ゲキハロ第13回公演 「我らジャンヌ〜少女聖戦歌劇〜」

満足度
◆公演時期   2013年9月6日(金)→16日(月)
◆会場 池袋サンシャイン劇場
◆脚本・演出 末満健一
◆音楽 和田俊輔
◆プロデューサー 丹羽多聞アンドリウ/佐々木淳子
◆主催・企画・制作 BS-TBS/アップフロントプロモーション

あらすじ
1431年5月30日。フランス北部の町ルーアンで、
1人の少女が火あぶりにされた。
少女の名はジャンヌ・ダルク。

ジャンヌの死から5年後、
今なおイングランドが占領しているメスの街。
その街に住む、花売り娘ジジは、
かつてジャンヌが聞いたという、
「神の声」にも匹敵する幻影を見る。

歴史の影に埋もれた、もうひとつのジャンヌ・ダルク伝説。
(パンフレットより一部抜粋)

観劇感想
ダブルキャストに近い、キャストの配役変更システムで、
私が観劇した時は「トゥルース」でした。

話のおおまかな流れとしては、
→ジャンヌ・ダルクが火あぶりに。
→5年後、ジャンヌ・ダルクに似ているジジをピエール達が発見。
→解放軍は彼女を象徴として活用しようと画策。
→かつてジャンヌを愛していたピエールは、二の舞になることを恐れる。
→じつのところ、ジジには死んだはずのジャンヌの声が聞こえていた。
→イングランドがせまる中、仲間のサポートを受け、
ジジはジャンヌ・ダルクになることを決意する。
こんな感じです。

久々のハロプロの舞台。
2006年のモーニング娘。『リボンの騎士 ザ・ミュージカル』以来。
この時の高橋愛は本当に素晴らしかったです。

そもそも久々に劇団ゲキハロを観ようと思ったのは、
今回でとりあえず休止ということと、
田村芽実の久々の舞台活動という二点において。

上演時間としては二時間、二時間強ぐらいでしょうか?
途中休憩無しはすごい。

まず、全体的に思ったことは、
全員がいっせいに登場することが多い。
群舞というところまではいきませんが、振付、歌唱、
舞台全体で繰り広げられるミュージカルナンバー。
均等というわけではないけれど、
アイドルをあるていど出してあげないといけない演出なのかな?
なんて思いました。
要所、要所に、グループ別、
ソロのミュージカルナンバーもありますけど。

この舞台全体として、歌うシーンが多い。
しかも全員が突如登場して。
演技のシーンは、もちろんあるのだけれど、
私の印象として多い。

これは仕方のない演出、脚本だとは思いますが、
ジジが毎回毎回ジャンヌのことを思い、
そのたびにジャンヌが登場するのは、出演シーンを増やす為でしょう。
裏の和田彩花なり、菅谷梨沙子の。
私的にはちょっとしつこい部分もあります。
出さざるをえないのは、十分わかるんですけどね。

今回の舞台は実際の歴史背景があるファンタジーもの。
元々が題材として、物凄く難しい舞台。
政治的要素もあるけれど、私としては、
ひとりひとりの自己紹介的ミュージカルナンバーがあっても良かった。
ピエール、ルネ、ジャックのミュージカルナンバーとか、
ハロルドとルーパート、敵のナンバーとか、
タチアナとリリー、コメディ要素のナンバーとか、
ジジとピエールの、恋愛的なミュージカルナンバーとか、
いくらでも作れそう。

少ない人数で歌っているミュージカルナンバーとしては、
ソロを抜かすと、オルガが歌っている場面が一番印象的かな。
ジジとピエールのソロが多い印象もある。

あとは、 誰でも口ずさめる、
わかりやすいミュージカルナンバーもひとつぐらいほしいかな。

ただ、今思うと、恋愛関係は、アイドルの舞台ですと、
あまり長めに入れるとまずいという理由もあるのかな?

途中から登場するマリオンは、
いくらなんでも遅過ぎる。
もっと前から侵入して、
解放軍のメンバーと仲良くなってから裏切った方がいい。
時間の制約もあるでしょうけど。
さらに言えば、誰が裏切り者なのかわからないまま、
最初からいても良かった。
その方がサスペンスタッチになったかもしれない。
途中登場の新キャラは、明らかにバレバレすぎ。

ジジ役、菅谷梨沙子の火あぶりを受ける最後のシーンはじつに印象的。
凛々しく、気高く、訴えるその演技。
客席も波をうったようにシーンと静まりかえっていました。
ただよく考えると、あれだけジャンヌの二の舞はさせない、
と、意気込んでいたピエールが早々と捕まるのは・・・
しかも、この前にも弟のジャックと一緒に捕まり、
田村芽実が演じたコンスタンスに助けられる始末。
男性陣弱過ぎ。

思うに、ジャンヌ・ダルクの「神の声が聞こえた」発言は、
ある意味煽動でもある。
その言葉によって民衆を煽っていた可能性すらある。
遥か昔の十字軍でさえ「我等の神の土地を奪い返そう」的な思想ですし。
宗教じみている感は否めない。
もちろん、民衆がその発言に煽られることのない、冷静な判断、
批判能力の欠如があったこともありますが。
だからこそ、私は情報を鵜呑みにはしません。

最終的にフリートウッドが謝る場面があるのは良かった。
やっぱりここは、ハッピーエンドにもっていくのが無難だもの。

気になった役者は・・・

ストーリーテラーとして、ベル役の嗣永桃子が随所に登場。
時代背景があるので、説明役は重要。
ただ、申し訳ないけれど、私には合いませんでした。
本当にただ説明をしているだけ。
ストーリーテラー的存在は、舞台でも山ほどありますが、
みなさん、いろいろとアレンジしてるんですよね。
そういったものがなく、ただ単に説明口調。
この印象が強くて、他の場面に登場していたのか、
ほとんど記憶にありません。

それから少し気になるのは発声。
テレビのバラエティ番組を見るかぎりでは、
全く気にも止めていなかったのですが、
舞台の声質だとかなり気になります。
セリフが聞き取りにくい。
舞台だと、舌なめずりな喋り方であることがバレてしまう。
ここは今後改善の余地があると思います。
舞台関係をやるのであれば。
バラエティであれば、全く気づかないので、大丈夫でしょう。

気になる部分はあるのですが、
それを差し引いても私が観た回の主役のジジ役、
菅谷梨沙子は素晴らしかった。
地味で控えめな演技、目配り、表情もいい。
声質もハッキリしていて、張りもある。
何より歌唱力が抜群!!
こんなに歌える人とは思いませんでした。
ハロプロ系なので、歌やダンスはしっかり稽古を積んでいることは、
なんとなく知っていましたが、その中でも彼女は群を抜いている。
この歌い方は舞台に合う歌い方。
ハロプロ系は、情報力ゼロで、全く存じあげない私ですが、
彼女の実力は特筆すべきだと思う。

民衆の熱気を知り、民衆の裏切りを知り、
火あぶりの刑に対する恐怖の感情も秀逸。
コロコロ変わる表情というわけではないけれど、
なぜだか巻き込まれてしまい、戸惑いながらも、
ジャンヌの後継者として目覚めていく部分は非常に良かったです。
この役、性格にあった表情付。

今回の舞台を観劇して本当に良かったと思ったそのひとつは、
間違いなく彼女の存在を知ったこと。
これは大きかった。
めちゃくちゃ良かったよ、菅谷梨沙子
「アイドルの舞台」と違和感をもつ人もいるとは思いますが、
私は物凄く評価してあげたい。
私がしないで、誰がする。

彼女のダブルキャストである和田彩花も、
こちらの組ではジャンヌ役として出演。
歌唱力もあり、
ショートカットのルックスに、クリッとした瞳が印象的。
ま〜かわいい。
スタイルは、全体的にかなり細めでスラッとしています。

ただいかんせん、セリフが少し軽い。
重みが足りない。ここは気になりました。
ジジ役ではなく、ジャンヌ役としてのイメージかもしれませんが、
私は気になってしまいました。
失礼ながら、和田彩花のジジではなく、
菅谷梨沙子のジジを観られて良かったと思ってしまうほど。
舞台をこれからもするのであれば、発声は改善してほしいな。
ルックスや「華」は抜群だもの。

私が観た組では、オルガ役が熊井友理奈でした。
噂には聞いていましたが、目の前で観ると実物はたしかにでかい。
失礼。
でも、それを相手の田村芽実の肩車演出で、
「上から見下ろされるのは・・・」
なんて、面白さにつながるのは良かった。

そもそも、このオルガ役は彼女に合っている。
姐御肌で、か弱いジジの為に頑張る姿は好演。
ジジをなんとか、表舞台に出したくない気持ちもけなげでいい。
演技的には荒削りで、まだまだこれからだけれど、
この役には合っていたので、そこまで違和感は感じませんでした。

ちなみに彼女はダブルの場合ですと、
ピエールの妹のルネなんですよね・・・
それはそれで、背が高い妹としてコメディチックになったのかな?

そのルネ役を演じた福田花音
彼女はミュージカル リズミックタウン2008での主演、を観劇。
ミュージカル「白蛇伝」 第1幕 第2幕の映像を見ています。
田村芽実の次に楽しみにしていました。
やっぱり、演技の実力はありますからね。

ピエールの妹ということもあるけれど、かなりおとなしめ。
けっこう積極的、無鉄砲に突き進む兄を抑制する役割なのかもしれない。
だから冷静な感じなのかな?
何かパワーに欠ける気がしないでもない。
私が観た回が3回公演の最後だった為、
疲れが出ていたのでしょうか?

彼女はダンスの部分も気になります。
他のメンバーがキレキレの、抑揚あるダンスをしているにもかかわらず、
彼女は淡々とした感じ。
ダンスを流しているようにも思える。
手を抜いている、真剣みが足りない、
と、私がそこまで思ってしまうほど。

ダンスはかなり気になったので、
恥ずかしながら「スマイレージ」のMVを見させてもらいましたが、
普段からちょっと脱力系なダンスなんですね。
力を全面に押し出すタイプではない。
前述しているように淡々として平然とやってのける、
そういった感じなのかな?
それとも、じつは、彼女はダンスの子ではなく、
歌唱力がメインの子?
ダンスは苦手な方なのかもしれませんね。

演技はしっかりしているし、歌唱力は抜群なんですけど。
そこはかなり気になりました。
舞台でアンサンブルの人がこういったダンス、振付をしたら、
怒られるは当然でしょう。

ヴァイオレット役の須藤茉麻は、相当うまいでしょ、女優として。
良い演技をする。
熊井友理奈のオルガも姐御肌的な役割ですが、
総合的な大姐御肌がヴァイオレット。
みんなを引っ張る積極性。
ある意味、おばちゃん的存在でもあるけれど、
彼女は演技もこなれているし、私はかなり評価しています。

アネモネ役の中西香菜
キャラクターとしてはヴァイオレットとかぶる。
あくまで、こちらは酒場の女主人という形ではありますけど。
正直、この舞台の中では大抜擢だったと思います。
美味しい役ですし、ソロのミュージカルナンバーもあるほど。
いかんせん、舞台女優としての歌声、セリフ、演技はまだまだこれから。
頑張ってる感は出てるんですけどね。
彼女のキャラクターかな、良かったのは。
須藤茉麻とのダブルキャスト配役ですが、
彼女の方が存在感アリアリなので、ヴァイオレット、アネモネ、
どちらにしても、もっていかれてしまうでしょうね。
二人で出ているシーンも多いですし。
これから頑張ってほしいな。

マリオン役の夏焼雅
彼女は途中から出演します。
この役は出番が少なくもったいない。
解放軍ともっと仲良くなる設定だったら、良かったんですけど。
それは時間の都合もあって描ききれないことなのでしょう。
演技もしっかりしているし、カツゼツせいいし、
歌唱力も抜群。
彼女の裏のダブルが田村芽実なので、
コンスタンス役もきっと上手かったでしょうね。
私は観ることかできませんでしたが、イメージが想像できるほど。

コンスタンス役の田村芽実
ミュージカル「きみにとどけ・・・〜この愛永遠に時をこえて〜」以来の観劇。
そもそも田村芽実は、
2010年ココスマイルで主役、
エターナルファンタジー演劇大賞2010で、
最優秀主演女優賞をとったほどの逸材。
それがどのくらい成長したのか?という、
興味本位がまずありました。

彼女の本当の性格は、正直全くわからないのですが、
このコンスタンス役はハマッてました。
解放軍の女リーダー的存在で、
ほがらかにみんなをまとめていくというよりかは、
「私についてこい!」と、強気で仕切っていくタイプ。

裏のダブルキャストですと、マリオン役なのですが、
おそらく、田村芽実を観るのであれば、
こちらの方がいいでしょうね。
マリオン役は観ていませんが。
こちらの役の方が目立ちますし。

演技、ダンス、セリフ、歌唱力、どれもが素晴らしいんですけど、
コンスタンスのちょっと吹っ切れた感の強気の性格、
相手を威圧させる目つき、ここは当時14歳?とは思えないほどの演技力。
これが20歳になっていたら、相当怖い演技をしたことでしょう。
14歳だから、まだ幼さが残る演技だけれど。

彼女はダンスをしている時を観るとわかりますが、
メリハリが効いている。
それだけでも他のメンバーに比べて段違いに違う。
筋肉のつきかたもすごい。
素晴らしいでしょ、ここは。

ひとつ気づいたのは、
片手でコブシを作ってみんなを鼓舞するような場面があるのですが、
このコブシを作って動かすところが、姉の田村花恋の雰囲気にそっくり。
田村花恋も、こういった腕の使い方をよくするんですよね。
意識してなくても、微妙に似てくるのかもしれません。
私なりに、ちょっとクスっと笑ってしまいました。
わかる人にだけわかればいい部分。

ハロルド役の徳永千奈美は、ま〜演技的にはこれからかな?
常に一緒にいるルーパートがしっかり者なので、
こちらはちょっとボケ的要素なのかもしりませんが。
そのルーパート役の清水佐紀
印象度はかなり高かったです。
パンフレットの写真よりも、舞台上の方がじつに凛々しく思えました。
演技力あるし、セリフもしっかりしているし、歌唱力もある。
しかも片目眼帯での舞台上の演技。
難しかった部分も多々あったことでしょう。
それを感じさせない演技。
かなり見応えありました。
舞台女優としても評価は高いでしょ、彼女は。

タチアナ役の勝田里奈と、リリー役の竹内朱莉は、
ちょっとお茶目なシスター役。
これが、裏のキャストですと、
上記しているハロルドとルーパートになります。
申し訳ないのだけれど、可愛くて面白かったとしか言いようがない。
シスター役は完全に面白系ですから。
ただ、竹内朱莉のダンスはキレキレ。
離れた観客席からでも、よく見えます。

ピエール役の山本匠馬は、
「作者をせかす六人の主人公たち」以来の観劇。
今、ベイビーレイズで活躍している林愛夏も出演。
懐かしい。
それは置いといて、山本匠馬はプロなので申し分ない。
カッコイイし。
かつてのジャンヌを救えなかった思い、
そして新たに発見したジジを巻き込みたくないという思い、
不安定な演技もよく表現されています。
という演技力よりも、私は殺陣に評価したい。
けっこう剣舞、殺陣のシーンがありましたが、
素早い動きで、見栄え良く動いていました。

ジャック役の桝井賢斗
ピエール役の山本匠馬もプロなのですが、
その彼と同格ぐらい、桝井賢斗の演技は素晴らしかった。
経歴を見ると、その一端がかいま見えますね。
役者としての実力があるのも当然。
演技も、セリフ遣いも、本当に素晴らしかった。
そしてジャックの熱い演技も良かった。
ジャックの性格がストレートなぶん、
役者としても素直に表現できますから。
彼は、今後間違いなくもっともっと出てくるでしょうね。
青田買いした方が絶対にいい。

総括
とにかく、菅谷梨沙子が本当に素晴らしかった。
満足度としては星三つぐらいなんですけど、
彼女の存在を加えて三つ半。
主役としての演技、歌声に、私は敬意を表する。

今後、アイドル活動もこのまま続けていくとは思いますが、
舞台女優としても、十分に活躍できる実力の持ち主。
もしかしたら彼女は、
今回の舞台で本格的に舞台女優として目覚めてしまったかもしれません。

(敬称略)
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