◆  キャタックオリジナルミュージカル「TRUE PRESENT」

◆公演時期   2006年11月23日
◆会場 日本青年館
◆原案・監修・振付 中川 久美
◆脚本・演出 荒巻 正
◆音楽 玉麻 尚一

あらすじ

泥棒をして生計を立てている、身寄りの無い子供たち
もうすぐ来るクリスマスを楽しむためには・・・・・
考えついたことは、サンタクロースを誘拐すること!?
森の妖精、ギャング、スーパーマン・・・・・
子供達と彼らを追う探偵団は さまざまな世界を駆け巡る
(公式サイトより引用)

観劇感想

ミュージカルと銘打っていますが、基本は発表会ですね。
ミュージカル部分とレビューの部分が組み合わさっている感じ。
大人と子供が入り乱れているので、
どこまで感想を書けばいいのかが微妙なところなんですが(汗)

原案が中川久美氏で、脚本が荒巻正氏・・・・・
パンフレットにも書かれていますが、脚本作り、たいへんだったことと推測します(汗)

このカンパニーの舞台は初めて観劇しましたが、
全体的に個々のカツゼツがいいし、演技もいいし、ダンスも素晴らしいです。
すごくバランスがとれていて安定感がある印象を受けました。
初見の人にとってはカンパニー自体の実力と感じ取ってしまいがちですから、
これはとても重要です。

まずはオープニング。群舞はすばらしいです!
これは相当練習したでしょう。
ここまでそろっての群舞は各パート分けをしても、なかなか難しいですから。
よく清廉整備しているな〜と感心しました。

物語をトータル的に考えるとややメリハリが足りない気がします。
なんとなく同じようなテンポで物語が進んでしまうんですよ。特に前半。
後半はギャングとのからみがあって抑揚するのですが。

音楽担当が玉麻尚一氏ということもあって、
なんとなく聞いたことのある曲調もいくつか(汗)
今回は「葉っぱのフレディ」のアレンジ?という曲も感じました。

シャーロックホームズ探偵団の4人はうまい。
ここはベテランですから。
紹介のナンバーもじつに楽しいです。
こことルパンズが対決するものだと思ったのですが、
ギャングという第三勢力が出てくるのは、ちょっと意外。

場面的に一番気になったのは、白雪姫のシーン。
白雪姫が食べるはずのリンゴを、間違ってボスが食べて死んでしまうのですが、
最初は「死んで当然〜!」と言った感のある白雪姫の継母が、
ボスの仲間たちに助けてほしいとせがまれて、すぐに改心してしまうですよ・・・・・
ご都合主義はわかるのですが、あまりにも心変わりが早過ぎ(正味5分ぐらいで心変わり)
セリフのひとつとして「世の中に本当の悪人はいないんだね」
ということも相まって、意味合いはわかるのですが、現実を直視してないような気もする。
まぁ〜物語ですから仕方ありませんが。

さらに気になったシーンは、この時の歌詞。
「この命、ささげ〜ても、悔やまないから〜」
つまり、リンゴを食べて死んでしまったボスのために、
「自分の命を捧げてでもいいから助けてほしい」と、白雪姫の継母に懇願するんです。
いやいやいやいや、それは違うでしょ?
自分の命を捧げてもいいから、助けてほしいという論理は私にはわかりません。
「それだけ、ボスを生き返らせてほしいという心のこもった言葉」
という意味合いもあるでしょうが、ちょっと私には癖がありすぎて賛同できません。
自分が死んだらなんにもならないです。
ちなみにここの懇願するシーンは、
アルゴ・ミュージカルの「Sing fou You Sing fou Me」の、
「ドゥードゥーを助けて」に似ています。こちらの場合は森の神様に懇願するんですけど。

レビューとしては、ヒップホップ系はまだまだな感じがしました。
私的には「シャドウーボクサー」のところが好きです。

気になった役者さんは・・・
人が多過ぎるので(爆)
わかる限りの範囲で申し訳ございません。

ルパンズ、きらら役。浅川礼奈
どこかで聞いた名前。どこかで見たようなパンフレットの写真・・・・・
なるほど、佐達ももこも出演していた、
TBSドラマ「ママはバレリーナ」に出演していた女の子なんですね。
たしか嫌味な役だったので(笑)すごく覚えています。
演技的にもなかなかしっかりしています。

ルパンズ、あめ役。蔦木菖
ルックスはかわいらしいです。
特に表情付けがいいですね!観ていて飽きない感じ。
表情の変化が楽しいし、困っている感じかかわいい(笑)
ただ、後半にソロで歌う場面があるのですが、ここは次回の課題でしょう。
できたら歌える人に歌ってほしかった。将来性を考えた抜擢なんでしょうか?

ルパンズ、みう役。工藤万実
2006「葉っぱのフレディ」パティ役でしたが、すみません、私は覚えてません(汗)
今回の役は美味しい役でかなり目立ちました。
キャラ設定、セリフも個性的だったので、本人にしてみればやりやすかったことでしょう。
表情のつけ方もいいし、セリフの使い方もいいです。
なかなか面白い女の子。これから要注目でしょう。

ルパンズ、れお役。蔦木竜堂
メインのルパンズの中では、唯一の男の子。この子はかなりすごい。
ルックスがかっこいいし、ダンスは見応えあるし、
セリフもしっかりしているし、演技も良くできている。
舞台を観ればわかりますが、彼をプッシュしているのがわかります(爆)
でも、それだけの逸材。間違いなく伸びるでしょう。
ひとつだけ気がかりなのは、男の場合は中学、高校で部活動が好きになると、
芸能活動を停止する子が多くなるので、
彼にはぜひとも頑張ってほしいな〜と勝手に願ってます(汗)

宮島小百合はアルゴミュージカルにも出演した実力者。
お婆さん役のイメージがついていたのですが(汗)
今回の役柄だとイメージ違いますね。
すごく少女的な可愛らしいイメージ。
ひとつの舞台だけだと、その役のイメージがついてしまう典型かも。
ルックスは意外と幼少時の関谷愛里紗にも似ています。
表情付けもいいし、ダンスも見応えあります。
人気もあって、ごく一部の人からは彼女のファンはサユリストと呼ばれているらしい(爆)

ルチア役の矢野七海
彼女は2006「葉っぱのフレディ」のフレディ役。
出番は多いのですが、意外と地味な役だ(汗)
演技はしっかりしているし、喋り方もうまい。存在感ありますね。
ただ、今回の役柄はちょっともったいないかな?彼女の実力を発揮できませんでしたから。

マリア役の落合梨々香
彼女は2006「葉っぱのフレディ」のパティ役。
ごめんなさい。彼女のパティは覚えていません・・・
さて、今回の役はほとんど矢野七海と同じで、サンタクロースの通訳(?)という役柄。
顔だちが矢野七海と似ていますね。目の細さも同じだし(汗)
セリフはすごくしっかりしています。
このままでいくと、2007「葉っぱのフレディ」のフレディ役も・・・なんて過大評価かな?

長田那奈子佐藤まりあ神田舞帆、この3人も2006「葉っぱのフレディ」の出演者。
彼女たちの出番はアンサンブル系なので、
人数が多くなかなか把握できないのがつらいところ。
ただ、神田舞帆は華があってルックスも良く、じつに目立つ。
モデル系でも十分に通用する気がします。
長田那奈子、佐藤まりあはさすがにしっかりしている演技。
落ち着いた演技の長田、表情の変化が楽しい佐藤と言った感じでしょうか?

白雪姫の継母役の剣幸は言うことないでしょ。プロですから。
特に歌が最高!

白雪姫役の木村聡子は、綺麗なルックスですし、演技もしっかりしてます。
歌唱力は今後に期待。ジュニアでもうまい人はさらに上をいきますから。
大人である以上、さらに上を目指して頑張ってほしいです。

スーパーマン役の駒舘一實
今回出演メンバーの中で一番好きかも(爆)
完全にプロなので当たり前なのですが、
存在感があふれていて、その場を引き締める感じがします。
演技のみならず、歌唱力もじつに見事。惚れますよ(笑)
彼がいないと子供向けミュージカルとしては、ちょっとつらいものがありますから。
すごく重要な存在だったと思います。

ボス役の越智則英は「葉っぱのフレディ」でルーク役を担当したこともある実力者。
言うことなし。役柄的に、けっこう明るい感じに仕上げていました。

総括
発表会の意味合いがあり、レビューも多いです。
う〜ん、次回はメンバーを選抜したミュージカルを観たいです。
実力あるメンバーなので、すばらしい舞台ができあがる予感。

「葉っぱのフレディ」関連が多いのは、脚本・演出の犬石隆やダンス指導の中川久美、
歌唱指導の金子貢、岡崎亮子が講師陣として指導しているからなんですね。
別に不思議なことではありません。
ビジネスとして当然の戦略ですし、ここに限らずどこでも同じです。
そう言ったスクールやカンパニーに入ったからといって、
すぐに合格できるわけでもありませんから。
結局のところは実力がものをいうことになります。
あくまでも初期段階のほんのわずかな「きっかけ」でしょうね。
もろちん、すぐれた講師陣による指導が、
その子を開花させるための発芽になる可能性は高いでしょう。
後は本人の「やる気」と「努力」です。

(敬称略)


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