◆ ラブリーズ〜君に捧げるハーモニー〜


◆公演時期   2008年1月9日〜14日
◆会場 下北沢 小劇場 楽園
◆演出・作曲 桝川譲治
◆脚本・作詞 長田育恵
◆振付 相原えみり/荒瀬眞依/今泉舞

あらすじ
放課後になると集まってくる、学年も制服も性格もバラバラな4人の女の子。
いろんな依頼に応えて駆けつける、4人だけの応援チーム、ラブリーズ。
今回の依頼は少し変わっていて・・・・・
(パンフレットより抜粋)
観劇感想
下北沢の小劇場「楽園」は、初めて入る劇場でした。
カンパニーとしては有名なので、もう少し広い舞台かな〜と思ったのですが、
本当に小劇場です。
こういう手作り感がある舞台、私は大好きなんですよ。
真ん中に柱がありますが、AKB48の柱に比べれば無いも同然(笑)
右、左に座席が設置されているので、そちらから見ればほとんど違和感ありません。

下北沢という土地柄、たくさんの劇場があり、
一般の人でもフラフラ〜と劇場に足を運ぶ感じです。
そういう雰囲気を持ち合わせるのが下北沢。
そして、一枚のチケットを売るために、
必至になってチラシを配る姿が垣間見得る街でもあります。

さて本編。
愛チーム4人、夢チーム4人、+荒居直子。
正直、ここまで長台詞の舞台とは予想がつかなかったです。
正味1時間20分ぐらいでしょうか?
私の予想としては、1時間以下かな〜?と考えていたのですが、それ以上の長さ。
子役の場合は出演者が多いため、場面場面でメンバーが変わることも多く、
主役、メインキャスト以外はどちらかと言えばセリフは少なめ。
それが今回は膨大なセリフの量。
これは、普通に覚えるのが大変だったことと思います。
覚えて当然!と言える量ではないでしょう。
素直に、この8人には敬意を表します(荒居直子は大人のため)

気になったところは、ギターの弾き語りがありつつ、手紙の内容を話す場面。
ここは正直、手紙の内容が聞き取りづらかったです。
西島来美、相原えみりがギターの練習をしてきて、
その成果を見せるための場面だとは思うのですが、
手紙の内容がわからないのでは本末転倒。
もう少しバランスをとってほしかったです。
ところどころM(ミュージック)が流れていたので、無音でないところは良かったのですが。

前述したように、今回は愛チームと夢チームの二つのチームがありました。
まず思うのが舞台のテンション、そして熱気、これは夢チームの方が強いです。
とにかくパワフル。観客を引っ張ろうという感じが伝わってきます。
今回、私はこのカンパニーを知っていましたし、
役者さんのこともだいたい知っていたので、ある程度集中して観ることができました。
もし、カンパニーも知らず、役者の名前も知らず、フラッと舞台を観にきたお客さんの場合、
はたしてのこの物語を集中して観ることができたか不安です。
正直なところ愛チームに関しては、
少しゆったりとした部分があり舞台への集中が途切れるところもありました。
夢チームは、スーパーハイテンションで客席を巻き込みながら乗り切ったので、
集中が途切れることはありませんでした。
あまりひとりを特定したくはないのですが、
やはり相原えみりの小気味良いテンポのある演技が、
観客の心を引きつけたことも要因のひとつでしょう。
小劇場だと、こういう役どころの役者がいると助かります。

今回、話の内容は「何でも応援団」みたいな感じです。
応援・・・・・・
私のイメージからすると、ふたつ。
ひとつは最近流行りの「賭博黙示録カイジ」
超高層橋渡り(超高層ビルとビルの間に平均台をつけたようなもの。当然落下したら死亡)
そこで、お互いに支え合うことができない佐原とカイジが、声でお互いの存在を確かめあう・・・
絶望的に離ればなれの中、人がそこにいるだけで救われる。
これも応援。

もうひとつとは「魁!男塾」の大鐘音
遥か遠くで戦っている友を、大声で応援する。
すでにのどがつぶれていたが、それでも死にものぐるいで心の声で応援する。
これも応援。

そんないろいろな応援がある中、今回ラブリーズの応援が一番カワイイわけで(汗)
全てを応援するわけではなく、
依頼を選別して応援するラブリーズ(笑)
今回は応援する依頼内容の話しではなく、ラブリーズ誕生のきっかけとなった話。
森田小雪の過去がピックアップされる感じですね。
まだ他のメンバーの過去話はおあずけ。
次回・・・があるかどうかはわかりませんが、
事件が発端→解決の流れが合った方が面白いかな?
探偵物ではないけれど、依頼されて応援するという一連の流れがありますから。
今回は序章の意味合いがあると思います。
しかも話はそれだけでなく、じつはあの過去の出来事につながる・・・
ここにつながるとは意外!!なかなか含みをもたせる演出でした。

気になった役者は・・・

愛チーム
久野里沙子役の荒瀬眞依
ココスマイル5では、シオン役。
本当の性格は全く知りませんが、この時のいじめ役は優しい雰囲気が災いしてか、
ちょっとパワーは足りませんでした。
今回の役は普通の女の子。
見た目は優等生っぽいけれど、友人といる時の言葉づかいや話し方は今どきの女子・・・
という感じですね。
お父さんがアレで悩みはあるようですが(笑)

4人しかいないので、誰にでも集中して見ることができるのですが、
今回はかなり印象に残りました。
ココスマ5の時も歌はうまいな〜と思ったのですが、
今回もソロの部分があり、彼女の歌の実力が発揮されました。
かなりいいです。

演技もしっかりしているのですが、一番の決めては色気(爆)
9人の中でも、一番色気があると思います。
子役で色気を出すのはなかなか無いのですが、
彼女はそういう雰囲気を持ち合わせています。すごく好印象。
私も魅了されるところまではいきませんが、ドキドキしました(笑)
佐達ももこと同い年なんですよね(汗)

安達あげ葉役の佐達ももこ
その佐達ももこですが(汗)
明るくて元気爆発な役どころなので、彼女にピッタリな役。
演技はしっかりしているし、雰囲気は面白い。
ただ、明るいキャラクターなのですが、
彼女の場合は、元気で明るい部分を自分自身で消化してしまう感じでしょうか?
夢チームの相原えみりは、そのテンションを他の人にまで分け与え、
ノリツッコミができ、さらに盛り上げることができるんですよね。
佐達の場合は自分で終わってしまうのがもったいない。
私的に彼女のテンションは、もっと上げられるような気がしたのですが、
私の過大評価すぎたかな〜?
もっとハイテンションで、ワクワクドキドキするところがあっていいと思う。
乙女の恥じらいが出てきたのか?
クレヨンしんちゃんは、お見事ですが(汗)

森田小雪役の大木梓彩
一応ほどほどに真面目な性格の役。
まず、この役が彼女にピッタリでした。
天然な雰囲気はココスマイル4の時と全然変わっていません。すごいな〜
ほのぼの系の演技は得意ですからね。この役はお手のものでしょう。
今回の梓彩ワールドは、すごく良かったです。
「電線が・・・」の一連の流れのところは、彼女の話しに引き込まれます。

守口翼役の西島来美
彼女の演技を見るは本当に久々でした。2005年の「PRESENT」以来でしょうか?
ルックスは相変わらず抜群の美少女。顔の雰囲気は全然変わりません。
元々が美少女キャラでオーラがあるため、常に彼女が中心になりかねません。
何にしても主役のイメージが付きますが、じつはこれって大変。
目立ち過ぎて普通の舞台だと使いづらいんですよね。
仮に彼女が主役でないサブキャラクターだとすると、
主役に光が当たらなくなる恐れがあるからです。演出する方も苦慮するでしょう。
ところが!!
今回の彼女は物凄い!

今回の役はとにかくハイテンションで積極的で明るい役。
全く美少女キャラではありません。
一応大金持ちのお嬢様キャラではありますが、そんなことどこ吹く風。
テンションが違います。
三枚目役に近い感じ。
この演技には私も脱帽。本当にすごいです。
ハイテンションにもかかわらず、演技はしっかりしているし、
カツゼツがしっかりしていて聞き取りやすい抜群の発声。

今回のこの役を見る限り、彼女自身が主役でなくても自分のポジションを見つけ出した感じ。
主役でない役でも西島来美という個性を発揮できるため、
他の舞台で起用する時も、これで安心。
いろいろなところで使いやすいでしょう。
美少女は美少女なりに、いろいろ大変なんですよ・・・

そして!
今回は彼女の鬼気せまる根性を観せてもらいました。
当初は微塵も感じませんでしたから。
舞台の幕が上がった以上、誰も手助けはできません。
アレを切り抜ける力は本当にすごい。プロ根性ありますよ。

夢チーム
久野里沙子役の今泉舞
2004年の『ココスマイル3』 再演の時から、雰囲気は全く変わりません。
ちなみに観劇感想を読んだら、厳しいこと書いてありましたが(汗)
そんな昔のことはともかく、今は抜群の演技力。発声もしっかりしています。
素晴らしいとしか言いようがない。
ココスマグループというわけではありませんが、エース格でしょう。
彼女は清純な雰囲気を持ちつつも、ギャグをかませる度量があります。
カツゼツも本当にいいし、穏やかな表情の作り方は見ていて心地良いです。
彼女の笑顔は安心する笑顔。
みんなをホッとさせる笑顔なんですよね。
癒し系とまではいきませんが、それでも場を和ませる雰囲気は素晴らしいです。
ただひとつ、色気だけは荒瀬眞依に軍配が上がりますが(汗)

森田小雪役の伊藤渚
葉っぱのフレディ2004ではフレディの主役なのですが、
私は観劇することができませんでした。
けっこう独特な雰囲気を持った女の子ですね。
何というかな、落ち着いた感じ。
同じ役の大木梓彩も淡々としたタイプなのですが、この伊藤渚も不思議な感じ。
ただ、彼女の場合は一歩間違うと冷淡になる可能性があるので、
表情のつけ方は難しいかもしれません。
演技もしっかりしているし、カツゼツもいいです。
フレディの主役をやるくらいですから当然と言えば当然なのですが、流石にうまい。

安達あげ葉役の相原えみり
ハイテンションで明るい三枚目、そしてトラブルメーカー?な感じの役。
しっかし、彼女はすごい。
2006年の「フレンズ ガラクタ怪獣のなみだ」ではダンスだけの印象。
2007年の「ココスマイル5〜明日へのロックンロール」ではイジメ役を開花(汗)
そして2008年。う〜ん、ここまで演技力がついていたとは本当に驚き。
こなれた演技、
自分に酔い、それを相手にのせるノリツッコミ、
人を笑わすことのできる柔軟性ある表情の変化、
夢チームのハイテンションの原動力になったのは彼女、と言っても過言ではない。
それぐらい素晴らしい出来ばえ。
三枚目役は本当に難しいんですよ。
面白おかしいことを聞き取りやすい声で言わないと、根本的に面白くありませんから。
しかもハイテンションで早口。
これをじつにきちんとやっているのが相原えみり。
セリフを覚えるのも相当大変ですが、
こういうコメディチックな演技の練習も、しっかりやっていたでしょうね。
佐達ももこの元気パワーよりも上とは、流石の私も予想がつきませんでした・・・

守口翼役の吉永まりや
彼女の演技を観るのは久々。
エルダ・アルゴ・ミュージカル 『スタート!』 で初めて彼女を観たのですが、
今と比べてもルックスは全く変わってません。美少女キャラは健在。
でもハイテンション(笑)
さすがにベテラン、演技はしっかりしています。
ただ、彼女の観劇は2005年のハローグッバイ以来ですが、
この時の観劇感想と同じくことを書くのがつらいところ・・・
というか、本人も他の人もみなさん気づいていることでしょう。
私の口から言うのは心苦しいのですが、
発音
今回も気になってしまったんですよね・・・申し訳ないです。
特に「ら行」「な行」かな?
単語として何回も登場する「ラブリーズ」はふたつも入っているので、さらに気になります。
子役時代はまだいいですが、これから舞台系に進むのであれば課題になると思います。
他のメンバーのカツゼツが抜群なだけに、目立ってしまうんですよ・・・
感受性が高く、すごく素直な女の子ですから、次回、改善してくれることでしょう。

岡本美歌役の荒居直子
昔と顔だちが変わっていない・・・といろいろ言ってますが、
その急先鋒は彼女(笑)
1999年のココスマイル(再演)の時から良い意味でずっと変わってません。すごい。

ただ、今回は登場シーンにビックリ。
死して罪禍の汚名を残すこと勿れでは、可憐な美少女ヒロイン役でしたが、
イメージ崩れました(笑)
それだけすごいギャップの役。
彼女は、可憐な役も、気の強い役も、そしてこの三枚目役もできるほど、
演技の幅、柔軟性があるんですよね。
おちゃらけた役も無難にこなしてしまうところに、女優としてのセンスが感じられます。
彼女は言うことないです。

総括
小劇場でここまでやるのは本当にすごいです。
セリフの量が膨大ですから。
というか、役者さんの力量が問われますからね、特に小劇場は。
荒居直子を除いた8人にとっては、とてつもない経験になったことでしょう。
初めての試みとしては上出来の最上。

あえてひとつツッコムのであれば、
やはり、物語の流れを維持させるためにハイテンションでいかざるをえなかったこと。
子役のメンバーだけでは、
しっとり、ゆっくり、観客を納得させる落ち着いた演技で物語を進行させるのは難しい。
観客を引き込んで、自分たちのペースに巻き込むことが成功したからこそ。
観客を飽きさせずにじっくり見せる小劇場ならではの空間は、まだまだ怖いですから。
ここが次へのステップかな?

別件ですが、(株)円谷ドリームファクトリーがスポンサーというのはビックリ。

(敬称略)


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