ファミリーミュージカル 魔法使いサリー2008

◆公演時期   2008年5月3日(土)〜5月11日(日)
◆会場 銀座 博品館劇場
◆演出 桝川譲治
◆脚本・作詞 長田育恵
◆作曲 まついえつこ
◆振付 羽永共子・かとうゆみこ
◆衣装デザイン・スタイリスト 天野敬子
◆ゼネラル プロデューサー 古谷勉
◆プロデューサー 円谷繁 谷口誠治

あらすじ

魔法の国を飛び出し、人間界にやってきたサリー。
人間の友達を作るため、学校に転校生として入学します。
友達を作っていく中で、ひとりの女の子、チェリーと出会います。
学校を最近毎日休んでいて、なんだか悩みがある様子。
気になったサリーは、彼女の悩みを解決しようと考えるのですが・・・

観劇感想

ツッコミどころ満載すぎます・・・・
どこから言えばいいのかも困るほど。
ちなみにCチームを1回 Kチームを2回、観劇しました。

一番最初に思うのは、
この公演は何もかもが初めてではないか?ということ。
もちろん、ジョーズカンパニーがついていますが、
あくまで補佐的な感じなのかな?
制作側に手さぐり感がありすぎますから。

まず音声。
全然聞こえないんですけど・・・・・
相原愛の歌声もセリフも小さく感じてしまいます。
いつもはこんなことありません。
おそらく、マイクを使ってるのは主要メンバーでもごくわずかですよね?
上を見上げるとガンマイクが三つくらいぶら下がってました。
なんとかここからも音声を録ろうとしたのでしょうか?

ココスマやフレンズの場合は全員でないにしろ、
大多数がピンマイクをつけてるんですよね。
だから声がよく聞こえる。
今回はコスト削減のためなのかわかりませんが、
ピンマイクがないのは物凄く痛い。
マイク無しで一番声が通るのが魔術団団長の安藤一人というのは、
いろいろ考えさせられます。

ところが、私が2回目に観劇した際には、
改善・・・と言っていいのかわかりませんが、
天井からぶら下がったガンマイクは無くなり、
主要キャストにピンマイクがつけられていました。
これなら聞き取りやすいです。
っていうか、なぜ今?って感じ。
そんなこと最初に、しかもゲネとかでわからなかったのかな?
聞きやすくはなったものの、最初の方の公演しか観なかった人は、
ちょっとつらいですよね・・・・・
次回公演では最初からつけてほしいです。

そして話しの内容、起伏がイマイチ・・・
おそらく、これは原作のマンガと同じ内容ですよね?
そのイメージを壊さないようにする・・・
長田育恵氏はココスマ関係等の脚本をしているので、
その大変さが伺いとれます・・・
子供同士のライバル関係ネタもできませんし、
対大人でサリーとカブがメインですからね・・・

曲調はやっぱりココっぽいです。
ひとりが歌って、その後を追いかけるようにもうひとりが重ね合わせる。
こういうところは好きですね〜

場面転換、今回は幕を閉じるのが多い気がしました。
幕の後ろでセットを変え、その時間を補うために歌を歌う。
やっても別にいいんですけど、
やりすぎると舞台への集中力が途切れるんですよ。
暗転だけだと、やっぱり難しいのかな?
博品館ぐらいの劇場では、
黒子が普通に出てきてセットを組み立てたりすることも多いのですが。
もちろん、簡単な舞台セットの場合。

カブが透明な魔法を使って見えないところ。
ここは改善してほしい。
カブが回りの子供たちに見えてないことはわかるのですが、
舞台上ではカブがただ机を動かしているだけ。
回りの子供たちが何に驚いているのかわかりづらいです。
最初は何かの仕掛けで机や本が勝手に動く方法をとり、
その後でじつはカブだった・・・という演出にした方がいいと思う。

後半は意外とプリマベーラが目立ってきます。
アイドル的ルックスな美人ぞろい。
スタイルも抜群。
一瞬、ファミリーミュージカルであることを忘れるほど(汗)

魔術師ジョーの苦悩する部分は長い気がします。
そんなにひっぱるかな〜という感じ。

気になった役者は・・・

夢野サリー役の田村花恋
私は初見ですが・・・うん、意外といい!!
表情付けがサリーって感じですし、上目遣いもなかなか可愛い。
セリフも普通に聞き取りやすいし、歌もまずまず。
前述しましたが、音響の問題があるので、
ちょっとなんとも言えないんですけどね。
私は好きですよ、このサリー

同じくサリー役の増山加弥乃
元AKB48・・・という通称が毎回使われるのはつらいところ。
私としては、2003年のアニーのストリートチャイルド役以来。
すっっっっっごく楽しみにしていました。

さてサリー。
うん。ルックスはかわいいですね。
雰囲気もサリーという感じでかなりいいです。
ただ、もう少し滑舌はほしいかな?
悪くはないのですが、もっともっとほしい。
それから歌唱力もほしい。
アイドルの歌声としてならそれでいいのかもしれませんが、
舞台役者の声量としてはまだまだ発展途上。
そしてもうひとつ。
一番気になったのが、歌いながら顔をカクッと振るところ。
よくアイドルが歌う時に、表情を変化させる為、わざと軽く振るんですよね。
アイドル時代の癖が確実に残っています。
今後、どういう進路をたどるかはわかりませんが、
舞台系に進むのであれば間違いなくここは直されるでしょう。
ライブ活動をやりつつ舞台もやる子は、けっこうやる癖ですから。
過去にも何人か見たことがあります。

ただ、チェリーと父親のやりとりで涙を流す演技はすごく頑張ってる。
そこまで感情移入させた、増山の感情表現は素晴らしい。

2回目
やはり、滑舌、歌唱力等、気になる点は多い。
ただ、ルックスは抜群にかわいいし、
サリーとしての雰囲気もあるし、華もある。
それだけでも見応えあるし、才能のひとつ。
それをプラスして演技もとてもよくやっていました。
舞台女優として他のメンバーと比べれば、まだまだかもしれないけれど、
本人のやる気が感じられたサリーの演技は、私にも強く伝わってきました。
自分の弱点が見えたことで、
さらに成長した増山加弥乃が観てみたいですね。

チェリー役の今泉舞
彼女は言うことないです。
やっばり、ある意味ベテランですし(笑)
歌も演技も、表情のつけかたもうまいですから。
彼女は、はかなげな表情がよく似合う。
2回目
さらに良くなりました。
チェリー役、自分の中でかなり消化しているのでしょうね。
観ていてめちゃくちゃ楽しいです。引き込まれる。
前述した、はかなげな表情はますます良くなるし、
ソロのナンバーもしんみりした歌い方がグッときます。
最高だな、今泉舞。

同じくチェリー役の野本ほたる
・・・・・・・・・・
ごめんなさい、彼女は初見なのですが、けっこう有名ですよね?
なのに・・・ごめんなさい、私には全く合いませんでした。
緊張しているのかわかりませんが、
常になぜかビクビクして演技がイマイチだし、
ソロが多いにもかかわらず、声がひ弱すぎる。
途中で歌う、飯沼、上之薗の方が遥かに目立ちます。
観客として観ている私の方がつらい・・・
「頑張れ〜頑張れ〜」って思ってしまう。
でも、それを思わせちゃダメでしょ?
ハッキリ言って、このソロのナンバーを聞いている時、観客引いてます。
なんなんでしょうね・・・・・よくわかりません。

今泉舞のダブルということですごく期待していただけに残念。
調子が悪かったのかな?
次回に期待します。

完全に私的な発想ですが、このチェリー役、
数年前であったら勝目雪菜や石井香澄あたりが起用されていたでしょう。

カブ役の安藤小夏
小さい体で、演技はよく頑張ってます。
ただ、声がややキンキン声で高く、聞き取りづらいところもありました。
次回はここを改善してほしいかな。

同じくカブ役の石井日菜
特徴的な喋りですが、セリフはまずまず。
年齢から考えると、これでいい方だと思います。
演技もよくやってます。
2回目
やっぱり独特な声質だ(汗)
下手ではないのだけれど、彼女の声に慣れるまで大変かな。
ただ一度慣れると、これがカブの声であると脳内で理解し、
普通に観ることができますね。
演技も頑張ってます。

よし子役の宮治舞
アニメがダミ声だったので、
どんなよし子を演じるのか注目していたのですが、
なるほど〜
こなれた演技 小芝居がうまい子なら違和感ありませんね。
彼女は2005年アニーのケイト役
観劇感想を読むとあんまり覚えてないって書いてある(爆)
でも、パンフレットの写真を見るとルックスはハッキリ覚えています。
演技力はありますね。
雰囲気が最近ブレイクしてきたモエヤンの久保いろはこと、
元東京メッツの久保沙耶香に似てます。
ただ、歌唱力はやや弱い。ここかな課題は。
でも、実力ありますからね。今後の活躍に注目。
すごく面白い存在。

おなじくよし子役の斉藤瑛梨寿
宮治舞のよし子を先に観た時点で、
「こういうスタンスのよし子役であれば斉藤瑛梨寿も安心だな〜」
と思ったらそのとおりでした(汗)
基本、彼女は声質がひじょうに綺麗なんですよ。
ピンマイク無しの時でも、声が劇場内に響きますから。
滑舌もしっかりしつつ、おちゃらけた演技、クセのある演技もうまい。
客席からの笑いもとってましたからね。
当サイト掲載女優ですが、
これはえこひいきすることなくうまいでしょ。
私の場合掲載していても、えこひいきしなさすぎて怒られますが(爆)

三枚目のよし子役は本当に難しい役。
だからこそ、宮治舞、斉藤瑛梨寿が選ばれたんだな〜と、すごく納得。

すみれ役の石川楓子
彼女はグラビア出身から、舞台女優へという流れで頑張ってきた子。
ルックスはもちろん可愛いけれど、演技もひじょうによくやっています。
セリフもしっかりしてますよ。
どちちから言えば落ち着いたすみれ役ですね。
本人自ら抑えた演技だとしたらすごい。真相はわからず。

おなじくすみれ役の平田梢子
雰囲気的には地味な感じですが、
アニメ版もじつは美少女キャラではないですから、
こちらの雰囲気の方がアニメキャラの設定としては似ています。
ただ、意外と石川楓子のすみれよりも積極的。
能動的なすみれなんですよね。
演技はなかなか良いので、
セリフの滑舌、それから歌唱力はもう少しほしい。
2回目
うん!
さらに良くなった!
演技に慣れてきたのかな?
落ち着いた雰囲気が出てきたし、表情の付け方もいい。
舞台公演中でも成長した姿を観ることができて嬉しいな。

他の子役メンバーは基本はアンサンブルなので、
あまり特に言うことはありませんが。簡単に。

Kバージョンの子供のソロは、
鈴木美穂→後藤夢乃→安藤さくら
Cバージョンは、
飯沼ひかる→上之薗花奈→橋本彩花

私的には 後藤夢乃飯沼ひかる上之薗花奈の歌唱力が印象的。
しかし、後藤夢乃は小さい頃のまま雰囲気が全く変わらなくていい。
美少女キャラ、かつ演技もダンスも歌の実力もあるだけに、
ちょっともったいないんですよね、この役は。
次回サリー役でもいいと思う。と、勝手な妄想。

まき役の安藤さくらは表情の付け方はいいのだけれど、
もう少しセリフを頑張ってほしい。
ソロのナンバーがあり、
頑張って歌っているのは十分に伝わってくるのだけれど、
後藤夢乃、飯沼ひかる、上之薗花奈あたりと比べれば段違い。
本人が一番わかっているでしょう。
次回の成長を期待します。

歩美役の垂本萌は、地味な役柄ではあるものの、
表情の付け方は非常に面白い。
コメディチックな演技をやらせてもいいかも。

同じ歩美役の飯嶋あやめは、
けっこう実力ある子で私も注目してるんですけど、
いかんせんこの役ではなんとも言えない。ごめんなさい。
「私にも見せて〜」だけではな〜

ルックス的に言えばまき役の橋本彩花は目立つ。
グラビア、モデル系にいく可能性もありますね。

弥生役の飯沼ひかる2007アニーのテシー役
ルックスはアイドルチックで、あいかわらずかわいいです。
今回セミロングの髪形だったので、古館里奈にそっくりでした(笑)
「だって遅れちゃうよ〜」
というセリフがあったのですが、ここがアニーの舞台と同じ口調。
例の独特な言い回し。
別に悪いというわけではありませんが、
今回は他のメンバーが自然な喋り方だったので、
ちょっと違和感ありました。
あくまで発声の問題ですから、小さい頃はこれでOKでしょう。
大人になっていくうちにその基礎が自然な形になっていくと思います。

エルマ役の春衣は、前から発声が良かったのですが、
今回もじつに聞き取りやすい声。落ち着いた演技もしっかりしている。
ただ、このエルマという役自体の設定がイマイチよくわからない。
そんなに特筆すべきひとりなのかな〜?

ジータ役の前田織里奈の実力は言うまでもないです。
1995年のアニー役。素晴らしい演技にダンス。

ある意味全く変わらないな〜と思ったのが、
レジス役、岡崎桂子のルックスと声質。
特にあの声質は、1995年のアニーのテシー役からほとんど変わらない(爆)
今だに声を聞いただけで岡崎桂子だとわかる。
透き通った声は抜群。

フィニィ3世、泥棒役のまいける
ミュージカルというか、演技メインですが舞台慣れしてますから、
特に違和感はありませんでした。

山部アキラ先生役の星芝克彦
やっぱり先生役は良く似合う(汗)
というか、出番少ないな〜
私的にはもっともっと観たかった。
星芝先生と子供の掛け合いが面白いところですから。

魔術師ジョー役の白川侑二朗
私として森は生きている2004の4月役が印象深いです。
歌唱力もあっていいな〜
演技は元々できるし、うまいんですけど、
やっばり、すごいマジックを見せてほしかったな〜というのが正直なところ。
あれだけでは、どれだけすごいマジシャンなのかわかりませんから。
そのテクニックを身につけるのは大変なことではありますが。

魔術団団長役の安藤一人
彼ひとりだけ、マイク無しでもものすごい声量でした。
テンション、無理やりあげている感じですね(汗)
それも仕方ありませんが・・・
まさにプロ。

パパ役の桝川譲治
登場で、あの姿に仰天・・・
本当にビックリした・・・

ママの相原愛
一番思ったのは、腕の細さ(爆)
増山加弥乃より細い・・・・・

世界大魔術団団員のプリマベーラ
アイドル 手品集団といったところでしょうか?
美人ぞろいだし、スタイルも抜群だし、魅せるところは魅せる。
舞台度胸も満点なのは、ライブでもガンガンやっているからでしょうね。
日によって出演するメンバーが変わるんですね。
違う日に観たら、全員違うメンバーでしたから。
正直、こちらの手品を見ている時の方が楽しい時もある。
舞台全体の流れとしては微妙ですが。

総括
制作サイドとしては「初」という印象。
いろいろな部分をジョーズカンパニーが提供した、という感じを受けました。
手作り感、手さぐり感、暗中模索な部分も見受けられます。

全体的な流れとしては、子供たちだけでまとまるところはいいのだけれど、
魔術師ジョーの長い部分やプリマベーラの手品の部分が、
良い悪いではなく、流れを切る感じでした。
次回公演があるとすれば、部分部分の手直しが必要かもしれません。

ココスマイルやフレンズよりも観劇の対象年齢は低いでしょうね。
本当に小さなお子さま向けの舞台だと思います。

(敬称略)


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