◆  『GANG2005』
◆公演時期   2005年12月3日〜4日
◆会場 新宿シアターアプル
◆脚本 福田 陽一郎
◆原案・演出・振付 郡司 行雄
◆作詞・作曲 玉麻 尚一
◆美術 孫福 剛久/宮原修一
◆照明 山田 茂
◆音響 柴田 道幸

あらすじ

1933年シカゴ。
ギャング同士の争いに巻き込まれて父を失ったビル。
クラブに集まった仲間たちは、なんとかビルを慰めようとします。
『新しく、自分たちの手でクラブを経営しよう!』
みんなの意見が一致します。
しかし、そう考えたのも束の間、
クラブ経営を狙うギャングのボス、ドン・ワルサーが現れ、
仲間たちは落胆の色を隠せません。

そして、ビルたちは大人たちとの対決を決意することになります。


観劇感想

『GANg』がどういう舞台であるかは、
2001年(春)の『GANG』を参考にしてください。

今回もダブルキャストです。
運良く、両方のキャストを見ることができました。
しかし、『GANG』は本当にハズレはないですね。
素直に楽しめますから。
さらには、新人の方を見るチャンスにもなります。
全体的にバランスが良く、赤組、白組ともに、楽しめました。

ただ、 男子は総じて歌は全く期待できないです。
それから、男性が歌うナンバーの音程も変わったんですね。
男性仕様なのでしょう。

気になった役者さんは・・・

各組、一回ずつしか見ていないので、全員に目を配ることはできません。
申し訳ございません。

ビル役の柳秀圭くん。
さすがに演技はしっかりしてます。
表情、特に目の演技はうまい。
まっ、歌は仕方ないですけど。
正直、もう少し若々しさがあると嬉しい。

もうひとりのビル、酒井長輝くん。
見るからにかっこいいルックス。
気になったのはダブルの時。
ダブルキャストなので、ラビット役でも出演するのですが、
かなりかっこいいので目立ちます。
もう少し、イメージを消してほしいかな?

さて、ビル役について。
ルックスがかっこいいので、ひじょうに舞台映えします。
演技的にもまずまず頑張っていたと思います。
目に力強さがあるので、観客も視線を集中できます。
もう少し、みんなを引っ張っていく、リーダー的な雰囲気をだしてほしかったかな?
歌は・・・言わずもがなですが・・・

ただ、いろいろと調子が悪かったようですが、舞台上ではあまり感じませんでした。
たいしたものです(歌は別にして)

チータの佐藤翔吾くん。
う〜ん、正直イメージ薄い。
演技はまぁ〜頑張っていますが。

同じくチータ役、田原優一郎くん。
さすがに経験を積んでいるだけあって、なかなかいいです。
最後の「僕たち大人を尊敬したいんだ」のソロの場面も、
感情もこもっているし、歌も頑張ってました。
私としては、けっこう印象に残っています。

レオン役、伊藤笙吾くん。
レオン役としてなかなか雰囲気があります。
血気盛んで熱血のようなところもグッド!
う〜ん、正直、彼がガンマンズにショーを見せるときの司会者でも面白いかも。

ボニー役の山本洸大くん。
この子はダンスが秀逸!
特にターン、全く顔がぶれていない!
かなりすごいと思います。
これはこれから伸びるでしょ。
期待度大の男の子。

リリー役の秋元麻衣ちゃん。
三度目のリリー役。
表情も豊かで可愛いですし、歌唱力も抜群。ダンスもすばらしい。
三拍子そろって言うことなし。
正直、もう卒業でしょ、彼女は。
もう一段階上のレベルに行くべき。
それだけの実力者ですから。

それとは別にリリー役の演技について。
彼女のリリーは、明らかに悪女(笑)
最初にチータに頼む時点で確信犯(爆)
ビルのためにチータを利用するということをちゃんと計算をしていて、
チータに対しては「あとで謝ればすむこと」と割り切っている感じがします。
ビルに対する気持ちはともかく、チータに対する優しさは淡白・・・というか無い(爆)
もう少し、自分に対する後悔の念があるとよかったかな?

ダブルの時はルビー役。
もちろん、リリー役も素晴らしいのですが、
彼女は色気があるので、このルビー役もひじょうに色っぽいです。
自分としてはリリーよりもルビーの方が好き(笑)

同じくリリー役の今野愛ちゃん。
麻衣ちゃんのリリーと比べると、優しい感じです。

チータに謝るところに関しては、ひじょうに感情がこもっていていいです!
心から謝っている感じ。自分勝手でチータを利用したことへの後悔の念。
それをうまく表現しています。
彼女の性格よろしく、素直な気持ちでの演技でしょう。

歌はマズマズでしょうか?頑張ってはいると思います。
ソロのナンバーも頑張りました。
ダンスは、背が高いことから、大きく見せるダンスはすばらしいです。

ダブルのルビー役でも出演しますが、ダンスはさすがに魅力的。
背が高いこともあって、じつに見栄えがあります。
ただ、セクシーな雰囲気、色気はまだないです。
これからは女性の魅力をどうやって表現するかに期待したいです。
現時点でまだ中学一年生なので、そこまで求めるのは酷ですが・・・

ランラン役の小野知春さん。
なかなかいい感じです。。
やっぱり、ランランは歌がしっかりとしていると安心して見られますから。
落ち着いた演技で、みんなをまとめる感じもいいです。

おなじくランラン役の林彩香さん。
う〜ん、正直イマイチかな・・・
ランランというのは、「クラブ・タイガー」にいるみんなの憧れの人なんですよ。
その憧れの人が、イマイチだとちょっとガッカリくる・・・
歌は下手でないけれど、特にうまいということもないですし、
演技というか、覇気がないんですよね。
特に「ジャイオ・ラオフー」
ここはランランにとって一番の見せ場なのに、
凛とした立ち姿もないし、動きの切れもないし、かなりガッカリ。

ローズ役の前野千尋ちゃん。
彼女の「GANg」はずいぶんと前から観ていますが、ついにローズ役ですか。
いろいろと感慨深いです。
どんな感じになるのか、たいへん楽しみにしていたのですが、
うん、なかなか頑張りましたね。
演技もよくやっている。
ややアニメ声っぽく、のどから声が出ているような気もしますが、
無難にこなしていたように思えます。
ダンスもなかなか良くなってます。
今回一番印象的なものは、歌。
リリーとローズのナンバーがありますが、ここでのソロ。
ローズのソロは、本当に難しいんですよ。
キーがかなり高いし、声量も必要ですから。
千尋ちゃんは、「抜群にいい!」とまではいきませんが、
よく頑張りました。
ローズ役は、ここがひじょうに大事ですから。
ここを無難に切り抜けたことは、評価をあげたいです。

同じくローズ役の坂井晴香ちゃん。
彼女は先にアンサブルの方で見たのですが、目立ちます。
アンサンブルでここまで目立つのはすごいです。
笑顔、ダンスの切れ、そして華があります。
それでいて、声も良く出ています。
あの小さな体からあふれる元気なパワーはすごいです。

さて、ローズ役。
表情の作り方はうまいです。
喋り方もひじょうにかわいい感じ。
重要なローズのソロも、まずまず無難にこなしていたと思います。

彼女はダンスがすごく魅力的。
小柄な体から繰り広げられる、スピーディーで切れのあるダンスは最高!
見ていて本当に楽しい。
観客が見ていて楽しいというのは、本当に重要だと思います。

プラム役の郭かおりさん。
スッとした顔だちで、なかなかの美人さんです。
声の発声もいいし、歌もうまいです。
プラム役はこのぐらいしっかりしてもらわないと。

ダブルではパール役を演じましたが、これがまた美人・・・色っぽいです。
イメージ的には、こちらの方が華やかでいいですね。

同じくプラム役の相澤育美さん。
彼女もプラム役として最適。
演技もすごくしっかりしています。

チェリー役のHARUIちゃん。
彼女もうまい。
表情もひじょうに豊かだし、セリフの喋りもいいし、声もよくとおるし、歌もいい。
チェリー役として好印象。
彼女も舞台映えして目立ちます。
しかもダンスも秀逸。
これは、なかなかのヒットだと思います。見応えありました。

同じくチェリー役の松園詩織ちゃん。
ルックスは美人系。
声量は大きく、ハッキリしています。
ただ、大きな声は出ているものの、あまり感情は伝わってこない。
初舞台なのでしょうか?
次回はそこを修正してくれると嬉しいです。

アマリス役の 正地晃子ちゃん。
えっ・・・・・・めちゃくちゃ美人なんですけど。
目の印象がつよく、かなり舞台映えします。
演技もしっかりしているし、
ダンスは玉置成実さんのバックダンサーをしていたこともあり、
なかなかやります。

ただ、彼女のせいではないのだけれど、
正直使いづらい。
かなり目立つんですよね。
一応、ヒロインとしてリリーとローズがいるのだから、
その間に超美人が入ると、バランス、そして観客の視線が奪われる可能性があります。
ここが難しいところなんですけど。

同じくアマリス役の春名友美ちゃん。
初舞台のようですが、悪くないです。
声もしっかりしているし、表情も穏やかな感じいいですね。

マーガレット役、渡辺愛実ちゃん。
初ミュージカルのようですが、なかなか面白い存在。
こわばった表情付けになることや、目が泳ぐこともあり、
役者としてはまだまだです。
ただ、ひじょうに彼女には惹かれるものがあります。
凛とした、たたずまいがいいのかな?
これからどういう方向に進むかはわかりませんが、
将来性として非常に期待できる存在。

ちなみに、パンフレットの写真はかわいくない。
実物の方が全然かわいいです。
こういう点において、やはり写真映りは重要なんですよね。

同じくマーガレット役の宇田千夏ちゃん。
彼女もひじょうに面白い存在。
マーガレット役は両組とも雰囲気が似ていますね。
ただ、千夏ちゃんの方が、経験があるために表情づけやダンスは上です。
穏やかな笑顔がとても印象的。
現時点では決してうまいほうではありませんが、将来性を感じます。
間違いなくこれから伸びるでしょう。
これから要注目の女の子であることは間違いありません。

ただ、彼女の場合も写真映りがちょっと残念。
実物の方がはるかに可愛いです。

パンジー役の桐原真奈ちゃん。
今回はパンジー役ということで、ひじょうに合ってますね。
コメディチックな演技はうまいです。
声もよく出ていたし、ダンスもなかなか頑張っていたと思います。
彼女も舞台映えして、ひじょうに目立つ存在。

あえてひとつ言うのなら、表情。
表情豊かで、観ていてとても楽しいのですが、
ちょっとベタすぎる感じがします。
あまりにも、笑顔なら笑顔、泣き顔なら泣き顔というのが極端すぎ。
それをやりすぎると、信憑性がなくなってしまいますから。

もう少し柔和で、
ちょっとした表情によって、喜怒哀楽を表現してくれると嬉しいです。
まだまだ先は長いのでこれからでしょう。
演技をわざと強調する、昼ドラマ的番組や、
大映テレビ路線であれば問題ないんですけどね。

同じくパンジー役の薄雛子ちゃん。
真奈ちゃんとは違うタイプのパンジー。
初ミュージカルということもあり、かなり荒削り。
大雑把な感じ。
でも、これぐらい勢いのあった方がいいですね。
まだまだ若いんですから、初めはこのくらいできれば十分。
じょじょに、いろいろと柔軟的になってもらえれば嬉しいです。
声質も歯切れがいい感じで良かったです。

ポピー役の飯嶋あやめちゃん。
表情はなかなかいいですね。
ただ、もう少し見たかったかな?

ジャスミン役の、満薗梨奈ちゃん。
小さすぎるので、なんとも言えないのですが、
言葉のしゃべりはすごくしっかりしています。
受け答えがここまでできるのは流石。

ジャスミン役の石井千夏ちゃん。
彼女も受け答えがすごくしっかりしています。
小さすぎるので、なんとも言えないのですが・・・
ただ、彼女の場合はちがいます!
表情の表現力は素晴らしいです。
これは、かなりすごいと思いますよ。
歌う時の口の開け方もすごく大きいです。
彼女もこれから伸びていく予感がします。
将来かなり有望でしょう。

総括

あくまで私の印象ですが、
意外とレベルが高い役者さんが集まっていて、とても楽しめました。


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