◆  めがば的ミュージカル「ドラゴンファンタジー」(2006年)

◆公演時期   2006年8月18日〜20日
◆会場 吉祥寺シアター
◆作・演出 滝 一也
◆作詩・作曲 柳 志乃(一部、滝一也)
◆振付 木戸友香、金本美智子、柳志乃
◆音響 稲葉 裕士
◆照明 池田圭子
◆衣裳 佐藤千亜紀、佐藤重子、門井裕枝、松田由起子

あらすじ

人間界と壁一枚隔てた異空間にあるラマダの国。
人々は平和に暮らしていたのだが、
突如、魔王が現れ、魔法を使って人々を恐怖のどん底に陥れた。
さらに、国王の娘である姫を誘拐し、国に対し降伏をせまってくる・・・・・
最後の望みは、かつて国を平和に導いたと言われる青いドラゴンの化身。

そして今!勇者が無理やり立ち上がることとなった!
嫌々ながら、翔の冒険が始まるのである。(チラシより一部抜粋)


観劇感想
2005年の観劇感想はこちら
去年は◆組のみでしたが、今回は両方の組を観劇しました。

荻窪メガバックスシアターという小さな劇場から、
吉祥寺シアターというやや大きな劇場になることによって、
演出がどのように変わるのか、じつは少し心配していました。
ただ、それは全く杞憂に終わり、前回同様の楽しい舞台となりました。

一番気になったのは、公演時間。
約3時間あります(休憩15分ぐらい)
個人的には舞台大好き人間なので、何時間でもやってもらいたいくらいなのですが(笑)
現実問題として、興行的にも劇場的にもいつかは支障が出てくる可能性があるので、
少しコンパクトに縮めた方がいいかな〜と思います。
公演時間が前回よりも伸びた理由ですが、基本はメインキャストが増えたためでしょうね。
去年は最初はピーター、ピノ、スワンの3人で、
後からブリキ、ライオン、かかし、チュー太が仲間になりました。
今回は最初の時点で、ピーター、ピノ、スワンにプラスしてセレブとラビットが入っています。
新しく加わった二人を動かすこと。
そして、成長過程、それぞれのエンディングを脚本に入れるために長くなったのかもしれません。
ちなみに、昼、夜2公演ですが、夜公演はテンポを早くしている気がします。

セレブは名前どおりのお嬢様役なので、観客にもわかりやすいのですが、
ピノとラビットがイマイチキャラとして伝わりにくいです。
まぁ〜ピノは嘘つきということでわかるのですが、
ラビットはぶっきらぼうな言い方ということでしかキャラ付けができてないように思えます。
なにより、前回はピノが嘘つきとぶっきらぼうな言い方、ふたつを体現していました。
つまり、ピノだけで用はたりるんです。
もうちょっヒネリがあると良かったかな?
特に◆チームだと、ピノの左川とラビットの松下の背が似ていて、わかりづらいのもありました。
★チームの場合はラビットの佐藤が小さいので、こちらはわかりやすかったです。

劇場が広くなることによって生まれる問題は音響。
特に今回はマイクがほしいな〜と思いました。
現状だと、セリフは生音ですから。
前の方で観た時はなんとか聞き取れるのですが、
後方で聞く連続早口攻撃は、かなり聞き取りづらかったです。
コスト的にも大変であることは重々承知ですが劇場が広くなった分、
何人かの主要キャストだけでもいいからマイクはほしいな〜と思います。

今回は公演前、そして休憩時間も楽しませてくれます。
話の流れとはあまり関係がないため安心です(笑)
これはなかなかいいですね!
ファミリーミュージカルということもあって、子供との対話を重視したような気がします。

「千と・・・・・」のところは、左上に「顔なし」が登場してましたが、ちょっと気づきづらいかな?

スワンとスワンの母の心の交流のところは、前回もですが見どころのひとつ。
二人が感情移入するだけでなく、
これを見ているラビットとセレブも感情が高まってしまうんですよね。
セレブの桐原真奈は目がウルウルしてギリギリ我慢していましたが、
ラビット役の佐藤里緒はボロ泣き。
この年齢ですし、感受性豊かな女の子なのだと思います。
自分の次の演技でそれをひきづらなければ、泣いてもいいな〜と思います。
ただ、自分の出番で影響することだけは避けてほしいです。まぁ〜まだ若いですけどね。

オープニング。
ダブルキャストのアンサンブルも登場してかなり豪華な群舞。
なかなか楽しいです!
まさしく、王道なジュニアのファミリーミュージカルといった感じ。
ややダンスがメインでしょうか?
歌唱力がある子が少ないのはちょっと残念。
佐達ももこ、佐藤里緒、魚嶋奏世が、歌に関しては印象に残りました。

前回と同じですが、ライオンが長い魔法の言葉を喋るところは好きだな。

気になった役者さんは・・・

主役の翔役の山本剣さん、フェンディ役の柳志乃さん、ミーシャ役の本村聡さん、
他、みなさん大人陣は完全にプロなので言うことないですね。
感想なんて書く必要もなく、素直に演技を楽しめました。
山本剣さんの熱い演技はいいし(笑)
柳志乃の子供の頃から変わっていないルックスにも魅了(汗)
ツッコミのあるナンバー「Rainy day」は楽しいですね!!

ピーター役の佐達ももこ
彼女はピーターをやるなら、こんな感じだろう〜というのが予想できるピーターです(笑)
演技もうまいし、男っぽい喋り方、相手をけなす言い方もうまいです。
とにかくセリフがしっかりしていて聞き取りやすいです。
蛇足ですが、姉である佐達ちはるのMCの喋りに似てきました(爆)
これがいいのかは微妙なんですけど(汗)
◆チームの中では、歌唱力はナンバーワンでしょう。
他の子と比べて質がまるで違います。
男くさいところから「ネバーランドへ行こう〜!」の面白系への変化はかなり面白かったです。

同じくピーター役の小野田美夕
ダブルキャストの相手が佐達ももこということで、
彼女には相当プレッシャーがかかるかな〜と思いましたが、
ど〜して、ど〜して。勝るとも劣らない立派なピーター役を演じました。
なかなかやりますね!
男性チックな感じもいいし、セリフもいいし、ピーター役にバッチリはまってます。
歌唱力に関してはまだまだですが、素材として非常におもしろい女の子です。
セリフは・・・・・・・・次回頑張ってください。
この舞台だからこそ許される感じ。他のカンパニーはかなり厳しいですよ。

スワン役の吉川舞
なかなかルックスのかわいい女の子ですね。
表情が特にいい。コケティッシュな魅力(笑)
歌はまずまず〜な感じかな?頑張ってはいるけれど声量はない。
でも彼女は雰囲気がとてもいいです。
スワン登場時のおどおどした感じから、ドレスアップした変化はとても印象に残りました。

同じくスワン役の飯嶋あやめ
「GANG」ではあまり印象に残らなかったため、今回はかなり注目して観ました。
主要キャストに抜擢されたこともあり、けっこう緊張していたかもしれませんね。
スワン役自体が派手な役でないため、地味に抑える演技かもしれないので、
正直なんとも言いにくいです。
表情が不安定なのもこのせいでしょうか?
セリフは若干弱いかな?これも演出かもしれないのですが・・・
彼女の演技は観ている方からしてみると、好き嫌い別れるかも。
歌唱力はまだまだかな?声量がほしい。
ただ、アンサンブルでの登場は笑顔が抜群にかわいいです。
ダンスが得意なのかな?こちらの方が元気いっぱいで楽しい。

スワン役はふたりとも、おそらくわざと地味な演技をしていたのだと思います(たぶん)
心細そうな感じでした。
さらにふたりとも感情移入をして大つぶの涙を流していました。
すごいですね。普通はなかなかできませんよ。
ふたりの演技力に脱帽。
ただ、一点。
仮に涙を流すほどの演技をしたとしても、近くの観客はそれがわかっても、
遠くの人にはそれが伝わりません。
遠くの観客からもその雰囲気が伝わるようにさらに頑張ってほしいと思います。
まだまだこれからですから。

ピノ役の左川桃子は演技が好印象。

同じくピノ役の春日希
彼女のピノ役もいいですね。パンフレットと髪形が違うのでイメージ違いますが(笑)
歌唱力はまだまだこれからですが、落ち着いた演技はじつに魅力的。
私はけっこう好きなタイプの役者さんです。

セレブ役の佐藤瑞季
つんけんとした感じで、高慢な感じのセレブかな?
落ち着いた演技です。

同じくセレブ役の桐原真奈
彼女にとってこの役はハマリ役。役柄的にバッチリでした。
佐藤に比べるとやや穏やかな感じです。
去年のカラス三女ワイス役や「GANG」の時と比べると演技が柔軟的になりました。
セリフもじつにしっかりしています。
歌唱力も、前に聞いた時に比べると良くなっていました。
「お宝〜」の時の面白い変化は、桐原の方が面白いですね。

ラビット役の松下莉子は流石にうまい。
去年ピノ役の女の子です。
私が見るかぎり少し痩せた・・・ように思えます。
去年はたまにおどおどしているところがありましたが、今回はひじょうにしっかりしています。
かなりの成長度を見せてくれました。個人的に大満足。

同じくラビット役の佐藤里緒
初めて彼女を観たのですが、これがかなりいいんですよ。
セリフもしっかりしているし、歌唱力もなかなかあります。
ハモリの時も高い方を担当していました。
背が低いことも加味してか、異常に目立ちます。
個人的にはビックリな実力者。
期待度大の注目の女の子でしょう。
これから相当伸びる予感がします。

ブリキ役の宇田千夏
演技はしっかりしています。セリフもじつに軽快。
背が高いこともあってけっこう目立ちます。
ブリキは途中から仲間に加わるのですが、宇田のブリキ役はかなり目立つんですよ。
印象に残りやすいです。
ダンスも見栄えがあって、なかなかいいです。
ただ今回気づいたのは、彼女は少し特徴あるダンスをしますね。
似たようなダンス、小高奈月もしていました。
(ダンスレベルは小高奈月の足元にも及びませんが・・・)
アンサンブルでの登場は花柄のスカート。これがけっこうかわいいです(汗)

同じくブリキ役の前田潮里
基本はダンスの子でしょう。
ブリキの演技としてはじつのところ印象は薄いです。
ところがアンサンブルで登場するダンスは秀逸!しかもかなり目立ちます。
ブリキ役よりもアンサンブルの方が印象に残るのは珍しい。

かかし役の宮川紗良は、花やしき少女歌劇団のひとり。
注目していました。
表情付けはなかなかいいですね!
よく見ると目がパッチリでけっこう美少女です。
花やしきの時とは印象違いますね。

同じくかかし役の巣山優希も目がパッチリの美少女。
パンフレットとイメージ違うんですけど(爆)
体の線もかなり細いです。
ちなみに◆チームのライオン役の川内優花のパンフレットの写真と実物が・・・(汗)
宣材写真なり、いろいろな理由があるとは思いますが・・・・・
演技的にはライオンの上之薗花奈同様、微妙な感じです・・・

カラス三姉妹は、★チームの魚嶋、奥川、石川が非常に秀逸。
じつにバランスがとれていて見応えありました。
三人ともに演技、そしてセリフ遣いが良く、流れるような感じで安心して見ることができました。
特に長女シャイナ役の魚嶋奏世は、セリフ、演技もしっかりしているし、
ダンスもなかなかいいです。足を上げる打点の高さも高いですね!
しかも歌もしっかりしている。全てにおいてバランスがとれていて好印象。
ちなみに]パンフレットの写真より実物の方がかわいいです(汗)

次女エルミナ役の奥川楓は背が高く、ルックスも良く、見栄えがいいです。
セリフも演技もしっかりしています。
歌唱力はこれからの課題でしょう。

三女ワイス役の石川楓子は、ジュニアアイドル界では有名なようです。
その実力、どんなものなのか、かなり注目していました。
じつのところあまり期待していなかったのですが(爆)
意外といいですよ。ビックリ〜!
演技もしっかりしているし、セリフづかいも小気味いいです。
このときの表情のつけ方もいい!
目が大きく瞳に力があるから、目立つんですよ。
歌唱力はまだまだですが、ダンスもキビキビとした感じで頑張っていました。
ただ単にルックスがいいだけじゃない、実力を見せてくれたので今後にも期待できますね。

◆チームのカラスの次女エルミナ役の佐藤緒莉はダンス、歌ともにまずまずかな?
同じく◆チームのカラスの三女ワイス役の西田有希
まだまだこれからの素材ですが、演技的には頑張っていたと思います。
セリフも良く頑張っていました。ただ、歌はまだまだかな?

総括
真面目な舞台が多いので、こういったコメディ系な舞台を見るとホッとします。
ファミリーミュージカルとしても、かなり確立したと言えるのではないでしょうか?
子供さんたちの出番も多く、
ダブルキャストの場合は本役のみならずアンサンブルでも登場できますから。

お笑い系なので、雰囲気が何をしてもいいという傾向になりがちですが、
自分の言うセリフのタイミング、セリフ忘れは気をつけてほしいです。
仮にもお客様からチケット代金を頂いているのですから。
商業演劇に出演する以上、自覚はもってほしいです。

来年もあるようなので、私もぜひまた観劇したいです。
ひとつ突っ込むとしたら、今回は日にちが良かったですね。
他の舞台とあまり鉢合わせしませんでしたから。
同じ傾向のミュージカルとぶつかってしまった時は、興行的につらかったかもしれません。
もしかしたら、いろいろ計算された日程なのかも。

(敬称略)


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