ミュージカル 葉っぱのフレディ〜いのちの旅〜 2010

春組 満足度
夏組 満足度
◆公演時期   2010年7月30日〜8月1日
◆会場 北千住 THEATRE1010
◆原作 レオ・バスカーリア
◆企画・原案 日野原 重明
◆脚本・作詞・演出・制作 犬石 隆
◆翻訳 みらい なな
◆総合プロデュース 黒岩 祐治
◆地球環境メッセージソング「緑の詩」
作詩・作曲
河村 隆一
◆音楽監修・作曲・作詞・編曲 玉麻 尚一
◆作曲 金子 貢
◆振付 中川久美・関根玲子

あらすじ
いのちというのは、永遠に生きているのだ。
春に生まれた葉っぱのフレディ。
夏には人間に木陰を作り、秋には紅葉してみんなの目を楽しませ、
冬、風にのって母なる大地へ帰っていく。

人間の心の移り変わり、そして、短い葉っぱの一生・・・
いのちはめぐる・・・・・
(過去のパンフレットより、一部抜粋)
観劇感想

毎回、毎回、毎回、子役のレベルが本当に高い舞台。
「葉っぱのフレディ」のメンバーで下手な子なんていません。
子役のレベルが物凄く高い。
尋常でないほど高い。
今回はニューヨーク公演も控えていることから、ベテラン、実力者を配役した部分もある。
本来だと、未完成な新人、大器晩成型の子役を大抜擢!
という意外な配役があったかもしれませんが、今回は自重したように思えます。
新人を起用したら起用したで「なんでこの子を?」なんてつっこまれますから、
いろいろ大変なんですよね。

テレビで放映する機会が多いことから、
「ミュージカル・アニー」がジュニアの最高峰というイメージがついてしまいますが、
今回観て、「葉っぱのフレディ」は互角以上だと改めて再認識。
大手のスポンサーがついて、テレビでいろいろな特集を組めば、
一気にアニーと同じネームバリューになる。
差は全くないもの。
そもそも、1時間40分とすごく観やすい時間なので、子供が飽きないところもいい。
今回はNHKが取り上げたのも驚き。
日野原先生がらみではありますが。

物語の流れはいつもと変わりません。
春、夏、秋、冬の四季。
そこに葉っぱ、ルークとメアリー、マークとクリスがからむ展開。

今回はニューヨーク公演もあるということで、
そちらを意識した演出。
特に物語の終わり。
フィナーレへ・・・と思いきや、
北川理恵が登場。
一瞬、北川理恵のソロコンサートが始まるかと思いました。
犬石先生ならやりかねないし。
でも違って、ちょっとガッカリ。
全員が出てきてのコンサート仕様という感じです。
明るく、エンターテイメント性を強くだしたいという意味合いでしょう。
おそらく、日本であれば物語だけで幕。
コンサート仕様があっても少しでしょうね。
アメリカの場合ですと、直接的な「死」のイメージは嫌がりますから。
それを払拭させる、忘れさせるための演出だと思います。
大胡愛恵なんて、ウェンディの頭の部分取りますからね。
取った方が顔が見えて、可愛いんですけど。
そこは嬉しい反面、ウェンディ仕様では無くなりますから。
ここでの照明は派手。
照明機器、今は手入力なのか、
コンピューター事前入力で自動なのかはわかりませんが。
かなり力いれてます。

第1にニューヨーク仕様になったということが大きな変更点。
他にも、後述しますが、
広川美桜の新鮮味あふれるフレディ、
高橋美衣の美しいクレア、
加藤梨里香のダンスだけでなく、歌唱力をパワーアップしてきたクレア、
北川理恵の3年前とは天地ほど比べものにならない圧倒的なクリス。
他にも言いたいことが山ほどあるのですが、
まず最初に取り上げたいのは、工藤万実

「葉っぱのフレディ」では、過去にペティ役等を演じていましたが、
私は全く覚えておらず、
最初に印象に残ったのは「TRUE PRESENT」
元々おいしい役ではありましたが、ここでかなり強く印象に残りました。
さらに、初演の「プリンセス・バレンタイン」
サンディ役は抜群でした。
感想に書いているとおり、北川理恵の次に印象に残るほど。
そんなこともあってか、2009年には「ミュージカル・アニー」のペパー役。
実力ありますからね。正直、合格するのも至極うなずける。
ただ、じつのところ、アニーは大人も多いし、アニーが当然メインなので、
個々の実力、魅力には欠けるところもあります。
そんなこんなで、
本編より、アニーのクリスマスコンサートの方が実力を発揮したりしますから。

そして今回、「葉っぱのフレディ」で夏組のメアリー役。
ものすごく重要な役で、難しい役。
子供ながら、気持の変化を表現しなくてはいけません。

まいった・・・超まいった。
すばらしすきる。
彼女が主役に思えるほど。
北川理恵を食うほどの存在感だもの。
今回が第一段階の花を咲かせたと思う。
そこまで言いきれる。

とにかく、印象度がものすごく強い。
演技も完璧に近い。
最初の部分のヤンキー系演技は、ほぼ完璧。
うますぎる。
ものすごく自然。
これが地なら地でもいいのですが、
後半の気持ちの移り変わりは、地だけではできませんから。
心境が変化したあとの表情、雰囲気。
ここも物凄く良かった。

セリフのなめらかさもさることながら、
歌唱力が凄い。ここまで凄かったか?ってぐらいすごい。
声量あるし、のびもあるし、ソロは聞き応えあります。
ずっと聞いていたいぐらい。
今回イメージ的に、なんとなくメアリーのソロが多い気がしますが、
工藤万実だから、安心して任せられる感じ。

このメアリーは本当にすごい。
たぶんもう無理だけれど、彼女がアニーをやってもいいぐらい。
キャラがかなり違うので、選択候補にすら選ばれにくいですが。
おそらく、犬石演出作品として、北川理恵の後を継ぐのは彼女かな〜と思う。
それだけ素晴らしい逸材。
ただまぁ〜そこまでいくには、
現時点でセクシーさが全く足りないので、相当な時間がかかるとは思います。
かなり先でしょう・・・
ゆっくり、地道に女性としての魅力を身につけていってほしい。

夏組はそのせい・・・というわけではありませんが、
高橋美衣、佐藤まりあが、セクシー要員として配役・・・なんて深読みしすぎかしら?

そういえば、メアリーの母親って2008年から亡くなっていたんですね。
なんか、急に元気になったとか過去にあったので、
けっこうごっちゃになってしまいます。

少し本編について。

オーバーチェアあり。
客席が暗くなるまで時間があります。
これもニューヨーク仕様なのかな?
ゆっくり暗転させる感じは、今までどおりなのかな?
私もうろ覚えなのでわかりません。

最初の場内アナウンスは英語。
フレディのどちらかかな?
そして日野原先生。
99歳ぐらいかな?すごい。
はたして今の子供たちが生き残れるか・・・・
年金は65歳から貰える予定ですが、そこまで長生きしませんとね。
60代からでも前倒しでもらえますが、年金のパーセンテージが下がります。
税金を払い続けて、結局もらわずに60歳前で亡くなるのはつらい・・・
と思ってしまう。
年金をあげる前に・・・なんて、政府の思惑通りにはなりたくない。

最初に地球のモニュメントが出てきますが、日本が中心。
ニューヨーク公演では、この中心がアメリカ本土になるのかな?

クリスの父親と母親って、アル中とヤク中だったんですね。
初めて聞きました・・・
今まで言ってました?
これって前からかな〜?
真面目な話、結婚する彼女の両親がこれだと、
躊躇しますよ男は。
マークの気持ちが痛いほどわかる・・・
世の中、そんなに世間は甘くないですらから。
世間の目は厳しい。
で、結婚間際になって、両親が回復するのは、ご都合主義でしょう。

メアリーは母子家庭のことを悲観的に考えていないのだから、
どうせだったら、時事ネタということで、
「子供手当て少ないのよね」
ぐらい入れてもいいかな〜なんて思ったりもします。

クレア、フレディ、メアリー3人の曲、ここは毎回のことながら抜群。
みんなうまいもの。
春組、夏組、両チームともにすばらしい。

気になった役者は・・・

葉っぱのフレディ出演者はレベルが高く、
特に言うことはないのですが、気になった方を少しだけ。

春組、フレディ役の春原早希2008年に続いて二度目のフレディということで、
小5ながらもうベテランの域。
というか、2008年が小3だった方が驚き。
2007年のミュージカル・アニーではケイト役。
この役も秀逸でした。
彼女はなんとなくアドリブっぽいことも自然にこなします。
演技もさることながら、コメディチックな演技もうまい。
花やしき少女歌劇団から観ていますが、
コロコロ変わる表情は観ていて本当に楽しい。
身長が伸びてないって・・・たしかに。
伸びる子は高校生から一気に伸びますからね。
全然大丈夫。

夏組、フレディ役の広川美桜
彼女は初めて拝見しました。
はかなげな雰囲気がいいですね。
コメディもできる演技達者。
フレディのゴメンゴメンの言い方も面白い。
出だし、かすれ声で心配したが、
舞台が進むにつれて全く違和感なくなりました。
十分に大役を果たしたと思います。

春組、ダニエル役の小倉優佳
カツゼツいいし、演技もバッチリ。
ダニエル役は真面目で説明要員でもあるため、キーポイント。
だからこそ安定した演技を求められますね。
小倉優佳の演技、申し分ない。
ボケ系な雰囲気はダニエル役では見受けられなかったので、
私はとても良かったと思います。
ただ、やや歌がイマイチかな?
これは、あくまでダブルの村野芽唯と比較してしまうだけですから、
通常のレベルであれば、問題ありません。
でも、いずれは改善してくるでしょうね。
次回、弱点を克服してくる子が多いこと、多いこと。

夏組、ダニエル役の村野芽唯もめちゃくちゃうまい。
そこまで真面目系なダニエルではないけれど、
(パンフレットでは真面目系な性格のようですが、演技はそこまでではない)
カツゼツいいし、演技力もある。
さらに歌も絶品。声量もあるし、声も良く伸びる。
私が聞くかぎり、全く問題ないレベル。
演技ができる子は多いけれど、
小さい頃から歌がここまでうまい子はなかなかいません。
まだ小5ですか?
これは・・・今後きますね。
要注目の女の子だと思う。

春組、クレア役の加藤梨里香
彼女も意外とベテランの域。
葉っぱのフレディ2009ではメアリー役。
最近ですと、ミュージカル「プリンセス・バレンタイン」」2010年ルイーザ役。
ものすごく実力のある女の子。
高橋美衣が美人タイプなクレアなのに対し、
加藤梨里香は、かわいい妹タイプかな?
私のイメージ的にダンスの加藤梨里香という感じなのですが、
今回は歌も凄い。
こんなにうまかったかな?
これは相当努力しただろうし、稽古も積んでるでしょう。
すぐにわかる。
声量もすごい。
さらには、ダブルキャストの葉っぱ役でも目立つ。
足あげ、すごいでしょ?超目立つもの。

観劇する人は、どちらか1チームしか観ないことが多いので、
見比べたりするのは稀有なのですが、両方観るとクレアは意外とどちらも同じ感じ。
1チームだけを観るのであれば、全く文句のないレベル。
私みたいな変人だと、どっちか個性がもっとあってもいいと思ってしまう。
職業病に近い。
いわば、鈴木満梨奈宮原理子が演じたような萌系のクレアでもいい。

夏組、クレア役の高橋美衣
ミュージカル・アニー2008ではストリートチャイルド役。
けっこう印象に残っています。
アニー本編のみならず、アニーのクリスマス・コンサート2009でも、
かなり印象に残っていて、美形になっていて驚きました。
「葉っぱのフレディ」ではクレア役。
落ち着いて、ややおっとりしている感じかな?
極端なおっとりではありませんが。
意外と演技は独特な雰囲気。
高橋美衣ワールドありますね。
美人だから、観ていて飽きない。
それはもって生まれた才能だもの。
ただ、彼女は外見だけではない。

声質的に、時に声優っぽいアニメ声の雰囲気にもなります。
歌う場面は、少しビブラートを効かす歌い方。
ここは好き嫌い別れるでしょう。
私は違和感ないし、歌もうまいし、声量もあるしで、文句ないけれど。
彼女はルックスからしてアイドルグループにいても不思議ではないほど。
だからこそ、私が一番思うことは、本物志向。
今は顔が可愛ければ、口パクでもなんでもOKという時代ですが、
いつかは原点回帰に戻って、
かならず、生の歌が必要になる時期がくると思います。
いつになるかはわかりませんが、
必ずそんな時代がくる・・・だからこそ、私も生の舞台の素晴らしさを伝えたい。
そう思うわけです。
口パクでOKという時代から、本物志向へ。
それが求められる時代が必ずくる。
ぜひともそれを牽引したい。

彼女はダブルキャストの葉っぱ役でも物凄く目立つ。
華がありますから。
ものすごく別件ですが、チラシの方の宣材写真がすごいんですけど。
ただ・・・気持はわかる。そうさせたいもの。
それだけ魅力的な女の子。

夏組、アンの佐藤まりあ、ベンの山本実奈はベテランすぎて言うことなし。
ふたりとも普通にうまいもの。
その普通にってのが大変なんですけどね。
できて当たり前と言われることへのプレッシャーはあったことと思います。
別れるシーンの演出には驚きましたが。

春組、アン役の高野愛
ミュージカル「プリンセス・バレンタイン」」2010ではベルマ役でした。
佐藤まりあに比べると、そこまで気が強くないし、感情的ではない。
もうちょい穏やかな感じ。
派手さはないけれど、堅実的なアンかな?

春組、ベンの村田実紗は初めて観ましたがかなりうまい。
ベン役の特徴?というわけではないけれど、
独特の声質が今までベンを演じた子とそっくり。
春組は、最初男が演じるのかと思ったほど。
セリフの言い回しとかうまい。
経験をたくさん積んでいる山本実奈のベンにはかなわないけれど、
現時点でここまでうまいとなると、今後も相当期待できますね。
これからさらにのびしろがつくと、すごいベンになりそう。
今後がすごく楽しみ。

一番最初から、メアリーの工藤万実ばっかり取り上げて申し訳ないが、
ダブルの春組、上之薗花奈のメアリー役も、ものすごくうまい。
ドラゴンファンタジー2006ではライオン役
この時はまだまだでしたが、
ハッピーファミリーで、四女のカナ役を演じてから、
メキメキ頭角をあらわしてきました。
その上之薗花奈がメアリー役とは、時が経つのも早い。
久々に観ましたが、一番思ったことは、とにかくセリフ回しがいい。
流れるような口調で、聞き取りやすい。
ヤンキー系の演技もうまいし、歌もいい。
ダブルの相手が工藤万実でなかったら、
もっともっと評価できるレベル。
あくまで今回は、私の中では工藤万実の演技が強く印象に残ってしまったので、
申し訳ない。

風のウェンディ役の大胡愛恵も言うことなしの安定感。
ベテランですからね。
ウェンディ役もいいけれど、
2009年の「リトルプリンス」アントワーヌ役も、ものすごく素晴らしかったんですよ。
ダンスは当然として、やっぱり歌。
もうプロですよ、彼女の歌唱力は。

毎度のことながら、ペティとパティは、よくわからない。
すみません。
今後の役どころからして、重要な役になることは重々承知なのですが、
他のメンバーも素晴らしいので、さすがにそこまでチェックできません・・・

北川理恵のクリスは3年ぶり。
当時の観劇感想は厳しく書いてありますが、
今回は物凄くレベルアップをとげています。
私の観劇感想はお世辞、おべっか、一切ないので、
過去の観劇感想からどれだけ女優がレベルアップしたのかわかるわけです。
提灯記事満載のベッタリなところは、そうはいきません。
だからこそ私は嫌われるわけですが。
それはさておき。

ミュージカル「プリンセス・バレンタイン」」2010で、
彼女の圧倒的な実力を見せつけられては、
こういうクリスがくることは予想だにできました。
前回の時点で、小芝居的な演技の実力はありましたが、
今回は歌の実力が遥かにパワーアップしています。
何より、このクリスが歌う曲は物凄く難しいんですよね。
かなり高音。
過去にクリス役を演じた子が何人もいますが、
完璧に歌えた人は私の記憶をたどる限り、ほとんどいません。
あえていうのであれば2005年の保泉沙耶ぐらいでしょう。
何度も同じ舞台を観ていると、
ど〜しても過去を美化しがちになりますが、
それを差し引いても、北川理恵のクリス役は素晴らしいと思います。
保泉沙耶に勝るとも劣らない。
歌のパワーアップもさることながら、
女性としての魅力をかなり身につけた。
やはり人生経験でしょうね。
3年は大きいですよ。
男を手玉にとる仕草、幻惑、妖艶なセクシーさ、
前に演じたクリスとは全く違うもの。
ちなみに、最初のメガネで登場はやられました。
けっこう好きです。

マーク役の飯田惣一郎は若作りがけっこう大変みたいなコメントがありましたが、
全くもって問題ありません。
タンクトップから見える筋肉も、ものすごいです。
歌もうまいので、北川理恵とのデュエットも映えること、映えること。
やっぱり男性が歌がうまいと、舞台が引き締まります。

総括
春組、夏組、両組ともすばらしく、
私は大満足。
5星満点もあげたいのだけれど、
やっぱり教育的な意味合いの舞台ですし、
ニューヨーク公演仕様の付け足し部分が楽しいことは楽しいのだけれど、
バランス的には微妙ではあります。
そのへんが4星という感じですね。
ただ、小さな子供でも飽きない。
ここは素直に凄いと思います。

毎年公演を続けるというのは、本当に大変だけれど、
これだけレベルの高い役者、スタッフがたずさわっている舞台だもの、
もっともっといろいろな人に知ってほしいし、観劇してほしい。
今回本当に改めて思いました。

可愛ければ口パクでもOKというこの時代。
私は抵抗があります。
それはそれでひとつの手法ではあるし、仕方の無い部分ではあるけれど、
いつか必ず、人々は本物を求める時代が来る・・・
それを信じつつ、
私は舞台の素晴らしさを観劇感想に綴っていければいいな〜と思います。

(敬称略)


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