ミュージカル 葉っぱのフレディ〜いのちの旅〜 2013

春組 満足度
夏組 満足度
公演時期 2013年7月25日〜27日
会場 東京芸術劇場 プレイハウス
原作 レオ・バスカーリア
企画・原案 日野原重明・童話屋
脚本・作詞・演出・制作 犬石隆
翻訳 みらい なな
総合プロデュース 黒岩祐治
音楽監修・作曲・作詞・編曲 玉麻尚一
作曲 金子貢
振付 中川久美・関根玲子

あらすじ
いのちというのは、永遠に生きているのだ。
春に生まれた葉っぱのフレディ。
夏には人間に木陰を作り、秋には紅葉してみんなの目を楽しませ、
冬、風にのって母なる大地へ帰っていく。

人間の心の移り変わり、そして、短い葉っぱの一生・・・
いのちはめぐる・・・・・
(過去のパンフレットより、一部抜粋)
観劇感想
今回も容赦なく素晴らしい。
ジュニアミュージカルですと、
「ミュージカル・アニー」が筆頭に上がりますが、
大人も多く、時間も長く、説明的セリフも多い。
「葉っぱのフレディ」は、ある意味ずるいんですが、
ほぼ子供。
時間も1時間40分〜50分ほどですから見やすい。
スッと楽しめる舞台。
そこでさらに「生命」についての話もあります。

今回、パンフレットのコメントが面白い。
池上彰が選挙で、
候補者プロフィールを面白おかしく報じたかんじで、
このコメントもじつに面白い。

それから私が観た回では、わざわざ神奈川県知事が登場しました。
つまりは、プロデュースをしている黒岩祐治さんです。
わざわざ県知事が足を運ぶとは、律儀なことです。

今回、会場が東京芸術劇場、プレイハウス。
どのくらい客席が入るものなのかと、
少々お節介ながら心配しましたが、
そんな心配は必要なく、平日でも満席でした。
集客力は凄い。

それと関連して、今回はけっこうスポンサーや、
協賛として賛同している企業が多かったようですね。
いろいろなところでの告知もあり、そういった部分での集客力があるかも。
「アフラック」なんて、今後のTPP問題を考えるとじつに重要ですし。

子役のレベルが本当に高い舞台。
というのが言い飽きるほど。

今回は、春組と夏組とで、フレディは個性がまるで違う。
でも、観る方としてはどちらでも大満足する出来。
楽しいし、素晴らしかった。

さて、内容的には大きく変わっていないので、
過去の観劇感想と遜色ありません。
ここは割愛。

特にフレディ、クレア、メアリーの3人のナンバー「しあわせの船」
ここは素晴らしすぎ。
春はメアリーがやや弱いけれど、他のふたりがそれをカバーしているし、
夏はフレディがやや弱いけれど、他の二人がカバーしている。
このナンバーは誰が聞いても感動する。

マーク役がコメディチックに「おかあ〜ちゃ〜ん」と叫ぶシーン、
今回は子供たちに大受け。
「なぜここで?」
と、思うところで笑いが起きる理由を考えるのもいろいろと面白い。
子供たちは「大の男が、泣いてる〜」みたいなシーンが面白いのかな?
いずれにしても、子供を笑わせるということは意外と難しい。
それができている、というのは凄いことかも。

あと、カミキリムシ集団のトップ、いわゆるセンターのモアは、
デザインというか、黄金の色使いでした。
前からそうでしたっけ?
今までは全員同じデザインだった気がしたのですが、
ここ最近変えたのかな?

気になった役者は・・・

主役、フレディ役の飯嶋すみれ
まさか飯嶋あやめの妹がフレディになるなんて、
昔は予想だにしませんでした。
それはともかく、彼女のフレディは、
視線の挙動が怪しかったり、ドキマギするところもあり、
面白味はないし、演技もまだまだこれから。
ただ、彼女の美点はじつに素朴。
天然、ピュア、無垢。
真っ白なイメージ。
これがバッチリ。
ルックスも、なんというか、生まれたての赤ちゃんそのまま、
みたいな感じ。
目がキラッキラッしている。
誰かに似ているな〜?と思ったら、
林愛夏の小さい頃にそっくり。
歌もまずまず頑張っていたし、
フレディ役のピュアな部分としては文句無し。

同じく、フレディ役の國分亜沙妃
2012年ではミュージカルアニーでテシー役。
私もかなり印象深かったです。
今回のフレディ役。
どちらかと言うと、彼女はコミカルタッチ。
面白い。
演技はこなれているし、
さらには歌唱力も抜群。
言うことないでしょ、このフレディには。
無垢なフレディ、コミカル・フレディ、
どちらを観たとしても、十分楽しめます。

クレア役の地杏美は2011年ミュージカルアニーの主役のアニー。
かつてのクレア役のイメージ、
母性的であったり、お姉さん的であったり、
それとはまた違ったクレアを演じてくれました。
どちらかと言ったら、ちょっとおどけた感じかな?
演技力もあるけれど、やっぱり歌。
これは素晴らしいでしょ。

同じくクレア役の菊池愛
彼女は2012年ミュージカルアニーの主役のアニー。
パンフレットは面白クレア・・・と書いてはありますが、
地杏美クレアを観た後だと、逆に王道すら感じました。
それだけ、面白さでは地杏美でしょうか?
そもそもクレア役を面白さで争っても意味ありませんが。
ということで、私は意外に母性的に感じてしまいました。
歌唱力は地杏美に引けをとらずにうまい。

メアリー役 木元美月
もうひとりの主役とも言えるメアリー。
木元美月は初めて拝見しましたが、
(2010年の「葉っぱのフレディ」パティ役ですが、覚えてませんので)
私はものすごく素晴らしいと思う。
メアリーということでちょっと化粧濃いようにも感じましたが。
演技力は秀でている。
本当に破天荒な感じ。
それでいて彼女は歌唱力も素晴らしい。
「しあわせの船」のナンバーも秀逸すぎる。
今後注目の女の子でしょう。
あえてひとつツッコミをいれるとすれば、
少し独断専行すぎるかもしれない。
「ガラスの仮面」で言うのであれば、「舞台あらし」にも通ずる。
ちょっと強過ぎるんですよね、木元美月ワールドが。
回りが見えないこともあるから、
次回その点がどう変わるのかも注目したい。
とはいえ、私はこのメアリー見応えありました。
歴代のメアリー役と比べても、相当レベルが高い。

同じくメアリー役の碓井なずな
2011年の葉っぱのフレディでは主役のフレディ役。
最初に彼女のメアリーではなく、葉っぱ役を観たのですが、
物凄く目立ちました。
初見なのに、どこにいるのかすぐにわかるぐらい。
とにかく葉っぱの時点で笑顔がかわいい。
笑顔、笑顔、笑顔という感じ。
そしてメアリー役。
これまたかわいい。
じつにアイドルチックなメアリー。
彼女は間違いなく人気出るでしょうね。
他のメンバーがみんな歌がうまいので、
その点において比較されてしまうと残念な部分もあります。
全然下手ではないですし。
あくまで、回りがうますぎ。
だからこそ演技力が光る。
彼女も今後要注目の女の子でしょう。

ダニエル役の羽賀悠仁
子役の中では唯一の男子。
練習等、いろいろ大変だったとは思いますが頑張った。
ファミリーミュージカル系は、男子が頑張ってくれると、
観劇している男性も勇気でますよ。
こちらが応援したくなる。
そういった部分においても重要。
声質はしっかりしているし、セリフも頑張ってる。
歌はまずまずかな。
力強さとか、強く印象に残るダニエルではないけれど、
無難にまとめていた感じ。
これだけできれば、少年役は十分。

同じくダニエル役の松村百花
ま〜この年代だと、やっぱり女性が強いかな、と。
演技がじつにこなれている。
彼女は個がしっかりしているし、ダニエルの生真面目さがわかる。
声質がよりハッキリして、聞き取りやすいせいかな?

アン役 春日希
彼女は2006年のドラゴンファンタジーのピノ役から、
2009年の葉っぱのフレディ、 葉っぱ役
2011年のミュージカルアニー ダフィ役
と、けっこう観ています。
2011年のアニーのダフィ役の時点で、
美人になっていて驚きましたが、
今回もかわいい。
なにより彼女は笑顔がかわいい。
ここは抜群でしょ。
これやりすぎると、クレアより目立ってしまうので、
バランスが難しい。
ヒロインをたてないとね。
というか、彼女も、もしかしたらクレア役の候補だったかも。
そう思うぐらい笑顔が素敵。
こなれた演技は得意なので、
アン役も無難にこなしていました。
歌う場面、あまり気づかなかったので、そこだけが残念かな。

同じくアン役、長澤夏実
彼女もいろいろと観ていますが、
昨今ですと、ミュージカル 葉っぱのフレディ〜いのちの旅〜 2011ではクレア役。
ミュージカル プリンセス・バレンタイン2 ROCK! PRINCESS 2012ではルイーザ役。
彼女のなんというか、女性らしさがかなり顕著に浮き彫りになってきた感じ。
落ち着いた役も、おちゃらけた役も、両方とも無難にこなせる。
高2ですし、言い方変ですが、一番安定していてどこにでも使いやすい。
赤須千夏とのコンビネーションは、完璧でしょ。

ベン役、石川里奈
男性役ですが、特に違和感なくおちゃらけた雰囲気もよく出ていた。
それりよも、ほんの少しだけ歌う場面もあり、
けっこう歌うまいですよね?
今度はじっくり歌も聞きたいところ。

同じく ベン役 赤須千夏
ミュージカル 葉っぱのフレディ〜いのちの旅〜 2011から出演していますが、
今まではずっと「葉っぱ役」
嫌な顔ひとつしないで、(ま〜彼女がするわけありませんが)
ずっと「葉っぱ」に徹してきて、ようやく役をゲット。
それがベン役でした。
赤須千夏の男性役。
力強さというよりは、のんびり、ほのぼの系のベン。
でもいざとなったら体を張る!こんな感じかな?

ちなみにコメントの「楽しい老後」
彼女が年金をもらえる年齢、どんどん上がっていき、
70歳になってるかもしれませんね。
ぜひ長生きしてください。

クリス役 五味汐梨
彼女がどんなクリス役を演じるのか?
物凄く注目していました。
でもって、いきなりミニスカでの登場にビックリ!
いいね!
色気も出てきたし、メイクもバッチリだし、
相当気合入っています。
クリスはある意味、お色気要員なので、
このぐらいはやってもらわないと。
演技は元々下手ではないし、彼氏彼女の恋愛関係部分も、
特に問題ありませんでした。
クリスといえば、歌。
ま〜難しいナンバー。
それを五味汐梨はなんとか頑張ってました。
毎回思いますが、クリスのナンバー、本当に大変。

マーク/メフィスト役の金子大介は初めて拝見しましたが、
無難にマーク役をこなしていたと思います。
メフィストの部分でもソロがあることから、
その声量も考えて、マークが歌う場面では、
やや抑えていたようにも感じました。

風のウェンディ役の小山侑紀は、
前回に続いての出場なので、特に言うことはありませんが、
まだ高校一年生ということにビックリ。
小さい頃から観ているせいか、ずっと観ている気がする。
しっかし、ダンスも歌も素晴らしすぎるでしょ、彼女は。
そろそろ他の舞台での、
彼女の違った部分も観ないとかな。

総括

去年同様、どちらの組も私の評価は5点満点中の4.5点。
Wキャストのフレディのキャラが違っていても、同等。
両方を比べられることも楽しい。
子役のレベルが高いゆえの、個性の違いですからね。
文句無し。素晴らしい舞台。

(敬称略)

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