本文へスキップ

エターナルファンタジーはファミリーミュージカル公演サイトです。

TipTapワークショップリーディング公演ブロードウェイミュージカル「High Fidelity」

満足度星星星半星空星
公演時期 2018/12/22→25
会場 すみだパークスタジオ倉
音楽 Tom Kitt
作詩 Amanda Green
脚本 David Lindsay-Abaire
上演台本・演出 上田一豪

あらすじ

レコード店を経営する、冴えない男ロブ。
店には本人同様、生粋のレコードマニアしか集まらず、閑古鳥の毎日。
そんなロブに愛想を尽かした彼女のローラは一方的に別れを告げる。
恋愛も人生も上手くいかない理由を探して過去の恋愛遍歴をたどるロブ。
人生における最も悲惨な失恋ベスト5を選び出して自分を忘れられない恋愛を見つめ直していく。
そしてローラを忘れようとするが・・・
(公式サイトより引用)

観劇感想

生演奏もあって豪華な布陣。
客層も独特。
おそらくは出演者のファンの方であるとか、固定客とか、舞台、ミュージカルに精通している人が多い。
何かと観客からの反応があり、感受性が強い客層だな~感じました。
もちろん、観客のせいではないのだけれど、
「ここで笑わないといけないのか?」とか、
舞台、ミュージカルの面白さ知ってるの?みたいな敷居の高さを肌で感じ取ってしまう。
私もほどほどに舞台観劇はしていると思うが、それでもこの感覚は微妙。
考えるより感じろ!観客も思うがままに感情を表に出せばいい!
というのが苦手な観客もいる。
私だ。
思いのまま表現するよりも、舞台、観客を分析してしまう。
雰囲気的に、
漫画「魁!!クロマティ高校」の「それはひょっとしてギャグで言ってるのか!?」のネタとして思えてしまう。

ブロードウェイミュージカルで、知名度の低い作品を提供


パンフレットにも書かれていますが、まず今回の公演はワークショップ公演。
ブロードウェイミュージカルではあるものの「High Fidelity」は知名度が低い。
ブロードウェイで上演されたものの、わずか1週間程度でクローズされた作品とのこと。
作品としても酷評ばかり(汗)

これに似たことは、スティーヴン・スピルバーグ監督がプロデュースしていた、
ミュージカルテレビドラマ「スマッシュ(原題) / Smash」でもよくわかります。
紆余曲折があるのがあからさまに出ています。
ブロードウェイ作品になるまでの流れとか、
主役、演出家、脚本家、プロデューサー、音楽監督によるゴタゴタ。
実際にあるだろうな~的なネタが満載で楽しかったです。

知名度の低い作品ではあるものの、
誰かに一度観てもらえば、知る機会になってもらえば、
というプレゼン的な意味合いがあるワークショップ公演。

わずか10日間の稽古とのことでしたが、
全く違和感なく普通の舞台として観劇できました。
最初の司会者の煽りで、ワークショップなので大目に観てください、
的なことも言っていたのですが、どうしてどうしてしっかりした舞台。
逆にもっとアドリブとか、もっと戸惑う役者さんがいるかと思いました。
ほんとに一部はあったものの、とりたてて詰まることもない。
逆にもっと弾けていても、観客は寛容に受け入れたと思う。

ミュージカルナンバーのところは、生演奏でもあり、
変なアドリブとか入れられませんけどね。
 
スポンサードリンク


洋楽がメイン、女性遍歴がテーマ


洋楽の話しがメインなので、私にはついていけませんでした。
洋楽好きな人向け。
友人で、尾崎豊、中島みゆき、松任谷由実、サザン、X JAPAN
それぞれに好きな人がいたけれど、私は全く合わなかった。
何がいいのかが全く理解できず。
音楽の種類の好き嫌いもある。

そもそものテーマが、主役であるロブの女性遍歴。
彼女から一方的に別れを告げられ、
過去の女性遍歴の振り返り、そして現在の自分へと人生を見つめ直していく物語。

私も自称評論家なので(汗)
この舞台を分析すると、洋楽メインでアメリカをアピール。
そして女性遍歴。
時に有名歌手も登場する。

評論家に受ける狙いをするのであれば、
「もっとエンターテイメント性を入れて」と言われると思う(後半のノリがそうだが洋楽は好き嫌いがある)
女性遍歴のところはイマイチ観客はついていけないかな?
通常の恋愛というよりも、もっと非日常的に面白おかしくした方が良かったかもしれない。
そもそもそこまでロブに感情移入できないのがつらい。
最初からダメダメ人間ならともかく、彼女作りすぎですから。
やることはきちんとやっているもの。
そこがアメリカ的と言えばアメリカ的なんですけど。
そんなこんなでやっぱり感情移入できない。
日本人の判官贔屓のせいかもしれないが、ディックの方が感情移入できる。
だからこそ、あの配役、脚本なのだろう。
なんて偉そうに論評してしまう。

マイハシは日本だけのもの

ハシが出てくるが、自分のハシ、マイハシを使うのは日本だけ。
他の国はそういうものがない。
日本の個性だ。
それができるできないで、
スパイかスパイでないか判別する舞台もありました。

見終わった後の空虚感

舞台自体は素晴らしい。
役者さんもプロなので、きっちりしっかりした舞台。
ただ、内容的にはしっくりこない。
これといったテーマもないし、女性遍歴もどうでもいいし、
ローラとまた再びくっつくなのか~で終わり。
恋愛がテーマの舞台は面白さがよくわからない。
他人の色恋沙汰の面白さが、なかなか理解できない。
芸能のゴシップネタみたいな感じかな?
私が芸能ニュースに興味がないことも要因のひとつかも。

結末もベタな展開。
最近というか、今は舞台もリバイバルブームで、
昔の作品を再び上演することが多い。
ウエスト・サイドストーリーも、2011年に終演して以来約8年ぶりに上演するぐらいですから。
(プレビュー公演 2019年12月10日、オープニング公演2020年2月6日)
アメリカですらネタがないのか。
ハズレの作品を引きたくないのか。
スポンサーがつきやすいということか。|

もし日本的にアレンジするのであれば、
最初の場面にもありましたが、レコードに相撲とか演歌とかを入れたり、
過去の女性も日本的な女性を入れたりすると敷居が低くなるとは思う。
ただ、アレンジしすぎるとブロードウェイ作品でなくなってしまうか。

スポンサードリンク


みなさんプロなので、言うことはありませんが少しだけ。

ピックアップ

  • ロブ役の神田恭兵ミュージカル「ウーマン・イン・ホワイト」以来か。
  • ひとり芝居というわけではないが、ほぼ出ずっばり。ルックスもかっいいし、ミュージカルナンバーも多く、歌唱力は当然のことながら抜群。私としては耳に心地良い歌い方。ダメダメ人間というわけでもなく、やっぱり女性にもてる要素があるロブだな~と感じました。ただ付き合っていくうちにダメな部分が見えてきてしまい、別れ話が出てくるのかも。
  • ローラ役の谷口あかりは初見。 率直に美人だな~と思いました。雰囲気的に瞳の使い方が奥村優希にも似てる。
  • ディック役の田村良太は、メガネをかけていておとなしい雰囲気。そのものって感じ。
  • バリーの荒井正樹は破天荒で個性がある曲者だ。前半の方が好きかな?後半のバンドの方はあまりよくわからなかった。
  • リズ役の森加織はとても印象的。ルックスも個性があるし、一度見たら忘れられない。姐御肌的な雰囲気がとても良かった。ただ、後半なぜバリーのバンドが好きになるのかはイマイチよくわからなかった。相性が良かったのかな?
  • イアン役の岸祐二は独特で異様なキャラ。インド?ヨガの先生的な雰囲気。ただ、KYMAO役の菊地まさはるの方が濃い役だったので、あちらの印象の方が私は強い。
  • KYMAO/ブルース役の菊地まさはるは、Score Produce『LITTLE WOMEN ~若草物語~』でのベア教授、ミュージカル座 「スペリング・ビー」のダグラス・パンチ役、というか演出も。KYMAO役は雰囲気が竹中直人っぽくてとても面白かった。クセが強くて濃い。
  • アンナ役の小林風花はハマリ役。物静かで、それでいて自己主張するところはする、こういうはかなげな役は彼女にピッタリ。
  • アリソン役の江見ひかるは、葉っぱのフレディのカミキリムシのモアとか、ミュージカル プリンセス・バレンタインのイライザとか、ルックスと笑顔は今でもよく覚えている。アリソン役だったのか。全く気づかなかった。髪形なのか、メイクのせいかな?
  • サラ役の日下麻彩という名前、どこかで聞いたことあるな~と思ったら、NEWSエンターテイメントか。懐かしすぎる。文章書いてるから、名前を書いているとピントくる。

総括

ワークショップ公演ですが、
出演者が一流の方なので、舞台としては文句のつけようがありません。
基本、主役ロブ役の神田恭平がほぼ出ずっばり。
彼に集中できれば、とても楽しい舞台だが、
その彼から恋愛遍歴の話しを持ち出されても特段面白くもなく、困ってしまう。
物語自体が私には合わなかった。

アメリカすぎる作品で日本には合わないかな?
トニー賞で各部門賞をとった「ブック・オブ・モルモン」を日本で上演しないのもそんな理由。
日本としてはやはりアレンジした方がいいかな~?

※敬称略
キャスト表