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ミュージカルアニー2019 観劇感想

ミュージカルアニー2019

満足度 B組星星星半星空星
満足度 M組星星星半星空星
公演時期 2019/4/27→5/13
会場 新国立劇場 中劇場
脚本 トーマス・ミーハン
作曲 チャールズ・ストラウス
作詩 マーティン・チャーニン
翻訳 平田綾子
演出 山田和也
音楽監督 佐藤俊彦
振付・ステージング 広崎うらん

あらすじ

1933年、ニューヨーク。
孤児院で暮らす、赤毛の少女アニー。
孤児院には父親や母親を亡くした子供たちが、たくさんいます。
ただ、アニーの両親だけは、まだわかりません。
『すぐに引き取りにまいります』という、
自分が赤ん坊の頃に書かれた両親の手紙・・・
その言葉を信じて、アニーは11年間支えにしてきました。
しかし、いつまでたっても両親は迎えに来てくれません。

ついに、アニーは孤児院を出る決心をします・・・

観劇感想

前任のジョエル氏から山田和也へ変わった3年目。
私の場合は、篠崎光正氏の時代も観ているので、3人目の演出家。
(過去のミュージカルアニーの観劇感想を、
時間があればお読みください)

新たなる変化

2018年も大きく変化しましたが、今回もかなりの変化。
おそらくは、演出としてチャレンジし続けている印象。
そのひとつが、

サンディが小さくなった。

小さくなって、犬の種類もチームによって変わりました。
回りの観客の声を聞くと、意外と好評価。かわいいとか。
おそらくは子供や女性にはこの変更は正解だったと思います。
山崎玲奈のサンディなんて抱っこしてますからね。

ただ私が考えるに、そもそも大きな犬のサンディがいる必要性とは何か?
最初はアニーのボディーガード的な意味があったと思います。
特に警察官に吠える場面とか。
そして、このシーン自体無くなってしまい、
結局のところサンディはこの舞台におけるマスコット的存在でしかなくなってしまった。
途中のシーンでひとりで歩いて、舞台の中心で止まって、再び歩きだすと言う演技。
(これだけで「かわいい」という歓声)
チンチンとか、お手もあったかな?

観客を和ませるためにも、犬がいた方がいいのは当然なのだけれど、
こんなに小さくなったら、あまりいる意味もないな~とも思う。
舞台の進行上としては、犬がいてもいなくても変わらないもの。

「I Don't Need Anything But You」がちょっと寂しい

二人で歌うシーンが短くなってしまった。
「ドンドン」とタイミングよく足を椅子で止めるシーン、私は好きだったのだけれど。
もうひとつのミュージカルナンバー「Annie」を長く間にはさんできたんですよね、今回は。
そのぶん、ここが新演出になってしまった。
ここは申し訳ない、前の方が好きだな~
アニーとウォーバックスが楽しく歌うところは長めの方がいい。


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モリーの上で足またぎを注意

前回、モリーがクリスマスプレゼントをもらったシーンで、
ドレイクがその上を大またぎしたので、ウォーバックスがモリーを自然に移動させていました。
今回はあえて、ドレイクに一言言ってから移動させていました。
ここは藤本隆宏さんのアイデアかな?

寛容な演出家。ミュージカルアニーの集客


前述しているように、今回も新しい演出がたくさんありました。
犬の変化を筆頭に、ミュージカルナンバーも、リリーやミセス・ピューや未来のスターや、
細かいところもたくさん。
あくまで私の考えだと、役者とともに新しいアイデアをだし、
新演出につなげっていたのではないか?と思います。

ピックアップ

  • 「N.Y.C.」でのダンスキッズの出番は去年より遥かに良くなった。ここは見応えあり。
  • ミュージカルナンバーのHard Knock Lifeの振付がイマイチかな~フリードレスも。前みたいにモリー等を抱えて回るダンスとかはなくなったのだろうか?
  • ウォーバックスとファレルのジェスチャーは去年なみの長さ。子供には受けるんだよな~大人の私からすると良さがわからないが、受けるのだから良いことなのだろう。
  • ルーズベルト大統領がクリスマスイブに現れた時の「メリークリスマス」いつもは寂しい返しだが、今回はみんなで素っ気ない返し。
    前は「がっかり」という感じだったが、今回は「ほっといて、今はそれどころじゃない」という感じ。私は前の方がいいかな?さすがに大統領に失礼すぎではないか?ま、現実ではないおとぎ話だからいいか。これも模索中かな?
  • ラジオのところ、前回もボイランシスターズも最初からいたかな?うろ覚え。
  • 前回からかも知れないが、髪形、メイクが宝塚チック。
  • アニーがりんごをもらう場面がないのも寂しいな。あそこのシーンは意外と好きなんだが。
  • 「私はコートを買いに行く~」は定番になった。それと孤児たちみんなに大統領を簡単に紹介する場面とか。
  • ルースターが今回はけっこう跳ねる。去年もそうだったかな?
  • 二幕開始前の拍手のくだり。子供や家族には大受け。ここは本当に当たりだと思う。

気になった役者は・・・


M(チーム モップ)
どちらかというとこちらチームの方がカツゼツ良く、
ハッキリとした言葉づかい・・・のように感じました。

岡菜々子 アニー役
あくまで私の感覚ではあるが、アニーとして文句のつけようがない出来ばえ。
いや、文句なんて言ったら失礼。
まずこの子は目つきが面白い。
視線の動かし方。
演技もしっかりしているし、カツゼツもいいし、ダンスもいいし、歌もいい。
王道アニー、というわけではないけれど、じつにバランスがとれている。

その中でも特に歌は秀逸だと思う。
歌がうまい、と一言で言ってもいろいろな歌い方があるけれど、
今の年齢で表現できる歌を観客に披露してくれた。
少なくとも私が観劇した回は全く乱れ無し。
とても安定していました。
それプラス表情も楽しいんだよな~これが。
私の予想以上に素敵なアニーを演じてくれてました。
なかなかやるね!

古矢茉那ペパーは、ひじょうに意地悪な表情をしていた。
私は表情から意地悪で生意気なペパーが好きなので、とても好感触。
「ひねくれものだなペパー!」と観客にもわかりやすい。
セリフ回しもいいね!

三浦あかりモリーもカツゼツよく、これまたとても素晴らしかった。
まだ幼いからだが、顔だちが小動物のよう。

塩原くららケイトの印象は、アニーが一緒にベッドに座った時かな?
この時の笑顔が抜群に良い。
ケイトってこんなに明るい表情をするのか、と少し驚いた。

舟久保美咲希 テシー
特に違和感なく、普通に観られた。
あまり印象に残らず申し訳ない。

梁世姫 ジュライ
なるほど、なかなか真面目な感じがよく出ている。
落ち着いた感じはいい。
古矢茉那ペパーがかなり強気でムカツク演技だから、
その演技をどう受けとってどう消化するか、まだまだ成長途中だな。

山口紗來 ダフィ
とりあえず無難かな~?
ハニガンと話す時も特に違和感は無かったし、
ソロのナンバーのところもうまくこなしていた。
ダフィはこの地味な存在感がいいと思う。

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B(チーム バケツ)

山崎玲奈アニーは、どちらかと言うと演技寄りかな?
やや鼻にかかったセリフ回し。
ただ、そこまでの違和感はない。
彼女はセリフのイントネーションが面白い。
高低差があって、抑揚を感じる。
とても楽しめるアニー。
ルーズベルト大統領の紹介も、
淡白で素っ気ないところが、じつに面白い。
メリハリがある。

歌唱力は、岡菜々子アニーに比べると若干物足りないところもあるが、
決して下手ではないし、必要十分。
普通に観るぶんには全く違和感無し。
両アニーを観たが甲乙つけがたい。
ハッキリ言って、どちらを観ても素敵なアニーをお客様に提供できる。
二人とも観ていて飽きない。
タイプが違って本当に面白い。

石井瑠菜 モリー
若干聞き取りづらいセリフもあるが、
そこまで違和感があるわけでもない。
モリーだから必要十分。
けっこう生意気でヤンチャなモリーを表現していた。

斎藤藍 ケイト
まず思ったのは、凄く恐い表情をする。
あの年齢であの表情をするなんて珍しい。
女の子だから、本当は柔和な表情をしたくなる。
それをこんな恐い顔、表情が出せるのはなかなかだと思う。

成石亜里紗 テシー
のんびり穏やかな感じかな?
臆病というよりも穏やか。
あくまで舞台の雰囲気だけだと、ニコニコほんわかなテシーだった。

洞桃香 ペパー
かなりアイドルチック。
口が大きく、ややアヒル口。
ただ私の中でイメージしていたペパーとは違うかな?
意地悪、強気、そういった面はちょっと物足りない。

過去にもルックスが目立つ子がペパーに配役されることがよくあったが、
表情付けは難しかった。
それだけアイドルチックなペパーの役作りは難しい。

小池佑奈 ジュライ
彼女は前々回ペパーで出演。
私的にはやっぱりこっちの方が雰囲気は合ってる気がする。
ソロもあったけれど、普通かな~?

吉田葵 ダフィ
カツゼツが良過ぎるのか、
少しセリフ回しが早いかな?
良い時と気になる時の差がある。
おそらくカツゼツに自信がありすぎて、
ちょっとセリフ回しが早くなるのかもしれない。

藤本隆宏ウォーバックスは言うことないので割愛。
素晴らしいウォーバックス。
そして楽しい。

早見優 ハニガン役
演出によって異なるが、
今回の舞台ではバンドルズに好意をもっているハニガンを演じていました。
う~ん、けっこう期待していたのだけれど、私には合わなかった。
綺麗すぎるかな?
早見優が今まで生きてきた生活環境が顔に出ている。
裕福なイメージ。
そして爽やか。
それと比べると、すさんだ生活を送ってきただろう年齢を重ねたハニガンの表情付けとしては、違和感を感じる。
無論女優なのだから、それを表さないといけないのだけれど。
それが私には感じられなかった。
まっ、意外と文句を言いながら楽しんでいた生活なのかもしれないが。
ちょっと育ちの良さが透けて見えてしまった。

ハニガンのソロナンバー「リトルガール」も前回からキーを低くしたせいか、
やっぱり物足りない。
歌はうまいけれど、全然物足りない。
声も軽いし、力強さもない。 
ここ最近だと、マルシアのハニガンのイメージが強く、本当に申し訳ない。

蒼乃夕妃 グレース・ファレル
ほんわかしたファレルさん。
歌唱力は普通かな?
ドジッ子な雰囲気がいい。
真面目な部分がありつつ、3枚目っぽいファレルという感じ。
そんなに自分を前面に推しださず、一歩引いているところもいい。

服部杏奈 リリー役
Kiddy2002からか~長いな。
言うまでもなく、アニー2006では主役のアニー役。
その彼女がリリー。
どう演じるのかとても楽しみにしていました。

なるほど~そうきたか。
小芝居がうまいのは昔から。
ある意味、子役時代からちょくちょく細かい表現を彼女なりに自然と演じていました。
今回もそんな感じ。
おそらく、彼女なりのリリーを模索して今回のリリーとなったのでしょう。

ハニガンとルースターが歌っている時に、後ろで何気なくメイクをしていたり、
細かい芝居を入れるようになったので、セリフも明らかに増えました。
偽アニー夫婦の場面は、彼女のセリフが明らかに増えている。
しかもあえて演技下手なドジッ子リリーを表現している。
芸達者だから演出家も言わせたくなりますよね。

おそくらこのリリー好き嫌いあるかな~?
最近には無い新しいリリー像ですからね。
そこの開拓、チャレンジをしたのが服部杏奈だもの。

木村つかさ ピュー、未来のスター、他
今回、彼女がけっこう目立ちました。

まず、ミセス・ピューの時。
ウォーバックスが食事はいらないと言った時、
ちょっとだけ残念な顔でメモ?を握りつぶしていました。
今までこういった感情を表に出したシーンは無かったと思う。
さらには未来のスターでも服を脱ぎ捨て華麗に変身。
いや~目立つ目立つ。
おそらく、演出家といろいろ相談したのでしょうね。

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総括


常に新しい挑戦、新しい演出。
おそらく、キャストからの新提案もどんどん受け入れているのでしょう。
いろいろな面が変わっている。
それだけ今の「ミュージカルアニー」も新しいことを取り入れていかないと、という危機感があるのかも?
ずっと同じだと目新しさもないから、不満を言う人もいる。
もちろん、王道の昔のままがいいと言う人もいる。
前と同じがいいとか、前の方が良かったとか。私もよく言いますが(汗)
アニーを初めて観る人、毎回観る人のことを考えながら、
試行錯誤しているんだな~とつくづく思う。
回りからの突き上げは大変。

新しいことをやる意味においての最大の変化が犬、サンディの変更。
子供受けを狙った、ウォーバックスとグレースのジェスチャー等。
それがアンケートの感想にも響いてくるし、翌年の参考にもなる。
そして集客力と。
偉そうに感想を述べるのは楽だが、
いざ新しい演出を生み出すことは試行錯誤の賜物だもの。

ただ、生意気を言わせてもらうと、ダンスはもうちょい派手さがほしい。
あれだとなかなか拍手をしにくいな~これは私の本音。

※敬称略
キャスト表