公演時期 | 2011年6月9日~12日 |
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会場 | 恵比寿 エコー劇場 |
脚本・監修 | 竹田昌広 |
演出 | 松本昇大 |
総指揮 | 片桐豊 |
プロデュース | 仲圭太 |
振付 | 佐藤春樹 |
スペシャルサンクス | 我武者羅應援團 |
主催・制作 | S-TRINITY |
あらすじある平和な学校でお金が盗まれる事件が起きる。 その疑いをかけられたのは、孤独で闇を抱える女の子、恋(れん) そんな彼女を救いたいと様々なことに葛藤する生徒会長、正田正直。 そして、学校で異彩を放つひとつの集団。 人だけでなく、万物のありとあらゆる物を応援する応援団。 彼らのガムシャラな応援がやがて奇跡を生む。 (パンフレットより引用) 感想そもそも、この舞台を観るきっかけは、 申し訳ないけれど、中村裕香里。子役からの脱却の舞台、なにより、この舞台のヒロイン。 舞台に「友近」が出るから観てみようと思って、 初めて観る舞台が「ミュージカル・アニー」だったという意味合いと同じ。 舞台の内容も何もかも知らず、その人が出るから観る。 そういう「きっかけ」も大事です。 特に有名人の場合は、観客動員にも響きますから。 その後に、好きな舞台だから観に行く、 好きな劇団だから観に行く、 という選択肢が増えるのは良いこと。 まずこの舞台、前提として、 我武者羅應援團について、知っていただかねばなりません。 パンフレットを引用しますが、 「気合と笑いが一体となった独自のパフォーマンスを繰り広げる、 実在する応援団です」 それがこの高校の応援団のモデルという感じですね。 というか、この舞台が高校というの、舞台途中で初めて知りましたけど。 ほぼ全員が高校生とは・・・ ま~数年留年している人もいましたが。 変顔というわけではなく、 集中した表情をずっと気合をこめて続けています。 はたから見れば「奇面フラッシュ」とも言えるでしょう。 一般の人にはギャグそのもの。 ただ応援団のメンバーは真剣。 何事にも常に全力、超ポジティプシンキングの集団です。 死んでいるネコまで生き返らせようと頑張るほど。 マンガ「魁!男塾」のノリもありますね。 その応援団の汗と気合は物凄い。 汗の量は半端ないです。 滝。まさに滝のような汗だくの応援でした。 声を枯らすのは仕方ないですよね。全力だもの。 あらゆるものを応援、なんでも応援団、 って、「ラブリーズ」みたい。 ただ、こちらは気合の集団ですし、可愛さは1ミリグラムもありません。 この舞台、 応援団が登場するギャグの流れ、 学園の生徒のほのぼの感、 恋が登場する、シリアス展開の3種類。 けっこうばらけます。 シリアス路線を続けるのは疲れますから、 その一服の清涼剤として応援団が登場、みたいな感じです。 ま~演出的にも稽古的にも、 場面が変わるし、キャストも変わった方がやりやすいですけど。 ただ、舞台の進行、流れは早めかな。 どうやら、この公演は演劇集団「S-TRINITY」旗揚げ公演のようで、 (佐藤春樹、仲圭太、 松本昇大の3人) 他の共演者はどういう意味合いなのか、 オーディションなのかはわかりません。 事務所がらみとか、いろいろあるのでしょうか? モデル的雰囲気の子もいるし、演技ができる子もいるし、 実力はけっこうバラバラでした。 オープニングの導入部分はいいですね。 「キャラメル・ボックス」っぽい。 全員が登場するし、歌も歌ったりします。 導入部分が楽しいと、やっぱり期待もてますから。 全体的には、 演技があって、歌もあって、ダンスもあって、とても楽しめます。 雰囲気にSETにも似てます。 しかも、男性、女性含めて、ダンスがしっかりしているのには驚き。 ダンス関係の専門学校も関係があるのでしょうか? 思うに、この舞台は子供向けでも十分に楽しめるし、 通用すると思います。 子供受けしやすいですよ。 ちょっと厳しいところもあるけれど、 今の子供は、けっこうすれてますから大丈夫。 エコー劇場は、銀座博品館劇場をもう少しせまくした感じでしょうか? 私が観た回は満席でした。 このカンパニーの存在が知れ渡れば、 もっと大きなキャパでもやっていける予感がします。 題材も重要ですが。 話の流れ的には、
こんな感じです。 話の内容だけを見ると、なんとなくありそうな流れ。 ただ、ここに「我武者羅應援團」をオマージュした応援団が加わる為、 かなりコメディチックになります。 物語の流れとしては、アップテンポしてますね。 青春学園ものでありながら、シリアスもあり、コメディもある。 社会風刺も加わっていますから。 観てる側としてみると、わかりやすいし、飲み込みやすいです。 私は感受性が低い人間で、感動すらほとんどしない人間。 そんな人間がたくさん観劇しているのもなんですが。 なので、他の観客の方が笑っている場面、 (だいたい若い人向けの笑いかな?) ほとんど笑えなかったのですが、 そんな中でも笑えるシーンはありました。 反町隆史に変化とか、ビューティフルのVとか。 このへんは面白い。 応援団団長の仲圭太と、 ちょっとふっくらした元恋人、横山彩里菜のかけあいも面白い。 基本、各キャラクター、ピックアップする場面がありますから。 チアガールメンバーだって、けっこう登場します。 どこかにいっちゃう子は、結局意味不明でしたが。 照明も頻繁に色を変えていました。 照明設備がととのっているせいでしょうか? けっこう派手めな色使いの場面もあります。 生徒会長の家庭が大変だとか、 妹の為だとか、 そのことを先生が見つけるとか、 ちょっとお約束的な流れはあります。 この背景もじつは重要な流れのひとつ。 ひとつだけ、どうしても気になってしまうのは、 恋と母親との関係。 ここは、正直つらかったです。 真実味、怖さが全く伝わってきませんでした。 あくまで私の場合だと茶番に見えてしまう。 もちろん、あまりにも怖くしてしまうと、 それはそれでバランスが大変とは思いますが、 私はあの場面、物凄く違和感がありました。 しかも後で改心って・・・ 「それはないわ~」なんて、私の心の叫びがあります。 エンディングは「魁!男塾」の大鐘音みたいなものですね。 どんなに離れていても、全力で応援する。 私だったら、ここで軽いフラッシュバック。 電車の座席に乗っている恋の表情が出てもいいかな。 聞こえてるのか聞こえていないのか、わからないけど、 軽く気づき、微笑む。 そんな終わり方でも面白いかな、と。 気になった役者本メンバーなのか、友情出演なのか、 そのへんはよくわかりません。 恋役、中村裕香里中村裕香里のジュニア時代の舞台。 『フレンズ ~ガラクタ怪獣のなみだ~』(2003年)カヤ役、 『ココスマイル3 ~虹色のメロディー~』(再演)(2004年)ハル役、 ミュージカルキッズ・アルゴ 『かぐやの浦島モモタロウ』(2005年)、 ミュージカルキッズ・アルゴ 『新かぐやの浦島モモタロウ』(2006年)、 けっこう観てます。 最近ですと 音楽劇 ガラスの仮面(2008年)水無月さやか役、 これでしょうね。 蜷川幸雄演出の舞台。 しかも「ガラスの仮面」を知っている人にはわかりますが、 前半では水無月さやかは重要な役。 それを任せられています。 そりゃもう、鍛えられますよ。 子役の時から見てますけど、あの当時、 きっとこんな女の子に成長するんだな~と思う、 そのとおりの成長の仕方には驚きました。 基本、変わってません。 ひとつ気になったのは、ハキハキしたセリフ遣い、 良く声がとおる、リナ役の広瀬双葉がいますが、 中村裕香里はそこまでではない。 役柄的に、ハキハキする性格の役ではないから仕方ありませんが。 聞き取りづらい、というレベルではないけれど、 もっと声が出てもいいかな。 ただ、後半ものすごい大声を出すので、 声、喉の管理は大変だったかもしれません。 昔はもうちょい高音だった気がするけど、どうかな? 彼女が昔から変わってない部分。 相手が尋ねて、それを聞き返す時の表情。 これが小さい頃と全く変わっていない。 私だけかな~?ちょっと嬉しいところでもあります。 マニアックですが。 なんとなくではありますが、 彼女の雰囲気、性格は、ちょっぴりだけ知っています。 ほんわかで、天然ボケキャラでした。 子役時代は。 今、天然さはかなり緩和してますね。 やはり19歳にもなると変わってきますよ。 いつまでもボケキャラやってる場合じゃありませんから。 でも、そんな性格の彼女にしてみると、 今回のこの恋役はすごく難しい役。 友達の前での表と裏の性格。 母親との家庭の事情。 なんというかな、この役からすると、 エターナルファンタジー演劇大賞 2008年のMVPをとった、 日美野梓のような、 ずるがしこさ、怒り、震え、毒、ドス黒い重さがある演技がほしい。 中村裕香里のほんわか系、私は見えてしまう。 やっぱりかわいいし、ほわ~んとして優しいもの。 もちろん、恋は優しい性格でもあるのだけれど、 一部分においては、 みんなに、やっぱり嫌な奴なんだ・・・という部分を見せないと。 ま~私的にAKB48のアイドルより断然かわいいし、 元々不良っぽさ全くないですから。 なんとか、不良というより、孤独、寂しさがある役になってるかな。 そもそも生徒たちが悪い噂話を信用して、 恋に対して距離感を持ってしまい、「シカト」状態というのが正しいかも。 みんなが楽しく会話をして、ギャグを言って笑っている時も、 ひとり片隅での無表情は、さすがの演技。 ただ、後半のみんなとなじんでいるところはともかく、 前半はもっと冷たい性格の部分、 人を寄せつけない雰囲気も見せてほしかった。 ソロの歌が無いのは残念。 歌ったのはあの主要な3人だけかな~? ひとりぐらい女性が歌ってもいいのに。 中村裕香里はダンスもうまいんですよね。 端っこのほうで帽子をかぶっていますが、 ダンスレベルが高いのがバレバレでした。 今回の役は本当に難しい役柄。 中村裕香里クラスでないと、演じきれない。 だからこその配役でしょう。 本人のキャラには合わないけれど、よく頑張った。 下記3人、佐藤春樹 仲圭太 松本昇大が、 演劇集団「S-TRINITY」旗揚げしたのですから、 演技はしっかりしています。 特に言うことありません。 キャラクター濃いです。 正田正直役 佐藤春樹基本、この舞台の主役でしょう。 真面目な生徒会長役ですが、何かどこか抜けている生徒会長。 パンフレットの写真と、舞台の上でメガネかけている正田正直では、 印象違いますね。 口には出さないのだけれど、 結局恋のことが好きだったのか、 やっぱりなんとなく過去の記憶が強いユイが好きだったのか、 よくわかりませんでした。 正田正直自身も、よく気づいてないのかもしれません。 華の応援団長・中金田金造役 仲圭太とにかく、この役は大変・・・ ずっと全力だもの。 そりゃ、滝の汗も流しますって。 いい演技だった・・・としか言いようがないです。 元恋人、チアガールの横山彩里菜とのかけあいが特に印象的。 セイジ役 松本昇大セイジ役は、最初の方と、途中からは印象が全く異なります。 けっこう驚く。 雰囲気変わるので、美味しい役でもある。 マヨ役の青木ケイトセイジが憧れる女性。 彼女のせいってわけでもないけれど、 セイジが応援団に入ってしまいます。 パッと見は普通にモデルさんかな~?と思いました。 マドンナという感じ。 演技はまだまだこれから。 でも、セイジと二人のシーンもあって、けっこう頑張りました。 ユイ役の川口恵里奈中村裕香里に対抗するのは、やっぱりこの子でしょ。 笑顔が可愛いし、演技もできるもの。 表情もよく変化しますし。 地味な性格の演技だけれど、けっこう印象に残りました。 ちなみに中村裕香里がこのユイ役をやってもいい感じ。 ミキ役の秋田仁美表情が変化して楽しい。 ルックスは矢口真理っぽいところもあります。 演技とか、セリフ遣いはまだまだだけれど、 これから伸びる可能性大。 要注目の女の子だと思う。 私はこういうタイプの女優さんは好きですね。 イケメンのメンバーは舞台というか、テレビ映えする感じ。 デジマ役の多和田秀弥なんて、背も高くてかっこいい。 特撮ヒーロー物で抜擢されやすい。 応援団、唯一の女性、山中アキラ役の金子紗也加あのメンバーの中で、 あの気合の入った顔をずっとし続けていました。 女の子なのに大変。 でもすごい。なかなかできませんよ、あの気合の入れ方は。 リナ役の広瀬双葉彼女は演技できますね。 発声が違うもの。 よく声がとおりました。 メガネ無しの演技も観てみたい。 総括とても楽しい舞台でした。 学園物で、シリアスの場面があって、家庭の問題もあって、 鬼気せまる応援団の勢いもあります。 シリアスとコメディのバランスの舞台。 男性陣3人はうまいので、女性陣をどう輝かすかがポイントでしょう。 チアガールのひとり、ひかりを活用させるのは私的に凄く好きな展開。 2時間休憩無しですが、全く飽きる部分がありませんでした。 あ~親子のところだけは、申し訳ないけど論外。 今回「我武者羅應援團」がモチーフでしたので独特でしたが、 また違う舞台でどういった展開になるのかは観たいですね。 同じような流れで、またひとつだけ違った部分を見せる、 というやり方は通じないかも。 ただ、新進気鋭の演劇集団なので、 ひじょうに今後が楽しみな劇団です。 次回公演もぜひ観てみたい。 ※敬称略 |