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ミュージカルアニー2003年観劇感想

満足度星星星半星空星
公演時期 2003年4月26日(土)~5月11日(日)
会場 青山劇場
演出 ジョエル・ビショッフ
演出補 伊藤明子
翻訳・訳詞 瀬戸千也子
振付監修 名倉加代子
振付 橋本さとみ
音楽監督 栗田信生
編曲・歌唱指導 呉富美
訳詞 片桐和子
タップ振付 藤井真梨子
美術デザイン ピーター・ウルフ
照明デザイン 沢田祐二
舞台監督 森聡/長沼仁
ミュージカル『アニー』の原作者
脚本 トーマス・ミーハン
作曲 チャールズ・ストラウス
作詞 マーティン・チャーニン

あらすじ

1933年、ニューヨーク。 孤児院で暮らす、赤毛の少女アニー。 孤児院には父親や母親を亡くした子供たちが、たくさんいます。 ただ、アニーの両親だけは、まだわかりません。 「すぐに引き取りにまいります」という、 自分が赤ん坊の頃に書かれた両親の手紙。 その言葉を信じて、アニーは11年間支えにしてきました。 しかし、いつまでたっても両親は迎えに来てくれません。 ついに、アニーは孤児院を出る決心をします。

観劇感想

ジョエル氏、3年目の演出

今年のテーマは「アニー再発見」だそうですが、 いまだに意味がわかりません。 前回のアニーをもう一度見直す、ということなのでしょうか? 前回とは違った演出を期待していたので、正直ガッカリでした。 モップを立てて相手に渡す演出や、 ウォーバックスさんの椅子をアニーが押す演出もそのまま。

違う場面で印象に残っているのは、 プレゼントを持ったおじさんが、花を売っているストリートチャイルドに、 プレゼントと花を交換する場面。そこだけだと思います。 意味はわかるけど、んなに必要なシーンでしょうか?

アニーが階段を登り、施設から抜け出そうとする場面ですが、 少しタメが無かったような気がします。かなり淡白。 「重厚な音楽とともに、アニーがゆっくりと階段を昇っていく。 ようやくドアに辿り着く・・・が、ドアの向こうにはミス・ハニガンが!」 と言う感じの方が、私は好きですね。

お尻を叩く場面は、生音でした。 昔は、打つふりだけして、音は別に出していたんですけど。 去年はどうだったのか忘れましたが。

今回は最後に、タップキッズとアニーが、 客席後方から、かけ降りてきます。 おそらくアンケートかなにかで、 「客席と舞台との距離が遠く感じる」とでも書かれたのでしょうか? 「篠崎」アニーの舞台下に降りていたイメージをもった観客が、 多いのも要因のひとつに考えられます。 当時、私も降りてきてもらえて嬉しかったですから。

パンフレットがコストダウン

舞台とは関係ない話ですが、今回のパンフレットについて。 黄色くなり、しかもコストダウンが目に見える変化。 かなり悲しかったです。最初の方の挿絵もあまり好きではありません。 さらには、オーディションの様子の写真。 受かった子はいいですけど、 落ちた子の顔をUPで載せるのはどうでしょう? ちょっと疑問が残ります。

気になった役者

アニー役の下垣真香

まずはなんといっても可愛らしいルックスです。 アイドルアイドルしていて、人気は出るでしょうね。 それも加味されてか、笑顔の表情はピカ1でした。 彼女の笑顔を見ているだけで楽しい。

タイプ的に、かなり優しいアニー。 ペパーたちにきつく言う場面も、 真香ちゃんでは全然迫力がありません。 強さという部分においては、印象は薄いでしょう。 歌唱力については、驚くべき進歩です。 アニーメイキングではボロボロの歌唱力で、 どうなることか心配したのですが、 とりあえず及第点をあげられる感じです。 正直、とりたててうまいとは思えません。 おそらく、声量があるため、 歌の質を声の大きさでカバーしたのだと思います。

演技はマズマズ頑張っていました。 アニーといったら、こんな感じで演技をする、という固定観念がなく、 彼女独自の自然で、そよ風のような柔らかな演技でした。 ちょっぴり南果歩さんに似ているな~なんて思いました。

同じくアニー役の仲原舞

彼女のアニーは、 優しさと強さの両方をバランスよく兼ね備えたアニーだと思います。 ペパーたちにきつく言う場面も、彼女の方が断然迫力あります。 演技力に関しては、間違いなく舞ちゃんの方が上でしょうね。 安心してみることができます。 ただ、真香ちゃんの自然で柔らかな独自のアニーと比べると、 先輩たちがしていたアニーと同じ系統のため、 ちょっと面白みに欠ける部分もありますが。

それから彼女はカツゼツがいいし、発声もいい。 さらには気持ちのこめたセリフもいいです。 真香ちゃんよりも聞き取りやすかったと思います。 ただ、自分の回は、噛んでしまったことが3回ほどありましたが。

彼女はダンスが得意なのですが、 アニー自身のダンスはそれほど多くないため、ちょっぴり残念でした。 歌唱力は素晴らしいです。真香ちゃんより上でしょう。 ただ、歌い尻が気になります。プツンと途切れることもあります。 そこが少し違和感あるでしょうか? でも、自分としては、歌い方は彼女の方が好きですね。

モリー役の山田ゆらら

演技は、正直イマイチでしょう。 表情も良い時と悪い時の差が大きく、安定感がありませんでした。 ただ、声質はいいですね!すごくハッキリ聞こえます。

同じく、モリー役の天野咲

演技はまずまずでしょうか。ただ、声がちょっと聞き取りずらかった。

ケイト役の吉池結

なかなか存在感ありますね。歌もいいし、ダンスも切れがあるし、 なにより笑顔がいい! トゥモロー組では、モリーよりも彼女の方が印象強いです。

ペパー役の遠藤瑠香

これは間違いなく当たり役でしょう(笑) 彼女の得意な演技ですね。意地っぱりの演技には定評ありますから。 ダンスは初めて見ましたが、なかなか良かったです。

同じくペパー役の前島千亜希

歌はなかなか上手いですね。 それから意外と端正なルックスで、見ていて楽しかったです。

テシー役の鈴木満梨奈

まずは、とても表情が豊か! ここの印象が強いです。 声も聞き取りやすいし、ボイラン・シスターズのところも良かったです。

同じくテシー役の菅井桃子

頑張っているけど、もうすこし堂々としてほしいかな?

ジュライ役の保泉沙耶

彼女は上手いです。言うことないですね。存在感アリアリって感じ。 演技、ダンス、表情、ともに素晴らしい。 特に、今回は歌が印象深かったです。彼女は後にブレイクするだろうことは、この時点は予測できませんでした。

同じくジュライ役の栗原夕梨花

ダンスシーンが印象深いです。 足を上げた時の打点が高いです。

ダフィ役の金子ひとみ

ココスマイルでは地味で(失礼!)かなり印象薄かったのですが、 今回じっくり拝見し、その実力を思う存分見せつけられました。 まずは表情。こんなに可愛い笑顔だったんだ~と、ちょっと驚きました。 笑顔だけでなく、いろんな表情を持っていますね彼女は。 ダンスシーンも素晴らしいです! 足を上げる打点の高さも高いし、ダンスの切れもあります! ここまでできるとは思いませんでした。嬉しい誤算ですね。 アニーでの彼女のダフィ、すごく光っていました!

ストリート・チャイルド役の北原梢

今回のアニーの中で、一番印象深いのは彼女です。 今後の有望株になることは間違いなしです! まず何よりもダンスに切れがあります! 特に『N・Y・C』の場面が秀逸でした。 大人の中に入ってもその存在感は光っています。 カツゼツがよく、声も良く通っています。 さらに表情も明るくてグッド!ちょっと清宮愛結花ちゃんに似ていますが、 彼女より、もっと表情を豊かにした感じですね。

同じくストリート・チャイルド役、増山加弥乃

声はマズマズ出ていましたが、ダンスがイマイチでした。後日談ですが、彼女は後に大舞台で活躍することになります。それは流石にこの時点ではわかりません。

タップキッズ、白数美里

癒し系です。間違いないです。 ルックスは最強に近いです(笑) とにかく彼女の優しい笑顔には癒されます。 タップダンスも可愛かった~!彼女も後に、大きな舞台へと羽ばたくことになります。この時点で知るよしも無し。

タップキッズ、田中美織

彼女は、なによりも足細いです!これが一番印象的! 笑顔もいいし、タップダンスの部分も切れがあって良かったです。彼女も今後ブレイクしていくことになります。やっぱり当時から「華」がありましたから。

オリバー・ウォーバックス役の岡田眞澄

前回観劇した際は、歌がイマイチだったのですが、 今回は無難にこなしていました。 明るいコメディチックなウォーバックス。彼の独壇場でしょうね。

ミス・ハニガン役の小柳ルミ子

ミュージカルが初とはいうものの、 舞台やレビューショーなどを数多くこなしていますし、 ミュージカルに近いショーもしていることでしょう。 ということで、小柳ルミ子さんのハニガンですが、 かなりいいです! 今までハニガン役の人に比べてもかなり独特! 一番印象的なのは、机の上に立ったり座ったりする場面。 あんなハニガン、たぶん今までいないでしょう。 勝手な想像ですけど、 おそらく、ルミ子さん自身が考えた演出ではないでしょうか? さらに酔っぱらって、お酒のビンと電話を間違えるという演出。 あそこも、うまいと思います。 さすがルミ子さん!と勝手に思い込んでいます(笑)

演技力はベテランさんなので、特に言うことはないのですが、 やはり歌唱力。素晴らしいです!迫力満点! なんと言っても「リトル・ガールズ」のナンバーがいいですね! あそこは何度も聞きたいぐらい。本当に聞き惚れるという感じです。 ルミ子さんはダンサーでもあるので、ダンス力もあります。 大きなダンスシーンはありませんが、足を上げる打点が高いです。 ルミ子=ハニガン、堪能しました。

リリー役の来栖あつこ

演技は意外に良かったです。 どうかな~と注目していたのですが、無難に演技していました。 個人的に注目していたのは岸田有子さん。 アルゴ関連ということもあり、どうしても注目してしまいます。 凛とした表情、スッととおった背筋、華麗なるダンス。 なかなか印象深かったです。

グレース役の岩崎良美さん、ルースター役の本間ひとしさんは、 去年同様、言うまでもなく素晴らしい演技でした。申し分ないです!

総括

今年の二人のアニーは、違った部分が多いので、 より楽しめるのではないでしょうか? 「こっちのアニーの、この部分が良かった~!」 と、みんなで盛り上がる感じです。 見どころはたくさんあります。 今回は本当に小柳ルミ子さんがいい味だしてますね。 「丸美屋」さんが、 来年もスポンサーになってくれるかどうかはわかりませんが、 厳しいこの時代、なんとか「アニー」を続けてほしいと思います。

※敬称略
キャスト表