公演時期 | 2010年4月24日(土)~5月9日(日) |
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会場 | 青山劇場 |
演出 | ジョエル・ビショッフ |
演出補 | 伊藤明子 |
翻訳・訳詞 | 瀬戸千也子/伊藤明子/宮原一男 |
振付 | ボビー吉野 |
音楽監督 | 栗田信生 |
歌唱指導 | 呉富美 |
訳詞 | 片桐和子 |
タップ振付 | 藤井真梨子 |
美術デザイン | ピーター・ウルフ |
照明デザイン | 沢田祐二 |
舞台監督 | 長沼仁 |
ミュージカル『アニー』の原作者 | |
脚本 | トーマス・ミーハン |
作曲 | チャールズ・ストラウス |
作詞 | マーティン・チャーニン |
あらすじ1933年、ニューヨーク。 孤児院で暮らす、赤毛の少女アニー。 孤児院には父親や母親を亡くした子供たちが、たくさんいます。 ただ、アニーの両親だけは、まだわかりません。 『すぐに引き取りにまいります』という、 自分が赤ん坊の頃に書かれた両親の手紙・・・・・ その言葉を信じて、アニーは11年間支えにしてきました。 しかし、いつまでたっても両親は迎えに来てくれません。 ついに、アニーは孤児院を出る決心をします・・・・・ 感想ジョエル氏、10年目の演出。 感想の話より先に、まずなにより一番驚くのは男子トイレ。 移動しています・・・ しかもせまくなってます・・・ これが最大の衝撃。 一番驚きました。 男性ならまずこれに気づきます。 それからパンフレット。 ここでツッコミたいのが座談会。 アニーを演じた女優の座談会なのですが・・・ 伊藤有沙、大変だったろうな~と思いました。 というのも・・・全員を知っているわけではありませんが、 パワーが・・・ そういう子でないとアニーにはなれないというのもありますが。 座談会、頑張りましたよ、伊藤有沙。 さて本編。 今回、また演出部分が変わりました。 一番思うのは詩が変わったこと。 「リトルガール」や「NYC」めちゃくちゃ変わっていて驚きました。 「流されてしまえ」は凄い。 また、花を渡す相手も変わりましたね。 ストリートチャイルドから、両親が押すベビーカーに。 これは結婚して、子供を産んで、 少子化対策をしろという「子は国の宝」の意味合いが含まれているのかな? 意外と奥深いメッセージ的演出だと思います(ほんとか?) アニーとウォーバックスのダンスシーン。 たしか前回はアニーの腰に手をそえて回すシーンがありましたが、 今回は無し。 太田彩乃のタップでの衣装はかなりいいです! さらに美しくなって驚き。 水谷と太田の偽夫婦。 今回さらにパワーアップしてきた感じです。 ホントにアニーの両親が孤児院に来たのかと思うぐらい。 水谷あつしは本当にうまい。 私はけっこう印象強いです。 保泉沙耶の未来のスター役はいい! 今回は前回よりも長い気がします。 ずっと観ていたくなる(笑) 前回より断然見応えありました。 見応えありすぎて、そのままひきずって、 ウォーバックス邸のところも保泉を観てしまうほど。 それから・・・ちょっと申し訳ないんですけど、 岩崎良美の歌の迫力、セリフの迫力が消えているように思える。 パワーが無い・・・ように感じます。 マイクのせいかな? 気になった役者アニー役のふたり 澤田真里愛、中原櫻乃ふたりともよくやってますよ。 演技はとてもいいと思う。 今までのアニー役の子と比べても遜色ありません。 どちらを見ても満足できる舞台。 ただまぁ~私の場合は、いろいろツッコミます。 じつのところ、私のイメージとしては、澤田真里愛のアニーが王道路線、 中原櫻乃の方は服部杏奈のような、ちょっとコメディチック路線と予想してました。 がっ!ふたりとも基本はコメディ路線ですね。 これ、中原櫻乃がコメディ路線をやるのは十分にわかるのだけれど、 澤田真里愛が面白系をやってしまうと、 中原櫻乃の持ち味が発揮できなくなってしまうのがつらいところ。 もちろん、二人の舞台を観た場合。 ひとりしか観ないのであれば気になりませんが。 澤田真里愛はずるいと思う(笑) 要所要所に面白い部分を入れてます。 ウォーバックスの後ろを歩く場面では、軽いロボットダンス(ほんとに微妙) ホワイトハウスの帰り際、大統領だけでなく、議員にも挨拶。 これはアドリブでしょ? 演出や台本ではないと思う。 台本であれば、中原櫻乃もやるはずですから。 オリジナルとして、黙認なのかもしれませんね。 あと笑い声をたくさんいれてます。 ここも印象深い。 澤田真里愛はカツラが抜群に似合って、 クリクリの瞳と合わさってかなりかわいいです。 本来の髪形よりもかわいいかもしれません。 そこがまた魅力的。 歌唱力は・・・歴代アニーとしてみると普通だと思います。 ただ、伸びは無い。 伸ばすとかすれる可能性もあるから、ゆっくりと切る感じ。 無難で確実に安定した歌い方で歌おうという意図が私には見えました。 面白系の演技としては、服部杏奈に次いでの面白さ。 ただ、喋りはやや鼻にかかるところもある。 ありていにいうならば、福原遥、まいんちゃんのような鼻にかかる感じもある。 ウォーバックスとのやりとり。 「男と男の話をしよう」「いいよ」 の受け答えは二人とも男っぽい感じでした。 ここって意外と普通に対応するアニーもいますからね。 二人ともこのタイプは意外。 中原櫻乃ですが、面白さだと澤田真里愛と似た雰囲気。 同じような変化球。 演技はとてもよくやっていると思う。 アニー独特の口調なのだけれど、どちらかというと癖がなく自然な発音。 これはこれでいい。 一番思うことは、とぼけた雰囲気のところは中原穏乃そっくり。 それから歌。 私が観劇した際はかすれた部分が何度かありました。 ただかすれはしましたが決して下手ではありません。 歌声はとてもいいです。まだまだ発展途上で、のびしろがある感じ。 ただひとつ残念なのは、メイキングで歌のことをかなりピックアップしましたよね? 「歌が弱点」みたいな感じで。 それが観客に知れ渡りすぎ。 私の回りの子供たちでさえ、「あの子は歌がね~」とか言ってますから。 それがあってか、中原櫻乃のソロの部分、観客が独特な雰囲気になります。 「大丈夫か?大丈夫か?あ~良かった。うまく歌い終えてくれた」 そんな感じ。 劇場全体が心配な空気に包まれ、無難に終わるとホッとする。 そんな空間。 メイキングの意味合いとしては、「歌が弱点だった子が、ここまで成長しましたよ」 と、言いたかったのかもしれませんが。 思うに、彼女はダンス系かな? ダンスをしている時の方が楽しい感じ。 ガンガン踊れる、 「アニーのクリスマスコンサート」の方が彼女の本領発揮かもしれませんね。 と言っておきます。 モリー役、清水詩音、大森未来衣今回、モリー役のふたりはすばらし過ぎる。 カツゼツがしっかりしていて聞き取りやすいし、 表情の変化も楽しいし、よく踊ります。 清水詩音。オーディション、初めてで合格ですか。 かわいい顔から怖い顔までよく表現できています。 たいていかわいい顔は誰でもできますが、この年齢で怖い雰囲気を出せる。 他の人には見えないかもしれませんが、私は見えました。 なかなかやります。 タップのところも物凄い。 尋常ではないくらい踊ります。 「シノザキシステムキッズ」ですか。 これはすごく頷ける。 大森未来衣。彼女もオーディション一回目で合格。 この子は面白い。 富田麻帆の再来と思えるほど(前にも同じことを言ったな~) 私でも彼女をオーディションに合格させますね。 ちょっと独特で異質なものを感じます(それがいいのかわかりませんが) 表情の変化も楽しく、しかも面白いとくる。 最初の導入部分のアニーとの手紙のやりとり。 アニーの目を見つめ、視線をずらし、またアニーの目を見つめる。 この間合いのテンポがじつにいい。 この時点でこの子はやるな~と思いました。 ダンスをしながら鼻をこすってたりしてましたが、そんなのはご愛嬌。 彼女からは、ものすごく将来性を感じました。 清水詩音は正統派なモリー、 大森未来衣の方は未熟な部分もあるけれど、何が起こるかわからないモリー。 これから彼女が、 ミュージカル女優路線になるか、コメディ路線になるかはわかりませんが、 とても楽しみな逸材。 ハニガン役の森口博子悪女役、少し心配しましたが全く問題なし。 やっぱり若いですね。 「リトルガール」の作詞が変わったのには驚き。 かなり内容が変わりました。 歌はプロなので申し分ありませんが、 ハニガンの歌はダミ声が好きな人がいるかもしれません。 悪女的な歌声でもいいかな? 彼女はダンスもいけますからね。 元スクールメイツであることは有名。 人形投げは、おそらく本人のモチベーションとして、 後ろに引っかかる「運」を試しているのは変わらないです。 ここは伝統ですね。 洗濯屋のお兄さんとイチャイチャするところはいい。 年齢的に今まで一番あうかもしれません。 ケイト役の長瀬美津木モデル的ルックスでかわいい。 ずっとではありませんが、口元で歯を出すことが多い気がします。 笑顔なので違和感ありませんが。 モデルは、笑顔を作る上で歯を見せる口元の三角のバランスが重要であるから、 そこを気をつける・・・なんて聞いたことがありますが、その意味合いでしょうか? ただ、雰囲気はけっこう独特。 淡々としたところもあれば、すごくにこやかに踊ったりします。 イメージとして石井日菜に近い。 じつのところ、タップで踊っている時の方が生き生きしているようにも感じます。 同じくケイト役の田中愛生かわいい笑顔・・・はなんとか覚えているのですが、 その他は印象少ないです。申し訳ない。 テシー役の近藤里沙この子はうまい。 とにかく表情がいい。 柔軟的に表情が変化していてじつに面白い。 笑顔も抜群にかわいいのですが、特にはかなげな表情はうまい。 ま~だいたいテシー役はこの表情が多いのですが。 歌は普通かな? 同じくテシー役の栃尾海佑髪の毛がボサボサした感じがじつに似合っている。 表情の付け方もいいし、喋りもしっかりしている。 ペパー役の川田菜々子まず第一にこれは私のイメージで申し訳ないのですが、 川田菜々子は優しい雰囲気で真面目なイメージが強い。 このペパー役はイジメっ子キャラ、反抗的なイメージ。 演技的に頑張ってはいるものの、セリフが優しい。 現時点で、川田菜々子から、生意気なイメージは考えられないんですよね。 体全体から、優しく穏やかな雰囲気が漂う。 先走りなイメージばかりで申し訳ない。 同じくペパー役の稲葉愛夢森は生きている 2009年にも出演。 この時は、ダンスのイメージが強かったかな? 今回はダンスシーンのイメージが薄いです。申し訳ない。 ただ、ペパーの生意気さ、突き放すようなセリフの冷たさ、ここは抜群にいい! パワーありますよ。 私はちょっときついペパーが好きなので、彼女の演技には合う。 観客がちょっと嫌悪感を覚えるようなペパーの方がいいもの。 意外とヒットだと思う。 歌はまずまずかな? ジュライの五味汐梨前に観た時は、ハイジのペーターですからね。 髪形が違うとここまで変わるか?ってぐらい雰囲気違います。 カツゼツしっかりしているし、ボイランシスターズのナンバーを歌うところも秀逸。 彼女はうまいですよ。 同じくジュライ役の落合梨々香歌唱力は抜群。 相当うまいと思う。 ダフィ役の塩川菜摘かわいい。これは言わざるをえない。 「ラブリーズα~ありがとうの詩~」「ラブリーズ~君に捧げるハーモニー~」2010年 森田小雪役は抜群でした。 ただ、アニーの場合はど~しても小さい子に目が行きがちですから、 なかなかダフィの演技を確認する機会が少ない。 二人を回転させる部分はやや遅かったかな?そのぐらい。 同じくダフィ役の松田芙由香彼女を観るのも久々。 ファンタジスタ『モウイチドアナタニアイタイ』 2006年以来。 久々の観劇なので、やっぱり体が成長しましたね。 顔だちは昔とあまり変わっていません。 3人を回すダンスは、素早く良く回転していました。 ちなみにこの準備段階の時のモリーの「待ち」の表情も面白かったです。 ストリートチャイルド役の島野結雨しゃべり方はかわいい。 ただ、今回ストリートチャイルドの役柄が薄くなりました。 花も渡されません。 いるのかどうかほとんどわからない。 ほんとの出番は一番最後のタップキッズと一緒にセンターで驚くところでしょうか? 菊田万琴はその最後のダンスのセンターでのダンスのイメージくらい。 総括子役、大人キャストの実力、オーケストラ、 常にクオリティの高い舞台で、チケット代相応の舞台。 ハズレはありません。 澤田真里愛、中原櫻乃、 演技は申し分ありません。 それぞれに持ち味の個性が発揮されていると思います。 個人的には、中原櫻乃なんてもっと面白さ全開で弾けてもいいのにな~なんて思いますが、それは演出の都合上難しいのでしょう。 ※敬称略 |