公演時期 | 2008年8月25日~28日 |
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会場 | 五反田ゆうぽうと簡易保険ホール |
原作 | レオ・バスカーリア |
企画・原案 | 日野原 重明 |
脚本・演出・制作 | 犬石 隆 |
翻訳 | みらいなな |
総合プロデュース | 黒岩祐治 |
地球環境メッセージソング「緑の詩」作詩・作曲 | 河村隆一 |
音楽監修・作曲・作詞・編曲 | 玉麻尚一 |
作曲 | 金子貢 |
歌唱指導 | 岡崎亮子 |
振付 | 中川久美・関根玲子 |
あらすじいのちというのは、永遠に生きているのだ。 春に生まれた葉っぱのフレディ。 夏には人間に木陰を作り、秋には紅葉してみんなの目を楽しませ、 冬、風にのって母なる大地へ帰っていく。 人間の心の移り変わり、そして、短い葉っぱの一生・・・ いのちはめぐる・・・・・ (パンフレットより、一部抜粋) 感想あいかわらず、子役のレベルが本当に高い舞台。 私が観た最初の頃の葉っぱのフレディは1幕でしたが、 ここ最近は2幕になっていました。 そして今回、再び1幕になり、休憩無しの約1時間40分ぐらい。 大人キャストがひとり減ったため、かなりいろいろな部分を削り、 コンパクトにまとまった感じです。 舞台の展開も早くなりました。 というか、今までの2幕制の方が、あえて休憩をいれるためなのか、 私としては無理やり伸ばしている感があり、 今回の方がとても観やすかったです。 オーケストラもあって、音楽は凄く響きますね。 最後の葉っぱの一枚の時のヴァイオリンも、とても印象的。 大人同士の会話が無くなったせいか、 教育的な説教くささはかなり排除されました。 エンターテイメントの意味合いの方が強くなり、 観客の子供たちは飽きることなく舞台に集中できたことと思います。 ま~、あったらあったで「教育的で説教くさい」と言われ、 無ければ無いで、「エンターテイメント化」しているとか言われるので、 バランスが非常に難しいです。 大きく気になったのは、 元々のコンセンプト「命の大切さ」から、 今回は環境、エコロジーがメインになりましたよね? ペットボトルのリサイクルの話や、 葉っぱが汚れた空気を吸って、綺麗な空気を排出するという説明とか、 ここはまぁ~時代への歩みよりなのかなと(汗) 洞爺湖サミット等もあり、今回はそういう路線なのかもしれません。 最初のシーンは地球の投影。 地球規模ですか。なかなか壮大な物語になりました・・・ メアリーは、現代的なヤンキー系で派手な子供になりました(笑) 母親が病気なのに、あまり気にしないほど冷めている感じ。 まっ、そういう子が、いろいろ勉強をして変わっていく・・・ ということを印象づけているのでしょうね。 カミキリムシと風のウェンディたちとの対決シーンもすごく魅力的。 ダンスも見応えあるし、この時の青い照明も綺麗。 そういえば、ベンがカミキリムシと対峙するところ。 前は、服がちぎられた感じもあったのですが、 今回はやめたのかな? ちょっと残念。 あった方が傷ついた印象があって良かったのですが。 フレディ、クレア、メアリー。 3人のソロの場面は春夏両組ともすばらしかったです。 ここはフレディの中でも聞かせる場面ですから。 ラストの河村隆一の曲は本当に素晴らしい曲ですが、 はたしてこれが「葉っぱのフレディ」に本当に必要かどうか、 ま~賛否両論でしょうね。 私は微妙なんですけど(爆) この時にキャストが感情移入をして歌う姿、 私はあまり好きではないんですよね。 ごめんなさい、ちょっと引く感じになってしまう。 自然な歌い方がいいような気もするのですが・・・ ちなみに、たしかこの曲を歌う場面では、 持田紗希 山本実奈 生駒春奈 大胡愛恵がメインだったと思います。 (組によって違ったかもしれませんが) どういう人選かは良くわかりませんが、やっぱり歌唱力かな? 気になった役者宝田明を筆頭に、葉っぱのフレディ出演者は、本当にみんなレベルが高く、 特に言うことないんですが、気になった方だけ少し。 フレディ役の佐藤瑠花セリフ口調はゆっくり。 テンポもゆっくりで、ひとつひとつ噛みしめる言い方のセリフづかい。 演技もしっかりしているし、歌唱力もあります。 無難にこなした感じ。 派手さはないけれど、堅実的な感じでしょうか? 努力的なイメージがありますね。 同じくフレディ役の春原早希2007年、ミュージカルアニーのケイト役。 声質はややかすれぎみなのですが、 セリフのカツゼツ自体には何の問題もありませんでした。 演技も、とてもすばらしい。 特に後半の死んでしまうかもしれないとわかった時の、悲しい表情がいい。 う~ん、まいった。非の打ちどころがない。 歌唱力もあり、ソロの曲も秀逸。 さらにはダンスも得意なので、見どころばっかり(笑) 細かいところですが、私的にダンスの時の膝の動きが良かったです。 本番に強いタイプでしょうか?ガンガン勢いでいく感じ。 佐藤瑠花がじっくり堅実であるのに対し、 春原早希は、勢いで乗り切ってしまう感じです。 それが今回はバッチリ合いましたね。 私が見た回の公演では、文句無しに素晴らしかったです。 クレア役の加藤茜2006年、ミュージカルアニーのアニー役 2007年、葉っぱのフレディ~いのちの旅~では、メアリー役 演技やダンスや歌唱力やら、 全てにおいてレベルが高いので言うことありません。 彼女を目指してる子もいるぐらい、目標とされる女の子。 ただ、彼女の演技、少しクセがあるんですよね。 私は正直少し気にかかる。 もうちょい自然な流れの方が私は好きなのですが。 しっかし、体の線が細くなった・・・ 同じくクレア役の栗原沙也加2007年、ミュージカルアニーのアニー役 うん、久々に彼女の演技を観ましたが、すごく成長していますね。 セリフづかいもしっかりしているし、何か落ち着いている演技。 元々クレア役は、意外と地味なんですよね。 フレディを暖かく包み込む感じですから。 特筆すべきは歌唱力。 かなりうまくなりました。 前半ちょっと声量足りないな~と思ったのですが、 後半部分で持ち直しました。 アニー役の時よりも、役者として成長した姿を観ることできて大満足。 ダニエル役の矢野七海2006年、葉っぱのフレディ~いのちの旅~では、主役のフレディ役。 正直、宮下龍之介のインパクトが強かったので、 印象的にはやや薄くなってしまいましたが、 少年の雰囲気を良く出していたと思います。 どちらかと言うと優しい雰囲気かな? まっ、普通にうまいんですけどね、彼女は。 同じくダニエル役の宮下龍之介うわ!すご! 男子でここまでやるとは驚き! かなりいいですね。 演技バッチリだし、カツゼツいいし、何より歌唱力が絶品。 本当に素晴らしい。 ダニエルの落ち着いた知的なイメージもじつにいい。 今、小学6年生ですか。 これから変声期をどう乗り越えるかですね。 私的には凄く気に入ったダニエル。 メアリー役の伊藤有沙2007年、ミュージカルアニーのアニー役。 演技自体はうまいし、カツゼツもいいし、歌唱力も満点! ただ、正直、彼女は元々真面目系な女の子だと思う。 もちろん、女優であるかぎりは、 いろいろな役ができなければいけないのですが、 彼女に関しては、この派手な、けばけばしい役は合わなかった気がします。 同じくメアリー役の小山侑紀2007年、葉っぱのフレディ~いのちの旅~では主役のフレディ役。 今回は、ややすれた派手系の子供の役。 かわいらしいルックスに、セリフもしっかりしているし、演技力もあります。 観ていて違和感が無いのは地なんじゃないのかな~? なんて思ってしまうほど(汗) こういう派手系な役は得意かもしれません。 ただ、少しだけ気になるのは声質が高くうわずるところ。 言葉の重さが足りない気がします。 軽くて淡白な感じ。 演技が、サラサラ~と流れていく。 表情の付け方はいいし、歌唱力もあるので、 次回はここを改善してくれると嬉しいかな。 アン役の生駒春奈2004年アニーではテシー役。 2006年アニーではジュライ役。 彼女はベテランの雰囲気かな~? 普通にうまいと思う。 小芝居ができて、ひじょうに安定しています。 観ていて、何も心配することのない演技だな~と思える感じ。 ベン役、持田紗希とのコンビネーションは秀逸。 同じくアン役の佐藤まりあドラゴンファンタジー2では、炎の戦士 ジッポー役。 2006年、葉っぱのフレディ~いのちの旅~では葉っぱ役。 毎回のことですが、アンは帽子の枠がオレンジで、 意外とクレアより目立つんですよね。そこだけで(笑) さらに佐藤まりあは瞳がクリッとしているので意外と引き立ちます。 生駒春奈のように、こなれた流れるような演技ではありませんが、 落ち着いた、どっしりとした演技。 アン役は、じつのところそんなにダンスシーンはありません。 ということで、彼女の場合は、 葉っぱや、後半の風のウェンディととも登場する風の役。 こちらの方が彼女のダンスの実力をかいま見ることができます。 柔らかで、足も良く上がる。 アン役もいいですが、ダンスシーンが多いこちらも印象深い。 ベン役の持田紗希彼女は大学生ということもあり、文句無しにうまいです。 少年というか、男性というか、雰囲気がバッチリでした。 低音もいいし、歌唱力もあるしで、見応えのあるベン。 過去、最強とも言える平林靖子にもかなり近づいている感じ。 生駒春奈との漫才のような掛け合いもじつに楽しい。 二人のコンビネーションという点においては、 持田、生駒コンビの方が山本、佐藤コンビよりも上ですね。 同じくベン役の山本実奈何だか知りませんが、 山本実奈は、昔からいろんな舞台でずっと観てます(爆) 2000年GANgからですから、つくづく長い。どんだけ観てるのかと・・・ 今回は男の子役ですが、 なんとなくショートカットのイメージは強いものの、 女性らしい雰囲気があるんですよね、彼女の場合は。 もっと低音ヴォイスをいかしてほしいし、 男の力強さを表現してほしかった。 よくよく考えると、2007年のベン役、伊宮理恵はシングルでしたが、 彼女はもっと評価されてもいいな~と、今回の舞台で感じました。 マーク、メフィスト役の堀江慎也GANg(2003年8月)でも、意外と印象に残ってるんですよね。 マーク役の演技も、じつに活発でいい。 ヒップホップ系のダンスも抜群。 ダンス得意でしょ?他の人と切れが全然違いましたから。 歌唱力も抜群。 マーク役では、抑えているわけではないと思いますが、 メフィスト役の方が、歌唱力全開ですごかったです。 クリス、カミキリムシ役の宇田千夏過去に、演技力の小山菜穂、北川理恵、 美少女アイドル的な梅澤菜奈子、 歌唱力の保泉沙耶、 等、何かしらに特徴あるクリス役を演じ、 名前を聞いただけでもビビル実力者たちだらけ。 その歴戦のメンバーに続くのが宇田千夏。 舞台では、いろいろ大抜擢の配役があり驚かされますが、 この「葉っぱのフレディ」の舞台での大抜擢は、明らかに宇田千夏でしょう。 プレッシャーは想像に難くありません。 今までのクリス役が、おそらく最低でも高校生ですよね? 今回の宇田千夏は背が高いとはいえ、やはりまだ中学2年生。 恋する女性を演じるには、まだまだ経験が足りないのは仕方ありません。 比較すること自体厳しいことは重々承知ですが、やはり少し。 演技はまずまずとしても、セリフのカツゼツはまだまだ。 歌う場面も、たしかに高音パートで大変とは思いますが、 もう少し頑張ってほしいところ。 ダブルキャストではなく、シングルなので物凄く大変ではあるけれど、 やるからには安定した歌唱力を身につけてほしい。 今回、「葉っぱのフレディ」は春組、夏組、両方とも観劇しましたが、 最初の回の公演では、歌う場面が厳しいところがありました。 2回目の公演の方が安定した歌い方。 バランスが難しいんですけどね。彼女してみれば良い経験でしょう。 それに、彼女は体の線が細く、手足が長い。 そのため、ダンスができても、切れはど~してもスローに感じてしまいます。 小さい子の方が機敏に見えるのはそのため。 だからといって、そのままにすることなく、 もう少しスピーディーなダンスに期待したいです。 クラシック・ダンス系であれば問題無いのですが、 ヒップホップ系だと、テンポの遅れは目立ちますから。 手足の長さを活かしたダンスを有功に使えば、 さらに見映えが良くなります。 これはこれからの成長に期待。 カミキリムシのモア、葉っぱ役の江見ひかる彼女はダンス。 かなり目立ちました。 モア役では、おそらく一番前のセンターですよね? 口から舌を出して、食べるような仕草もしていました。 スピーディーで切れのあるダンスは見応えあります。 このモアは物凄かった。 葉っぱ役でのダンスも本当に素晴らしい。 背の高さもあり、舞台映えするんですよね。 現在中学3年生ですか。 これはまだまだ伸びていくことでしょう。 期待大の役者。 ペティの工藤万実 古館里奈、パティの中原櫻乃 木村紅葉全員鳥で、しかも化粧が濃い役なのでなんとも言えないのですが、 私的には古館里奈の表情付けが印象深い。 木村紅葉は、パンフレットの写真はイマイチですが、 舞台上の方がかわいいな~とは思いました。 工藤万実は、すごく実力がある役者だけに、 この配役は正直もったいない。 中原櫻乃は、ごめんなさい、正直あんまり印象がない・・・ とはいえ、ペティ、パティからフレディ役になる可能性もあるので、 重要なんですけど。 カミキリムシ/葉っぱ役の武田めぐみ冬になって、葉っぱが落ちていくシーン。 たまたま私の席が彼女の葉っぱが落ちた近くだったのですが、 最後の最後まで演技とダンス、というか手の動きを細かくしているんですね。 初めて知りました。 だいたいセンターばっかり観てしまいますから。 こういう細かいところの演技が、 「葉っぱのフレディ」を支えているんだな~とつくづく考えさせられます。 風のウェンディ役の大胡愛恵今回、このウェンディはかなり見応えありました。 なにはともあれ、素晴らしい歌唱力。 ソロのナンバーも秀逸。 さらにはダンス。 お見事というしかない。 細かいところですが、かなりジャンプ力もあるんですよね。 そういった部分も含めて、 彼女の実力を思う存分に発揮できた役、そして、舞台であったと思います。 私は大満足。 総括話しずれますが、今回一番残念なことをひとつ。 舞台が始まる前に司会者が、 「崖の上のポニョ」の声優をやっている子がいることを、 話してしまったんですよね。 最悪。 お台場の時のフレディのイベントでも、 その話はやめてほしいな~と思っていたのですが、話は出ませんでした。 これで安心していたのに、まさか本番の幕が開く前に話すなんて・・・ 「葉っぱのフレディ」の観客動員として、 それを全面に押し出す広告展開をしているのであれば、 話しはわかるのですが、今回はそういう展開をしていませんから。 舞台では絶対に言ってはいけないこと。 「葉っぱのフレディ」とは全く関係なく、 観客の思考が変わってしまいます。 というか、大人として、そういう配慮が足りない人とも思えません。 誰かに少しふれるようにに言われたのかな~? なんて、逆に深読みしてしまいました。 そういう戯れ言はともかく、舞台内容としては、 フレディのコンセプトがややエコに転じてしまいましたが、 流れるような舞台進行で、子供たちも飽きることなく、 レベルの高い舞台を提供していただき、大満足でした。 素直に感動、そして楽しめました。 ※敬称略 |