ディズニーアニメ最高傑作「モアナと伝説の海」映画感想。5点満点中の満点。

      2017/03/27

ちなみに私は「アナと雪の女王」すら見ていないんですけどね。
それでもこの映画は素晴らしかった。
ネタバレ有り。

そもそもこの映画は予備知識ゼロで見ました。
テレビでCMも流れていましたが、2、3回見た程度。
タトゥーの印象が強いので、CMも大変だったと思う。
子供たちへのアピールも難しいですから。

タトゥーをうまく利用した楽しさ。

タトゥーの印象が強いため、それをアニメのように動かす演出は素晴らしかった。
逆に楽しくなりますね。
これがあると、すぐに気にならなくなります。

王道の冒険活劇。

場面場面に起承転結があり、全く飽きない。
たるいな~という部分が無いのがすごい。

あらすじ的には、いつかは島の外海に出たいと願う村長の娘モアナ。
村に危機が迫り、伝説の英雄マウイを探す旅に・・・

と単純明快なストーリー。
コメディ要素も満載なので、すごく楽しめます。

もちろんそれだけでなく、人とのつながり、家族、村人、祖母との絆。
重要なことがたくさん入っている。
海外ドラマ好きで、二転三転するサスペンス的なストーリーも好きだけれど、
こういったストーリーも大好き。
逆に今の日本のアニメに無いかも。
ジブリに近いかな?

ご都合主義、そんなばかな、というところもあるけれど、
それはエンターテイメント、全く気になりません。
エンターテイメントとしては秀逸。

圧倒的な映像の美しさ

映画館の大きなスクリーンで見たのですが、ものすっごく綺麗。
フルCG。
荒さが全くない。
比較するのは失礼ですが、「君の名は」は、荒さが凄く目立ちました。
あくまで、ブルーレイとかで見れば違和感ないとかというレベル。
さすがに映画は厳しい。
それに比べると、いや比べるのは本当におこがましいのですが、
映像の美しさは半端ない。
ま~予算たっぷりなので、資金が投入できるからこその表現力ではありますが。
テレビ、ブルーレイで見るのもいいけれど、
これは映画館で見るのが一番だと思う。
美しさの表現が凄い。

登場人物が少ないのでわかりやすい。

メインキャラが少ないのは、映画にも集中できます。
基本、モアナ、マウイですからね。
ポイント、ポイントで重要キャラが増えるぐらいなので、
ひじょうにわかりやすいのが良かった。

祖母が亡くなったことを匂わせるエイの演出

本当に素晴らしい。
自分が死んだらエイに・・・とモアナに言っていたことが、
そのまま表現されている。
モアナもきっとわかっていたでしょうね。

声優がいい。

私は日本語吹き替え版を見ました。
ミュージカル系の大御所がいっぱい。
さすがディズニー、本格派をチョイスする。

主人公モアナは屋比久知奈

初めて知りましたが、セリフはまずまず。
慣れればどうということはない。
歌は素晴らしい。

タラおばあちゃん/夏木マリ

重要なキャラ。
音楽劇 ガラスの仮面 2008では月影千草役がバッチリだった。
今回のキャラもいい味だしています。

マウイ/尾上松也

名前は聞いたことがありますが、声優は初めてのようですね。
めちゃくちゃ合っていました。

トゥイ・ワイアリキ/安崎求

ちなみに私のイメージだと、アルゴミュージカルがすぐに思い浮かびました。
特にアルゴミュージカル「子猿物語」の、
ボスと三太夫の二役を演じた印象が強い。

タマトア – ジェマイン・クレメント/ROLLY

カニなんですけど、重要なキャラです。
森は生きているの博士役は楽しかった。
ちなみにこの時は、女王役が神戸みゆきだった。
最高の女王だった。
あんなにぶりっこで、ツンケンしていて、お茶目で、感情豊かな女王役は後にも先にもいない。

ミュージカルナンバーが楽しい。

オープニングはめっちゃ楽しいし、マウイの紹介部分もいい。
もちろん、主題歌も。
退屈なナンバーがないのって、すごくない?
どれを聞いても楽しい。
良いシーンばかり。

 


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誰でもない。自分で決める。

物語の途中、海がモアナを選んだことに、モアナは反抗する。
「私じゃなかった」と。
物語の重要アイテム「ハート」を海に投げ込んで捨ててしまう。
エイの姿になった幽霊のおばあちゃんが諭す。
「あきらめてもいいんだよ」
ふと、気づくとそこには誰もいない。

モアナは海に潜る。
誰でもない、自分の意志でやりとげるんだ、と。
そして「ハート」を再び手にいれる。

ここはとてもいい脚本、演出だと思う。
私事で恐縮だが、「ジョジョの奇妙な冒険」第5部、ナランチャのことを思い出した。
物語の途中、仲間が分裂する。
マフィアのボスの下にいるか、裏切るかの重要な選択。
裏切るメンバーはボートで、裏切らないメンバーは港に残る。
ひとり悩むナランチャ。
メンバーに「俺についてきてほしいと言ってくれ」と願う。
誰も言わない。
自分自身で決める。
そうこうしているうちに、裏切るメンバーのボートは海へ。
遠ざかるボートを見て、ナランチャは海に飛び込む。
「俺も行くよ!」
そう、選択肢は自分自身にある。
全て自分で決めた行動、結果なのだと。

日本のアニメの影響

主人公・モアナのモデルは実はジブリ作品のキャラクターであると監督である2人が言っていました。

ジブリ作品のキャラクターはみな周りに流されず自分の考えで行動しており、その部分をモアナと重ね合わせています。更に日本人に早く見てほしいとも語っておりジブリ同様の人気が得られるのかもしれません。

製作陣は、ヒロインと自然との距離感や関係性などもジブリの宮崎駿監督を参考にしたと明かしています。ヒロインと自然のつながりを描いているといえば『もののけ姫』や『風の谷のナウシカ』、『となりのトトロ』が非常に有名ですね。それらの作品を彷彿とさせるシーンを探すのも楽しいかもしれません。

そう思わせるふしがけっこうあります。
ゆっくりひとりで歩くところはナウシカとか、自然の「もののけ姫」、敵?である、大地と炎の悪魔「テ・カァ」は巨人兵のようにも思える。
それ以外にも、実写とCGアニメの組み合わせっぽい雰囲気は、日本のアニメでもよくあります。

私なりの深読み

途中、子豚とニワトリが出てくるのだけれど、
私としては最後に重要な役割を荷なうことになるかな~?と思いましたが、
結局何もならなかったと(笑)
それはそれで良かったかも。

マウイがニワトリに変身できたこともあり、
じつは最後に2羽ニワトリがいて、こっそり一緒に帰っていた、
なんてことも想像したんですけどね。
これも無かった。

アルゴミュージカルに通じる自然への感謝

私自身は無宗教。
だけれど、アニミズム(自然界のそれぞれのものに固有の霊が宿るという信仰)
を大事にしたいな~とは思う。
そんなに深く考えることではなく、
お地蔵さんに感謝、山に入山する時は、山に感謝。
その程度でいい。
目に見えないものを、心の中で感謝する。
それだけのこと。

特に小椋佳さんの「山に抱かれて」の詩が心に響く。

君は ほんの少しの 後ろめたさも無く
山や川や緑と 話が出来ますか
君は かけがえのない 友を思うように
風や水や光の 話を聞けますか

君は 生かされている 嬉しさを感じて
花や木々や木の実に 挨拶出来ますか


今、この時代だからこそ、自然への感謝、忘れていませんか?

おばあちゃん、タラの謎

もうひとつの深読みとして、このタラおばあちゃん。
じつはモアナの前に、海に選ばれた人なのでは?と推測。
でも、失敗した。あきらめた。
それゆえに、モアナが子供のころから海に愛されていたことを知り、
落としてしまった「ハート」のことも知っていた。
そして諦めていいという優しい投げかけも。

また「ジョジョの奇妙な冒険」の話をして申し訳ないのだけれど、
ジョナサン→ジョセフ→承太郎という系譜。
隔世遺伝、つまりは、祖父、父、子という三世代の場合、祖父から子、という、
世代を飛ばした遺伝現象のようにも思える。

ミュージカルの舞台にもなりそう

ライオンキングがサバンナなら、こちらは海。
十分、劇団四季がやりそう。
というか、まずその前にハリウッドですね。

ちなみに、この話しとは全く別件のショートストーリーも楽しかった。
ちょっと日本人を意識しているのかな?

私的に大絶賛の映画です。
少なくともミュージカル好きにはたまらないと思う。
超おすすめ。
できたら映画館で。


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