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観劇感想

満足度星星星空星空星
公演時期 2019/8/22→27
会場 iTSCOM STUDIO & HALL 二子玉川ライズ
作・演出 畑泰介

あらすじ

主婦の陽奈多は、街中で偶然出会った綾瀬と不倫の関係になってしまう。 しかし、綾瀬は実は『別れさせ屋』の優秀な工作員。陽奈多の旦那が仕掛けた罠だったのだ。

『別れさせ屋』によって、どん底の生活に陥る陽奈多。 一方、仕事として割り切っていた綾瀬であったが、ある事件がきっかけで、陽奈多を本気で好きになってしまう。 しかし、それも実は・・・。

『運命的な出会いの法則』を使って、騙し騙される仁義なき恋愛ゲームが始まる! (公式サイトより抜粋)

公演場所、箱の広さ

「iTSCOM STUDIO&HALL 二子玉川ライズ」という箱は初めて。 おそらく演劇というよりかは、本来は別の用途で使われることが多い場所だと思います。 劇場内も広いし、天井も高いし、匂いもいい。 この感覚はかなり古いが、東京ドーム前特設テントで作った『七つの海のティコ』を思い出す。 あの匂いに近い。

それはそれとして、舞台と観客席の距離がけっこうあったのが気になる。 客席と客席の間もかなりあるので、本来であれば十分に詰められる。 スタッフの配慮がもう少しあればな~と思うが、本来はそういう使われ方はしていないので、やむをえないのかもしれない。 舞台そのものとして、正直広すぎる印象。 もう少しコンパクトな箱の方が観やすかったかもしれない。 (ぜいたくな悩みだが)

物語の詳しい流れ

  • 主婦の陽奈多が綾瀬と出会う。
  • 最初は嫌な奴という認識。
  • ところが偶然にも自分の通っている外国語の教室に入学してくる。
  • さらに偶然にも三度出会い、今度は彼の優しさがかいま見えてしまう。
  • そこでいつしか不倫の関係へ。
  • じつは綾瀬は『別れさせ屋』の工作員で、陽奈多の旦那が仕掛けた罠だった。
  • 旦那は浪費癖のある陽奈多と別れたく思い、さらには慰謝料をできるだけ払いたくないという思惑もあった。
  • 結果、不倫の現場写真等もあることから、慰謝料も破棄され、離婚に至る。
  • それでも綾瀬と一緒なら・・・と思い電話をかけるが音信不通。そこでようやく自分が騙されたことを知り絶望する陽奈多。
  • 数カ月経ち、綾瀬は芸能界デビューをし一躍有名になる。
  • 有名になりすぎたこともあり、身体の疲れを癒すこともかね海外旅行へ。
  • ついつい危険な場所に行ってしまい、刃物をチラつかせた強盗に遭遇。
  • 間一髪のところ、その国の言葉で助けを求めたのは現地ガイドをしていた陽奈多であった。
  • 偶然の出会いに綾瀬は陽奈多を本当に好きになっていく。
  • 綾瀬には二重人格に近い、もうひとりの自分がいた。
  • 臆病で引っ込み思案、それが本来の姿。
  • そのもうひとりのことをブログに小説として何年もこっそり書き綴っていたが、 元キャバ嬢から事務所の社長になった自分の妻に今までの全てのブログを削除されてしまう。
  • 怒りに震える綾瀬であったが、陽奈多がそのブログの内容をディスクに保存していた。
  • キスしてくれれば渡すという陽奈多であったが、その立ち振る舞いに、かつての「別れさせ屋」であった自分と似たものがあり、 全て陽奈多のお返しなのでは?と頭の中をよぎる。
  • 陽奈多は否定するが、その混乱でディスクが川に落ちてしまう。
  • すかさず飛び込む綾瀬であったが、川の流れとともに、 ちゃらい表向きの精神が消え去り、臆病であったもうひとりの精神だけが残されてしまった。

こんな感じです。

感想

観ていて、私は共感できない部分が多い舞台であった。 シリアスな部分とコメディの部分が入り組んで、観客としてはどう受け止めるのか難しい。 シリアス過ぎると・・・という部分でコメディチックな要素を入れたものだとは思うが。 宮地真緒との結婚の部分のコメディとか、ちょっと違和感があった。 別ルート感で、とってつけたよう。 今後ここはもう少しうまく融合できるかもしれない。

別れさせ屋であるチャライ男、綾瀬はじつは心の中にもうひとりの自分を持っていた。 二重人格というわけではないが、今まで誰にも打ち明けることのない、もうひとりの自分。 臆病で奥手で引っ込み思案。 そちらを大崎捺希が演じている。 本当の自分?抑えていた自分? その内面の自分自身を密かにブログに書き綴っていた。 とある事故で、綾瀬は川に飛び込んでしまう。 辛うじて助かったものの、チャライ方の自分の精神が消えてしまい、残ったのは臆病な方。 この入れ代わりの演出はとても面白かった。

違和感

岩田華怜と結婚したのに別れるかな~?というのがそもそもの疑問。 夫が言うには浪費癖がひどいとのことだが、本当のことなのだろうか? 普通に見るかぎりはそんな素振りもないけれど。 こんな良い嫁いないだろうと(笑) あくまで舞台上の陽奈多にはそういった悪い部分は伝わってこないし、見ることもなかった。 ただ単に旦那の思い込みのなのか、M属性のせいなのか。

ひとつ気になったのは、陽奈多が外出する服も家にいる時の服も同じところ。 ここはかなり違和感がありました。 男はずぼらなのでそういうことがあるかもしれないが、 女性が外と家とで全く同じ服装というのはちょっと違和感がある。 特に主役ですからね。 衣装チェンジしてほしかった。

誠実、嘘、忖度、表と裏

どこまで本当のことを言っていいのか? 抑えておくべきなのか? この論点はテレビでも同じことだと思う。 ただ、テレビは制御せざるをえないが、ネットは制御できない。 実際に、本人同士が現実に会えばまた変わるが。 そこでの生の会話が必要だ。

どこまで人を信じるか? 相手の言葉がどこまで真実なのか? 後半の陽奈多は正直わからない。 エンディングも、私は「ないわ~」と思ってしまった。 何だかハッピーエンド要素を突如入れてきたような感もある。 お互い別れてよくない? なんて私は思ってしまうけれど。 観客が男性、女性によっても印象が異なるだろう。 どちらかと言うと女性向けかな~?なんて思う。 ちょっと古い言い回しでいうと「スイーツ」的な。 別バージョンのエンディングも有りかな。

ただ、よくよく考えるともしかしたら「君の名は」のオマージュがあるのかもしれない。 まだまだ脚本の改善の余地があると思う。

別れさせ屋

物語前半は、陽奈多と綾瀬との出会い。 それが運命ではなく、別れさせ屋が仕組んだものであり、 そのポイント部分を過去の振り返りのように、キャストが全員逆行する。 そして解説も加わる。 アニメっぽいと言えば、アニメっぽい。

女性を口説く方法論として 「ただし、イケ面に限る」 という言葉どおり、後半は別れさせ屋の上司がその方法論で女性上司役の宮地真緒を落とそうとするが失敗する。 ここはコメディ。

そもそも綾瀬と妻の結婚の経緯は?

舎弟が姐さん(あねさん)と呼んでいることから、田名部生来は相当な血筋のはずだ。 綾瀬がそう簡単に離婚できるわけもない。 そもそも結婚だって、大変だったことだろうと予測できる。 回りの目も気になるはず。 有名になるということは、回りの目を気にしなければいけない。 平凡な人間には考えられない世界だ。

陽奈多の計画通り?

陽奈多が綾瀬に騙されたことを知ったあとに、 再び海外で出会うシーンは、さすがにちょっと無理があった。 たしかに海外の言葉を勉強している場面はありましたけどね。 そこも含めて、彼をその海外の国に行かせたことも含めて、 陽奈多の復讐、計算どおりだったのだろうか? 裏の裏で相手をおとしめる探り合いのような形にもなる。

あらすじからも予見できるように、 私も最後まであちらの側の流れだろうな~と思ったが、そのとおりだった。 ただ、ネタバレになるが、占い師のボイスチェンジャーだけはわからなかった。 (あれはわからなくて当然だが)

気になった役者

キャスト表がイマイチわからなかったため、 わかる範囲のみ記載。

陽奈多役、岩田華怜

マリアと緑のプリンセス以来。 この時は私けっこう評価してます。 子役の中の舞台から、今回は大人メインの舞台での観劇なので、見方が異なります。

舞台女優としてはまだまだこれからだな~ 存在感も、声の演技も。 彼女の本当の性格は知るよしもないが、真っ直ぐで真面目で前向きな姿を感じ取る。 今回のひなた役は純粋であるがゆえにそれを利用され、落ちに落ちていく若い主婦という役だが、 真っ直ぐであるがゆえに、イメージ的にはピッタリだったと思う。 (夫が言うには金づかいが荒いみたいだが) 私には素朴な印象を受けた。 だからこそ、イマイチまだこの陽奈多役とリンクしていない。

ストレートで透明な部分があることから、 裏切られる前と、裏切られた後との対比をつけた方がいいのか? 逆につけない自然な感じの方がいいのか? 難しい役どころではある。

岩田華怜を妻にするという羨ましい設定ながら、別れさせ屋に依頼するという夫を田口智也が演じる。 基本、彼はコメディ担当。普通に面白い。 ただ、岩田華怜こと陽奈多にはかなり冷たくあたる。 浪費癖の陽奈多に不満があり、相性の問題もあるとは思うが、 演出としてイマイチ不満感が伝わってこなかった。 夫側だけの不満という感じかな? それでいて、宮地真緒演じる女性上司との関係のコメディ。 その対比という役どころであった。 まっ、そもそもこの人が「別れさせ屋」に依頼しなければ、 この物語自体成立しないんですけどね。

綾瀬役の笹森裕貴は、基本チャライ感じの役だ。 男から見ればいけすかないし、まさに「ただし、イケ面に限る」を実践している。 この役はただ単にチャライというだけではなく、 その内面部分であるもうひとりの自分との会話もキーポイントだ。 偽りの自分、本当の自分。 最初は違和感があったが、後半になるにつれて綾瀬の気持ちがどんどん伝わってくる。 流れに任せるつかみ所の無い役。

そのもうひとりの内なる綾瀬役を演じているのが大崎捺希。 臆病で内向的な性格。 最初はどういう設定かはわからなかったが、後半はよく登場し観客も理解できた。 チラシの写真とはけっこう違うので、かなり雰囲気を変えていた。 嘘偽りのない役どころなので、逆に考えるとチャライ部分が無くなってしまったデメリットとして、 今後の一般生活において支障をきたすのではないか?という不安が残るかな? 余計なおせっかいだが。

宮地真緒の女性上司役は一本筋の入ったドSキャラだが、 ひなたの夫があるMであるという意味で対比している。 そこまで深く考える必要もないのだが。

綾瀬の妻の舎弟?的なヤクザの子分役の浜ロンは、 場の雰囲気をピシッ!としめるところがあって、とても良かった。この舞台の良いアクセントになる。 このシリアスモードと、別れさせ屋メンバーのコメディ部分との差が気になるが。 その対比で舞台を面白くさせようとするのはわかるが、 イマイチうまくいってないな~

田名部生来は綾瀬の妻役でキャバ嬢。 思ったのは声質は元々焼けた感じの声なのかな? セリフ回しもわざとキャバ嬢的な感じで荒くやっていたのだろうか? 声の抑揚がないのは気になるが、それが自然と言えば自然とも言える。 今回の舞台であれば有りかな? あえてガサツな感じにしているのかもしれない。 自分の旦那が別れさせ屋で、他の女性と・・・という複雑な気持ちを常に持っている。 意固地な性格ではある。 そして、せつない役だ。

宇田千夏の演技を観るのは久々だ。 ミュージカルアニー葉っぱのフレディココスマイルGANGドラゴンファンタジーと、 子役の王道の舞台をほとんど全て出演している。 (アルゴミュージカルが無いのだけが残念) 特に印象深いのはふたつ。 葉っぱのフレディではクリス役。 このクリス役は、今をときめくプリキュアの主題歌を歌っている北川理恵も演じている。 演技やダンスもさることながら、それだけ歌唱力が特に求められるわけだ。 ココスマイルの葵役もメインキャラ。 ソロのミュージカルナンバーがあり、舞台でもキーポイントで、これもまた素晴らしかった。 今回は残念ながら歌う場面は皆無だったが、歌唱力も半端ない。 難しい曲を歌っていますからね。 久々に歌を聞きたいところ。

それはさておき、今回の舞台では、ADっぽい役。 よく舞台を観ている人が観ればすぐにわかるが、やることがとても自然。 違和感が全くない。 流れるよう。 そしてセリフ回しも流れるよう。 演技達者であることが気づくレベル。 私は静かにほくそ笑む。

河内美里は別れさせ屋のメンバー。 こっそり劇的瞬間をカメラでおさめるのが役どころ。 独特な雰囲気と喋り方。 個性があってとても印象深い女優。 ただ、個性がありすぎて演技達者すぎてこの舞台の雰囲気からすると、逆に違和感を感じてしまう。 バランスが難しいな。 特に彼女はコメディチックな役どころなので、 やらないわけにもいかないし。 そもそも別れさせ屋のメンバーはクセが強いので、シリアス系な場面となると組みづらいかな?

総括

二子玉川。 これが川で溺れて、二つの子がひとつになり、そして新しい恋が始まる予感? なのかな? エンターテイメント性の舞台ではなく、男と女の恋愛がテーマ。 葛藤、内なる自分、誰もが持っているものだ。 大人の恋愛の幸せな部分、そうでない部分、 今回は子供がいないが、いた場合は物語が変わってくる。

この恋愛をテーマにした舞台を観にきた観客たちは、何を思うのだろうか? そもそも役者メインか?舞台の内容なのか? エンターテイメイト性がない、恋愛主体の舞台に足を運ぶというのは、けっこう舞台観劇好きでないとね。 私としてはどうしても女性目線の舞台のように思えました。

※敬称略
キャスト表