青春舞台2016の感想
2017/01/23
遅過ぎて申し訳ない。
いろいろ忙しくて今になりました。
「第62回 全国高等学校演劇大会」
語りが松岡茉優ですが、高校生より覇気がない(汗)
たぶん、自分も見ていて「ヴォイストレーニング頑張ろう」なんて思っていると嬉しい。
舞台をやっていれば、声の張りが全然違うもの。
広島市立沼田高等学校「そらふね」
二人の姉妹は、亡くなった母が読み聞かせてくれていた、
「そらふね」の話しが大好きであった。
原爆投下から10年後の広島。
母を原爆で失い、バラックの家で暮らす姉妹。
被爆者ということで、婚約にも影響が・・・
かなりはしょられているので中身はほとんどわからず。
青森県立青森中央高等学校「アメイジング・グレイス」
鬼ケ島の高校に転入した人間の少女。
島で唯一の人間のため、イジメにあう。
ただ、鬼の中にも彼女に心を許す鬼も現れ始め、
じょじょに他の鬼たちも心を許していく。
そんな中、人間たちの間に戦争が勃発。
人間たちが次々に鬼ケ島に避難。
人間たちが増えていき、次第に鬼たちの居場所が減っていく。
そして、戦火はついに鬼ケ島にまで・・・
これも内容がはしょられないので、中身はわからないが、
なんとなく、今の移民問題もからんでくるような社会的なネタ。
ただ、よく言われる話しでもあるけれど、
全世界の人をまとめるには、宇宙人襲来という共通の敵を作るしかない、
という感じにも思えてしまう。
静岡県立伊東高等学校「幕が上がらない」
伊東高校に通う生徒たちの心の揺れ動き。
そもそも舞台ではなく、客席の中で曇徴も下りたままで舞台進行。
早口とか、意味不明な言葉で、今の高校生の思春期を表現している?のかな。
「シン・ゴジラ」のような早口をイメージさせる(私は観ていませんが)
テレビ映像としては、撮影を大変だったことでしょう。
客席も当然バッチリ映りますから、観る方も緊張する。
北海道北見北斗高等学校「常呂から(TOKORO curler)」
北海道に田舎町にカーリングを広めようと奮闘する祐一。
進路に揺れる娘の由実子は、なんのあてもなく東京に憧れる。
夢を追い続ける祐一。
娘との確執。
照明の男子にピックアップするのは、正直微妙ではあるけれど、
ま~NHKらしいかな。
ただ、照明の苦労がわかるところはいい。
話の内容的には、またまたはしょられているので、
あまり中身がわからない。
娘との確執があっても、
父親として推してあげようという感じなのかな?
ちゃんと観ないとわからないな。
広島市立舟入高等学校「八月の青い蝶」
昭和20年、広島に住む亮輔は、
父の妾であるキエに思いを寄せていた。
キエは昆虫採集が得意で、亮輔も教わっていた。
二人は蝶の羽化を見る約束をする。
しかし、亮輔は勤労作業が入り、待ち合わせの場所に行くことができず。
キエはひとりで蝶の羽化を見ることになる。
そこに原爆が投下。
一命を取り留めた亮輔はキエの元に。
あたり一面悲惨な状況の中、一匹の青い蝶が亮輔の元に・・・
広島市立舟入高等学校は昭和52年から40年にもわたって、
毎年、原爆をテーマにした作品を上演し続けてきたという。
それには理由がある。
舟入高校の前身、広島市立第一高等女学校の生徒たちが、
戦時中、学徒動員の生徒として、作業をおこなっていた。
8月6日、爆心地から500mの地点で。
生徒と教員を合わせ676人の方が亡くなった。
(広島市の死者数は推計14万人)
広島関連は、毎回広島の原爆関連ばっかりだな~と、
ずっと思っていたのですが、こういう理由があったんですね。
至極納得。
それを忘れずに受け継いでいきたいという思いなのでしょう。
率直に言って「最優秀」や「優秀」作品にはノミネートされづらい。
でもそれを続けるというのは、並々ならぬ貫く意志を感じる。
でもまぁ、たまにはエンターテイメント作品を演じたいだろうな~とも思う。
その伝統に縛られすぎると感じるか、伝統を守ろうと言う意志か。
その間をとっての表現方法を模索しているのだろう。
最多出場12回目って凄い。
特に森本綾乃という少年役を演じた女の子の表情が素晴らしい。
ただ、内容が短くはしょられていて残念。
北海道清水高等学校「その時を」
全校生徒わずか6人の北海道の高校に、女生徒が転入する。
男子の心がうずく。
ネタとしては面白い。
ただ、内容がはしょられていて残念。
私的に面白そうだと思う。
佐賀県立佐賀東高等学校「ボクの宿題」
中学生のキョウイチは、未来に希望がもてず、
「30年後の私」という作文の宿題を出せずにいた。
そんなキョウイチに父ジュンイチは、
生きることの楽しさをを教えようと、キョウイチの未来を一緒に想像していく。
それは、しだいに父の過去と交錯し、父の秘密を知ることに。
音楽とダンスのバランスがひじょうにいい。
また、このキョウイチ役の新郷樹が良い演技をする。
特にセリフ回しが独特。
埼玉県立芸術総合高等学校「解体されゆくアントニン・レーモンド建築 旧体育館の話」
大学生活に期待に胸をふくらませる9人の女子大生。
大学には使われていない体育館があり、
そこは生徒たちにとってくつろぎの場所であった。
ところがある日、旧体育館が取り壊されることに。
そして、彼女たちの前に旧体育館の秘密が明らかに・・・
9人主人公というテーマが面白い。
ただ、全く話がはしょられていてわからず。
徳島県立阿波高等学校「2016」
校内暴力が吹き荒れた、1986年。
主人公のミーナはそんな毎日にうんざんりしていた。
ある日ミーナは、校舎裏で出会った科学部の話しに耳を傾ける。
それは「2016年」ミーナにとって夢のような未来。
イジメも校内暴力も不良もいない・・・
まず思ったのは「金八先生」の三原じゅん子をイメージしている主役だなと(笑)
ただ、髪形は聖子ちゃんカットのような。
コメディとシリアスのバランスかな?
ダイジェスト編集されているので、内容がわからなくて残念。
和歌山県立串本古座高等学校「扉はひらく」
人付き合いが苦手なヤマグチと、
ヤマグチを馬鹿にすることで友達を作るムラタ、
二人は偶然居合わせたエレベーターに閉じ込められてしまう。
しかし二人はある映画の話しをきっかけに、心を通わせていく・・・
韓国語を勉強か~またこのタイミングで。
二人の独特のテンションが、好き嫌い別れる作品だと思う。
ごめん、私には合わなかった。
あのテンションは無理。
山梨県立白根高等学校「双眼鏡」
変わり者という理由で孤立し、引きこもりになったサオリ。
夏祭の日、ネットで知り合った男性と待ち合わせをしていた。
心が落ち着かないサオリは、妄想の世界に。
妹と祭を楽しむ母の姿を見て、ヒキコモリから卒業することを誓う。
60分ひとり芝居。
これは凄い。
なんというか、片桐はいりのひとり芝居的な感じ。
これも好き嫌いわかれる。
優秀賞
青森県立青森中央高等学校「アメイジング・グレイス」
静岡県立伊東高等学校「幕が上がらない」
埼玉県立芸術総合高等学校「解体されゆくアントニン・レーモンド建築 旧体育館の話」最優秀賞
岐阜県立岐阜農林高等学校「Is(あいす)」
演劇作品で優劣をつけるのは難しいな~
私も第15回エターナルファンタジー演劇大賞 2016年
をやっていますが(笑)
私の場合は独断と偏見だし、
高校演劇も主催者や映像媒体であるNHKの意向も多少はあるでしょう。
ま~言わないでしょうけどね。
それは大人の事情。
岐阜県立岐阜農林高等学校「Is(あいす)」
イチゴ栽培で有名な農業高校。
朝も放課後もイチゴ栽培の実習があるため、
練習時間が少ない男子バスケ部は弱い。
そんな彼らの前に、一人の転校生が現れる。
自称「S」という少女。
言葉に意味は無いという。バスケが得意なSは、無理やり女子バスケ部を創部。
だが、いつまでたってもレベルの上がらない部員たちにいらだち、
衝突してしまう。
最優秀の作品。
いろいろ思うことはありますが、まず作品として面白い。
エンターテイメント性も、社会風刺も、高校生ネタもある。
NHKとして放送しやすい。
これですね。
1時間の放送も全く飽きること無し。
メイキング部分
先生のダメ出しが厳しい。大変だ。
主役であるS役 鶴田琴美
良い表情をする。
それは目立つよ。
なんとういか、ちょっと私の知っている女優に似てなくもないが、
それは言わずにおいておこう。
将来の夢が女優か~
今までの青春舞台の女の子もみんな言っていた。
そして東京に上京。
ま~そんなに簡単なものではないことを、そこで理解する。
でも、それもまた人生。
「戦う前から負けることを考える奴がいるか!」ってこと。
本編
各人物のキャラクターの設定がしっかりしていて、
わかりやすい。
そのキャラクターにとりくむ役者も素晴らしく、
他人がセリフを発している時も、立ち姿を各役で違っているのが良くわかる。
キャラクターにあった表情付けをしている。
他の役者たちの実力もここですぐにわかるもの。
当然主役のS役の子は目立つのだけれど、
K役の子もSの子に合わせる感じで、ちょうど良い存在感。
ここのバランスは絶妙だと思う。
主役の子を引き立たせているのがよくわかる。
五十嵐先生役の子も、ずっとツンツンしていて、
一回だけ表情をゆるめるというのもいい。
嫌な役どころだけれど、それを観客にわからせるのがいい。
男子のバスケメンバー、
女子のバスケメンバー、
ライバル男子校、ライバル女子校と、
ひじょうに個性が強い。
バスケという一本の道はあるものの、
イチゴ栽培のことにもずっとふれている。
高校の生活、自分の家庭環境、子供時代の何気ない行動による心の闇、
それがうまく散りばめられているところがいい。
グループ同士の対決が多いので、
エンターテイメントとしてもわかりやすい。
相手のお嬢様校のリーダーが当たり前のようなお嬢様タイプと思いきや、
もうひとりいて、そっちが強敵なのかというのも面白い。
さらに彼女の上着には秘密があって・・・というのもいい。
面白い小ネタをうまくはさんでいる。
場面転換もちょうどいい感じ。
違和感を全く感じさせない暗転の変化。
ここは意外と重要なポイントかもしれない。
それから演出として、バスケのドリブルもしっかりしている。
ただ単にパントマイムのドリブルでなく、
しっかりボールを回転させる動作をしながらドリブルをしている。
ここは凄くこまかい。
だからこそ、ボールが無いのに、あるように見える。
ゴールの網の入った瞬間の動きも秀逸。
タイミングが難しいからね。
「うどんこ病」がけっこうセリフとして出てきますが、
蛇足ながら、自宅の回りはコンクリートではなく、常緑植物。
(幹や枝に一年を通じて葉がついていて、年中、緑の葉を見ることができる植物)
暑さもしのげて、空気も新鮮。
ただひとつ残念なのが、病気に弱く、虫がつきやすい。
「うどんこ病」もほぼ毎年発生。
農薬を巻いたりしますが、なかなか大変な作業。
イチゴとはレベルが違いますけどね。
あと、私が偉そうに語ることはないいのだけれど、
男女の恋愛の部分も複雑でいい。
好き嫌い、単純なものではないというのをよく表現している。
この脚本家、過去にこういった恋愛があったのでは?
と、思わせような描写。
いわゆる一筋縄ではいかない男女の関係という感じ。
明らかに疲れるけど。
それがいいのかもしれない。
「男と女はうまくいかない」
深いな、このセリフ。
深過ぎる。
というか、おそらくこの脚本、実体験あるような、ないような(笑)
大人の恋愛に近い気がする。
まとめ
久々に見て気づいたのは、男子の割合、そしてイケメン率が高くなった。
(いや、決して今まで少ないというわけではないが)
やっぱり、昨今のミュージカル環境等、影響しているのだろうか?
すそ野が広がるのは良いこと。
あと、化粧とかメイクとか、
ネット環境が充実していることから、その点も自分たちで研究している気がする。
昔はそんなのないから、気づくことすらなかった。
あとはやはり、NHKさんが頑張って放送時間を長くしてほしいところ。
岐阜県立岐阜農林高等学校「Is(あいす)」素晴らしかった。