公演時期 | 2006年8月1日~27日 |
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会場 | 新宿コマ劇場 |
原作 | 手塚治虫 |
監修 | 植田紳爾 |
脚本 演出 | 木村信司 |
音楽 | 甲斐正人 |
振付 | 羽山紀代美 |
衣装 | 有村淳 |
照明 | 勝柴次朗 |
音響 | 大坪正仁 |
歌唱指導 | 山口正義 |
あらすじシルバーランド王国のサファイア姫は、王位継承権が男子にしかないため、 常に王子として生きなければならない運命でした。 しかも、天使のいたずらで、男と女、 二つの魂をもったまま生まれたという宿命をも持ち合わせているのでした。 自分の息子を王位につけたいと考えている大臣は、 サファイアが女であることを証明しようとして、さまざまな悪巧みを企てます・・・ 感想安達祐実の初演のミュージカルは観たことはありませんが、 やはり「リボンの騎士」の舞台は気になるため、観劇することとなりました。 平日の夕方でしたが、お客さんは8割は入ってますね。すごい集客力です。 リピーターの人はA席を何回も見ているのかな? 当然のことながら、いきなりモーニング娘のステージです。 まぁ、意味あいとしては天上界でこれからひとりひとりに命を吹き込まれるという感じでしょうか? 生のオーケストラ。というかバンドという感じかな? 生音はやはり迫力あります。 箙かおる王と、マルシア王妃が語るシーンはまさに宝塚そのもの。 演技好きな私としては、すごく見応えのあるシーンです。 剣の大会の時には「選手」という役柄で4人の男性が登場します。ただし仮面付き(涙) せっかくの舞台なのに、悲しいです・・・ ここではアトラクションのようなものがありました。 (舞台上にゴムのようなものを天井から吊るして、それをバネにして跳躍力を飛躍的にあげる感じです) それで跳ね上がって、相手に攻撃します。物語全体から言えば印象は薄いです。 セット的には、基本は王宮の階段がメイン。 牢屋や外庭にもなります。 王妃の歌う「人を憎む心を捨てなさい」というナンバー。 なかなかいい曲です。そしてこれが全体を通しての主題歌のような気がしました。 マルシアの曲は本当に聞いていて素晴らしいです。 途中から高橋愛も入ってきます。 彼女もとても声量があります。ただ、本当の意味での声量はやはりマルシアに及びません。 しかし、高橋愛自身のみなぎるパワーがあり、ここのナンバーはよく頑張っていると思います。 パンフレットに書かれているとおり、演出の木村信司さんのコメントによれば、 この舞台には漫画に登場する天使チンクの存在はありません。 手塚プロダクションがよく許可したな~と思うのが正直なところ。 かなり要な存在ですから。 木村氏の言う「人間ドラマ」を展開するには不必要なものだったようです。 そうはわかっているものの、手塚治虫氏の「リポンの騎士」の話が根本的に変わっている・・・・・ どちらかと言えば、今までのサファイア姫は男性的なイメージが強かったのですが、 今回は男性と女性、両方の性格がある・・・みたいなとらえ方でした。 本来は女性なので、女性として生きたいが法律のために男性でいなければならない。 今回はその悲哀を出しているのかもしれません。 サファイア対フランツの決闘。 高橋、安倍ともに、まずまずの殺陣。 ここで漫画「リボンの騎士」の話をまた変えます・・・・・ サファイアがわざとフランツの刀に刺され死んでしまうんですよ・・・ 原作にはありません。 この時に悲しげに歌う高橋愛のナンバーは秀逸!本当にすばらしいです。 この曲を歌うがために今まで演じてきた。そこまで思えてしまうような感じ。 死ぬ演技、死に際も見事!この時の表情も本当に良かったです。高橋愛はすばらしいね! 本当はヘケートはサファイアの女性の心を取って自分のものにし、 フランツと結婚する予定だったようですが、 なぜかサファイアが死んだことによって彼女の真の愛を知ることとなり、負けを認めた感じになります。 「負けてないのに・・・・・そのままほおっておいても良かったのに・・・」 と、ヘケートを応援したくなりました(笑) ヘケートは、奪い取った女性の心をサファイアに返すことによって、 男性の魂は死にましたが、女性の魂が戻ることでサファイアが生き返ることになります。 生き返ったサファイアは、父を殺し自分たちをも殺そうとした大臣やナイロンを許すこととなります。 罪を憎んで人を憎まずってやつですね。王妃が歌っていたナンバーの伏線がここでいかされます。 国外へ生き、いろいろなことを勉強しろ!で、すましてしまいます。かなり寛大。 もちろん原作とは違います。 最後に神様のナンバーで終了。 いきなり手塚治虫さんのイラストがでてきて「こういうお話でした」みたいなことが話されます。 「手塚治虫に幸あれ~!」みたいな感じ。 かなり原作と違うんですけど、手塚さん、OKなんでしょうか?(爆) まっ、いっか。 舞台が終わると予想通りコンサートモード。 ラブマシーン。 ただ、派手なダンスをするのではなく両手に大きな羽のウチワを仰ぐ振付。 モーニング娘。は合計で3曲ぐらいかな? 次は美勇伝。 そして安倍なつみのソロ。なぜか森高千里の「ストレス」でした。 宝塚のような大きな星の飾りをもっていました。 気になった役者主役であるサファイア役、高橋愛うまいですよ。男性的な喋り、女性的な喋りの変化もじつに見事。 セリフづかいが、今回は宝塚をイメージしていることから独特なイントネーションのところもあります。 ○○でしょう↑というセリフ口調。 ちょっとクセがありますが、慣れればたいしたことではないです。 表情のつけ方も素晴らしいですね。いろんな表情を見せてくれますから。 そして歌唱力。これもかなり頑張っていたと思います。よく声が出ていました。 正直ここまで声量がある方とは思いませんでした。 表情付けもかなりいいですよ!柔和な感じもできるし、鬼気せまる表情もできます。 前述しましたが、死ぬ間際の表情がじつに見事でした。 あくまで私の感想ですが、舞台女優としても本当に素晴らしいと思います。 ハロプロを卒業した後は、ぜひ帝劇コースに進んでほしいですね。それだけの逸材! 王様役の箙かおる元宝塚ということもあり、完全なプロ。 喋るセリフも完全に宝塚ですし、歌唱力は評価することさえ失礼な素晴らしい歌声でした。 王妃役のマルシアあくまで私が感じたのですが、彼女はこのモーニング娘。の舞台を、 「自分の舞台にしてやるぅぅ!」と思っているのではないでしょうか?(笑) 自分の実力を見せつけ、この舞台を喰ってしまうのではないか?とも思いました。 それほど気合の入りまくった演技が舞台から感じとれます。 悲哀のある王妃の演技は見事。そして声量ある歌唱力は絶大!!すばらしい! 正直、マルシアと高橋愛の舞台ですね(笑)それだけマルシアの力の入れようは半端ではありません。 完全に本気モードですから。 個人的にはモーニング娘。よりマルシアの方が好き(爆) 王妃マルシアがサファイアのことを王女だとばらしてしまうシーンは、まさにマルシアの独壇場! 演技がすご過ぎなんですけど!しかもすごい歌唱力!モーニング娘。の舞台ではないんですけど(爆) マルシアを応援している私がいる(笑) 間違いなく、モーニング娘。ファンの人たちを自分の世界へ引き込もうとしていますよね。すごい! フランツ役 安倍なつみう~ん、歌唱力が弱いかな?もしかしたら、少し喉を痛めているのかも。 演技は悪くはないけれど、ちょっと重みがない感じ。ただ、男性的な立ち振る舞いはなかなかいいです。 初登場シーンから長い間登場するのですが、歌はいっさい無し。後半の方が多いです。声のためでしょうか? 男性役という理由かもしれませんが、やや低音のナンバーが多かったように思えます。 前半の歌唱はかなり聞いていてつらかったです。 歌ってはいるものの、声量が・・・・・ ところが後半はかなり声量をだしてきます。 もしかしたら、後半に力をたくわえるため前半は声をセーブしていたのかもしれません。 フランツ安倍とサファイア高橋の会話は、間(ま)が早過ぎる気がします。もう少し重きをおいていいかも。 吉澤ひとみの大臣役こなれていてうまい。ただ、やや間合いが早い。それからもっと重厚感がほしい。 何か単調で物足りなさを感じるんですよね。演技がしっかりしているからこの役なのだろうけど、 あまりにも凛としてすがすがしすぎる感じかな?まぁ~陰湿な感じを出せというのも無理がありますけど。 今回はこういう演技の指導があったのかもしれません。 歌唱力はかなり素晴らしいです。声量もあるし、よく声がでています。 彼女に関しても、ここまでやるとは予想だにしませんでした。すばらしいです! 小川麻琴のナイロン役なかなかうまい 歌も頑張っているけれど、もうひとつかな? ただ、吉澤同様、ただセリフをしゃべっているように思えてしまう。 ひとつひとつのセリフに重さがないんですよね。 サラサラ~と流れてしまう感じ。パワーがほしいな。 大臣の息子役の久住小春演技はなかなかうまい。 役柄的にのほほ~んとした感じは予想どおり適役でした。 歌唱力はまだまだだけれど、これから伸びますから。 ただ、月島きらりとあまり変わりようがない気もする(爆) 藤本美貴の魔女ヘケート役はまさにハマリ役。普通~にうまいです。 ポイント、ポイントで登場するため、歌がけっこう重要。 その歌唱力もじつにすばらしい声量でした!彼女の本領が発揮された感じですね。 ただ、歌にエコーがかかるのがちょっと残念かな? 藤本がうまいので、無理にしなくても良かったかも。ま~そんなにたいしたことではありませんが。 藤本美貴ファンは大満足な出来でしょう。 淑女の時のメンバーでは、石川梨華の表情がいいな~! 一番淑女っぽいし(笑) ただ、新垣里沙の表情付けもすばらしいですよ。 微笑みを浮かべる感じはグッド!けっこう印象深いです。 それに比べて道重さゆみは、ちょっとつらいな。 すっごく美人ですし、美脚で脚も長いのに、表情が固いというか、こわばっているというか、変化しないというか・・・ 見ていてつらかったです。ああいう表情をするとやる気が無いように見えてしまうから気をつけてほしい。 今回は石川梨華の牢番ピエール。演技はまずまずかな?下手ではないです。 ちょっと軽い感じなんですけど。 声にはりというか力がないんですよ。牢番だから力強さはほしかった。 セリフに重さがないのかな? ただ、ここでのナンバーがあるのですが、ダンスは秀逸! ひとつひとつの振付がじつにしっかりしています。見応えありました。 ただ、牢番コリン役の岡田唯はイマイチだな・・・声がかすれているのですが、のどを痛めているのかな? セリフもたどたどしい・・・ 騎士ヌーヴォー役の新垣里沙、騎士トルテュ役の亀井絵里。ふたりとも声量あるソロナンバーはここだけ(?)しかないので、 かなり力をこめて歌ってました。 亀井の演技も悪くはありませんが、私的には新垣里沙の演技力の方が印象に残りました。
タレントスカウトのリューとリジィエけっこうお笑い担当っぽい感じなので、今回は道重さゆみと田中れいなが演じましたが、 本当は、辻、加護に用意されていた役だったのかもしれません。そんな気がしました。 ちなみに、ここのナンバーはおまけっぽい感じですね。ふたりの出番を増やすため・・・なのかな? 総評一幕終了 約1時間20分 休憩は25分!けっこう長いですね。 二幕終了も約1時間20分ということで合計2時間40分。 長いけれど飽きることは全くありませんでした。楽しかったです。 A席は5000円なので、ここから観ればけっこう楽しめます。 S席9500円はちょっと高いですが・・・・・ 個人的な意見を言わせてもらうと、高橋愛は自らを鼓舞し、開眼し、舞台系の道に進んでほしい。 もちろん、まだまだ努力は必要だけれど今回の舞台を観て、彼女のやる気、熱意が物凄く伝わってきました。 主役を高橋愛に抜擢させて大正解。 ※敬称略 |