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葉っぱのフレディ~いのちの旅~2007年観劇感想

満足度星星星星空星
公演時期 2007年7月24日~7月29日
会場 東京芸術劇場 中ホール
企画・原案 日野原重明
脚本・作詩・演出・制作 犬石隆
総合プロデュース 黒岩祐治
音楽監督・作詞・作曲・編曲 玉麻尚一
作曲 金子貢
歌唱指導 岡崎亮子
振付 中川久美/関根玲子
ヘアーメイク 四方田公子
美術 斎木信太朗
照明 山田茂
衣装 本谷智子
音響 実吉英一
原作 レオ・バスカーリア
みらいなな

あらすじ

いのちというのは、永遠に生きているのだ。 春に生まれた葉っぱのフレディ。 夏には人間に木陰を作り、秋には紅葉してみんなの目を楽しませ、 冬、風にのって母なる大地へ帰っていく。 人間の心の移り変わり、そして、短い葉っぱの一生・・・ いのちはめぐる・・・・・ (パンフレットより、一部抜粋)

感想

今回、赤白、両方の組を観劇しました。 ちょっと深い内容になるので、別件な話しを・・・ 私は「ライオンキング」は明らかに手塚治虫の「ジャングル大帝レオ」のパクリであるので、 そのことに関しては拒否反応が強いです。 ただ、そのことと舞台とは別。

それを前提に、舞台とは関係のない別の部分でのお話。 パンフレットのこと。 今回、出演者に命についてのメッセージ(?)っぽいものがあります。 みなさん、文章の構成能力に長けていますね。 ひとつひとつに物語があり読みごたえがあります。 やはり選ばれた出演者たちなのだな~と素直に思います。 次回、演技やダンス以外にも文章能力が問われる・・・ことはない(汗)

ただ、ちょっと危険な部分があるのは気になります。 あんまり語り過ぎると精神論になってしまうので嫌なのですが、 話しが怖いんですよ・・・・・・ 話の内容は受けとる人によっていろいろ変わりますが、私は危険だな~と思いました。 大人が観るぶんには全く問題ないのですが、 子供主体のミュージカルですからね。 ちょっと違う方向にいってしまうのがすごく気になる。 人の一生、生死、そのことについてはいろいろな解釈があって当然なわけですが、 私は「危険だな」と感じました。 ことさら他人の考えを否定する気は毛頭ありません。 あくまで私の個人的な考えです。 ちなみに一番ストレートなメッセージは上之薗花奈。 彼女の言葉はすごく受け入れられる。このぐらいがベターなんじゃないかな~?

せっかくなので、私の生死に関する影響を受けた精神論的のことを三つ(まだありますが) ひとつは小説「銀河英雄伝説」のキャラクターで、オスカー・フォン・ロイエンタールの言葉。 「人にはふさわしき生と死を、か・・・」 ちょっとカッコイイ。 小説はものすごく文字が小さく読みにくい長編ですが、 人生においてなにかしらの「きっかけ」にはなる。

二番目は漫画「ジョジョの奇妙の冒険」から。 「我々はみんな運命の奴隷なんだ・・・」 ちょっと奥深いです。ちなみに私は全巻読破しています。

三番目 楳図かずおの漫画「14歳」 とにかく、葉っぱや虫のことから宇宙の生死のことに関する話しをしたいのであれば、 まずはこれを読むこと。 「葉っぱのフレディ」出演者全員に読んでほしい(爆) あまりに過激なので、小さいお子さまにはおすすめしません。 とまぁ~独自展開はここまで。

さて、よ~やく観劇感想。 まずひとつ言えるのは、とにかく出演者の方のレベルは全員物凄く高いです。 すごいな~と素直に思えます。 内容的には、それほど2006年と大きく変わりません。 ただ、クリスがボーイッシュであったり、ダンスシーンが増えたりしてました。

制作進行に森本砂丘・・・・・月日がたつのは早いな~ 2002年の「ベストドリーム」では今井健太役、 2003年の「ベストドリーム」では森かおり役、 2004年のフレディではベン役でした。

私が見た回では総合プロデュースの黒岩祐治氏が登場。 「報道2001」のメインキャスターで、参議院選挙の最中、本当にご苦労さまです。 「選挙に行きましょう」の一声ぐらいあっていいかも。 強制ではないですし。黒岩氏が言う方が説得力ありますし。 中立的な立場なので問題あるのかな?

今回も生演奏がありました。ここは本当に嬉しいですね! さらにはヒップホップ、今風で全然OKです! こういう演出の変化はすごくいい。 ありきたりのパターンだと、やっぱり飽きますから。 あいかわらず、木の下で繰り広げられる人間の行動を見守る葉っぱの演技は本当にたいへん。 見守ることそれ自体が演技です。

メアリー、ルーク先生が夢を見る・・・という形で実現する、 葉っぱたちとメアリーのルーク先生の共演。 「ワンダフル・サンシャイン」 ここは好きなシーンのひとつ。 空想の世界で繰り広げられる、暖かいナンバーです。 ほのぼのした雰囲気で心が和みます。 ここは毎回いれてほしいな~すっごく好き。

キスシーンがあったのにはビックリ。 ほんとに簡単なフレンチ・キッスですが。 全くこことは関係ありませんが、私が見た過去の違う舞台でキスシーンがあり、 相手の共演者が全然違うことをやったらしく、 その女優が公演後ブチ切れていたことがありました(爆) それだけキスシーンというのは、お互いの信頼関係が必要なんですよね。 いろいろと難しい・・・

それから最後のシーン。 去年と同じ手法ですが、フレディが地面に倒れた後の雪と照明の使い方は本当にいいです! 幻想的でとても素敵でした。

気になった役者

古館里奈

この子はすごい。 とにかく存在感があります。 表情付けはすごいし、敏捷性のあるダンスもあり、とにかく目立ちます。 小鳥のパティ役も葉っぱも、一番小柄なこともあって恐ろしく目立つ。 ガラスの仮面の姫川亜弓がいたら、 「恐ろしい子」 と、白目をむくはず(爆) それだけの逸材。 アニーに行くのか、このままこのカンパニーでフレディを目指すのかはわかりませんが、 間違いなくこれから注目すべき女の子。 ただ、発声、セリフ口調、歌唱力はまだまだこれから。 これからゆっくり頑張ってほしいですね。 ここを修正してくると、とんでもない役者になる・・・・・かもしれない。

メアリー役の遠藤由麻/加藤茜

去年気になったメアリーの「か~ちゃん」ですが、 今回はぬいぐるみを持っていますね。去年は持ってなかったような気がします(うろ覚え) 甘えん坊という設定をそこで強く主張しているのかもしれません。 ただ、後半ぬいぐるみが無くなりましたが・・・どうせならずっと持っていて欲しかった。 (時の経過よって精神が成長したということなのかな?) ちなみに今年のパンフレットに去年の公演の写真があるのですが、メアリーいないんですけど・・・

そのメアリー役の遠藤由麻がかなりいいんです! まさにメアリーという感じ(爆) この言い方もまた微妙なんですが・・・ フレディより、このメアリーに引きつけられました。ずっと観ていたい感じ。 かなり好きですね。 セリフはハッキリしているし、演技もいいし、微妙な表情付けも楽しい。 2006年「葉っぱのフレディ」のパティ役も印象に残っていますが、 かなり成長した感が見受けられました。 今回、一回だけの観劇にしようと思ったのですが、 あまりに彼女のデキがいいので、そのダブルとなる加藤茜が物凄く気になりました。 ある意味、遠藤由麻のせいで二回観ることになりました(笑)

その加藤茜ですが、彼女のメアリーもこれまたすごいんですよ。 まさにメアリーという感じ(二度目) 遠藤由麻が微妙な変化の表情付けに対し、加藤茜は大きな表情の変化という感じ。 あくまでひとつの目安ではありますが。 これで加藤茜ファンがまた増える(爆) 演技は抜群にうまいし、セリフもしっかりしているし、非の打ちどころがない。 ちなみにど~でもいい話しですが、セリフ的にアニー口調が出てくるんですよ。 「約束だよ~○○さん~!」 というしり上がりの口調が、アニーそっくりで面白かったです(笑) 本人意識してないと思いますけど。

主役に戻ってフレディ。 私的に思ったのは、今回はふたりとも違うタイプのフレディですよね? これは珍しいな~と思いました。 相手の組は観ない、という組分けではないので、 相手の演技も見ることになるはずですが・・・ちょっと不思議。

フレディ役 川内優花/小山侑紀

川内優花フレディはおどおどしている感じで、けっこう奥手、やや地味な感じ。 演技的には普通な感じかな?けっこう天然なのか? どちらかというと印象は薄い。 フレディは葉っぱの中での語り部的な役割なので、わざと地味な演技をしたのかな~と思いきや、 もうひとりのフレディの小山侑紀は表情豊かでめっちゃ明るいんですけど・・・

小山侑紀は演技はしっかりしているし、明るく意外とポジティブ思考のフレディ。 歌は上手いけれど、すごい!ってほどのことでもない。 声がハッキリしているのがいいかな? 最後にみんなと別れるシーンでは、感情移入しすぎて涙+かすれ声。 いい演技だとは思うけれど、 あまりに川内優花と演技が違いすぎるので、これは演出OKなんでしょうか? 極端な対照なので、観る方は面白いのですが・・・・・ 小山侑紀の演技はすごく良いのだけれど、 あまりにやりすぎると川内優花の立場が・・・なんて思うのは私だけ?

鈴木満梨奈のクレア

とてもいい。 そのまんまなのかな~と思えるほど(笑) 本人が切望していただけのことはある。 優しさが前面に押し出されている演技はいいし、歌もうまい。 彼女はハマリ役でしょう。

ダニエル役の蔦木竜堂

2006年キャタックオリジナルミュージカル「TRUE PRESENT」にも出演していて、 かなり印象に残った男の子でした。 それだけ今回のダニエル役にも期待が高まります。 ・・・・が、正直イマイチかな。というか普通。淡々とした普通。 全然下手ではないのですが、ダニエルという印象度が薄い。 セリフは頑張っているものの、歌唱力はつらい。 ドッシリしたやや攻撃的なベンとの対比で、 真面目で知的なイメージのダニエルを演じたのだとは思いますが、 声が高く、回りの葉っぱと同じ雰囲気なんですよね。男性的なイメージがわかない。 特にダブルの金本南希に比べると差が歴然・・・ 女の子の方が少年らしい感じって・・・・・どうなんでしょう? まぁ~だからこそ、ジュニアミュージカルでは、男子が少ないんですけど。 私としてはとても期待しているだけに、次回の成長を楽しみに待ちたいと思います。

もうひとりのダニエル、金本南希

抜群にうまい。 演技もしっかりしているし、なにより声質が良く聞き取りやすい。 少年としての演技もすばらしいです。ダニエルの印象度が段違いに高いですから。 両方見ると、蔦木竜堂が霞んじゃうんですよね・・・・・

クリス役の北川理恵

去年のクリスとはうってかわって、ボーイッシュな雰囲気。 明るくさわやかで前向きで面白い女の子・・・という設定かな? 「夢見る乙女」という感じではなく、「早く結婚しようよ~!」みたいな軽い感じ。 彼女の歌唱力は言うまでもなく抜群。 ただ、今回はホールが広かったせいか、そこまで響かなかった印象はあります。 小芝居もうまい。客席から笑いを誘っていました。 ただひとつ。 あまり小芝居のネタをやると、クリスという役が軽んじられるのが困るんですよね。 今回、新たなクリス像を作り上げたのはすごいのだけれど、私としては逆に印象が薄くなりました。 三枚目的なクリスは微妙ではある・・・ それから少しまゆげが気になったのですが、気のせいかな?

相手の小野田龍之介

う~ん、やるね!! 低音ヴォイス、めちゃくちゃいいんですけど! それに歌唱力もある! 彼の歌にも注目してほしいな~ メフィストもじつにいい!言うことなし!

風のウェンディの平林靖子

久々に女性らしい役どころなんですが(笑) 柔らかでかなりいいですよ。 そして歌。あまり注目されませんでしたが、すばらしい歌唱力。 平林靖子の新たな面を観ることができて良かったです。

ベン役の伊宮理恵

平林靖子の後継者(?)男性役ということで難しい役だと思いますが、 これがじつにうまい! 低音ヴォイスがしっかりしているし、ドッシリとかまえたところもいいし、 カミキリ虫に向かうところもいい。 う~ん、良くやってると思う。

アン役の長田那奈子

柔らかな感じの女の子ですね。 そこがいい!! ベンとのやりとりも姉さん女房的で面白いし、 一転ベンが傷ついたところを介抱するところは穏やかな雰囲気でホッとする。

同じくアン役の妹川華

ベテランすぎて言うこと無し。 演技もこなれていてうまいし、セリフもしっかりしているし、歌唱力もある。 経験の差が違い過ぎますよ。

ペティの上之薗花奈

彼女はセリフづかいがうまい。パティの古館里奈と一緒の出番が多いですが、 ことセリフに関しては上之薗花奈の方が抜群に聞き取りやすいです。

同じくペティ役の松本樹

彼女も印象深い。 まず表情。じつに豊か。観ていてかなり楽しいです。 彼女の表情からは、熱意がすごく伝わってくる。 川内優花と同じ組ですが、表情だけだと彼女の方を見ている方が断然楽しい。 スタイルが良く、手足が長い。これだけでも見映えが全然違います。 もしかしたら、これから大化けする可能性大。 古館里奈同様に、今後要注目の女の子でしょう。

パティの川田菜々子

彼女も瞳が大きいせいか、よく目立ちます。 ただ、まだまだこれからの逸材でしょうね。

他の葉っぱメンバーは前述しているとおり、 全員演技、ダンスが高いレベルなので言うことないです。 確認できたのは、本田有希、田代りさ、佐藤すみれ、宮島小百合、金子海音。 葉っぱはみんな髪の毛をアップにするので、初見の子は誰が誰やらわからないんですよね・・・ 名前をあげることが出来なくて申し訳ないです。

宮島小百合はやや前かがみの印象があるのですが、 今回はそれが観られませんでした。注意してたのかな? それから、佐藤すみれはかなり背が高くなり、葉っぱメンバーとしても大人な雰囲気。 これからの方向性が気になりますね・・・ ちなみに田代りさはアイドル的ルックスで、これから人気が出るでしょう。 瞳が大きいことも手伝ってか、表情の変化も楽しかったです。

総括

キャスト全員のレベルが高く、すばらしい出来ばえ。 去年から説教くさいところもなくなり、安心して観ることができます。 ベテランの子役だけでなく、新人子役の発掘もすごい。 そこを演出の犬石氏が指導しますからね。さらに良くなるのは頷けます。 私的には両組のメアリーの印象が高い舞台でした。

※敬称略
キャスト表