公演時期 | 2011年4月23日(土)~5月8日(日) |
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会場 | 青山劇場 |
演出 | ジョエル・ビショッフ |
演出補 | 伊藤明子 |
翻訳・訳詞 | 瀬戸千也子/伊藤明子/宮原一男 |
振付 | ボビー吉野 |
音楽監督 | 栗田信生 |
歌唱指導 | 呉富美 |
訳詞 | 片桐和子 |
タップ振付 | 藤井真梨子 |
美術デザイン | ピーター・ウルフ |
照明デザイン | 沢田祐二 |
舞台監督 | 長沼仁 |
ミュージカル『アニー』の原作者 | |
脚本 | トーマス・ミーハン |
作曲 | チャールズ・ストラウス |
作詞 | マーティン・チャーニン |
あらすじ1933年、ニューヨーク。 孤児院で暮らす、赤毛の少女アニー。 孤児院には父親や母親を亡くした子供たちが、たくさんいます。 ただ、アニーの両親だけは、まだわかりません。 『すぐに引き取りにまいります』という、 自分が赤ん坊の頃に書かれた両親の手紙・・・・・ その言葉を信じて、アニーは11年間支えにしてきました。 しかし、いつまでたっても両親は迎えに来てくれません。 ついに、アニーは孤児院を出る決心をします・・・・・ 感想ジョエル氏、11年目の演出。 観客席は1階も2階も満席。 これはあくまで私的な感想ですが、 やはり「友近」効果は絶大だと思います。 なにより「笑い」が多い。 何度も見ているリピーターの人であれば、 同じ演出なので、そこまでの笑いは起こりませんが、 今回は観客席からどっと沸き上がる。 一見の人が多かったように感じました。 なんだかんだで、有名人を起用しての集客力が絶大であることを再認識。 もちろん、起用に関してはケースバイケースですけど。 友近、徳永邦治、太田彩乃の3人のナンバーのところは、 友近が低いキーには驚き。 太田彩乃が高いキーとは。 あと気になったところは、 NYCの歌詞が変わったところ。 また、照明を変えている印象はあまり感じなかったので、 もしかしたらLEDに変えていたのかもしれませんね。 あと、今年はロングの髪の毛の子が多いことが印象的かな。 気になった役者アニー役の髙地杏美彼女の演技を見るのは2回目。 ドラゴンファンタジー2009ではちびクマ役でした。 そのため、初めて見る人とは印象度合いが違います。 申し訳ないけれど、どうしても「ドラゴンファンタジー」での印象が強く、 それが私のフィルターを通してから、 アニーとして見てしまう。 髙地杏美を初めて見る人との違いがあるので、 そこはご了承ください。 歌はうまいと思う。 伸ばす歌い方ではない。 噛みしめる歌い方。 すごく綺麗な歌声。 私は好きですね。 表情付けは独特。 優しい部分と怖い部分、両極端。 気に入らない孤児たち、ハニガンには鋭く険しい表情。 好きな人には、優しく穏やかな表情。 ここが物凄く顕著にあらわれます。 ハニガンの気持もわかる。 グレースにはいい顔してるのに、普段の姿を知っているから、 それが鼻につく感じなんでしょう。 先生や上司にはいい顔をして、本当は・・・みたいな感じ。 そんな子が億万長者の娘になるんだから、 ハニガンの気持も、ものすごくわかる。 このアニーはそんな感じですね。 優しい部分、怖い部分があるアニーで独特。 髙地杏美の個性がすごくあふれています。 特に一番印象的なのは、 ペンダントの場面。 メイキングのテレビ放送でもそうでしたが、 他の子は涙を流して、わめいたり、泣きだしたりして、 物凄く感情が高ぶる演技。 対して、髙地杏美は違う。 ものすごく落ち着いている演技。 歌と同様にセリフを噛みしめて、ゆっくりとウォーバックスに語りかける。 ハッキリ言ってうまい。 ひきこまれる演技。 このペンダントの場面だけに関して言えば天才。 それとも、おそらく何度も練習、研究を重ねていたと思いますから、 努力かもしれない。 そうとう練り込んでいる気がします。 私が感じた近年の「アニー」でも、 ペンダントの場面に限って言えば、最高に近いと思う。 あくまで、私の感覚に合ったということですけどね。 ジョエルさんもこれにピン!ときたのでしょう。 他のアニー候補も気に入っていたはずですが、 髙地杏美のこの演技が、アニー役を射止めたのだと私は思います。 ペンダントの場面は本当に秀逸。 ハニガン役の友近芸人としての舞台にも出演しているし、演技もうまいし、 アドリブにも対応できるということで、 演技に関しては心配していませんでしたが、 やっぱりうまかったです。 芸人さんの舞台も過去に何度か見ていますが、 生の舞台で鍛え上げられていますからね。 テレビだけの人とは、また演技の質が違います。 ハニガンの演技的には、ものすごく怖いというわけではありません。 意地悪でありながら、少しコメディ。 角がたたない、自然なハニガン。 髙地杏美アニーとの対決は、前述したように両極端な部分が見られるので、 友近ハニガンの悲哀も感じられる。 友近の気持がわかるな~という感じで。 バランス的にはこの二組の方が面白い。 「絶対許さない」「なめたマネしやがって」のセリフは、 友近的なセリフ。 アニーに対して、自分の不甲斐なさを叱咤する意味合いもあります。 それを友近ハニガンは自然と入れてるのでしょうね。 そして歌。 カラオケレベルとしては、言うまでもなく天下一品。 はたして舞台での発声は大丈夫なのか? そんな心配があったのですが、 私として全く問題無いレベルでした。 全然OKでしょ、これ。 舞台出身の独特の発声方法、ヴォイストレーニングとは違うと思いますが、 これだけ歌えれば十分ですよ。 私は見事だと思う。 ハニガンの「リトルガール」のナンバーの歌詞も少し変わって、 人形を足でつぶしたり、髪の毛を引っ張ったりしていました。 後ろに投げて、 ハンガーに引っかかると面白い・・・という法則は続いているようですね。 徳永邦治のルースター低い声。 足でドアを閉めたり、姉であるハニガンの部屋に入る時もぶっきらぼう。 今までルースター役の人とも違っておもしろい。 グレース役の香寿たつき元宝塚。 プロなので言うことありません。 演技も、歌もすばらしい。 一番思ったのは、宝塚時代、男役かな~と思ったら、 やっぱりそうでした。 立ち振る舞い、声質、男性的な部分がかなり見えました。 最近ですと、岩崎良美さんだったのでイメージ的には変わりますね。 完全に仕事としての秘書。 ウォーバックスに対しても、女性の部分は前半は見せません。 後半のドレス姿からガラッと変わる、みたいな感じですね。 あのギャップはいいかも。 リリーの太田彩乃毎年痩せてるのな~と思ったのてずが、 今回は、またさらに痩せている。 もう「細い」という感じ。 そこまでするかな~?と私は心配してしまうぐらい。 「東京メッツ」時代とは言わなくても、 ほどほどの体調管理でお願いしたい。 細過ぎると、逆にセクシーさが無くなってしまうと思う。 大きなお世話ですけど。 モリー役の近貞月乃表情の変化はすごい。 元気爆発。 やりすぎ感もあるけど、これは個性だからアリ。 ダンスもうまいとかではなくて、激しい。 正直演技なのかよくわからないので、 喋っているだけに思えてしまう部分があるのは仕方ないけれど。 モリーだし、そこまで言えません。 しかし、近貞冬奈の妹とは思えないほど、雰囲気というか性格が違う。 姉妹で性格違う典型的な例。 ストリートチャイルドの西村実莉コテコテの表情付け。 これはちょっと好き嫌い別れますね。面白いけれど。 あんまりやりすぎると、ちょっといろいろ怖い部分もある。 それから、今回ストリートチャイルド二人、 松崎美風とも側転をしたのですが、イマイチ・・・ あんまり、そっち系は得意ではなさそうですね。 私が観た回だけが、イマイチだったのかもしれませんが。 ケイト役の佐藤薫子パンフレットの写真より、舞台の生の方がいい。 写真で伝わらない、彼女の強さが見える。 ケイト役の印象度も強い。 派手さはないけれど、今後面白い存在になりそう。 テシー役の加藤心いつもポニーテールだが、 タップの時はツインテール。 こっちの髪形の方が断然かわいい。 ペパー役の鈴木純麗ルックスの雰囲気と違って、怖い演技で、きましたか。 なかなかやりますね。 ダフィ役の春日希彼女も私はけっこう観劇していますね。 ドラゴンファンタジー2のボーノ役や、 葉っぱのフレディ~いのちの旅~2009の葉っぱ役 実力は言うまでもありません。 小さな頃から演技には定評ありました。 しかし、久々に拝見しましたら、 でっかくなって、美人になっていて驚きました。 セリフ遣い、けっこうかわいい喋り方です。 ジュライ役の矢島夏美NEWSエンターテイメントスクール第4回自主公演 『時間の扉』 で初めて観劇しました。 その時からここまで大きくなったとは。(同一人物ですよね?) 裕蔵くんもビックリですよ。 途中のダンスのターンはすごく綺麗。 アニー役、近貞冬奈かつて私が絶賛してました。 アニー2008ではケイト役。 クリスマスコンサートでも素晴らしかったです。 その彼女がアニー。 期待が高まりますが、反面、どう演じてくるのか不安もありました。 彼女のアニーは王道。 ハズレは無いです。 絶対的な安定した演技力。 この印象。 歌もうまく、けっこう伸ばす歌い方。 ここは髙地杏美の歌い方とは異なります。 太く重い歌声ではなく、やや軽く感じる。 ただ、声質が独特。 甘ったるい声なんですよね。 ちょっと比較対象が飛躍しますが、 クッキングアイドル、まいんちゃんのような甘ったるい感じ。 ここは好き嫌い別れます。 これからさらに成長して、声変わりをしてくると、 歌い方も変わってくるかもしれません。 演技的に王道路線ですが、 ウォーバックスとグレイスの関係をいじくる時の、 いじわるな表情は面白かったです。 モリー役の畑すみれ喋りがゆっくり、間がゆっくり。 面白い。 独特な雰囲気のモリー。 今後、モリー役以外では、どう演じるのか観てみたいところ。 ケイト役の佐藤寧々表情がコロコロ変わって面白い。 歌は無難かな? それよりもダンスの方が印象的でした。 テシーの土井ひなた歌はまずまずだけど、ダンスの方がいいかな。 ペパー役小栗万優子端正なルックスでかわいらしいし、 よく目立つ。 田村花恋にも似てる雰囲気。 歌唱力もいい感じ。 ただ、彼女は調子が良い時と悪い時の差が激しい。 悪く言うとムラがある。 ダンスは特に顕著。 足の上げ方がおざなりになっていて、 「手を抜いているのか?」と思いきや、 指の動きは滑らかで綺麗だったり。 安定感があると、もっともっとペパー役も目立つと思う。 ジュライ役の片瀬萌南は声質がよくて聞き取りやすい。 総括「友近」の集客力には驚きました。 やはり観客が入らないことには、話しになりませんから。 今年のアニーのふたりも本当によくやっています。 毎年同じクオリティを続けなければいけないのは大変だもの。 同じ王道のアニーが好きな人もいれば、 毎回同じじゃつまらない、変わったアニーを見たいという人もいる。 その偏った要求に答えなければいけない。 今回その意味において、ふたりの個性が違うのは凄く良かったと思います。 2011年のクリスマスコンサートは観劇するかどうか未定です。 ※敬称略 |