公演時期 | 2015年8月13日→16日 |
会場 | シアター1010 |
脚本・作詩・演出・制作 | 犬石隆 |
マーケティングディレクター | 大山堅司 |
音楽監修・作曲・作詩・編曲 | 玉麻尚一 |
作曲 | 金子貢 |
編曲 | 木並和彦 |
振付 | 中川久美・関根玲子・井上あゆみ |
総合プロデュース | 黒岩祐治 |
あらすじ | |||
母の病気などで重い苦悩や葛藤をかかえる17歳のマリア。 そんな彼女の心の中には、緑の星に住む王女様、 プリンセスの声がいつも聞こえていた・・・ マリアの所属する女の子ばかりの劇団「ボアベール」のオーナーで、 元俳優のマシューは父親のいないマリアと母親のケイトを、マリアの幼い頃から物心両面で支え、 励ましていた。 春、秋の劇団公演に向け、演出家のビリーの指導の下、子供たちの猛レッスンが始まる。 主役の座をめぐり、団員のソフィーがマリアに対しライバル心を燃やしていた。 夏になり、マリアは劇団の稽古もうまくいかず、母親の病状も悪化。 苦しむマリアの前に、プリンセスの姿が現れる・・・ (パンフレットより引用) |
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観劇感想 | |||
さらに大まかな話しの流れ。 マリアにはプリンセスの声が聞こえる。 →異世界。緑のプリンセスがマリアのところに行くと言い出す。 →マリアは劇団「ボアベール」のメンバーのひとり。 →とあるオーディションに合格をすると、ニューヨークで無料レッスンを受けられるとのこと。 →ライバルであるソフィーとの対立。 →マリアの母親は病気であり、一緒にいたい。 →母はマリアに対し、自分の道で頑張ってほしいと伝える。 →そんな中、マリアとプリンセスがついに出会う(精神的世界?) →オーディションで主役を勝ち取り、ニューヨークの無料レッスンも獲得。 →母の容体が急変。 →母親からプリンセスの言葉の意味を知る。 →主役の舞台。マリアがアドリブで観客へメッセージ。 という流れです。 長年続いていた「葉っぱのフレディ」ではなく、 今回は新作となりました。 何かの影響で、急遽このお話しになったのかな? という憶測もありましたが、舞台を観ればわかりますがそれはありません。 完全に作り込んでいた新作。 長年暖めていたものを、ようやく発表したように思えます。 多数の出演者による群舞、これがひとつひとつ細かい配置。振付も各自異なります。 これが急遽作ったわけがない。 まだプレビュー公演に近いものがあると思います。 ちょっと無理やりすぎないか?というところや、 明らかにその人のためのミュージカルナンバー、 長い間合い。 いろいろツッコミはあるものの、 おそらくは、とりあえず全部入れて詰め込んで(これでも短くしたとは思います) アンケート等を参考にして、そぎ落とし、修正していくのでしょう。 ただ、私の感覚で申し訳ありませんが、 話しはけっこう単調。 オープニングは豪華で、ミュージカルナンバーも多数、ダンスも盛りだくさん、 エンターテイメントとしては華やかだけれど、 ふと良く考えると中身が薄いことに気づく。 オーディション、ライバル、母親、妹、緑の国。 細かく説明的なものは少なく、淡々と観る感じ。 「考えさせられる深いテーマ」というよりかは、エンターテイメントに重点を置いている。 「葉っぱのフレディ」と同じことをやっても仕方がないので、 これはこれでありだとは思います。 人の「死」はあるにしても、舞台の楽しさを伝えたい。 そんな気もします。 そして私「アルゴミュージカル」ファンにしてみると、 何かどこかで見たことがある風景を思い出す。 「プリンセス」は「魔法使いの夏休み」 稽古場でたくさんの人数でガヤガヤしながら踊る場面は「真夏のシンデレラ館で」 気づく人は気づくでしょうね。 前述したようにオープニングから素晴らしい。 マリアとプリンセスの語り、ミュージカルナンバー。 ここもいい! 「魔法使いの夏休み」の流れ・・・という気がしないでもないけれど、 楽しいから、まっいっか! さらに、マリア、プリンセス、ソフィー、母親、ビリーのミュージカルナンバーも。 みんな歌唱力あります。 母親が亡くなりそうになり、マシューの助言により、マリアが手をつなぎ、話しかける。 楽しかった想い出話を母に語りかける。 ここのシーンも素晴らしい。 ただ、けっこう強引な部分もある。 緑、エコ、プリンセス、かなり強引ではある。 仕方がないとは思うが。 ここは私としては目をつぶりたい、 と言いたいけれど、それは甘えになるのか。 気になった役者は・・・ 「葉っぱのフレディ」同様に、このカンパニーの出演者に下手な子なんていません。 これに合格しただけで凄い。 子役のレベルが高過ぎ。演技、歌、ダンス、そして表情。 みんな笑顔でダンス。 簡単に笑顔と言うけれど、お客様に伝える笑顔の表情は難しい。 それを難なくこなす役者ばかり。 それがお客様にも伝わり、観ているこちらも楽しくなる。 エンターテイメントの核がここにある。 笑顔はいいね。 team(GREEN) 小山侑紀 主役のマリア役 子役時代から観ている者にしてみると、大きくなった印象。 「葉っぱのフレディ」でウェンディ役をやっていることもあり、 ダンスの優雅さは見応えあります。実に綺麗だもの。 本当に美しい。首の回転も切れがある。 演技、歌ともに違和感もなく、無難な感じかな? 笠井日向 プリンセス役。 準主役。彼女は初めて観ます。 華があって、笑顔が可愛い。 じつにコケティッシュな笑顔。 アルゴミュージカル「魔法使いの夏休み」でユキ役の小山菜穂に似ている気がしないでもない。 歌、演技ともに良かった。 セリフ回しも特に違和感ありません。 やっぱり華があると集中できる。 岡田かな ソフィー役 目力のある子。 体の線が細い。 マリアのライバルとして嫌な役だけれど、 ムカツク感が出ていて良かった。 敵キャラが光ってこそ、主役もそれに反射をして光るもの。 ちょっと緊張感があるところも感じられたが、それが初々しくもある。 「ミュージカル プリンセス・バレンタイン2」で、 佐藤まりあが演じたロキシーのような怖い女性の後継者になるかも。 鈴木桃子 キャシー役 とにかく笑顔が抜群。 表情付けも素晴らしく、アンサンブルの時もよく目立つ。 ミュージカル 葉っぱのフレディ〜いのちの旅〜 2014ではメアリー役を演じており、 私も好印象。 今回はさらにかわいい。 ここまで可愛く演じられるとは思わなかった。 キャラ付も抜群でしょ。 私的にかなりいい。 今中千尋 イライザ役 「ファミリーミュージカル ココスマイル7〜夏色のマイソング」2014年 「フラッパーズ〜私たちにできること〜」2015年 あの美少女がこの役を演じるとは驚き。 髪形をソバージュ?にして、雰囲気が全く違っていました。 偉そうに言わせてもらうと、 こういう役もできるようになったのかと、ちょっと感慨深い。 ただ、私的にはアンサンブルの風のウェンディのような髪を束ねている方が、 100倍可愛い。 また違った演技を観てみたい女優。 工藤美優子 ルイーザ役 「ファミリーミュージカル シュガー2〜いくつものツバサ〜」2013以来久々。 2年も経つとかなり成長する。 背丈も伸びた。 また似たようなおちゃらけた役ですが、コメディ系の演技はうまい。 いろんな役ができるのは重要なことだけど、 超ウルトラ美少女がこの役をやってほしいと言われても無理でしょ。 彼女は仮に笑いが失敗しても、許せる雰囲気があるんですよね。 そこが彼女の雰囲気、魅力だと思う。 文句無しで面白い。 大久保妃織 ドロシー役 普通かな?(このメンバーの中では普通でもうまいですが) まだまだのびしろがある。これからの子。 舛村彩希 ジェニファー役 どっしりとかまえ、みんなを見守る感じかな? 看護婦バージョンもありますからね。 劇団の時と、マリアの母親を看護する場面と、 けっこう難しい役柄でした。 新美たま希 アースリーフ役 浅見優衣 ライトリーフ役 ふたりとも、プリンセスのお供みたいな役柄。 漫才師にも似た感じ。 浅見優衣はミュージカルアニー2015メイキングを見た感想でも書きましたが、 実力のある女の子。 ただ、この役はちょっと物足りないかな? 佐々木美桜 ハニー役 今井栞音 モル役 こちらもお供的な存在。 今井栞音かな?クネクネしたところは良かった。 team(BLUE) 加藤梨里香 主役 マリア役 「ミュージカル プリンセス・バレンタイン2」以来。 じつは前々から、さらにうまくなったいう話しは聞いていたのですが、 なかなか観にいけずじまいでした。 いつか見よう、いつか見ようとずっと思っており、ようやく観劇。 素晴らしい。 素晴らしいの一言。 言うことない。本当に素晴らしい。 で、終わるのもつまらないので。 前述した小山侑紀も本当に実力ある女優。 子役時代から今でも。 ただ、申し訳ないけれど、加藤梨里香はさらにそれを上回る。 表情付け、セリフ、歌、演技、感情表現。 どれをとっても素晴らしい。 特に、自分の感情をのせる歌い方はかなり効果的。 さらに彼女には「華」がある。 非のうちどころがない。 なんと言うかな、マニア的な私の表現になりますが、 マンガ「ガラスの仮面」で子供時代の姫川亜弓が、 親の七光で役を手に入れたと思われることが嫌で、 初めて演技の実力で役を手に入れた「赤いマント」エマ役。 「見た?私は実力で勝ち取ったのよ!」 あの誇らしげな姫川亜弓に加藤梨里香が似ている。 実力で勝ち取ったマリア役。 それを思う存分、舞台の上で表現している。 演技もしっくりくるし、セリフもよどみない。 マリアそのものに思える。 彼女の表現力には脱帽。 あえて言うなら、ダンスは小山侑紀の方が上かな。 ほんとにそこだけ。 凄いよ、加藤梨里香。 そりゃ、大手のオーディションに受かるのもうなずける。 彼女の実力。 河崎千尋 プリンセス役 声のトーン、歌い方が少し独特。 これは好き嫌い別れる。 少しだけれど、セリフが聞き取りづらい部分もあるかな? とはいえ、まだ少6。 新人だし、おそらく大抜擢だと思います。 これからのステップアップに期待。 木村奏絵 ソフィー役。 「ラブリーズ3〜きみの迷い道〜」では久野里沙子役。 「葉っぱのフレディ〜いのちの旅〜2012」ではクレア役。 私が言うのもなんですが、かなりの実力者。 二つの役ともに、おとなしく穏やかな雰囲気で、 ハマリ役だな〜と思いました。 今回はマリアのライバル役。 うって変わって怖いほど嫌な感じ(笑) こういう役もできるのかと感心しました。 もちろん女優なので、いろいろな役ができるのは理想だけれど、 現実にこなせるのはなかなか難しい。 それを彼女は平然とやってのける。 恐るべき木村奏絵。 目つきや表情付け、雰囲気、マリアへのライバル心。 主人公の嫌なライバルとしては最適。 その後、改心(?)して明るく笑顔になるのだけれど、 この変化も抜群。 全てのバランスがいい。 安定感としては一番使い勝手がある。 加藤梨里香の演技に対抗できるのは、このメンバーの中では間違いなく彼女。 (村田実紗もいけるが) 木村奏絵のソフィーがいてこそ、加藤梨里香の演技もさらに輝く。 演技、ダンスも光るが、さらに印象に残るのがミュージカルナンバー。 彼女のソロの歌声も素晴らしい。 このソフィーは凄かった。 私も脱帽。 木村奏絵、すごいよ。 野呂桃花 キャシー役 「ミュージカル ぼくのグリーンペッパー」でのアカネ役は印象的。 赤い衣装でした 今回の出演者、ほぼ全員笑顔が素敵なのだけれど、 じつのところ一番印象に残ったのが彼女の笑顔。 アンサンブル出演でも、異常に目立つ笑顔。 今回の髪形と前回の髪形は似ているかな? そのせいもあってか、野呂桃花のイメージは凄くわかりやすかった。 この笑顔でダンスをすると、とても楽しくなる。 ウキウキ、ワクワクする(死語) しかも、彼女は前回の舞台より演技もうまくなった。 さらにあの表情付け。 女優のまつながひろこにも似ている。 私が演出家で何か舞台をやるとしたら、彼女は絶対にはずしたくない。 そう思えるほど彼女の個性は秀でている。 今回の隠れMVP。 臼井萌音 イライザ役 背が高く、アンサンブルでも良く目立つ。 風のウェンディみたいな格好でも異常に目立つ。 そもそも最初は今中千尋?って思うぐらい。 イライザ役の二人はかなり似ていて、二人とも美人。 嫌味ったらしいイライザも、まずまず頑張った。 目つきも良かった。 そして、かなり緊張した表情もわかる。 新人だと思うので、これからブレイクする予感。 中島さくら ルイーザ役 ミュージカル 葉っぱのフレディ〜いのちの旅〜 2014ではダニエル役。 彼女は中1だけど、なかなかの実力者。 ってか、去年小6でダニエルだったのか。 そっちの方が驚き。 お調子者役は難しいけれど、まずまず頑張った。 ちょっとスベリ感もあるが。 近貞月乃 ドロシー役 ミュージカルアニー2011ではモリー役。 大きくなった。 つっきーは良い愛称だ。 どこからか、ツッコミはあるでしょうね。 小5なのに、雰囲気が他の子と全く違う。 はためからだけれど、プロ意識を感じる。 ドロシーはそこまで重要なキャラクターではないけれど、 全力で演じているのがわかる。 セリフ回しもしっかりしているし、やわらかな演技。 表情もキリッ!としまる。 それでいてダンスシーンも見事にこなす。 小5でこれは末恐ろしい。 お姉ちゃん超えるかも。 と言うと、お姉ちゃんに怒られるのであまり言わないでおこう(笑) 惜しむらくは演技の実力があるので、もう少し出番のある役も十分にこなせると思いますが、 ま〜順番なので、ここは我慢かな。 村田実紗 ジェニファー役 「アリスのいる部屋しっぽver.」の時が印象深い。 個性あふれる女優。 アンサンブルで登場した時点で、ものすっごい雰囲気。 緊張感走るレベル。 何をやらせても、本当にキッチリこなす演技。 そこまで目立つ役ではないけれど、物凄く自然な演技。 ダンスシーンも印象深い。 お見事。 山内瑞葵 アースリーフ役。 ミュージカル 葉っぱのフレディ〜いのちの旅〜 2014からどこまで成長したのか? とても期待していました。 男っぽい演技はお任せ。 少年役は得意でしょ。 あくまで観ているかぎり、吹っ切れた感がある。 枠にとらわれていない。 彼女なりの少年のセリフ回しもクドサが抜けている。 回りに合わせるようになったのかな? 前は自分先行があったけけれど、抑えている部分も見受けられました。 ただ、おしむらくは、この役はもったいない。 他の役が・・・ただ、当てはめる配役がたしかに難しいところ。 田中凜音 ライトリーフ 意外と言っては失礼だが、なかなかいい! コメディチックでありながら、時に可愛さ全開。 おしゃまなところがかなり面白い。 もうちょい出番が多いとさらに嬉しいのだが。 笠原希々花 ハニー役。 可愛らしいルックス。アンサンブルの時でも目立つ笑顔。 表情付けもよく、ひじょうに面白い。 さらに「華」もある。 この子は今後化けそうだ。 小島友花 モル役 う〜ん、そこまで印象に残らなかった。 申し訳ない。 そもそもハニーとモルはそこまで目立つ役ではない。 ハニー役の子が特別すぎ。 大人キャスト 簡単に。 宝田明 マシュー役 新しい役は嬉しいでしょうね。 年を重ねても新しい挑戦は常にしたいもの。 新しいソロのミュージカルナンバーもありました。 小野田龍之介 ビリー 役 葉っぱのフレディは何度も出演していますが、 葉っぱのフレディ 〜いのちの旅〜2007が印象深いかな? ミュージカル「オオカミ王ロボ」2011も印象深い。 プロなので、言うことありません。演技も歌も。 「ターキージョー」のミュージカルナンバーはかなり長め。 彼の為のナンバーでしょう。 少年兵がらみの話しは、日本でもありました。 他の世界の話しではない。 吉川麻美 ケイト役 彼女は初めて。 あくまで印象としては、舞台の奥の方にいる感じでした。 病気なので仕方ありませんが。 マリアにプリンセスのことを話すところが、一番盛り上がる場面。 総括 「葉っぱのフレディ」と比べ、エンターテイメントを重視。 群舞も盛りだくさん。 子役のレベルの高さは当然として、 主役の加藤梨里香が秀逸な演技。 「華」があって、光輝いている。 これからは子役ではなく、 大人の中で若手の新人女優として飛躍していくこと間違いなし。 テレビと舞台とでは趣が異なるが、さて、どちらに進んでいくことになるのか。 舞台の流れとして、 「命の大切さ」の意味合いはわかるものの、 「緑の大切さ」を関連付けるのは、ちょっと強引な気もしますが、 そのへんはSFということで。 「葉っぱのフレディ〜いのちの旅〜」が、何度も修正していったことを考えると、 今回の新作も、いろいろと変化していくかもしれません。 (敬称略)
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