◆  『葉っぱのフレディ 〜いのちの旅〜 2006』

◆公演時期   2006年7月31日〜8月1日
◆会場 新宿文化センター
◆公演時期 2006年8月21日〜8月23日
◆会場 中野サンプラザ
◆企画・原案 日野原 重明
◆脚本・作詩・演出・制作 犬石 隆
◆総合プロデュース 黒岩 祐治
◆音楽監督・作詞・作曲・編曲 玉麻 尚一
◆作曲 金子 貢
◆振付 中川 久美/関根 玲子
◆ヘアーメイク 四方田 公子
◆美術 斎木 信太朗
◆照明 山田 茂
◆衣装 本谷 智子
◆音響 実吉 英一
◆原作 レオ・バスカーリア
◆訳 みらい なな

あらすじ

いのちというのは、永遠に生きているのだ。
春に生まれた葉っぱのフレディ。
夏には人間に木陰を作り、秋には紅葉してみんなの目を楽しませ、
冬、風にのって母なる大地へ帰っていく。

人間の心の移り変わり、そして、短い葉っぱの一生・・・
いのちはめぐる・・・・・

(パンフレットより、一部抜粋)
観劇感想

2000年の観劇感想は→こちら
2004年の観劇感想は→こちら
2005年の観劇感想は→こちら

新宿文化センター
赤組はこちらの劇場で観劇しました。
パンフレットを見ればわかることですが、今回はロート製薬がスポンサーになっています。
スポンサーあっての舞台ですから。
さらに今回はのパンフレットは前回の写真がたくさん、しかも大きく掲載されています。
これはとても嬉しかったです。

前回は物語性、教育的な意味合いを目的としたミュージカルでした。
今回はエンターテイメント性をかなり重視しました。
というのも、公演時間を長くした所以の産物です。
前回までは休憩無し。
アンケート等で言われたのかもしれません。

今回は葉っぱのシーンよりも、その木の下で繰り広げられる人間ドラマの方が多かったです。
そのシーンがやや長めのような気がします。

2幕始めは、いきなりアンジェラの夢の舞台の話。
ステージ・ショーです。
ここはかなりエンターテイメントを押し出しましたね。
全然今までと違う雰囲気ですから。
「葉っぱと関係ないじゃん・・・」なんて思いましたが、
もともとは短い物語ですから、それを伸ばすために犬石氏が苦労したことを考えれば納得できます。
音楽が玉麻さんということもあり、ちょっと曲調が「GANG」に似ているところがありました。

そんなこともあってか、木の下で人間たちが繰り広げられるシーンを、
葉っぱたちはじっと眺めています。
ここは意外とたいへんだったように思えます。
葉っぱとして人間たちのドラマをただ見つめる・・・・・
演技をしている方が逆に楽かもしれませんね。
ここでの葉っぱの演技は地味ながら重要です。

今回はオーケストラピットでの生演奏がありました!ビックリ!
スポンサーが増えた影響で予算ができたのかもしれませんね。
オーバーチェアがあるのは、いつものことながらいい!

日野原重明さんも役者として登場。
私は4回目ぐらいでしょうか?あっ、観劇の時は一応毎回会ってます(笑)
94歳(1911年10月4日生まれ)杖もなく、自らの両足で立ち、長セリフを話す。
凄いとしか言いようがないです。

シーン的には、マークとクリスのラブラブシーン(爆)
ここは楽しかったです!
特に奈菜子ちゃんはダンスにかけては申し分ありませんから。
また、葉っぱの中では紅葉した後のダンスシーンが好きです。

途中、カミキリムシが登場するのですが・・・
真っ黒なこともあり、正直ゴキブリに見えた(爆)
『夢にくちづけ』 (エルダ・フェアリー・パフォーマンス)のゴキブリを思い出してしまいました。
私的なイメージとしてのカミキリムシは、
白が入ったマダラのカミキリムシのなんですけど。私がよく捕まえてたせいですが。

たしかに前回と比べると、説明的なセリフは少なくなったと思います。
説教くささはなくなりました。
フレディが最後の一枚となり、落ちていくシーンが「死」というイメージを連想させませんでした。
意外と淡々としてましたね今回は。前回の方が重い感じ。
特にフレディが落ちて、意識が無くなるところは完全に死を連想させましたから。
今回はかなりシンプル。

そうそう、ひとつ思ったのはメアリーが11歳の誕生日だというところ。
明らかに「アニー」を意識していますね(笑)
演出家、犬石氏の遊びの部分なのかもしれません。
わかる人にはわかる、みたいな感じてす。

中野サンプラザ
白組はこちらの劇場で観劇しました。
一番の驚きは照明。ライトアップ!これが素晴らしいんですけど!
新宿文化センターの時は前の方の席で、今回は真ん中あたりで観たせいかはわかりませんが、
照明の多彩な動き、変化がじつに見事でした。
一枚の葉っぱのライトアップ、雨のシーンでのブルー、夏の緑の葉のグリーン、
さらに一番最後のシーンである雪のシーンでは、7カ所からの光線!
本当に素晴らしいです!!
この照明が幻想的な雰囲気をかもしだしているんですね。
新宿文化センターとは、やはり設備等の違いなのでしょうか?
あまりに違い過ぎると、見るのは中野サンプラザの方がいいな〜なんて思っちゃいます。

気になった方は・・・

ルーク役の宝田明、アンジェラ役の今陽子はプロなので、演技、歌ともに申し分ありません。
宝田さんの歌は初めてでしたが、しっかりとして重みのある歌声でした。
ちなみに、役者さんとして有名であることは衆知の事実ですが、
私としてはフジテレビの深夜放送の「アメリカの夜」の進行役が印象に残ってます。
映画の裏側を見せる番組で、宝田さんのオーバーアクションがプチブレイクしていました(爆)

今陽子さんの歌唱力はプロですから、本当に素晴らしい歌声です。
ただ、舞台上で漠然としたソロがあり、ちょっと舞台のバランスが崩れますね。
本当にここでソロが必要なのか?時間を費やすための演出ではないか?
そう考えてしまい、物語としての「葉っぱのフレディ」がかすんでしまうように思えます。

マーク役の中河内雅貴
うん、かなり良かったですね。
演技は素直な感じです。
特に歌が秀逸。
梅澤菜奈子がかすむほどの歌唱力。ここは聞き応えありました。
マークがこれだけしっかりしていると、相手役の梅澤菜奈子の演技力も光り、
お互いにプラスの影響力があると思います。
私的には満足!

クリス役の梅澤菜奈子
ルックスは相変わらず可愛らしいですし、演技も柔らかで優しいクリスでした。
表情は見ていて本当に楽しいです。
クリスの揺れる乙女心をよく表現していたように思えます。
ただ、ひとつ残念だったのは歌唱力。
これから長丁場になるためにセーブをしていたのかはわかりませんが、
あまり声が出ていないように思えました。
何年か前に彼女を観た時は、ここまで歌唱力は落ちていなかったのですが・・・
かなり期待していただけにガッカリ。
たしかに去年の保泉沙耶が凄すぎたというのもあります。
演技、歌唱力、完璧に近かったですから。
それぞれの個性、キャラクター性が違うのは重々承知ですが、
ど〜しても比較されてしまうのがつらいところでしょう。

中野サンプラザで二回目を見て。
前回とあまり変わりようはないですね。
演技もいいし、ダンスのところも華があるのですが、
やはり歌唱力はきびしい・・・・・・
次に観劇する時も同じようだと、彼女の将来性がかなり不安です。
ヴォイストレーニング等、現時点でもやっているとは思いますが、さらに頑張ってほしいです。

ベン役の平林靖子は完全にプロ。
男性の演技力にかけてはまちがいなく天下一品!
去年をも上回る素晴らしいできでした。
雪のプリンセスとは全く違う演技ができるところが、彼女の魅力ですね。

風のウェンディの山越千歌
過去に何度も出演しているベテランです。
が、正直歌がイマイチ。ちょっと残念だな。

メフィストの内野詩織も、歌がちょっと弱いかな?
かぶりものをしていたせいで、声がかぶってしまったのかもしれませんが。
伸びはあるけれど、自分としてはいまひとつ。

フレディ役の内藤もゆの
前回と比べてですが、演技力の幅が広がりました。
なんとなくですが表情の豊かさが増えたように思えます。
歌の方は、頑張ってはいるけれどこれからかな。
白組の時はてんとう虫で登場。
フレディの時ではわかりづらいですが、彼女は手足が長くて細いことがわかります。
しかも体の線自体もすごく細いんです・・・驚き。
側転が独特な感じで綺麗にまとまっていて面白かったです。
この時拍手が起こります・・・・・・・
えっ、かなりビックリなんですけど・・・・
そんなに凄いシーンなんだ・・・・・・まだまだ私は未熟です。

同じくフレディ役の矢野七海
前回は見ることができなかったので、今回はとても楽しみにしていました。
うん。演技的にしっかりとしたフレディですね。
内藤もゆのと比べるとこちらの方がより少年的。
表情の豊かさはもゆのが上回りますが、落ち着きはらった堂々たる演技は七海でしょう。
完全に私の好みの問題ですが、演技的には七海の方が好きです。
歌はまずまずな感じですが、これからの期待度は高いです。

クレア役の宮原理子
前回は観られなかったので、私自身じつに楽しみにしていました。
う〜〜〜ん、かなり素晴らしい!
演技は本当に柔らかで温かいし、
歌唱力も穏やかで優しい声量ある歌声。
たしかに「理子萌え」になる人が増えることがわかります(爆)

クレア役の田中みいや
彼女のクレアは、落ち着いた清楚なお姉さんタイプの演技だと思います。
美人なルックスですが、意外と彼女は表情が豊かなので、
それが発揮できないのがちょっと残念かな?
落ち着きすぎるクレア役だとちょっとつまらない。
明るくて、もう少し弾けたキャラの田中みいやが個人的には好き。

歌い方がけっこう独特な感じですね。
まずまずな感じかな?
それから、彼女はかなり感情移入しやすいタイプ。
多感なんですよ。
舞台上のドラマで、感動しちゃうんです。

後述していますが、彼女とアン役の妹川華は背丈や演技力、表情のつけ方が似ています。
そのために、静かなクレア役ではなくて、活発でおしゃべりなアンが目立ってしまうんです。
宮原理子であれば、ほのぼの系、萌え系(?)という感じで、アンの小林由佳と対比できるのですが、
田中と妹川はともにルックスが美人なのも加わってキャラがかぶりやすい。
しかもクレアは清楚なタイプですから、目立ちにくいんですよね・・・

アン役の小林由佳
まぁ〜ベテランさんなので、うまいという言い方は逆に失礼かもしれないです。
クレアにせまる存在感は流石。

同じくアン役の妹川華
2005年「アニー」ダフィ役の以来の観劇。
当時と比べて、かなり成長しました。
表情付けもすばらしいし、セリフづかいもしっかりしています。
たまにアニメ声のかわいらしい声質になったりもしましたが(汗)
背丈がクレア役の田中みいやと同じぐらいのせいか、キャラが被るんですよね。
こっちがクレア?と思うことさえありました。
後方から見ると、アン役の帽子の内側はオレンジのため、不思議と目立つんですよ。
そこに妹川華の存在感と表情付けが加味されると、クレアが霞みそうになるのがつらい・・・・・
演技的にも抜群のため、どちらがクレアでアンなのか、どちらがよりメインキャストなのか、
あまりにも自己表現しすぎる感がある。もちろん、彼女のせいではないのだけれど。
正直、もう少しだけ地味なキャラでないとクレアが光らない。

ダニエル役の野田紗貴は本当に少年しか見えない!
あんなかわいい子がこんなに少年っぽいさを見せるなんて・・・見応えありました。
ただ、意外ともゆのちゃんの少年っぽい声質と似ているんですよね。ちょっと気になりました。
歌唱力はこれからの課題でしょう。

同じくダニエル役の中村真己
野田紗貴の少年っぽさにも驚いたのですが、彼女の演技もそれに勝るとも劣りません。
すばらしい少年の演技!
とにかくカツゼツが良く、聞き取りやすく、じつにしっかりとしたセリフづかい。
ここまで明確に発音がいいのには驚き。
相当な稽古量を積んでいる・・・・ように思えます。
今後の彼女には注目でしょう。

メアリー役の佐藤すみれ
ココスマイルから見ていますが、ルックスに関しては言うまでもなくかわいい。
万人が見て、全員が可愛いというほどのルックス。
スタイルも細いですよね・・・
それはさておき、まずこのメアリーという役。
これはいつ決まったのでしょうね?
当初はずっと葉っぱの一員で、
「佐藤すみれクラスでも葉っぱか〜これからいろいろな経験をするんだろうな〜」
なんて思っていたんですけど・・・
いきなり、かなりメインキャラ。出番が多いです。
まぁ〜、まさか佐藤すみれの為に作ったわけではないと思いますが、
新たに娘のメアリーという役を作り、葉っぱの中から選抜させたのでしょう。

演技的には、自然な流れの演技で良かったと思います。
かわいいからそれだけでOKになりがちですが(爆)
ひとつ気になったのはこのメアリーの性格付け。
「母ちゃん」というセリフかあることから、そういった生い立ちを考えるのですが、
他には特徴的なものがなく、イマイチわからない性格なんですよ・・・・・
メアリーという役の設定付けが曖昧なような気がします。
それほどこだわる必要はありませんが、私はちょっと気になりました。
「母ちゃん」というセリフ以外にも独特のセリフ回しが欲しいところです。
結局、普通の美少女キャラで終わりましたから。

同じくメアリー役の遠藤優美子
うん、粗削りな感じではありますが、かなりいいです!
ちょっとのどがかすれているのかな?
そこは残念でしたが、メアリーの役柄としては彼女の方が適任でしょう。
だって、ふつ〜に考えて佐藤すみれが「母ちゃん」なんて言わないし(爆)
あんな清楚な雰囲気の子から飛び出す言葉じゃないですよ。
遠藤優美子の方がキャラクター付けがマッチしていて、しっくりくる感じ。
私的にはこちらのメアリーが好き。
結果、どちらとしても、メアリー役の性格づけが曖昧だったのはいただけないな。

パティ役の遠藤由麻
ペティ、パティは、ほとんどわからないのですが、彼女はかなり目立ちました。
表情の変化が後方でも良く確認できます。
それから、歌う時の口の開け方が大きいのも魅力的。
大きくなくても声量がある人はいますが、小さい時は大きい方がいいな〜

総括
前々から観劇感想にも書いているとおり、私は「葉っぱのフレディ」は苦手です。
教育的な意味合いですからね・・・・・
こういう感動は逆に引いちゃうんですよ・・・・・
すみません、変人なもので。
それでも今まで何回も観ている私ってすごい(爆)

舞台自体は素晴らしいし見応えがあるけれど、
今回は葉っぱのシーンと人間のシーンが並行的になりすぎる気がします。
一体感を出す必要はないのだけれど、あまりにも飛躍しすぎ・・・・・
私的にはもう少し葉っぱの話をふくらませてほしかった。
その方がもっと思い入れができたかも。

しかし、パンフレットのアンケートを読むと、なんか暗くなるんですよね。
病院に行くだけで、あの独特の雰囲気に飲み込まれ自分まで気分が悪くなる感じ。
実際に私はそういった経験が無いもので、なんとも言えないのですが、
過去は過去として自分の心に刻みこみ、もう少しポジティブにいってほしい。
葉っぱのフレディ自体、輪廻転生みたいな描き方なので微妙なんですけど。

(敬称略)


トップ     観劇一覧     女優     キャスト