ミュージカルアニー2009

◆公演時期   2009年4月25日(土)〜5月10日(日)
◆会場 青山劇場
◆演出 ジョエル・ビショッフ
◆演出補 伊藤 明子
◆翻訳・訳詞 瀬戸千也子/伊藤明子/宮原一男
◆振付 ボビー吉野
◆音楽監督 栗田 信生
◆歌唱指導 呉 富美
◆訳詞 片桐 和子
◆タップ振付 藤井 真梨子
◆美術デザイン ピーター・ウルフ
◆照明デザイン 沢田 祐二
◆舞台監督 長沼 仁
ミュージカル『アニー』の原作者
◆脚本 トーマス・ミーハン
◆作曲 チャールズ・ストラウス
◆作詞 マーティン・チャーニン

あらすじ

1933年、ニューヨーク。
孤児院で暮らす、赤毛の少女アニー。
孤児院には父親や母親を亡くした子供たちが、たくさんいます。
ただ、アニーの両親だけは、まだわかりません。
『すぐに引き取りにまいります』という、
自分が赤ん坊の頃に書かれた両親の手紙・・・・・
その言葉を信じて、アニーは11年間支えにしてきました。
しかし、いつまでたっても両親は迎えに来てくれません。

ついに、アニーは孤児院を出る決心をします・・・・・


観劇感想

ジョエル氏、9年目の演出。
いろいろなことを思いながら観劇しました。

今回、演出部分がかなり変わりました。
あくまで私が印象に残ったところを記載しますが、
前からとか、足りない部分もあると思いますが、ご容赦ください。

「NYC」では、ベルを鳴らしながらサンタが登場。
さらにアニーとも会話。
このシーン、けっこうストリートチャイルドが出番多かった気がしますが、
今回は少なめだったような。

ウォーバックスがアニーに自分の子供になってほしいと語りかけるナンバー
「あなた以外は何もいらない」
1番と2番の間にセリフが入りました。
ここは意外といいかも。私は好きですね。この間。

アニーがホワイトハウスを訪れ、
政治家に「トゥモロー」の歌い方を教えるシーン。
今まではひとりひとり順を追って歌詞を直し、歌いあげていましたが、
ちょっとパターンを変えました。
直さずにドンドン流れる感じです。

また、要所要所に「不景気」というセリフが増えたように思えます。
これは言うまでもなく、今の経済状況と重ね合せているのでしょう。
アニーに言っても意味がわからないだろうことは予測しながら、
ウォーバックスが話しかけていますから。

もう前からなので今さら言っても仕方ありませんが、
一幕は子供のダンスシーンが少ないな〜と思いました。
「ハード・ノック・ライフ」で踊ってはいるものの、
見せ場という見せ場のダンスはやっぱり少ない。
何かサラサラ〜と流れてしまう印象を受けました。
ここは正直、一番改善してほしい。
最初の印象が薄いもの。
クリスマスコンサートで踊るから、
それまで待てということなんですかね・・・

ストリートチャイルドとアニーとのかけ合いも変わりました。
アニーがストリートチャイルドから花を買って、
それをまたストリートチャイルドに渡すわけですが、
ここが今までは、自ら歩みよってストリートチャイルドに手渡ししていましたが、
今回は呼び止めて、ストリートチャイルドが自らアニーの元へ行く、
という演出に変わりました。
しかも「ありがとう」なんてセリフもあります。
この変更はけっこう驚き。

でもって、毎回のパンフレットですが。
私服がまた凄いことになっている・・・
あえてツッコミはしませんが、いろいろありますね。
それから、これはど〜でもいい話。
ポージング、いろいろさせてますが、
もぉ、どうせやるのなら「ジョジョ立ち」でもやらせればいいと思いました。

気になった役者さんは・・・

アニー役、飯塚萌木
う〜〜〜ん、うまいと思う。
あくまで私の印象としては、王道のアニーとして完璧に近い。
ルックスは抜群に可愛いから万人受けするし、
演技もじつにしっかりしている。
歌にも伸びがあって、私が観た回は文句のないできばえ。
素晴らしすぎる。

特にジュースを置くシーンで、複雑な感情が表情に良く出ていました。
ここが印象深いかな。

ほとんど完璧で誰が見ても満足がいくアニー。
言うことない。本当にない。
でも、褒め過ぎると発展性が無くなるので、ちょっとだけ。
もうちょい、カツゼツはほしいかな?
やや舌なめずりな感じが出ることがあります。
ほとんど気になりませんけど。

それから、王道路線すぎるアニーなので、
個性的、オリジナリティの部分が少ない。
ここは好き嫌い別れますが。
服部杏奈のようなオリジナリティを出してほしいと言われても、
あれは彼女しかできませんし。
少なくとも今回の飯塚萌木アニーは、
私の好きなタイプのアニーだったので、全く申し分がないデキでした。

あと、これは私が観た回が良かったせいかもしれませんが、
今回のサンディは天才!
こちらも完璧でした。すごくおとなしいですし。
もちろん飯塚萌木との相性もあると思いますが、
この犬は優秀でした。
サンディがMVPになる・・・かな?

同じくアニー役の佐々木李子
彼女は強弱をつけるアニー。
一番最初の孤児院の場面では、他の孤児を一喝しながらも、
モリーに優しく接する。
このバランスがけっこう大きいな〜と思いました。
カツゼツ自体は、間違いなく佐々木李子の方がハッキリしていると思う。
ものすっごく聞き取りやすい。
歌も飯塚萌木に負けず劣らず、すばらしいです。

演技的に印象深いのは、
孤児院のベットの上で他の孤児たちを見つめるシーン。
私はすごく好きですね、ここの演技。

あと、彼女は笑い方がすごく自然。
なかなか難しいんですよね、自然に笑うって。
変に笑うと観客に嫌な印象を与えてしまいますから。
嫌らしさがない、本当に優しい笑い方。この印象が強い。
どちらのアニーを観たとしても、満足感は得られます。
誰も期待していませんが、この二人のアニーは私が太鼓判を押します!!

モリー役の三津間奈央
この子は面白い。
カツゼツしっかりしてるし、雰囲気がいい。
松田亜美も面白いモリーでしたが、この子も面白い。
表情もいい。
最初の「ママ、ママ、ママ〜」の単語連発のセリフはビックリしましたが。
ここも演出が変わったのかな?
前は「ママ〜ママ〜ママ〜」みたいに、伸ばしていたような気が。
それはそれとして、三津間奈央はひじょうに面白い存在。
間違いなく今後出てくるでしょう。

すみません。両ケイトは印象がほとんど無い・・・
佐々木琴美はかわいい・・・という印象しかない。
堀田夏菜はダンス・・・かな?という印象しかない。

テシー役の石井日菜
魔法使いサリーのカブ役でも好演。
とにかく笑顔がかわいい女の子。
表情がとても豊か。
観ていてとても和む感じ。
ダンスもいい。
ただ、ややキンキン声かな?そこだけ。
そんなに気にはなりませんけど。

同じくテシー役の松本涼花
彼女は初めて観ましたが、なかなかいいですね。
笑顔、そして表情の変化が楽しい。

ペパー役の工藤万実はうまい。
私に言わせると、かなりベテラン子役なのですが(汗)
背が少し伸びたかな?
最初のベッド上のシーンでのカツゼツの良さ。ここの印象が強い。
私も「ビビッ!」とすぐ気づきましたから。
「フリードレス」のナンバーでは、
ダフィが二人の孤児を回転させる大技に注目がいきますが、
この時の工藤万実の単独でのターンも素晴らしい!!
ペパー役の演技も言うことないもの。
工藤万実の本領発揮だと思う。

同じくペパー役の川井田夏海
こらまた怖いペパーだ(笑)
たしかに最後にチクリと優しい言葉をかけることはかけますが、
雰囲気自体は怖いペパーのまま。
だが、そこがいい!

ジュライ役の中原詩乃
落ち着いた穏やかなジュライそのもの。
特にフリードレスの腹話術もどきで歌うところもいい。
なかなかやりますね!
雰囲気がすごく良かった。

おなじくジュライ役の宇山玲加
彼女はうまい。
ひとりだけ、声の声量が違う。
発声がしっかりしているし、カツゼツは言うまでもなく抜群だもの。
「フリー・ドレス」での歌声もじつにいい。

彼女のジュライは積極的なんですよね。行動派。
常に前に前に出てくる。
ここは好き嫌い別れるかもしれない。
それから、彼女の実力は十分すぎるほど認めるけれど、
あまりに自分のパワーを見せつけすぎると、
他の子とのバランスが悪くなる。
もちろん、彼女の声量で全員がやってくれれば一番いいのだけれど、
全員が同じ声量ってわけにもいかないし、逆に目立ってしまう。
ここは彼女にとっても難しい判断だと思う。
自分の全力を出しているにもかかわらず、目立ちすぎに見えてしまうし、
力を出さないわけにもいかない・・・
他の子の覇気を上げないとね。
トゥモロー組の孤児の中で、
ジュライが一番覇気があるというのも、ある意味違和感がある。
もちろん彼女のせいじゃない。

ダフィ役の宇田千夏
葉っぱのフレディ〜いのちの旅〜2008では、難しいクリス役を演じ、
実力がどんどんついてきている女の子。
彼女は背が高い。
もしかしたら、今回の出演者、水谷あつしの次くらいかも?
ということで、ダンスでの印象は小柄な子やスピーディーな子に目が行きがち。
でも、彼女のダンスも素晴らしいんですよ。
背の高さにプラスして、腕、そして指の細かい動きもしっかりしています。
背の高い子が、細かい部分までしっかりすると舞台映えします。
「フリードレス」で孤児ふたりを回すところも、かなり頑張ってます。
本当の意味での彼女のダンスの実力の見せ場は、
「アニーのクリスマスコンサート」待ちかも。

同じくダフィ役の門山葉子は、
大きい体にもかかわらず、声がかわいい。
ダフィは、こういうタイプ多いです。
「フリードレス」で、他の孤児の二人を回すところは回転不足に迫力不足。
2006アニーのダフィ役、大山知理なんて、ガンガン回してましたから。
近年では彼女が最強だと思う。
それに負けないくらい筋力をつけてほしい。
見せ場のひとつですし。

ストリートチャイルド役の満薗梨奈
彼女はどちらかというと穏やかな感じかな?
後述する田中瞳が弾けすぎる意味合いもあって、
満薗梨奈は落ち着いた印象。

同じくストリートチャイルド役の田中瞳
彼女は間違いなくダンス。
見ればすぐわかりますが雰囲気が全然違う。
独特。
スピーディーでテキパキ動く。
ヒップホップ系なのかな?
見映えは抜群にいいし目立つけれど、
優雅なダンスも見てみたい。
おそらく「個」としての自己主張、強いでしょう。
ダンスレベルとしてはものすっごく高いけれど、
回りとのバランスも必要かな・・・なんて思いました。
ただ、間違いなく彼女も今後出てくるでしょう。
そう断言できるくらい素晴らしい。

タップキッズでは、とにもかくにも尾久葉優衣
素人の私が見ても凄いと思う。
合計で3回目ですからね。
ほぼセンター。
今回は体の柔らかさを見せる場面も多いです。
いや、ビックリ。
アニーのメインキャストと同じくらい印象が強い。

有名どころの野田紗貴は瞳パッチリでかわいい。
そこしか印象が無いのは申し訳ない。

ハニガン役の麻倉未稀は初めて見ましたが、なかなか面白いです。
グラマラスな雰囲気のハニガンもいい。
歌うところはやや低音ヴォイス。いいですね〜!
怖さというよりは、コミカルな部分で楽しませてくれます。
なんとなく、
本当はルースターとの詐欺に参加したくないような感じは受けました。
ただ、結局お金を半分にするところは、やはり悪人なのかな〜?

ルースター役の水谷あつしは、
舞台「イタズラなKiss」で観劇して以来。
「おそらく舞台の雰囲気が変わるのではないか?」と私は予想してましたが、
まさしくそのとおりになりました。
今までのルースターとは全く違う雰囲気。
もちろん、性格付け等は今までの路線と変わることはありませんが、
水谷あつし流のルースター像が演じられています。
凛々しく格好良く、スマートでダンディなルースターでは無いものの、
影がなく、あつくるしい情熱を持ち合わせたストレートなルースター。
椅子に座った後の田原俊彦並に足を上げるシーンも面白い。

太田彩乃のリリーは言うことありません。
前回からタップの演出は変わりましたが、今回も同様。
今回特に「太田彩乃 オン・ステージ」のような部分を感じました。
かなり太田彩乃メインになった気もします。
本人嬉しいでしょう。
めっちゃうまいですから、ここは独壇場でしょうね。

未来のスター役の保泉沙耶は、
アニー2001ではペパー役、アニー2003ではジュライ役
ココスマイル2 再々演ではエル役
葉っぱのフレディ−いのちの旅2005ではクリス役と、
ファミリーミュージカルとしては超有名どころ。
私は未観劇なのですが、
「君に捧げる歌 a song for you2006」での主演 詩織役は、
伝え聞くところによると物凄かったらしいです。
ただし、それは子役での話。
大人としての出演では、そんなのものは全く必要ないし、
完全に過去の遺物ですから。

ただ、私としてはやはり思い入れがあるし、
昔から「アニー」を観劇している人にしてみると、
ど〜しても、保泉沙耶に目がいってしまうところ。
なんだかんだで、やっぱり存在感あるもの。
ダンスいいんですよね〜と言っておきながら、
となりで踊る岸田有子のダンスの素晴らしさに、みとれてしまう自分がいる・・・

さて、「N・Y・C」での未来のスター役。
保泉沙耶のメインどころ。
当然のことながらソロ。
うん。綺麗で透きとおった歌声。
私が観た時は、夕方の公演の方が声が出ていた気がします。
ただちょっと、私の過去の記憶が美化しすぎている感じもありました・・・
葉っぱのフレディ−いのちの旅2005のクリス役のイメージが強過ぎたかも。
子役の時と大人の女優としてでは、完全に別物ですから。




・・・あくまで私の感想。
私が観た回が調子悪かったのかもしれませんが、
ちょっとね・・・と思いました。
特に一番気になるのは、
自分が見た夢をアニーに語るシーン。
ものすっごく早口で、しかもセリフが棒なんですが・・・
これはこういう演出になったのでしょうか?
一生懸命しているのはわかります。
全員がそう。
けれど、高いチケット料金払ってこの演技は考えものだと私は思う。
今まで見てきた中でも、かなり厳しい。
「ミュージカル・アニー」の導入部分で一番重要なシーンなのに。
一瞬、私の頭の中が真っ白になって、「はぁ?」って首をかしげたくらい。
これだと観る気無くす。
地方公演まで時間があるので、ここはぜひとも改善してほしい。
そして、いつの日か私を見返してしほしい。

総括
飯塚萌木 佐々木李子、
両アニーともにすばらしい出来ばえでした。
どちらのアニーでも「ミュージカル アニー」を堪能できます。

ちょっと話がずれますが、やはりスポンサーさまさまだと思う。
この大不況で、舞台を続けてくれるのは本当にありがたいこと。
もちろん、第一にはチケット。
1枚のチケットを買う・・・その行為がアニーへの思い入れですから。
グッズ販売もそうですが、
難しい人は、スポンサー提供のものを買うこと。
できるだけ「ふりかけ」や「麻婆豆腐」は「丸美屋」で。
「明治」「カルピス」「三幸製菓」「久光製薬」「旭化成」「再春館製薬所」
「アステラス製薬」「ユニリーバ・ジャパン」「エポック」
絶対とは言えませんが、
何となく意識しながら買うことが重要だと私は思います。

誰もが知っていることなので、
あえておおっぴらに言う必要はないとは思いますが、
今は「行動」の時機。
出演者はみなさん意識していることでしょう。

(敬称略)

ミュージカルアニー過去の観劇感想
1993 1994 1995 1996 1997
2000クリスマスコンサート
2001 クリスマスコンサート
2002年1回目 2回目 東京千秋楽 クリスマスコンサート
2003 クリスマスコンサート
2004 クリスマスコンサート
2005 クリスマスコンサート
2006 クリスマスコンサート
2007 クリスマスコンサート
2008 クリスマスコンサート


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