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ミュージカル『レ・ミゼラブル』2019 観劇感想

EWS&FAQミュージカル『レ・ミゼラブル』2019

満足度星星星星星
公演時期 2019/4/19 →5/28
会場 帝国劇場
アラン・ブーブリル&クロード=ミッシェル・シェーンベルク
原作 ヴィクトル・ユゴー
作詩 ハーバート・クレッツマー
オリジナル・プロダクション製作 キャメロン・マッキントッシュ
演出 ローレンス・コナー/ジェームズ・パウエル
翻訳 酒井洋子
訳詞 岩谷時子
プロデューサー 田口豪孝/坂本義和
制作 東宝

あらすじ

一切れのパンを盗んだため、19年間も獄中生活を送ったジャン・バルジャン。
仮釈放され、教会で一夜の宿を求めた後、銀の食器を盗み出し、逃げ出してしまう。
しかし憲兵に捕まってしまう。
司教は「食器は彼に与えたものだ」と言い、彼を許した。
この事によりジャン・バルジャンは自らの行動を恥じ、謙虚で正直な人間になることを決意したのであった。
その後、名前を変え、彼はとある町の市長となる。
そこで出会ったファンテーヌ。そして彼女との約束を守るため、彼女の愛娘コゼットを養子にすることに・・・

レミゼ「初」観劇

ミュージカル系のサイトを運営していながら、
「レミゼ」は初観劇。
機会は何回かあったのだけれど、
なんとなくスルーしていました。
噂だけは、いろいろうかがっていたんですけど。
今回、何の因果か観劇することに。

「レミゼ」を長年観ている人の意見は、
私もたくさんうかがっています。
本当に千差万別。
過去の演出、キャストにもいろいろな意見があり、熱く語ります。
語ってしまいます。

私はミュージカルアニーのように長年観ていて、
ここが違うとか比較は全くできませんので、
初心者の観劇感想とご容赦ください。

キャスト


キャストはトリプルや4人もいるので、
今回は私が観劇した時のキャスト陣のみ掲載。
ジャン・バルジャン 吉原光夫
ジャベール 伊礼彼方
ファンテーヌ 知念里奈
エポニーヌ 唯月ふうか
マリウス 内藤大希
コゼット 熊谷彩春
テナルディエ KENTARO
マダム・テナルディエ 朴璐美
アンジョルラス 相葉裕樹
司教 中西勝之
工場長 伊藤俊彦
バマタボア 宇部洋之
グランテール 川島大典
フイイ 木暮真一郎
コンブフェール 鎌田誠樹
クールフェラック 今井学
ジョリ 篠田裕介
プルベール 藤田宏樹
レーグル 深堀景介
バベ 町田慎之介
ブリジョン 佐々木淳平
クラクスー 土倉有貴
モンパルナス 田川景一
ファクトリーガール 島田彩
買入屋 般若愛実
かつら屋 桑原麻希
マダム 湊陽奈
宿屋の女房(女7) 伊藤美咲
カフェオーナーの妻(女9) 篠崎未伶雅
病気の娼婦(女5) 桃菜
鳩(女8) 木南清香
あばずれ(女6) 小林風花
若い娼婦(女10) みい
ガブローシュ 大矢臣
リトル・コゼット 立花莉愛
リトル・エポニーヌ 桑原愛佳

感想を一言で言うと


率直に言って、物凄く素晴らしかった。
私的には文句のつけようがない。
キャストも演出も、本当に素晴らしい。
当たり前すぎて申し訳ないのだが、 ジャン・バルジャンの吉原光夫が、
本物のジャン・バルジャンにしか思えないほど。
「FUN HOME ファン・ホーム ある家族の悲喜劇」の父親とは雰囲気が全く違うもの。
彼の存在感、演技、歌唱力、舞台上での時間経過によるジャン・バルジャンの変化。
どれをとっても素晴らしい。 これ、文句をつける人がいるの?ってぐらい。
もちろん、他のキャストも素晴らしかったことでしょう。
私はこの回しか観られなかったので、ジャン・バルジャン吉原光夫に圧倒されました。
バルジャンの自分を恥じた後の謙虚で馬鹿真面目な正義感。
そりゃ体力使いますよね。 あの歌唱力+演技だもの。

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人それぞれの人生


それが「レミゼ」のテーマだったんですね。
私は初めて観劇したのでようやくそれを知りました。
ジャン・バルジャンだけでなく、
ジャベール、ファンティーヌ、エポニーヌ、
さらには、テナルディエ夫妻のように。
何が正解とか間違えだとか、誰にもわからない。
結果、こういう人生もある。
それを思い起こしてくれる舞台。

観劇後は他のキャストが気になる

これは誰でも当然のことだと思う。 トリプルだけでなく4人もいますから。
この人はどういう感じだったのかな~?と思うひとりは森公美子。
マダム・テナルディエはふくよかなイメージも強いので、 やはり観たかった。

コゼットは熊谷彩春。 声楽の歌声。
おそらく、私が知るかぎり生田絵梨花は声楽の歌い方ではないでしょ?
ちなみに彼女の舞台は、 ココスマイル5~明日へのロックンロール~ の主役のココや、
イマジンミュージカル「アルプスの少女ハイジ」でのクララを観ています。
その彼女がどういう感じで歌うのだろう?というのは気になりました。
それと似た感じで、エポニーヌの唯月ふうかが声楽の歌い方ではなかったので、
屋比久知奈や昆夏美がどんな歌い方をしたのか? どんなエポニーヌの演じたのか? 気になってしまいます。

アンジョルラスは相葉裕樹でしたが、
この役を小野田龍之介くんが演じる・・・
観たかった。

観られなくて本当に残念。
ただ、私の脳内で簡単に再生できるんですよね、 小野田龍之介のアンジョルラスが。
そのイメージを実際に観て観たかった。
葉っぱのフレディ-2004年の葉っぱ役時代から観てますからね。
葉っぱのフレディ~いのちの旅~2007年でマーク役。
そして近年では、ミュージカル マリアと緑のプリンセス2017ではビリー役。
このビリーを観た時に彼の成長を物凄く感じました。
レミゼに出ても不思議でもなんでもない。 歌、演技、存在感、彼の迫力、観客を引き込む力。
どれをとっても素晴らしかったです。
なので、本当はぜひとも小野田龍之介アンジョルラスを観たかった。
心残りではある。

ピックアップ

  • バルジャンがマリウスをかついで洞窟を移動するシーンはプロジェクションマッピング(?)を利用し、
    とてもリアルで視覚的にも響きました。
  • 次々と仲間が倒れるシーンも素晴らしい。あのスポットライトの使い方も秀逸。
  • ファンテーヌの形見のペンダント。売ってしまうことになるが、何か後で関係あるかと思いきや特になかったのか。
  • レミゼを観ていなくてもミュージカルナンバーは知っているので、そこは楽しい。
  • 1幕のファンテーヌはつらいことばかり。観ていてつらいがそれがあっての後半か。
  • 唯月ふうかは女優としては好きなのだが、エポニーヌは素直すぎないか?

気になった役者は・・・


みなさんプロなので、あくまで私が気になった部分

ジャベール 伊礼彼方
「バルジャンと対照的なライバルであることから、ジャベールのファンはとても多い」
ということですが、たしかに表のバルジャン、裏のジャベールという意味においてはとても理解できる。
この「レ・ミゼラブル」のもうひとつ主人公が彼であることも。
こういう精神、こういう人生もある、と言ったところかな?
家族とか、何もかもかなぐりすてて、それに突き進む思考。
海外ドラマの役にもそういうタイプがいますからね。
人それぞれの人生だな~と思うしかない。
最後のシーンなんて、子供には意味がよくわからないでうしょうから。
そういった悲しい性(さが)の部分で、伊礼彼方は魅力的でした。
大人の男でしかわからない感じかな?

ファンテーヌ 知念里奈
歌手として、そして女優としては、ミュージカルひめゆり 2010で観劇。
主役のキミ役は本当に素晴らしい演技に歌でした。
そして今回。
ファンテーヌは本当に難しい役。
はかなさ、けなげさ、気の強さ、そして芯の強さ。
いろいろな部分が含まれている。
どんどん、生活が脅かされ、環境も乱れ、精神も追い込まれていく。
そんな中での希望は愛娘のコゼット。
それだけが生きがい。

今回のこのファンテーヌ役も素晴らしかった!
歌唱力は言うとないでしょ?
ただうまいだけでなくて、ファンテーヌの気持ちが伝わってくる。
演技も素晴らしいし、母としての強い意志を持った表情付けも心に響く。
ここが「きっかけ」ですからね。
その重い存在感はずっと忘れられない。
いや~素晴らしかった。

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エポニーヌ 唯月ふうか
彼女はかつて、ミュージカルピーターパンで観劇しました。
本当にピーターパンそのもので、純粋な雰囲気。
その彼女がヤバさ全開のテナルディエ夫妻から生まれた娘役。

あくまで私の印象で申し訳ないが、
この夫妻から唯月ふうかエポニーヌが生まれるとは考えにくい。
こんなに屈託のない笑顔で、真っ白い歯で、生き生きとした目で、
このゴミだめのような腐った世界で育った子には到底思えない。

舞台での表現も、マリウスとの関係も、ソロも、とても難しいシーンがたくさん。
たしかにコゼットより、エポニーヌの方が美味しい役だから、
こっちに配役されたのかな~?

たしかに「とんびが鷹を生んだ」ということわざみたいなことも、ないことはないけれど、
あの夫婦から・・・とは私の中には無かった。

当然、女優なのだから、そういう生活環境で生きていた表情を身につけるのが必然。
観客にわからせないようにするのが女優。
でも、長年身に染みついた顔の造形、表情はなかなか変えることは難しい。

海外ドラマの「CSIマイアミ」で、
橋の上から石を落として、下で滑走する水上バイクに当てて殺害するという、
誰がどう考えても無茶な殺害方法があった。
私はそこで、嘘を感じてしまう。ひいてしまう。

これが映画の「ダイ・ハード」のように、面白おかしく、
「そんなわけないだろ!」というツッコミのようなものであれば全く問題ないのだけれど、
レミゼのような史劇、重厚感あふれる舞台に嘘が見えてしまうと、私は気にかけてしまう。
そういう人間。
唯月ふうかのような純粋な子がこの二人からは・・・
申し訳ない。
エンターテイメント、映画、舞台、見せかけのもの、と頭の中で妥協はしたくなるのだけれど、
気にかかってしまう。

歌唱力は私としては問題なく、とても素晴らしかったです。
声楽のような歌い方ではなく、普通な感じだけれど問題無し。
ただ、私は歌のプロではないので、
声楽とかを習っている人にしてみると、ミスがわかるそうです。
プロの目は厳しい。

マリウス 内藤大希
先に言っておきますが、
私はアルゴ・ミュージカルが好きなので申し訳ない。
おそらく本人にしてみると「いつまで過去に」なんて思うことでしょうが、
長年観ている人はどうしてもそこから観てしまう。
ご容赦願いたい。

アルゴ・ミュージカルでもたくさん出演しているのですが、
やはり、『あんず』~心の扉をあけて~かな?
この時のミュージカルナンバーは、歴代でもうベスト10に入るぐらい素晴らしい名曲。
ちょっと前ですが、歌ってほしいとかリクエストありましたよね。

それはさておき、今回内藤大希マリウスを観劇することとなりラッキーでした。
今回の舞台で初めて彼を観た時は、ちょっと表情は変わったな~と思いました。
子役当時のイメージと長年経過した大人のイメージとは違いますから。
ただ、不思議と2幕からは昔のイメージに戻る。
昔の内藤大希。
1幕の方が表情固いのかな?
それとも私の気のせいか?

正直、まだ若いな~というのが第一印象。
でもその若さが際立つから、
あまり経験を知らないおぼっちゃまチックなマリウスに合っているのかもしれない。

コゼット 熊谷彩春
彼女の歌い方は声楽スタイル。
私はとても素晴らしいと思ったのだけれど、
声楽のプロが観ると、また違うのだろうか?

彼女の雰囲気、表情付けはコゼットにピッタリ。
お金持ちで、なんの苦労も知らないまま生きてきた清純な少女。
ある意味、世間知らずのお嬢様
なるほど、生田絵梨花が配役されるには、
似ているといえば似ている。

テナルディエ KENTARO
まいった。めちゃくちゃ素晴らしかった。
ジャン・バルジャン吉原光夫がそのまんまと思うぐらい、
テナルディエKENTAROもそのまんまだった。
本当に楽しかった。
歌も素晴らしい。
単純に楽しいし、ずる賢いし、ムカツクし(笑)
違和感なくテナルディエKENTAROを受け入れてしまった。

マダム・テナルディエ 朴璐美
ターンAガンダムネタが先にきてしまって申し訳ない。
やっぱり声優さんで、主人公でしたからね。
でもそんなことは本当に最初だけで、全編に渡って素晴らしかった。

森公美子のイメージが強いマダム・テナルディエだけれど、
そこまでふくよかでなくても全く問題無し。
居酒屋のオカミから上流社会へとうま~く世渡り上手していく姿は、
観ているこちらはムカツキますが、いたずら好きの表情は非常に面白い。
そして、テナルディエKENTAROとのコンビも抜群!
歌唱力も十分でしょ?
私は大満足なマダム・テナルディエでした。

アンジョルラス 相葉裕樹
ひとみパッチリ、濃い顔のイケメン。
まっすぐな生き方しかできない、相葉裕樹アンジョルラス。
戦隊ヒーローで言えばリーダー各のレッド。
私としては特に違和感なく、
素直に彼のアンジョルラスを受け入れることができました。
目力強過ぎて、そこの印象が強過ぎる感はありますが。

あばずれ(女6) 小林風花
彼女もアルゴ・ミュージカルつながりとなる。
最近だとTipTapワークショップリーディング公演ブロードウェイミュージカル「High Fidelity」を観劇。
アンサンブルだけれど、彼女の歌声は十分に知っているので、少し遠くから離れていても、
声、歌声だけで把握できる。
変に気取っていない素直で優しい自然な歌い方。
アンサンブルに選ばれるのだけでも大変なことがよくわかる。

ガブローシュ 大矢臣
子役だけれど、
特に違和感なくヤンチャなガブローシュを演じてくれたと思います。
対比がわからないので、他の子がどう演じたのかは気になりますが。
カツゼツとか演技とか歌とか、違和感のようなものは感じなかったので十分。


リトル・コゼット 立花莉愛
リトル・エポニーヌ 桑原愛佳
正直、どっちも同じ感じで、よくわかりませんでした。
「レミゼ」を観る前から、ファミリーミュージカル系とてしては、
ライオンキングのヤング・シンバやヤング・ナラ、
リトル・コゼット、リトル・エポニーヌは子役の登竜門的な存在。
そこに重きをおいたり、一種のステータスであることはよく耳にします。
経歴にも書かれるし、次の舞台でのオーディションにも何かしらチェックはされると。

みなさん努力して、練習を重ねて、
オーディションを勝ち取ることに頑張っていたことは間違いありません。
ただ、ライオンキングのヤング・シンバやヤング・ナラの出演シーンと比べると、
リトル・コゼット、リトル・エポニーヌは「これだけ?」というのが正直なところ。
もちろんオーディションが大変で、選ばれた子たちなんですけどね。
私としてはちょっと拍子抜けではある。

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総括

聞きしに勝る、本当に素晴らしい舞台でした。
人それぞれの人生。
それを観客がどう感じるか?
心に響くテーマで、私は好きですね。

吉原光夫ジャン・バルジャンにただただ圧倒。
それプラス、他キャスト陣、演出、スタッフ、いろいろな熱量を感じました。
たしかに一生に一度は観るべき舞台であることを再認識。
(リピーターは何回も観るんですけど)

※敬称略