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ミュージカルアニー2018 観劇感想

ミュージカルアニー2018

満足度 B組星星星空星空星
満足度 M組星星星空星空星
公演時期 2018/4/21→5/7
会場 新国立劇場 中劇場
脚本 トーマス・ミーハン
作曲 チャールズ・ストラウス
作詩 マーティン・チャーニン
翻訳 平田綾子
演出 山田和也
音楽監督 佐藤俊彦
振付・ステージング 広崎うらん

あらすじ

1933年、ニューヨーク。
孤児院で暮らす、赤毛の少女アニー。
孤児院には父親や母親を亡くした子供たちが、たくさんいます。
ただ、アニーの両親だけは、まだわかりません。
『すぐに引き取りにまいります』という、
自分が赤ん坊の頃に書かれた両親の手紙・・・
その言葉を信じて、アニーは11年間支えにしてきました。
しかし、いつまでたっても両親は迎えに来てくれません。

ついに、アニーは孤児院を出る決心をします・・・

観劇感想

前任のジョエル氏から山田和也へ変わった2年目。
私の場合は、篠崎光正氏の時代も観ているので、3人目の演出家。
(過去のミュージカルアニーの観劇感想を、
時間があればお読みください)

新たなる変化

2017年も大きく変化しましたが、今回もかなりの変化。
おそらくは、演出としてチャレンジし続けている印象。
そのひとつが、

「サンディ、おいでサンディ」の待ち3回

今までは1回。
その後、もう1回呼んで、サンディが来るという流れ。
それを今回は3回呼んでも来ないという演出。
その間、アニーと警察官は無言の会話。間合いがある。
正直、私は長いな~と思いました。
間合いを入れたいという演出も重々承知だけれど、
ちょっとしつこい。

そもそもサンディが警察官に吠えない

今まではフーバービルのところで警察官の登場から吠える演出。
それが吠えることなく、すぐさま退場。
これはかなり意外でした。

あくまで推測ですが、
2017年度、特に野村里桜の時のサンディは吠えまくりでした。
それゆえ、今年はサンディそのものが変わったのだと思います。
だとしたら、吠えさせる演出をしても良かったはず。
吠えさせない演技であれば、続投でも良かったのでは?
なんてうがった見方もしてしまう。
ま~いろいろあるでしょうね

ウォーバックスとグレースのジェスチャーが長い

グレースがウォーバックスに、アニーに映画を観させてあげたい、
ということを言葉でなくジェスチャーで伝える場面。

これは2017年から引き続きなのですが、
申し訳ないけれど私には長く感じました。
それに面白さも感じない。
しかし、観客の反応を観ると、子供には受けている。

大人よりも子供に視線をおいた演出

ファミリーミュージカルであるから、間違いではないのだけれど、
大人、子供、両方が楽しめるファミリーミュージカルではなく、
子供にかなり寄った演出に思える。
「サンディの3回の待ち」しかり、ジェスチャーの長さ、お尻を叩かない、
このあたりは子供目線なのかな~
大人の私が、これに異議を唱えるのも恥ずかしいことですが。

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アニーのミュージカルナンバーをあえて抑制?

と言うのも、宮城弥榮、新井夢乃ともに、伸びがない。
というかあまり伸ばさない。
あえて切る感じ。
どちらか一人ならわかるけれど、二人ともということは、
演出としてあえてそう指示しているのかもしれない。
長い公演期間ゆえの、のどを大切にするためだろうか?
それとも、やはり二人とも歌唱力においては落ちるから、わざとなのか?
この真相は誰にもわからない。

オーディションがワークショップゆえに、
歌唱力よりも、自然な演技が優先され、
その影響なのかな~?
なんて考えてしまう。

モップ組とバケツ組でダンスキッズの個性が違う

あいわらず「N・Y・C」のところ以外では、出番が少ない。
それはそうと、モップ組のダンスキッズは、ひとりひとりが個々のダンス。
ほとんどそろったダンスをしないのは印象的。

そしてバケツ組のダンスキッズは一部、そろったダンスを加えている。
さらに言えば、タップキッズも二人いる。
不思議な組み合わせだ。

モリーの上で足またぎを見かねたウォーバックス

毎回、モリーがクリスマスプレゼントをもらったシーンで、
ドレイクがその上を大またぎするのですが、
今回はそれを見かねたウォーバックスが、
モリーをわざわざ持ち上げて移動させていました。
毎回アニーを観ている者にしてみると、クスッと笑える演出。

ロケットを落とさない

ロケット(ペンダント)はもう落とさなくなったんですね。
前回どうだったか、ちょっとうろ覚え。
普通に机の上に置いてありました。

ハニガンがアニーのお尻を叩かない

これは去年からの演出ですが、叩かないとつまらないな~
「決して、嘘を、ついては、いけない」
というフレーズのインパクトが小さくなる。
昨今の、虐待、パワハラ、セクハラにも当たるのかな~?
本当はそういうことに縛られないからこその舞台、表現なんですけどね~

一番印象的な場面はホワイトハウス

じつのところここが一番印象深かった。
なんというか、重厚感がある感じ。
新しいルーズベルト大統領である、伊藤俊彦の新鮮さがあったからかな?
観ていて見応えありました。
微妙にセリフ(過去の大統領の言葉、政治家がTomorrowを歌う時のアニーの駄目だし)等、
演出も変わっていましたからね。

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ピックアップ

  • グレースが孤児の中からアニーを選ぼうとする場面は、昨年と同じく隠れながら座って対応。(コソコソやっている姿はあまり好きじゃないな~)
  • ミュージカルナンバーのHard Knock Lifeの振付がしょぼい(ここはかなり残念。拍手もできない)
  • プログラムにあるアニーの絵描き歌はなかなか面白い。
  • 未来のスターの坂口杏奈がパワーアップ(去年と比べ、迫力、声量が全然違う)
  • チーム バケツのペパーとジュライの最初の喧嘩のシーンは、お話しにならないぐらいつまらない。子役のミュージカルであることは重々承知なのだけれど、それでも言いたくなってしまうレベル。ここは本当にガッカリ。導入部分ですからね。
  • オキシデント社のハミガキのところで、おどろおどろしいSEをオーケストラピットのドラムに求めるのは面白い。

気になった役者は・・・


M(チーム モップ)

宮城弥榮 アニー役
ルックス的には過去アニーの仲原舞に似ている。
歌唱力は普通かな~?
今まで観てきたアニーと比べると伸びが無いのが気になる。
ただ、前述していますが、
あえて意図して、演出として伸ばさないようにしているのかも。
にしては、宮城弥榮アニーはそもそも歌が弱いかもしれない。
これは私の私見。

彼女は演技力。
とにかく自然体。演技演技していない。
真面目なアニーというよりかは、元気で生意気でざっくばらんとしたアニー。
「そりゃ、ハニガンも手こずるよ」と思わせる演技。
ここは本当に見事。
彼女の独特の雰囲気というのかな?
失礼ながら「華」という部分においては過去アニーに劣るかもしれないが、
そのぶん個性で勝負と言ったところ。

後半でアニーのダンスが目立ってくるが、
宮城弥榮アニーのダンスはキビキビして楽しい。
素早いダンス。
おそらくダンスは得意だと思う。
でなくとも運動神経はかなり良さそう。
体育会系のアニー。

島田紗季モリーはじつに目立つ。
ドヤ顔、どうだ!という表情がいい。
細かいことは気にせず、じつに堂々と、どっしりかまえている。
大きくなったら大物になるな~という雰囲気がある。
何か他のアニーズがみんな真面目っぽいから、
彼女のような生意気ざかりのモリーが目立つゆえんかも。
私はすごく好印象。
今後も注目したい。

込山翔愛ケイトは体の柔らかさをいかした前転かな?

林歩美テシーは笑顔がとても印象的。
そして、凄く真面目な印象。
となりにいるモリーをよく仕切っていた。
表情の変化も楽しい。

武藤光璃ペパーはなかなか面白い。
けっこう強気で、ずるがしこい。
表情も豊かでいい!
短い時間ながら、彼女の個性を良く発揮していると思う。

河崎千尋のジュライはかなり注目していました。
「マリアと緑のプリンセス」では準主役のプリンセス
正直アニーズはあまり目立つ場面がないのだけれど、
フリードレスのところでようやく歌唱力を披露。
よくとおる透明な歌声。
私は好印象。
ジュライの雰囲気的には、去年の笠井日向にも似ている。
マリプリ、ダブルプリンセスなんだよな~

山本樹里ダフィは素直にかわいい。
毎回ダフィは華があっておいしい場面も多いけれど、
今年もまた良い場面で起用される。
彼女の笑顔はじつによく目立ちました。
クリクリ瞳ですしね。

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B(チーム バケツ)

新井夢乃アニー
アニーのメイキングでも予見できるように、笑顔が素敵なアニー。
えくぼもチャーミング。
彼女はそれだけでなく、悲しむ表情も魅力的。
そして、無表情の素のまんまでも面白い。
ここがいいんですよね。

「私はコートを買いに行く~」とミュージカル調で歌うところは面白い。
新井夢乃アニーの個性を思う存分発揮している。
その最もたるところは、ルーズベルト大統領の車椅子に片肘をのせて、
大統領を孤児たちに紹介する場面。
ここも滑稽で非常に面白かった。
こういったおちゃらけたこともできる柔軟性が彼女にはある。

歌唱力は宮城弥榮アニーと比べると彼女の方が上だと思う。
ただ、前述しているように理由は定かではないが、語尾は伸ばさない。
歌唱力があるのに伸ばさないということは、のどを休ませ、大切にする意味合いがあるのかも。
今までとは方針が変わった可能性すらある。
あくまで私の推測にすぎませんが。

声質的にはややアニメ声。
キンキン高い部分もあるので、ここは今後の課題かな?
また、ダンスは宮城弥榮アニーと比べると落ちる。
スピード感ある、キビキビした感じのダンスではない。
これも個性。

尾上凜モリーは、まだまだこれからの子。

歌田雛芽ケイトは変顔が面白い。
ここはかなり自分の個性を使って頑張っていると思う。
そんなにアピールする必要はないのだけれど、
自分の個性を出したいのはよくわかる。

音地美恩テシーはキビキビした動きかな?

山下琴菜ジュライはセリフ回しがかなり気になる。
何かピンとこない。

田中樹音ペパー
ミュージカルアニー2016ではケイト役
あれからどのくらい成長したのか期待していました。
セリフ回しはいいのだけれど、ペパーの印象は薄い。

藤田ひとみダフィも、私としてはちょっと印象が薄かった。
申し訳ないけれど、山本樹里の印象が強い。

藤本隆宏ウォーバックスがいないと引き締まらない。
というか、一番の見どころは彼だもの。
いるといないとでは大違い。
一極集中するのは良くないのだけれど、現実問題、仕方ない。

辺見えみりのハニガンは、私に言わせるとテレビ的。
かつて、母である辺見マリは「ミュージカルアニー」2006年で観劇。
ちなみに「ミュージカル サウンド オブ ミュージック」も。
本人も比較されることは重々承知だと思う。

まず気になるのは言葉の軽さ。
「ワンピースの注文がきてる!」というセリフを筆頭に、言葉が軽い。
舞台的な重さが感じられないところが私は気になってしまった。

かつて「がきんちょ〜リターン・キッズ〜」という番組があり、
この時の主役が辺見えみり。
このドラマの脚本が良いというものあるのだけれど、
辺見えみりも当たり役!と思えるほど、素晴らしかった。
(ぜひ再放送があれば見てほしい名作)

それだけ私は期待していました。
前述しているように、テレビドラマの雰囲気そのままのハニガン。
それから受け答え、セリフ口調も、
辺見えみりがコメンテーターとして発するような、ちょっと毒舌を吐く感じ。
嫌味がある言い方ではなくて、コメディチックにテンポよくツッコミをする。
あのまんま。
おそらく、等身大の辺見えみりをそのままハニガンにしたのでしょう。
そういう演出の意図があったのかもしれない。

「お遊戯室に行きなさい」と言っておいての「あっち行け」は面白い。
ここは辺見えみりの得意のテンポだと思う。

ハニガンのソロナンバー、「リトルガール」
ここはキーが低い。
あまり伸ばさない。
ここは辺見えみりが歌いやすいために落としたのか?
それとも前述しているアニーと同じように、
あえて演出としておさえたのか?
ここの真相はわからない。

「Easy Street」も、リリー役の山本紗也加が高音を歌っていた印象。
「Easy Street」はルースターの青柳塁斗が中心で、辺見えみりの個性は発揮しづらい。
というか、青柳塁斗がいないと悪役3人組のパワーが激減してしまいますから。
彼の力は凄く大きかった。

白羽ゆりのグレース役、私はとても期待していました。
舞台「銀河英雄伝説 第一章 銀河帝国編」では、
アンネローゼ役でイメージがピッタシでしたから。
過去に出演した宝塚出身の方と同じように、少し独特な歌い方。
私は嫌いではない。

2017年からの新しい演出のグレースは、
かなりおっちょこちょいでコメディチック。
白羽ゆりのほんわかリアクションは面白い。
ジェスチャーの部分も、おそらく、毎回同じではないですね。
アドリブ入れてる気がします。
ただ、前述しているように、ここは長いですけど。

伊藤俊彦ルーズベルト大統領は、冷静で客観的。
そこまで大きな感情表現をするタイプの演技ではないけれど、
そのぶん重厚感がある。
私はとても気に入りました。

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総括


常に新しい挑戦、進化、演出を求める「ミュージカルアニー」であることを再認識。
観客にどういう反応があるか、手さぐりの部分もあると思います。
チャレンジしていくことは素晴らしい。
あくまで私の見立てでは、大人も子供も楽しめるファミリーミュージカルというよりかは、
子供に比重をおいた演出であったように思えます。
なので、子供は楽しいのだけれど、大人は・・・という感じ。
バランスよく表現するのは難しい。

今回は藤本隆宏ウォーバックスにおんぶに抱っこ。
そこの印象が強いかな?

オーディションでのワークショップはメリット、デメリットがある。
今回のアニー、アニーズを観て私はそれを少し感じました。
大きなお世話なんですけどね。

※敬称略
キャスト表