公演時期 | 2008年11月27日~12月3日 |
---|---|
会場 | 東京芸術劇場 小ホール1 |
脚本 | 武居秀剋 |
演出 | 宇治川まさなり |
振付 | MIE |
音楽 | 安藤禎央 |
声楽指導 | 桑原英明 |
あらすじこの町に住む少女メイは母親のリンと二人暮しをしている。 リンはこの町の歌手であり町でも有名人だ。 クリスマスを控えたこの町で、メイ母子に関する記事が新聞に掲載された。 誰も見たことがなかったメイの父親が、実は大富豪であり、 メイを引き取りたがっている、というものだ。 自分が父のもとに行けば、母は歌手に専念させてあげられると考えるメイと、 メイの気持ちを知らずに娘に嫌われたのではないかと苦しむリン。 二人のすれ違いに気付いたメイの友人、公園に住む浮浪者のダボは、 この町に毎年必ずやってくるサンタクロースに気持ちを伝えれば良い、と提案。 そして、クリスマスの日、 町にやってきたサンタクロースが全ての人に幸せをプレゼントした… (パンフレットより抜粋) 感想全体的な話の流れは大きく変わっていませんので、 2007年の観劇感想を参照してください。 今回はA組のみの感想。 芸術劇場小ホールは過去にも一度、 全く無名の舞台を見たことがあるのですが、 ここは客席の段差が少ないんですよね。 だから、前の観客の頭が視線に入りやすく、見づらいのが少し残念。 客層は多種多用。 ファミリーミュージカルを観にきた家族連れから、 女優、俳優を観にきた方まで、いろいろと幅広いです。 基本は大人の舞台ですので、安心して見られます。 前回と大きく変わった部分は、そんなには無いと思いますが、 妖精の出番とダンスシーンが増えたことでしょうか? ちなみに振付のMIEさんって、あのMIEさんかしら?関係ないのかな? 目に見えない妖精がたくさん登場する意味合いが、 よく観劇していないとわかりません・・・ 私もあまり記憶に無いほど。 というか、いる必要性がよくわかりません。 テールがどうして離婚をすることになったのか、 父親と母親に問い詰めるシーンは前回も「バー」だったでしょうか? 自宅だった気がするのですが・・・ それからこの場面に、リンとメイもいたでしょうか? いなかったような気が・・・ というのも、この離婚の話しが終わってテールが倒れた後、 二人でとぼとぼ歩くシーンがあるんですよね・・・ ここがよくわかりませんでした。普通にいらない気がします・・・ なるべく福田花音を舞台に出させておく演出なのでしょうか? 気になった役者みなさんプロの方ばかりなので、気になった方だけ。 リン役の渚あきお母さんにしておくのはもったいない程の美形で(汗) 演技力、歌唱力ともにすばらしいです。 とにかくも、やっぱり歌でしょうね。 「ミュージカルを観にきた!」という実感が本当にわきますから。 つんけんしたお母さんではなく、かなり優しい感じがします。 ある意味主役のメイ役、福田花音ハロプロということで、かなり有名のようですね。 白蛇伝の舞台の映像は観たのですが、 それを観る限り演技はすごくしっかりしていましたので、 この役も違和感なく演じられるだろうな~と思っていました。 その考え通り、演技はしっかりしています。 ルックスも可愛らしく、とても華がある女の子。 少し気になったのは表情。 なにか、いつも同じ表情なんですよね。 アイドルとしての表情付けは抜群で、笑顔は本当にかわいいのだけれど、 舞台役者としての表情付けではないです。 似かよった表情が多い。これはちょっと飽きます。 もっともっと表情に変化がほしい。 華がある分、それがカセとなって、 自分ひとりの演技になってしまう部分も気になります。 何かメイがいつもツンケンしている感じ。 歌はうまいとは思うのですが、この舞台って、 ちょっとよくわからないのですが、 歌う場面になるとマイクがONになりますよね? 歌う場面になると急に大きくなります。 しかも全員のマイクがいっせいにONになるわけではありません。 リン役の渚あきと一緒に歌うシーンでは、渚あきの歌声しか聞こえず、 かすかに福田花音の声が聞こえる、という感じでしたから。 もうひとつ気になったのがダンスシーン。 前に増山加弥乃の時も指摘したのですが、 歌い、ダンスをしながら首をカクッと動かす癖があるんですよね。 表情を変化させるために、わざと軽く振る。 アイドル系はこの癖が抜けない。 そんなにたくさんダンスシーンがあるわけではありませんが、 後半のところではそこが少し気になりました。 あくまで私の印象で言えば、去年の森本祐加の方が上。 だからと言って、非難する気はサラサラ無く、 舞台女優として、これから経験を積んでいってほしいです。 演技力は見るべきものがありますから。 経験が何より大事だし、 舞台特有の発声も練習量で補えるし(指導する方にもよりますが) あとは表情の変化かな? いくらルックスが可愛らしくても、 同じタイプの表情付けでは舞台としては飽きてしまいます。 まだまだ若いですから、ここの成長を次回期待したいです。 ダボ役の佐藤正宏うまい。 三枚目役は本当にすばらしい。 もっとコテコテの演技かな~と思ったのですが、完全に私の思い違い。 柔軟性あふれる演技で、ダボ役を自分のものにしていました。 計算ずくなボケではなく、本当にフワフワ~としたおどけた感じ。 私的に役者としてすごい人なんだな~と再認識しました。 ハンス役の小井田涼平他の舞台でもけっこう出演していますよね。 「仮面ライダー龍騎の」ゾルダ役でも有名ですし、 「ガンダムSEED」の声優もしていました。 ハンスかっこいいな~としか言いようがない(笑) ただかっこいいのではなく、三枚目的な雰囲気を残すところも魅力的。 舞台特有の声というわけではありませんが、 声質はしっかりしてるし、演技も言うことないです。 ラオ役の汐崎アイル正直、今回の舞台で一番印象に残ったのが彼。 この舞台の中で一番、要の役だと思います。 セリフの量が多いし、説明的なセリフ、相手に詰めよるセリフなど多種多用。 感情表現もその時々に変わりますし、役柄的にひじょうに難しい役。 それを無難に演じました。 舞台特有の発声ではありませんが、 カツゼツも滑らかで非常に聞き取りやすかったです。 ラオの軽やかで調子のいい性格、時には突き放す性格。 ラオという役を自分なりに消化したのでしょうね。 私は高評価。 今後の彼にも注目したいです。さらに伸びていく気がします。 ロック役の椿隆之「仮面ライダーブレイド」では主役を演じました。 初の演技ということもあり、テレビではカツゼツが悪かったのですが、 今回初めて舞台を観させていただきました。 そのカツゼツに関しては全く問題ありませんでした。 間違いなくそうとうな努力をしたことでしょう。 ロック役は少しおつむが足りない運転手という役で、意外と難しい役。 仮面ライダーの時の役は、 ただひたすらに不器用で熱血路線の演技でしたが、今回は全くの別物。 大人でありながら、子供のような純粋な心をもつ青年。 ロックの心をよくとらえていたと思います。 おつむが足りない時の弱々しさ、 しかし、意地をとおすところはとおす頑固な部分、 ひじょうに見応えありました。 テール役の宮下龍之介2008年の葉っぱのフレディ~いのちの旅~ではダニエル役として好演。 私もとても高い評価をしました。 ただ今回、この役に限ってはかなり違和感があります。 発声はあいかわらずいいのですが、いまいちカツゼツが悪い・・・ というか、何か言葉のイントネーションが変・・・ 父と母が離婚をする原因になったことを聞き出すシーンは、 テールが主導権を持って物語を進めていくのですが、 何か淡白で、全く引き込まれませんでした。 というか、逆に観客の私が引いてしまいました。 コメディらしさが全くなく、面白くありません。 ちょっとまだ荷が重すぎたのかな。 歌唱力は抜群なんですけどね。 妖精の出番は増えたものの、金子海音ぐらいしかわかりません。 彼女は声質がしっかりしていて演技できますけど、これではね・・・ 他の方もなんとか確認しますが・・・
総括全体的に1時間4、50分の舞台。休憩は無し。 大人キャストの個性には引き込まれるのですが、 メイの福田花音の表情の変化がもう少しほしいところ。 さらにはテールの宮下龍之助がコメディとしての面白さを引き出していない。 すごく実力のある男の子だけに、次回はもっと成長してほしい。 ダボの佐藤のコメディ、ラオの汐崎の演技力、リンの渚あきの歌唱力、 このあたりで何とか舞台に集中することができますが、 全体的なバランスとして、私は感動するには至りませんでした。 ※敬称略 |