青春舞台2017の感想

      2022/11/25

危なく録り逃すところだった。
毎回わかりづらい。
しかも2時間は短い。
もう少し長めをとって。
頑張ってNHKさん。

過去の感想

青春舞台1996 最優秀校 浜松海の星高等学校「風愁(かぜ)~遠い約束~」
青春舞台2006 テレビ観劇感想
青春舞台2009の感想
「青春舞台2014」の感想
青春舞台2016の感想

第63回全国高等学校演劇大会

ナレーションが素人すぎてびびる。
ま~これが狙いであることはわかるけれど。
それにしても、棒だ(笑)
永野芽都か。
なるほど、次世代の女優としてピックアップはされている。
去年の松岡茉優と同じポジションだな。

北海道ブロック代表 北海道北見緑陵高等学校
東北ブロック代表 福島県立相馬農業高等学校飯館校
関東ブロック代表
埼玉県立新座柳瀬高等学校
埼玉県立秩父農工科学高等学校
茨城県立日立第一高等学校
千葉県立八千代高等学校
中部日本ブロック代表 岐阜県立加納高等学校
近畿ブロック代表 兵庫県立東播磨高等学校
中国ブロック代表 明誠学院高等学校
四国ブロック代表 徳島市立高等学校
九州ブロック代表 沖縄県立向陽高等学校
開催県代表 宮城県名取北高等学校

この中から、最優秀賞1校 優秀賞3校

ブロック代表に選ばれたのは凄いことだけれど、
やはりそのブロックの中から落ちたギリギリな高校もあるんだろうな~
と少し落ちた高校のことも考えてしまう。
私も年か(笑)

仙台銀行ホール イズミティ21で開催。
こういう開催場所で行われる理由等、けっこう私はいろいろと考えてしまう。

千葉県立八千代高等学校「煙が目にしみる」

火葬場に隣り合わせた幽霊の二人。
野々村の遺族は25年連れ添った妻と、不良娘のサキ。
そこに放浪の旅に出ていた長男が帰国。

もうひとりの幽霊の北見。
32歳年下の愛人がいる。
そこへ北見のひとり娘が。
(妻はどうなっているのか?)

野々村の母は死んだ幽霊と会話ができる。
北見の幽霊とも会話。
それによって娘の愛人に対する恨みが解けていく。

野々村は母を通じて、生前に伝えられなかった思いを家族に伝えていく。

死者との会話をとおして、家族のありようを描いたお葬式コメディ。

死者との会話。
知らないままでいる幸せと、知ったことによる幸せ。
それが不幸になる時もある。
今回は場合は幸せという感じかな?
家族って何?がテーマかな。

埼玉県立秩父農工科学高等学校「流星ピリオド」

ある高校生グループのSNSの世界。
グループにいたミーコがトラックにはねられて亡くなった後、
ハルキアはチャットに顔を出さない。
ミーコの死は、既読スルー、陰口、チャットのやりとりが原因で自殺したと、
誰もが思いこんでいた。ミーコの父親が娘の死の真実を語る。
ミーコの死が自殺ではないと知ったメンバー。
1年前に果たせなかった流星を見にいくことに。

SNSの功罪。
本当のコミュニケーションとは何か?

短い編集だったけれど、話のストーリーがよくわかる。
最初は「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない」みたいな感じかと思いきや、
ずいぶんと違う。
かなりヤバイな。
この時点で、最優秀にはならないだろうことは目に見えていたが、
印象度は一番残ったかもしれない。
私は好きだな。

というか、既読スルーは当たり前の世界だから、
それに慣れてない人は大変だ。

徳島市立高等学校「どうしても縦の蝶々結び」

高校の事務室で臨時職員として働いている高橋。
そんなある日、ひとりの女子生徒から謎の相談電話が」
「制服のリボンが縦の蝶々結びになるんです」
母子家庭で育った高橋。
シングルマザーの母はいつも忙しく、蝶々結びを教えてもらえなかった。
学校の先生を目指し、勉強に励んでいた高校時代。
貧困という現実が立ちはだかる。

数日後、蝶々結びができない女子生徒から再び電話が。
「もう学校をやめたい」
女子生徒も高橋と同じ母子家庭。
夢をあきらめようとしていた。

現代の高校生に広がる貧困を正面からとらえた物語。

「どうしても縦の蝶々結び」というタイトル。
ライトノベルで、とりあえずキャッチのタイトルをつけておけばOK!
的な意味合いに感じとられそうですが、そうでもありませんでした。

現実問題、ひとりの生徒にどこまでかかわれるかというのは、
大変難しいことなんですけどね。
生活保護の問題も脚本に組み込まれていたのか気になる。
やるなら高校生の目線でいいので、徹底的にやってほしい。

宮城県名取北高等学校「ストレンジスノウ」

演劇部員であるユミの、女優デビューが決まり、喜ぶ部員たち。
ユミはシノハラユキという名前で芸能活動をしているという。
しかし部員たちは、女優シノハラユキがユミではないことに気づく。

ユミは自分が妹の手を離したことで、津波に流されてしまったと深く傷つき、
その苦しみから逃れるためにシノハラユキになっていた。

東日本大震災で生き残った人の苦悩が描かれる。

いやいやいやいやいや、これやるのか。
テレビでもこの脚本できないわ。
間違いなく企画段階で止められる。
でも、それができるのが舞台ですけどね。
そしてそれを高校演劇で。
そりゃ先生も気合はいるな。
今のドラマ、マスコミ対する挑戦でもある。

病気でもなんでもそうだけれど、
その当事者になって初めてわかる。

茨城県立日立第一高等学校「白紙提出」

前原紘生は女装男子。
中学生の文化祭で踊ったダンスが大賞に選ばれ、その快感が忘れられず、
高校生になった今でも女装して毎晩踊っている。

バスケットボール部の篠崎結人は、普段はおちゃらけた性格だが、
バスケのレギュラーになれないという悩みがあった。
バスケが好きでも公式戦に出られない。

そしてついに、前原紘生の女装趣味がばれてしまう。

思春期のコンプレックスがテーマの物語だが、
清楚なヒロインの暴走とか、加速装置とか、
意外とコメディチック。
葛藤をバレエで表現とか、彼がそれをできるからだな。

前原紘生を演じた男子は、
若い時の神木隆之介、前だと黒田勇樹に近い。
なよっとして、なかなか面白い。

篠崎結人を演じている女の子は、福島県の飯館村出身。
う~む。ここを番組としてどうとらえるかだな。
そこをピックアップするのはどう意図なのか?
それともしない方がいいのか?
ここは判断がわかれる。

「まともな人なんていないよ。みんな気持ち悪いよ」
いいな、このセリフ。

高校3年生の脚本。
なるほど、自分の顔が嫌い。
コンプレックス。
いろいろとめんどくさいけど、やはりいろいろな悩みがあるからこそ、
脚本に思い入れがはいる。

最後の「気持ちわる!!」は、いろいろなとらえ方がある。
率直な男女の感覚が戻ったのか、回り人の影響か、言ってるだけで次の日も普通に女装するのか。
ここを読み解くのは難しい。

沖縄県立向陽高等学校「HANABI」

年に1度の学園祭。
クラスメイトは先輩の出し物ライオンキングに大感動。
そして1年後。
担任の先生から与えられた劇は、なぜか和風テイストのロミオとジュリエット。
納得がいかない生徒たちは、
自分たちが考えたオリジナルのロミオとジュリエットを演じることに。

赤嶺星南がかわいい。
これに尽きる。
カメラもそれ追ってるしね。
これが「青春舞台2017」のやり方だ。

明誠学院高等学校「警備員 林安男の夏」

主人公は学校の警備員。
バツ1のダメ男。
ある夏の夜、校内の見回りをしている林。
教室で出会ったのは、地縛霊(自分が死んだことを理解できずに、その地に宿る幽霊)
地縛霊は自分が誰なのか、どうやって死んで、どうしてここにいるのか思い出せない。

あることをきっかけに、
この地縛霊が不慮の事故で死んだラグビー部員であることを知った林は、
一緒にグラウンドを走り、チャレンジすることの大切さを教える。
夜の校庭で、ラグビーをする林と地縛霊。
じょじょに地縛霊の記憶がよみがえる。
林は地縛霊がいつも大事に持っていた写真をこっそり見てしまう。
そこには自分の娘の写真が。
地縛霊が何者なのか調べる林。
林の娘サチコは地縛霊に、地縛霊もサチコに恋をしていた。
あの日、サチコは・・・

殻に閉じこもってしまった地縛霊を勇気づける、友情の物語。

なるほど。地縛霊だとばかり思っていたが、
あえて「自縛霊」としていたんですね。

二人芝居がメインなので、この二人に注目するのはわかるが、
さらに舞台セットのデザイン担当にも光を当てるのは珍しい。
美術部からの紆余曲折等・・・
う~んなんか、前回も似たようなことがあったな。

関係ないけど、私は机の上にある「ゲルググキャノン」が気になった。
ちなみに私もザクとゲルググを作ったことがありますが、
見た目のルックスはザクの方がかっこいい。
特にシャアザクはかっこよ過ぎる。
なのに、彼はゲルググ。
こういうところに、美的センス、思考の違いは人それぞれだと思う。

自縛霊にとっても、林さんにとっても、
自分を縛っているものを解き放すストーリーだ。

福島県立相馬農業高等学校飯館校「-サテライト仮想劇-いつか、その日に、」

東日本大震災の原発事故の影響で、福島市に建てられたサテライト校に通うハルカは、
学校が飯館村に戻る日を想像します。

ハルカとサトルは飯館村に戻る学校に通わず、転校することになる。
大切な場所を失ったハルカ。
学校が飯館村に帰るという事実を受け入れることができない。
音楽の補修で笛の練習をするユキ。
その笛の音に心を痛める生徒たち。

原発事故に振り回される高校生が、自分ではどうすることもできない現実と向き合い、
乗り越えようとする姿をリアルに描いた作品。

サテライト校とは、
原発事故によって避難区域に指定された学校が、他の場所で授業を行っている仮設校舎のこと。

女の子が恐いな~
ヤンキーじゃないのに恐い(汗)
すごい声の迫力だ。

これとは違うけれど、私が小学生の時、新しい校舎を作るということで、
ある学年がプレハブ校舎でした。
夏暑く、夜寒いという、つらい環境。
自分は新しい校舎で、新しいにおいの環境。
小学生ながら複雑でした。
この話しとは問題の性質が違いますけどね。

兵庫県立東播磨高等学校「アルプススタンドのはしの方」

甲子園で応援するのは演劇部員ふたりと、元野球部、
そしてポツンとひとりでいる成績優秀女子。
演劇部のヤスダとタミヤは野球のルールを知らない。
何も知らない二人に野球を教える元野球部のフジノ。
ところが対戦相手は強豪校。

フジノは野球部を辞めた理由を打ち明ける。
8回裏、4点を追いかける場面で代打のアナウンスが。
バッターボックスに立ったのは、野球が下手でもあきらめずに練習をしていたヤノ。

演劇部の大会出場をあきらめていた、ヤスダとタミヤ。
必死に立ち向かう同級生の姿に心が動かされる。

野球の応援をとおして勇気づけられる、高校生の青春ストーリー。

音を通じての打球の目線、首の動きがポイントの舞台。
後半に後述します。

岐阜県立加納高等学校「彼の子、親を知る。」

現代を生きる少女3人が、たわいない会話を続けている。
遠くで聞こえる花火の音。
その音は、戦争の記憶を呼び覚ます。

マリコは戦死した夫の帰りを待ち続けている。
3人の少女はいつしか先祖の話を。
先祖の写真を見ていくうちに、それぞれが気づかなかったつながりが明らかに。

戦争を連想させる花火。
それは先祖からずっとつながら恐怖の記憶。

何気ない会話の導入、からの~戦争話。
先祖との会話というのもいい。

ちなみにうちの祖父は海軍。
めちゃくちゃ厳しかったということを聞いていました。
頑固な祖父が厳しいということは、想像を超えた厳しさであることは間違いない。

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北海道北見緑陵高等学校「学校でなにやってんの」

たったひとりの放送部員ヤマダは、
学校で存在感の薄い文化部をアピールをするため、
ラジオドキュメントのインタビューをすることに。
しかし、収録はなかなか進まない。
そんな中、ドアノブが壊れ、放送室に閉じ込められる。

能天気なヤマダはインタビューを続ける。
収録が終わり、ひとりで編集をするヤマダ。

日の当たらない文化部の、ちょっぴりせつない青春を描いたストーリー。

コメディチックな舞台。
結局のところ、文化部員のグチを聞かせられるだけのヤマダ。
主人公が地味だからこそ、
回りのメンバーが個性をどんどんアピールしていかないと。
そこが問われる。

ドアノブが壊れるシーンは、それだけで面白い。
ちなみ私の家もドアノブが壊れているところが今だにあり、
そこは使えない(笑)
たしかに素人ではどうやっても開かない。
ドライバーで開けても無理なレベル。

埼玉県立新座柳瀬高等学校「Love&Chance!」

伯爵の娘シルビアは、お見合い相手の人柄を見定めるために、自分の召使と入れ代わる。
対する公爵家のドラントもまた、身分を隠し、自分の召使と入れ代わっていた。
互いに入れ代わったことを知らず、惹かれあう二人。
そしてついに、正体が明らかに。

18世紀フランスのラブコメディ。

高校演劇としては新しい。
よくある日本の日常生活、自然な、というものでは全くなく、
まんま18世紀フランスの上流社会の雰囲気をもってきた。
これをやろうとする意気込みはすごい。

お互いに入れ代わっていたというのはよくある話しだけれど、
そのよくあるお話しを高校生が真面目に取り組むところに意義がある。
宝塚っぽく、女性が好きな舞台だと思う。

大賞は?

優秀賞
埼玉県立秩父農工科学高等学校「流星ピリオド」
沖縄県立向陽高等学校「HANABI」
茨城県立日立第一高等学校「白紙提出」

「流星ピリオド」「白紙提出」両方とも、ダイジェスト映像だけでも、
面白そうだとすぐに感じました。
ただ「HANABI」はあの映像だけだとわからない。
もっとエンターテイメントっぽいのかもしれない。
全編観たい。

最優秀賞
兵庫県立東播磨高等学校「アルプススタンドのはしの方」

さて本編、の前に。

NHKのカメラ、何台あるんだ?
5台ぐらいあるか?
さすがNHK、BSとはいえ資金力はある。

よりも引きもある。
アップもかなり頑張っている。
なかなか舞台のテレビ放送だとアップは大変だからね。
当然引きもあるけど、引きのバージョンも多い。
もしかしたら、後日インサート編集があったかもしれないが。
機材の進化もあるだろうね。
カット割りもよく研究している。

感想

こんなに演技演技しているのか。
まずそれにビックリ。

それに声の張りが良過ぎる。
いや、舞台として声がとおるのはいいことなんだけれど、
やはりアルプススタンドでの応援、自然な会話として、
あんなに声を張って友達同士で喋らないだろう、という違和感がある。

途中途中、舞台から笑いが入るのだけれど、
私はほとんど笑えなかった。
全然面白くない。
おそらくは、高校生の感性での笑いかもしれない。

演劇部員のインフルエンザによる全国大会を目指すための演目中止、
野球部でのレギュラー争いによる挫折、方向転換。
恋愛。
そして野球の熱さ。
そういうものを含めた物語。

やはり全編を通しても面白くなかった。
「進研ゼミ」ぐらいかな?
笑いのツボが私には合わなかった。

選考の人は大人なのか?
それとも高校生の意見もとりあげたのか、気になる。
大人だとしたら、これはどうだろう?
エンターテイメント性は皆無。
間延びするところもあるし、飽きる。
演劇の「通」を気取る可能性もあるけれど、
それにしては引き込まれるものが私には無かった。
高校生の甘酸っぱい青春!ってのを最優秀にさせたかったのかもしれないが。

練習風景でアピールしていた視線のところはそうでもない。
ヤスダは大阪弁全開(他の方言だったら申し訳ない)
声に張りがありすぎるのが気になる。後半は少し慣れました。
フジノの独特の表情、目の動きは面白い。いかにもいるな~って感じ。
タミヤは純粋な感じがよく出ている。アイドル的ルックスでクセがない。
素人っぽいところがいいのかもしれない。
メガネの宮下さん役の子は、きつい表情で、いかにも委員長的な雰囲気だが、
髪を下ろすと雰囲気が全然違う。

まとめ

嫌な意見だけど、NHKと高校野球の関連なのかな~?
「流星ピリオド」「白紙提出」
なんとなく面白そうな舞台をどうしても期待してしまう。
昔みたいに5時間ぐらいぶっ通し放送・・・なんてのは、
今の時代は無理でしょうね。
あの時は他の作品も全編観られて楽しかった。

戦争もの、原発ものは最優秀に選ばれないのは今までの常。
いろいろな考え方があるけれど、
それを回避しないで提供する高校はそれはそれで立派だと思う。

私の場合は少しビジネスライク的な感じで観てしまって申し訳ないが、
そんな批評家の意見なんて気にすることなく、
与えられた演目を演じればいいと思う。
もちろん、出演するメンバーだけでなく、裏方としての活動も経験になる。

オーディションに選ばれた優秀な人が演じる舞台、
演劇が好きで活動する高校演劇、
それぞれに特徴があっていい。
最終的には、あくまで観客個人個人の感性ですから。
NHKネットクラブ

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