことありませんが、私なりに面白いところ。 アニーに近づいて「北の谷間まで」で下から見上げるところ。 ここは超面白い。私は個人的に楽しめました。 と言うのも、私の妄想として、 裏設定で、 ミュージカル「プリンセス・バレンタイン」のバレンタインが、 ひそかに潜り込んでメイドになりすます。 という脚本でここを観ていると、めちゃくちゃ面白い。 私独自の見方で申し訳ない。

保泉沙耶はあいわからずの安定度で、 言うことないでしょ。 アニーズよりも、大人キャストが気になるこの頃。 保泉沙耶、北川理恵、ふたりともに華があって目がいきますが、 じつは、沈着冷静な梶田祐紀恵がキーポイント。 それだけ二人を引き立てる演技をしている・・・と思う。 ダンスはプロですからね。 大人キャストに目がいってしまったので、 尾久葉ゆいの赤いドレスも映える映える。 だけでなく、タップも本当にすごい。 プロ意識の固まりって感じ。 ミュージカルアニー2009が一番印象的かな? そこから、ここまで成長しますからね。 エビ反りも凄かった。

タップキッズは、 板垣日向子は背も高く、ずっと笑顔なので印象度抜群。 ココスマイル6~夏色のキャンバス~以来ですから、 背も伸びますよ。 それから、鈴木純奈。 彼女も、2010年のココスマイルでかなり印象に残っています。 まゆげの表現が今でも印象深い。 ただ、今回はタップキッズなので、そこまでチェックできませんが。

総括

志村けんが良く言いますが、 「偉大なるマンネリ」 それもたしかにあります。 長年同じことを続けることは本当に凄いこと。 マンネリはマンネリで、面白味はあります。 ただ、やっぱり「ミュージカルアニー」を長年観てきた者にしてみると、 同じ雰囲気は、ちょっと気になってしまう。 それが今回は、ハニガンの松本明子や、ルースターの松田賢二、 リリーの垣内彩未、タップのスターに尾久葉ゆいなど、 目新しさがたくさんあります。 いろいろと目移りして、ドーパミンもたくさん分泌。 長年観てきた私は、かなり新鮮な気持で観られました。 ものすごく楽しかったです。

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