ミュージカル 葉っぱのフレディ〜いのちの旅〜 2011

春組 満足度
◆公演時期   2011年7月29日〜7月31日
◆会場 北千住 THEATRE1010
◆原作 レオ・バスカーリア
◆企画・原案 日野原重明
◆脚本・作詞・演出・制作 犬石隆
◆翻訳 みらい なな
◆総合プロデュース 黒岩 祐治
◆音楽監修・作曲・作詞・編曲 玉麻 尚一
◆作曲 金子 貢
◆振付 中川久美・関根玲子

あらすじ
いのちというのは、永遠に生きているのだ。
春に生まれた葉っぱのフレディ。
夏には人間に木陰を作り、秋には紅葉してみんなの目を楽しませ、
冬、風にのって母なる大地へ帰っていく。

人間の心の移り変わり、そして、短い葉っぱの一生・・・
いのちはめぐる・・・・・
(過去のパンフレットより、一部抜粋)
観劇感想

毎回、毎回、毎回、子役のレベルが本当に高い舞台。
「葉っぱのフレディ」のメンバーで下手な子なんていません。
子役のレベルが物凄く高い。
尋常ではないほど高い。

何度も公演されていることもあって、
じつに観やすく、飽きる部分がいっさいない。
説教くささ、ずいぶん前から全くありません。
休憩無しの1時間40分ぐらいですが、本当に観やすい。
子供なんて、ほとんど飽きないでしょう。

それはともかく、今回、私が観た回では、
農林水産庁の政務官、
林野庁長官、観光庁長官まで来ていました。
どうりで、やたら客席からのフラッシュが多いはず。
フレディの衣装まで着ているとか。
お供が多いのも仕方ありませんが。
私に言わせると、
「公務員の給料2割削減はどうなったのか」とか、
「国会議員の数を半分に減らせ」とか、
大声で叫びたかったのですが、大人なので自重しました。
政府批判、政治的思想を持ち込むのは嫌なので、かなり我慢。
子供はともかく、大人は騙されません。
それはそれでおいておいて、
政府が告知をしてくれるなり、バックアップしてくれるのならいいですけど。

物語の流れはいつもと変わらず、
春、夏、秋、冬の四季。
そこに葉っぱ、ルークとメアリー、マークとクリスがからむ展開。
詳細は下にある過去の観劇感想を参考にしてください。
内容は、特に前回と変わった部分がないもので・・・
河村隆一氏関連は終わったということでしょうね。
そこの部分のミュージカル・ナンバーはありませんでした。
いつからか、ツアーインストラクターに、坪井香奈子氏が・・・
わかる人にはわかります。

全体的に言うことがありません。
毎回同じ内容ですが話がどんどん進むので、
前述しているように飽きることはいっさいなし。

ただひとつ、
私が気になったのは、ヒップホップの場面。
何か物足りない。
振付のせいなのか、
全体的なダンスレベルが下がったせいなのかわかりませんが、
ここだけ、悪い意味で印象に残りました。
他はすべて楽しかったんですけど。

クレア、フレディ、メアリー3人の曲、
「しあわせの船」
ここは毎回のことながら抜群。
みんなうまいもの。
ダンスももちろん重要だけれど、
やっぱり最近は歌唱力に重点が置かれているかな?

気になった役者は・・・

葉っぱのフレディ出演者はレベルが高く、
特に言うことはないのですが、気になった方を少しだけ。
申し訳ありませんが、春組のみの感想。

主役、フレディ役の碓井なずな
外の花もじつに豪華。
それはさておき、このフレディは、ちょっとお調子者な感じ。
ごますりのゴマではないけれど、
臨機応変に対応できるフレディだな〜と思って観ていました。
歌唱力はマズマズ。
この年齢でこれだけ歌えれば十分。

クレア役 長澤夏実
プリンセス・バレンタインではルイーザ役で、
彼女の実力を見せつけてもらいました。
その長澤夏実がクレア役。
クレア役というのは、過去にこの役を演じた女優でも、
けっこう演じ方が別れます。
おっとり系とか、ややボケ系とか、優しい系とか。
長澤夏実の場合は、気品漂う高貴な雰囲気。
おっとりした感じではない、王女様的な印象を受けました。
ルックスも美人ですし、イメージはピッタリ。
フレディでなくても、惚れますよ。

歌唱力もソロがあることから、うまいです。
ただ、今回は他のメンバーも物凄く歌がうまいんですよね。
下手な子がソロで歌うなんてことは、
舞台ではありえませんから。
ただひとつだけ気になるのは、彼女のセリフ。
やや軽い部分がある。
空回りしているセリフがあるように、私は感じました。
ここを改善していくと、さらに良くなりますね。

ダニエル役の松本麻稀は初めて観させてもらいましたが、
無難ですね。
頭脳明晰で落ち着いた雰囲気の王道なダニエル。
セリフもしっかりしているし、歌もうまいです。

アン役の川田菜々子
じつはちょっと心配してました。
なんとなく、川田菜々子の雰囲気はおっとりして優しい雰囲気なんだもの。
たしかにミュージカル・アニー2010では、
皮肉屋であるペパー役を演じてはいるけれど、
どちらかと言うと優しい雰囲気が目立つ子。
そのため、ちょっと気の強いアンをどう演じるのか、不安はありました。
ところが、いざ観劇して見ると、なかなか強気のアン、頑張ってますね。
特に瞳。
彼女はクリッとした大きな瞳が特徴なのですが、
今回の場合は、この大きな瞳が良い意味で気の強い雰囲気を出しています。
優しい瞳ではなく、気迫の瞳。
こういう演技もできるんですね。
ペパー役とはひと味違う、新たな川田菜々子の一面を観た感じがします。

ベン役の石川彩楓
ダブルの村田実紗が、去年素晴らしいベン役を演じたことから、
彼女もそうとう気合が入っていたことでしょう。
まずまず男っぽさは出ていたと思います。
王道なベン。

メアリー役の中原櫻乃
言うにおよばず、ミュージカルアニー2010では主役のアニー役。
う〜ん、この役は当たり役すぎる。
完全にハマリ役でしょ。
ものすごく面白い。
ものすごく受けます。
地・・・・・とはあえて言いませんが、
役作りはアニーに比べたら楽だったかもしれませんね。
演技力、本当に素晴らしい。

ダンスレベルも高くなりました。
見応えのあるダンスしますよ。
さらに驚くべきは歌唱力。
めちゃくちゃレベルアップしています。
これは衝撃的なほど。
とにかく声がよく伸びる。
透き通る透明感ある歌声。
本当に驚く。
「しあわせの船」のナンバーなんて、言うことないですよ。
中原櫻乃が、
ただのお調子者では無いということを、
見せつけた感じ。
アニーの時は歌唱力のことを、メイキングでさえ言われちゃいましたからね。
相当なヴォイストレーニングをしたことでしょう。
つまりは、歌がまだまだでも、
しっかりトレーニングを続ければ、
これだけレベルアップできるという良い見本。

それ以外に、ちょっと気になったのは声が高音になったでしょうか?
変声期かな?それとも気のせいかな?
ただ、足が長くなったのは間違いありません。
客席からもかなり目立ちました。
中原櫻乃は、アニー役より、このメアリー役の方が断然いいですね。
12歳、12歳って表現、
やっぱり、アニーの11歳を意識しているのかしら?

クリス役 越川萌花
彼女を観るのは初めてです。
地方ミュージカル出身なのでしょうか?
う〜ん、なかなかうまい。
すごく個性的な演技で、
前任者のクリス役、北川理恵に雰囲気が似ています。
自分の「個」を持っている女優。
独特な雰囲気。
おそらく、アニー系とか、そういった流れとは違う雰囲気。
だからこその「個」でしょう。
カツゼツがいいし、セリフまわしもしっかりしています。
マークとの恋人同士のところも抜群。
雰囲気最高だもの。
ここの部分に関してだけは、
もしかしたら、北川理恵クリスを上回っているかもしれません。
ラブラブな雰囲気のところは、ちょっとすごい。
「恋している」雰囲気がわかる。
「ガラスの仮面」の姫川亜弓でさえ、
「恋してない」ことが、一般の人からバレましたからね。
そういった意味において、越川萌花は恋をしている演技。

マークとクリスのナンバーは本当に難しく、
誰もが高音を気にしてしまいます。
そのナンバー、越川萌花はものすごく良くやってますよ。
普通に考えたら、かなり十分な歌唱レベル。
このナンバーを歌いこなせてますから。
ただ、まだまだ伸びる要素があると思うので、
さらなる高音、伸び、上を目指してほしい。
まだ中学3年生だもの。
別件ながら、ここまで「個」が強いと、
彼女のひとり芝居を観たくなる。
そういう衝動に駆られるほど、久々に現われた稀有な女優。

マーク役の井手口拓也
アルゴミュージカル2008「花の海 花いろの風−里山小学校5年1組−」では、
原健太郎役。
全く覚えていないのは、申し訳ない。
ちょっと顔の表情がまだ固いかな〜と思いました。
慣れてくると、和んでくるでしょう。
ダンス、歌、無難にこなしていたと思います。
女性陣に囲まれて、大変だったような気がします。
過去のマーク役と比べると、若いですから。

風のウェンディ役 高橋美衣
過去に同じ役を演じた方に怒られますが、
これはまさに「
美人すぎる、風のウェンディ
観ていてビックリ。
去年のクレア役も秀逸でしたが、このウェンディ役も素晴らしい。
ダンスも良いですが、やっぱり歌。
一番最後のソロは、超ウルトラスーパー抜群。
ものすごい美声に、透き通る声、さらに声量。
そりゃ私でも、彼女をウェンディ役に抜擢したくなりますよ。
ほぼ完璧のウェンディ。
ただ、彼女はこんなに美人なのに、不思議と面白い雰囲気もあります。
舞台上は普通に演技をしているのだけれど、
ひとつひとつの仕種、セリフが面白く感じます。
素の天然さかな?
それが意外と観えるんですよね。
私だけの特殊な印象。
コメディをやっても面白いかも。

夏組クレア役の土屋美晴は、今回クレア役を観劇できませんでしたが、
葉っぱ役でも、ダンス、表情付けと、すごく印象的でした。
さすが土屋美晴と言ったところ。
クレア役も観たかった。

アン役の鈴木麻祐理も、葉っぱ役の時しか観られませんでしたが、
表情に個性があって、ダンス力もあり、葉っぱでも目立ちました。
このアンも本当は観たかった。

葉っぱ役の赤須千夏はロングの髪を切っていたんですね。
もともと実力ある子だし、惜しむらくは良い役をやらせてあげたかった。
プリンセス・バレンタインのキャシー役なんて、まさに当たり役。
「葉っぱのフレディ」の登場キャラクターとして、
天然ボケキャラがいないのが残金。

総括

コンパクトにまとまっているせいかわかりませんが、
ものすごく楽しかっです。
遅れてきた新人、越川萌花の個性あふれるクリス、
尋常ではないほどレベルアップした中原櫻乃のメアリー、
そして、美人すぎるウェンディの高橋美衣と、
他のメンバーも注目なのだけれど、
特にこの3人は印象に残りました。

最近のテレビでの口パクがうんざりな方は、
生で美声を聞く場所、舞台を観てほしい。
お金を払ってでも聞きたい、観たいものがある、
それが舞台だと思います。

(敬称略)


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