公演時期 | 2010年3月12日~14日 |
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会場 | 東京芸術劇場 小ホール2 |
作・演出 | 犬石隆 |
音楽監督 | 金子貢 |
振付 | 中川久美・網代ひろみ |
あらすじニューヨークの下町ブルックリン。 古い倉庫に17才のジュディ・バレンタインとみなし子の女の子たちが暮らしていました・・ (パンフレットより抜粋) 感想ミュージカル プリンセス・バレンタイン2008が初演。 今回は大きな箱、公演場所を東京芸術劇場小ホールに移し、 キャスト陣も増やしての、改訂版といったところでしょうか。 休憩無しの1時間30分弱。 私はすごく観やすかったです。 途中の休憩で友達と観劇感想を言い合うのではなく、 終わってから。 だいたい、「主役の子がすごい」が第一声になりますが。 まず、オープニングがすごい。 オーバーチェアもあり、そこからの導入部分。 そして、メドレーのようなオープニング。 舞台だと、オープニングの数分で観客の心を引きつけないといけない・・・ なんて誰か言ってたような気がしますが、まさにそれ。 5分・・・いや、10分ぐらいあったでしょうか? ものすごく楽しい。 このダンスナンバーは相当力入れたでしょうね。 一番思い入れのある部分かもしれません。 何度観ても楽しい。 前回は少数精鋭でしたが、 今回はダブルキャストのメンバーもアンサンブルとして出演。 人、多いです。 犬石隆演出ですと、群衆シーンを多めに使うので、その意味合いがあるのかな。 あくまで個人的な意見ですと、少数精鋭の方が私は好きなのですが。 前回は「ドロシー」が一番小さな子でわかりやすかったのですが、 今回は他の役もあり、ダブルの子もいて、 小さい子=ドロシーという印象度は薄くなったかもしれません。 男性出演者が歌唱力あると、本当に嬉しい。 だからこそ、北川理恵や大胡愛恵の歌も光ります。 「キャバレーのダンスナンバー」 箱である公演場所が初演よりも大きくなったことにより、 観客が多くなり、人目につきます。 一応ファミリーミュージカル系ということで、 露出を抑えて、縮小・・・という考えがあったかもしれません。 回りからいろいろ意見もあったかもしれません。 セクシー路線は控えようと・・・ ただ、私の予測としては、 演出家の判断として逆に長く、さらに露出を多めにいくかも。 なんて思いましたら、予想どおりでした(笑) 挑戦的な意味合い・・・かどうかはわかりませんが、 ここはきっちり長めにいきました。本当に流石だと思います。 お色気満載の場面、ここは何が何でも外せなかったのでしょう。 それに関連して、脚線美。 けっこう印象に残りました。出演者みんな足が綺麗。 舞台役者も大変です。 ちょっとマニアックかもしれませんが。 場面転換のM。ミュージック。 なんとなくどこかで聞いたような・・・ アレンジしてますが。 音楽監督・金子貢氏ですし。 魔法使いの夏休み 1991年の、「help me help me mama」 に、似てました。 そんなところに気付く私もなんですが(汗) 衣装の配色。 いろいろばらけているのですが、 アンサンブルの方が意外と衣装が派手なんですよね。ちょっと面白い演出。 その分、メインキャストの衣装が地味な配色になります。 ロキシーなんて、最初のOPどこにいるのかわからないくらい。 たしかにあまり目立つ格好で、お借りすることは難しいですが。 演技達者な人が多いこともあり、けっこう舞台進行は早い印象。 どんどん進む感じ。 北川理恵の演技に魅了されるので、そこまで違和感はありません。 女性陣が倒れているオスカーをカカトで蹴りますが、 あれってかなり強烈なんですよね。 子供でさえ、寝ころがっている大人に致命的なダメージを与えられるのが、 あのカカト部分での顔面への踏みつぶしなんです。 舞台上の話しですが、オスカー痛かっただろうな~と・・・ 途中、ロキシーが自分の思いをジュディにぶつけるところがあります。 みんなのことを思って、みんなの意見を代表しての感情表現。 彼女の性格をよく表しているシーンで、感動的な場面。 それはわかる。 佐藤まりあも、伊宮理恵も良い演技をしている。 ただ、私はロキシーの考えにはちょっとついていけない。 これは個人的な感情として。 ロキシーがそういう性格なので仕方ありません。 ちょっと疲れる性格だなと・・・ シスターもそれがわかって、なだめましたが。 ロキシーも落ち着いたら考え直すので、 一時の感情が爆発した・・・ということでしょう。 感情表現が激しいタイプかな。 エンディング。意外と淡白です。 過去の「プリンセス・ハムレット」のエンディングも、 「最後に何か仕掛けてくるか・・・」とずっと思いつつも、 結局何もない。 静かな幕切れが多いです。 今回もそんな感じ。 これはこれで全然アリですが、 私の演出ですと、「養育費払え、しゃーんなろー!!」 と、殴って終わらせたい気持ちもあります。 本当の気持ちを考えると、ちょっと我慢できません。 気になる役者とにかくも、主役の北川理恵基本、彼女のひとり舞台に近いです。 アニー 2005のジュライ役から、 『フレンズ ガラクタ怪獣のなみだ』2006のアキラ、 葉っぱのフレディ~いのちの旅~2007のクリス、 ミュージカル プリンセス・バレンタイン2008のプリンセス・ジュディ・バレンタイン、 と、けっこう観てます。 観劇感想読めばわかりますが、 確実にステップアップしていることがわかります。 思うに、今回で彼女は山の頂上に登り詰めたと思います。 演技、歌、声量、カツゼツ、表情付け、おまけに色気。 最高の出来ばえ。 非の打ち所が全くない。 完璧超人。 批評家は簡単に言えますが、 主役の本人は相当なプレッシャーがあったでしょうね。 素直に賞賛を送りたい。 ものすごく素晴らしい!!! マンガ「ガラスの仮面」で月影千草に一目惚れして、 心を奪われる速水英介の気持ちがわかるほど。 私はそこまでしませんが(笑) 犬石隆先生がいれこむのもわかります。 昼夜観ましたが、北川理恵はセーブすることなく常に全力。 歌の声量、伸び、迫力はそのまま。 普通、2回公演でなれてないとセーブしますからね。 私はしてもいいとは思います。 声が出なくなったら、もともこもありませんから。 でも北川理恵は全力。 セーブなんてしません。おかまいなしに全力。 おそらく、かなり、のどや腹部を鍛えているのでしょう。 立派だと思う。 彼女のこの声量+歌声、本当に素晴らしかった。 ずっと聞いていたい。 いやっ、やはり彼女の場合は、表情付けもいいし、ダンスもいいから、 結局全部観たくなる。だからこそのミュージカル。 今回、山の頂上に登り詰めましたが、 また新たな山があります。 そこをまたふもとから登り詰めていくことでしょう。 ドン・ガンビーノ役の飯沼友規独特な怖さとコメディも面白い。 ややコメディに比重がかかるが。 オペラの歌声はこの舞台が引き締まります。 刑事ロメオ役の福沢良一はいい味だしてます。 のらりくらりした、にくめない悪徳刑事役。 前回は天才舞台役者が演じていましたが、それに勝るとも劣らない。 っていうか、プロの役者さんですからね。 ビリーの浅見晟也回りが女子パワーで大変だったとは思うけれど、 コメディチックの演技がとても面白い。 とりたてて大きな目立つ演技ではないが、 キーポイントの可哀想な~表現がいい。 以後Mな雰囲気にならなければいいが(笑) そこだけが心配。 オスカー役の吉田雄の歌声はいいな~ このぐらい男性で歌えないと北川理恵や大胡愛恵と対抗できないもの。 北川理恵とのナンバーもいい。 ネタバレをするので、ちょっと言い方が難しいのですが、 全編を通して、あっちの雰囲気をかもしだしていたと思います。 それをなんとなく観客に伝える演技は意外と難しいですから。 シスター役 大胡愛恵初演の時のシスターよりも、さらに過激で気の強い役柄。 これが「リトル・プリンス」で正統派で真面目なアントワーヌを演じた、 同一人物とは思えない演技。 大胡愛恵は演技の幅が本当にひろい。 演技は全く問題ないし、歌唱力も抜群。 北川理恵と一緒に歌うナンバーは聞き惚れます。 ただ、あくまで個人的な意見として、 束ねた髪形は好きじゃないな~やっぱり怖い。 彼女はロングのストレートのイメージが強い。 「イチャモンつけんじゃねえ~よ」も怖かった。 普段とのギャップが楽しいといった感じでしょうか。 Sも似合いますね。 ロキシー役、佐藤まりあ前回はイライザで、今回はロキシー。 子役メンバーの中では、ベテランの域に入るのかな? 前述しましたが、 メインキャラなのに、ロキシーの衣装はちょっと地味なんですよね・・・ それはともかく、前回のキャバレーシーンは、まだまだ恥ずかしさが残っていましたが、 今回はバッチリでしょう。 色気たっぷりに頑張ったと思う。 このシーンの方がオレンジ色の衣装でわかりやすいですし。 恥ずかしいと思ったら、あの場面、誰もできませんからね。 ダンスはよく映えます。 同じくロキシー役の伊宮理恵彼女も超ベテラン。 演技は言うことないです。 セリフ遣いもうまい。 イメージ的に、ボーイッシュな役を演じることが多く、 今回キャバレーのダンスシーンがあることもあり、どういう雰囲気になるのか、 けっこう楽しみしていました。 うん、なるほど、けっこう頑張った! セクシー的な雰囲気作り、とくに髪の毛。 ウィッグかな?地毛かはわかりませんが、その使い方がうまいと思いました。 イライザ役 指出麻琴ずいぶん大きくなりましたね。スタイル抜群。 体の線も細い。 前からですが、ますます手足が細く長くなった印象。 申し訳ないが、色気はまだまだこれから。 少女らしさがまだまだ強い感じ。 なんとなく、イライザ役の個性が江見ひかるにしてもわかりづらい感じではあります。 意外とボケが入るんですよね。そんなに攻撃的ではない。 それだけロキシーとシスターが攻撃的な印象が強いのだと思う。 同じくイライザ役の江見ひかるミュージカル 葉っぱのフレディ~いのちの旅~ 2009ではベン役。 「森は生きている」にも出演していたのですが、私は観劇できませんでした。 彼女は笑顔がかわいい。 アイドルチックなルックスは抜群だもの。 彼女の魅力ひとつ。 キャバレーの衣装は観てるこちらが困るぐらい(汗) たしかに色っぽい。 これは認める。認めざるをえない。 でも意外と、声が女性としては低い方なんですね。 そっちに驚きました。 ルックスから考えるともっとキャピキャピ(死語)した声のイメージでしたから。 ベルマ役の長田那奈子ハッキリ言う。痩せた。めっちゃ痩せた。 これは相当頑張ったでしょ? 女の子同士だと、ダイエットはみんなが協力しないと、 「何ひとりでダイエットしてんの?」みたいなことになりかねませんから。 ミニスカで太ももを出す衣装ですし、本人、かなり努力したことでしょう。 アゴのラインも細くなって、前よりもさらに可愛くなりました。 これは本当に驚く。驚愕するレベル。 のほほん系アイドルチックな雰囲気のベルマにピッタリ。 さらにはダンスもいいんですよね~ ものすごく当たり役だと思う。 同じくベルマ役の高野愛長田那奈子のベルマとはちょっと異なります。 彼女の方が年下のようですが、雰囲気は大人びている。 アイドルチックなベルマというよりも、 姉さん女房的な感じで、みんなをまとめ、しっかり、どっしりしてる感じ。 そんなにのほほん系には見えなかったかな。 ルイーザ役の加藤梨里香彼女は数々の舞台に出演している、子役でもほどほどにベテラン。 エターナルファンタジー演劇大賞 2008で、最優秀新人賞。 私は彼女の実力をかなり高く評価しています。 また気の強い役ですか。可愛らしい役どころではない(笑) 安心して観られる演技。 ダンスは本当にうまいです。これは見惚れる。 長澤夏実にも言えることですが、雰囲気自体は、ルイーザよりも、 アンサンブルのウェイトレス姿の方が断然かわいい。 ソロのナンバー、ちょびっとありますが、 本当はもう少し長く聞きたかった。 同じくルイーザ役 長澤夏実今回、私が初めて観た役者の中で一番気になったのが彼女。 実力派の加藤梨里香のダブルで大変だな~と思っていましたが、 全くそんなことはなく、ほぼ互角の演技、存在感には驚きました。 加藤梨里香も華がある女の子ですが、 長澤夏実も負けず劣らず華があります。 アンサンブルのウェイトレス姿もよく目立つ。 ただ、よくよく考えると、本編のルイーザの衣装は地味で、 アンサンブルで出演する時の、 黄色と白とピンクのウェイトレス姿が可愛過ぎた意味合いもありますが。 もちろん、ふたりとも元がかわいいですが。 演技力もあるし、歌も、ダンスもなかなか。 今後間違いなく伸びてくるでしょう。 ひじょうに面白い存在。 キャシー役 赤須千夏これは・・・私が待ち焦がれていた赤須千夏。 これなんですよ!これこれ!! こういう赤須千夏の演技が観たかった!! 今まで彼女の舞台は何回か観ていますが、 いまいち印象に残っていないんですよね。 ルックスは物凄く印象に残りますが、役どころがちょっと・・・ しかし、今回のこのキャシー役の雰囲気は、 まさに私が求めていた赤須千夏そのもの。 ここは犬石先生と合う。 赤須千夏の天然ボケの雰囲気、超~抜群!! 匂いを嗅いでいる姿、面白すぎでしょ。 本当にやってそうですし(笑) 観客席からもクスクス笑いが起こっていました。 コメディ系も全然いけますね! 同じくキャシー役 澤田樹里亜彼女の舞台を観劇するのは本当に久々。 すごく背が伸びましたね。 う~む。 天然ボケの役どころではあるのだけれど、 なんだか、また違うボケのような・・・ 天然+不思議ちゃんなのかな~? ドロシー役の子は・・・これはこれでいい。 無理に演技演技しない方が、ドロシー役にはいいのかも。 寝ていて、起きるタイミングは難しかったかもしれません。 ペスカトーレ役 田中祐子かなり印象に残ってます。 表情豊かですし、 OPの女性警官、キャバレーでのダンスはとても印象深い。 セクシー的な雰囲気、たたずまい、私はすごく評価してあげたい。 髪の毛だか、服をサッとする仕草も魅力的。 今後の活躍に期待したいです。 総括犬石演出も物凄いし、主役の北川理恵が素晴らし過ぎます。 あくまで私の意見としては、 いつか同じ舞台上で、滝沢路子、日美野梓あたりが、 この北川理恵とバチバチのい演技でぶつかりあってほしいですね。 3人とも迫力ある怖い演技ができますし(笑) 私の夢。 今回の「ミュージカル・プリンセス・バレンタイン」があまりにも素晴らし過ぎて、 「ミュージカル・アニー」のことが気になりました。 いろいろな意味において。 2010年を観劇しないと。 ※敬称略 |