◆  『葉っぱのフレディ 〜いのちの旅〜 2005』

◆公演時期   2005年8月29日〜30日
◆会場 ゆうぽうと簡易保険ホール
◆企画・原案 日野原 重明
◆脚色・作詩・演出・制作 犬石 隆
◆総合プロデュース 黒岩 祐治
◆音楽監督・作詞・作曲・編曲 玉麻 尚一
◆作曲 金子 貢
◆振付 中川 久美/関根 玲子
◆ヘアーメイク付 四方田 公子
◆美術 斎木 信太朗
◆照明 山田 茂
◆衣装 本谷 智子
◆音響 実吉 英一
◆原作 レオ・バスカーリア

あらすじ

いのちというのは、永遠に生きているのだ。
春に生まれた葉っぱのフレディ。
夏には人間に木陰を作り、秋には紅葉してみんなの目を楽しませ、
冬、風にのって母なる大地へ帰っていく。

人間の心の移り変わり、そして、短い葉っぱの一生・・・
いのちはめぐる・・・・・

(パンフレットより、一部抜粋)
観劇感想

2000年の観劇感想は→こちら
2004年の観劇感想は→こちら
今回は、赤組の方だけの観劇です。

毎回、感想には書いていますが、
エンターテイメントのミュージカルとは異なり、
物語性、教育を目的としたミュージカルだと思います。
正直、「葉っぱのフレディ」って、そんなに好きじゃないんですよね。
一回でいい感じ。何度も観るというものではないでしょう。
教育的な意味合いで、押しつけがましい感動的な作品は逆に引いてしまうんですよ。
私の心はドス黒いので(爆)
それでも今まで何回も観ている私って・・・・・ある意味すごい(汗)

さて感想ですが、去年と比べると、ゆっりとした印象が残りました。
ゆったりというのは、セリフです。
ほとんど全員のセリフの口調がゆっくりで、誰でも安心して聞くことができます。
これはおそらく、犬石演出でしょう。

気になったことのひとつに、
パンフレットの中で犬石先生が、
「散りゆく葉っぱに注目」というコメントがあり私も注目していました。
特に最後の一枚となる内藤もゆのちゃんの散る場面。
えっ・・・・・
回転することもなく、普通に坂道(?)を降りて倒れるだけなんですけど・・・
じゅ、重要な感じなんでしょうか?
ごめんなさい。私にはよくわかりませんでした。
それとも、「死」とはあっけないものなんだ・・・という意味があるのかもしれません。

最後の一枚であるフレディが落ちるシーンでの雪の降る場面。
ここの演出は秀逸!!
ただ、雪が降るのではなく、青の照明がじつよく効いてるんですよ。
レーザー光線なのかな?
とても幻想的で美しかったです。
流石、犬石演出!!

気になった役者さんは…

フレディ役の内藤もゆのちゃん。
伝聞で、「もゆのちゃんがすごいらしい!」
と聞いていたので、ワクワクしながらの観劇となりました。
う〜ん、少し期待高すぎた(爆)
事前情報がなければ、もっとクリーンな感じで観られたと思うのですが、
「すごい!」って聞かされると、「うわ!きっとものすごいんだろうな〜!」と、
期待しすぎてしまうんですよね。もちろん、もゆのちゃんのせいじゃない(汗)

前回の高橋愛子ちゃんが完璧すぎるほど完璧だったので、
フレディ役はたいへんだったことと思います。
で、もゆのちゃんですが、とりあえず普通〜な感じ。
演技は良くできています。
声が少しかすれてましたが、
あれが地なのか、のどの使いすぎなのかはわかりません。
歌唱力はまだまだです。

セリフはキッチリしていましたが、かなりか弱い声質なんですね。
ただでさえ、体の線が細く倒れそうなのに、さらに倒れそうな声質にビックリ。

表情付けはまずまずかな?
ただ、ちょっぴり気になったのは、
彼女って、笑っている時も、泣いている時も、似たような表情なんですよ。
というか、どちらかと言うと常に泣いているような表情。
独特な感じです。
これが幸いしてか、悲しい表情、そして、泣いている演技はひじょうにうまいです。
ここが一番印象的です。

ルーク先生役の越智則英さん。
特に言うことないですね。プロですから。

マーク役の菊地創さん。
前回同様、自然な演技でいいですね。彼は問題ないでしょ。

メアリー役の小山菜穂ちゃん。
少し痩せましたね。
それはさておき、前回と比べるとメアリーが派手ではなくなりました(笑)
普通な感じ。前回はもう少し積極性あるメアリーだった印象があります。
今回の方がおとなしい感じ。
彼女もベテランなので、特に言うことはありません。
ただ、セリフ的に少し高音が目立つようになったかな?

クリス役の保泉沙耶ちゃん。
ちょっと待って・・・・・
あまりにもレベルが違いすぎますよ。別格です。
いろいろな事情があってこの舞台に出演したことと思いますが、
「レミゼ」等、帝劇コースに進むべきです。
というか、彼女の実力であれば十分に狙えます。

まず、根本的に立ち振る舞いが違います。
まぶしいくらいのオーラを持ち合わせています。
演技がじつに自然だし、歌もセリフ口調も、半端なくすばらしい!
彼女について論評することさえ失礼(爆)

それから、彼女は「間」をうまく使っています。
ここが印象深いです。
揺れる乙女の気持ち(?)というわけではありませんが、
彼女独特の「間」を舞台で表現できる資質は流石の一言。

クレア役の田中みいやちゃん。
彼女の演技を観るのは、「フレンズ」のりんこ役、
2004年アニーのペパー役の続いて3回目です。

しかし、ずいぶん背が伸びましたね。これがまず印象的。
そしてもうひとつ、気の強い演技じゃなくても大丈夫なんだ(爆)
クレアは清楚で優しく穏やかな役なので、
「みいやちゃんはどうだろう?」とかなり心配したのですが、
全く杞憂に終わりました。おとなしい演技もなかなかやりますね!
過去の役が気の強い役ばかりで、そのイメージが強かったものですから。
今回の穏やかな演技には、正直驚きました。
フレディを優しく見つめる演技もじつに良かったです。
こういう時は、瞳が大きいと有利ですよね。
優しく微笑む表情もいいし、セリフもゆっくり口調でハッキリしています。
(犬石演出だとは思いますが・・・)

彼女の弱点は歌。
今回はソロがありました。
う〜ん、まずまず頑張っていると思います。
昔に比べたら、成長しています。
これからももっと頑張ってほしいですね。
女性らしい、みいやちゃんを観ることができて満足でした。

ダニエル役の藤田宏樹くん。
今回一番の驚きは保泉沙耶ちゃんですが、
二番めは間違いなく彼でしょう。

背筋がピシッ!と立っていて見栄えがいいです。
さらには声質。
とてもしっかりしていて、聞き取りやすいです。
そして、声量ある歌声。
ちょっとすごいんですけど。ビックリ〜!
男子で、ここまでできるのは本当に久々ですよ。
山崎育三郎くんクラスかもですね。
出番がもう少し多かったら、
主役であるもゆのちゃんがかすんでしまうかもしれません。
それくらいの出来ばえ。
今後の彼の動向に注目でしょう!

ウェンディ役の斎藤美代さん。
彼女はやっぱり歌声がいいですね〜!

ベン役の平林靖子さん。
彼女はSET出身、さらにはアルゴでも活躍していました。
言うことないでしょ。
男役は抜群にうまいです!気の強さを表に出す演技は本当にすばらしい!
もう、ベテランと言っていいくらい(汗)
声がしっかり出ているし、カツゼツもじつにいいです!

そして特に秀逸なのが、カミキリムシに手を(?)奪われた時の絶叫。
すばらしいです!100点満点あげてもいいでしょ。
観客の胸にも響く大絶叫でした!

アン役の田上純さん。
2003年「アニー」のタップキッズ、そして、前回の「フレディ」にも出演しています。
彼女は表情付けがいいですね。
少しお茶目な感じもグッドです!
犬石さん、好きでしょうね、こういう役者さん。
それが垣間見えます。

メフィスト役の小野田龍之介くん。
私的にはなかなか良かったと思います。
クモの独特な振付も良かったですし、歌唱力もかなりありますよ。

葉っぱ、カミキリムシ役の渡辺里佳ちゃん。
2002年の「若草物語」では、エイミー役が秀逸でした。
今回でも葉っぱ役ながら目立ちます。
瞳が大きいのが幸いしているでしょうか?
表情付けは遠くからでもわかるほどです。
私的にはもっと良い役を与えてほしかった・・・・・
言うまでもなく実力のある子なので、次回の舞台に期待です。

葉っぱ役の本田有希ちゃん。
彼女は2004年アルゴにも出演しています。
表情付けがいいし、ダンスにも見応えあります。
彼女も実力者なので、良い役が観たかったかな〜?

総括

犬石演出が冴え渡る、感動的な作品です。
出ている役者のレベルが高く、家族で安心して観られることができる、
心を洗うようなミュージカルです。
楽しむというよりは、「心のケア」という感じでしょうか。

しかし・・・
過去3回の観劇で、すべて日野原先生をお見かけすることになる偶然もすごい。


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