◆ ハッピーファミリー


◆公演時期   2007年1月6日
◆会場 五反田ゆうぽうと
◆脚本・演出・振付・プラン イマジンミュージカル
◆演出・歌唱指導 石橋俊二
◆振付 設楽みのる
◆歌唱指導 染谷妃波
◆衣装 神場やす江

あらすじ
お父さん、お母さん、4人姉妹で暮らしている田中さん一家。
みんなが忙しく、なんだか家族はバラバラ。
四女が通う小学校のPTA総会で「家族対抗歌合戦」が開かれることになり、
なんとか家族をひとつにまとめようとしますが・・・・・
(パンフレットより抜粋)
観劇感想

昨今のさまざまな事件には、
「家庭」「家族」のキーワードが見え隠れします。
もう一度家族を見つめなおそう」
そういった感においても、今回のこの舞台はとても印象深いものとなりました。

アクション、サスペンス、歴史、SF、アドベンチャーものではなく、
ありふれた日常生活がメインなので、それをいかに舞台向けにするか?
これは「ガラスの仮面」でいう「通り雨」のようなもの(笑)
難しい脚本だったと思います。
それをルー大柴のキャラクターを中心として、成功した舞台だったと思います。

アフター5、合コン命の長女、
就職活動と言いながら父を騙してミュージカルのオーディションに挑戦する次女、
全寮制の私立高に合格するため勉学に励む三女、
家族みんながまとまってくれればいいな〜と思う、おっちょこちょいな四女
キャラクター付けはしっかりしていました。
それに父と母が加わった6人がメインキャストなので、
家族向けとしてはわかりやすいです。
「区別がつかない」ってことはなくなりますから、これは安心。

一番印象に残ったナンバーは、
ルー大柴、関根麻里、大野朱美、渡辺里佳の4人とアンサンブルで歌う場面。
ここがじつにいい!
ひとりひとりのキャラが際立つし、彩り鮮やかな照明も繊細、
まさにエンターテイナーという感じです。
アンサンブルの方もたくさん出演していますが、みなさん実力者。
短い出番がもったいないくらい。
派手な場面がここしかないのがつらいところですが・・・

M(音楽)の印象はちょっと薄いですね。
舞台の流れとして、音楽が流れていたかどうかも忘れてるぐらい・・・
もちろん、ミュージカルナンバーはありますけど。
最後に田中家が歌った「翼をください」の印象が強いせいかな?

エンディングは華やかでグッド!
爽やかに、見終わってほがらかになる気分が大事です。
まさにハッピーファミリー!(ありきたりの締めの言葉だ・・・)

気になった役者さんは・・・

お父さん役のルー大柴
言うことない(笑)
あれはあれで全くOK!
いつものまんまの演技だったがgoodですよ!
ルー大柴は本当にいいな〜と素直に思う。
テレビでの活躍もいいが、生、ライブはすごく光る。
私もトゥギャザーしたいもの(笑)

いつもの日本語、英語を組み合わせ、さらには子供の観客がいるための補足説明(笑)
それが逆に笑えるんですよ。
この舞台としては最高のキャラ。

お母さん役の相本久美子
森は生きている2006でも活躍しました。
実力があるので言うことないでしょ。
お母さん役はじつにいいですね!
こういうお母さんが欲しい、という理想像。

長女アケミ役の大野朱美
いや、この人はうまいでしょ。
喋りもなめらかだし、演技もしっかりしています。
長女というポジションをうまく引き出していたような気がします。

次女マリ役の関根麻里
関根勤の娘、そして初舞台ということでかなり注目されました。
ダンスは「めっちゃすごい!」というわけではないけれど、
あれだけ踊れれば十分だと思います。良くやってますよ。
表情の豊かさもなかなかいい。
多少ぎこちないところもあるけれど、それほど目立ちません。
歌唱力はまぁまぁかな?
歌の発声や演技での発声は、まだまだだと思う。
舞台特有の声質ではありませんから。
セリフの喋りは、やや低音のこともあり声がこもります。
ここは次回改善してほしいかな。

それから、セリフ、歌、ともに軽い。
ただ歌っているだけ、喋っているだけという感じがします。
セリフの意味、詩の意味を理解しているのかちょっと疑問。
それに対比しての渡辺里佳がいるから、よけい目立つんですよ。
ここも次回に期待。

バラエティやコントをを軽視するわけではありませんが、
それの延長線のような気がしないでもない。
それでも初舞台でここまでやるんですから、よくやっています。
次回出演するときは、さらなる向上を期待します。
素材はとても素晴らしいものがありますから。

三女リカ役の渡辺里佳
喋り方が抜群にいい!
存在感アリアリだし、ルックス、演技、表情、ダンス、歌、すべていい!
エターナルファンタジー演劇大賞 2006年のMVPをとっただけのことはある(笑)
特にダンスが良くなったような気がする。
何気ない微妙な表情の変化もうまい。
なんというか、体の力が抜けていて自然体で演技をしています。

彼女は8歳時の若草物語四女エイミー役から観ているのですが、
その頃から実力がありました。
それを経て、衰えることなく進化していく彼女の努力には脱帽。
ふと思ったのは、南青山少女歌劇団の大越史歩。
彼女の独特の雰囲気に似ているんですよね。
間違いなく舞台役者として次世代を担うひとり。

四女役の上之薗花奈
まだ小さい子なので、これからどんどん伸びると思います。
あくまでも現時点での感想です。
う〜ん、微妙ですが悪くはないと思います。
セリフはまずまずしっかりしているし、喋り方はかわいらしい。
ほわほわ〜とした演技ですね。これはこれで面白い。

歌唱力ですが、音程はとれていると思います。下手ではないですよ。
ただ声量がともなわないだけ。ここはこれから練習すれば伸びますから。
彼女のナンバー、ソロもありました。私としては無難に見ることができました。
年齢から考えればこのぐらいで十分。
ただ、同年齢の子にしてみると、どう思ったでしょうか?
「私の方ができる」と思った方はたくさんいるでしょうね。
その思いを次につなげるための糧にしてほしいです。
ダンスは・・・これからでしょう。

問題は、なぜ彼女を選んだのか?
やや地味な感じで(失礼)あわてんぼうのイメージがあるのかもしれません。
(また妄想で申し訳ない)
実力的に言えば、アンサンブルに出演している飯嶋あやめ、松下莉子クラスでも、
十二分に四女役をこなすことができるでしょう。
ただ、キャラ的に飯嶋あやめはやや派手な(?)印象が、
松下莉子は真面目系(?)な印象があります。
それをふまえての上之薗花奈とい選択ではないでしょうか?
灰色の脳細胞をフルにいかした私の妄言です。
まぁ役者なので、いろんな役を演じることはできますけどね。

隣の奥さん、染谷妃波
イマジンではおなじみの個性の強いキャラ(笑)
アルゴ出身の彼女を見ると、頑張っているな〜とつくづく思います。
歌唱指導を彼女がしていることからみても、やっぱり要なんでしょうね。

アンサンブル
セリフのある二人、飯嶋あやめ松下莉子はすぐにわかりますが、
あとなんとかわかったのは、中井千紘と佐澤舞花、佐藤瑞季ぐらいでしょうか?
他は全くわかりませんでした。すみません。

飯嶋あやめは表情が豊か。三日月の瞳がよく目立つ(笑)
特に気がついたのは、一番最後でルー大柴が登場する場面。
ここは出演者たちがスローになるのですが、柔軟な体をいかして大きくのけぞります。
これがすごいのけぞり方。彼女にとって一部分ではあるけれど、
努力の一端を垣間見た気がします。
2006年演劇大賞にノミネートはされませんでしたが、今年は相当出てくる予感がします。

松下莉子は、エターナルファンタジー演劇大賞 2006年優秀女優賞を獲得(笑)
う〜ん、彼女は目立つ。存在感がすごくあるんですよ。
特にダンスかな?キビキビとした切れのあるダンスでした。
今年も大活躍する予感。

他にも、中学校の制服を着ているダンスのうまい子もいますし、
かなり小さい少年の子はダンスに目がいきました。
が、誰かわからず(汗)

総括
さすがイマジンのミュージカル!という感じで全体的にしっかりしていました。
コメディとしてとても楽しいし、演技もしっかりしているし、ルー大柴が全部持っていくし(笑)
ハズレはありません。
やや、音響の不備があったことは次回の課題でしょうね。
私としてはとても楽しめました。

(敬称略)


トップ     観劇一覧     キャスト     女優