「フラッーパーズ〜私たちにできること〜」2013年

チーム風 満足度
チーム桜 満足度
公演時期 2012年12月27日〜2013年1月6日
会場 下北沢 小劇場 楽園
構成・演出 桝川譲治
脚本・作詞 熊手菜津子
振付 羽永共子 他

あらすじ
強豪陸上部の部室から遠く離れた場所に、
控えの、そのまた控えの選手たちが集まる部屋があった。
レギュラーになれるチャンスもなく、
ただ放課後に決められたように集まるだけ・・・
そこに集まってくる控えの選手たちは、
必要とされていない己自身に各々が問いかける。
そんな彼らに思いがけない依頼が・・・
(パンフレットより抜粋)
観劇感想
2011年に公演された舞台の再演です。
詳しい本編の内容はそちらで。

まず、とても言いにくいのですが、
ステマ無しなので言ってしまいます。
もっと「華」がほしい。
何回も見知っている舞台であれば観客も来てくれますが、
一見の客が不意に入ってこられるものか?
私はちょっと不安ですね。
世の中そんなに甘くない。

チーム桜だと、花房里枝や中庭ひなこもいるのに、
全然物足りない。
澤田樹里亜が登場して、ようやくなんとか観られる感じ。
澤田樹里亜がそこまで「華」をかもし出せるようになったことは、
成長ではありますけど。

陸上部ということもあるけれど、
もっと女性の部分を出してもいいと思う。
特に花房なんて、
こんなに美人で「読モ」でも余裕で通じるルックスとスタイルなのに、
それが舞台ではこじんまりしている感じ。
凄くもったいない。
役柄的な部分もあるけれど、
「華」を磨けば、もっともっと注目を浴びると思う。

それがチーム風だと、さらに厳しい。
越川萌花は器用な女優なので、何をやらせてもうまいのだけれど、
今回はどらちらかと言うと、みんなをまとめるリーダー的役割なので、
そこまで「華」をかもしだす必要はない。
ということで、必然的に布川玲菜に頼らざるを得ない。
ただ、現時点では布川玲菜にそこまで求めるのは酷だと思う。
かわいい子だけれど、これからどんどん伸びていく過程の女優。
私にはまだ未完成すぎました。
ということもあり、チーム風は観ていてちょっと厳しかったです。

チーム桜

花村みくに役 澤田樹里亜
『フレンズ ガラクタ怪獣のなみだ』2006年から観ていますが、
セリフ、カツゼツが、じつに良くなった。
これは相当ヴォイストレーニング等、
稽古を積んでいるでしょ?
でなければ、こんなに発声が良くならない。
予想以上にスラスラとしたセリフ口調にビックリしました。

雰囲気やルックスは、昔とちっとも変わりません。
体は大きくなっても、昔からあった「華」はそのままだし、
前述したように、この「チーム桜」では、
彼女が出てきたことで、「パッ!」と輝きだしましたから。
いるといないとでは大違い。
それだけの存在感を出すことになったな〜という印象。
そこまで演技がうまいわけではないですけど。

あと、やっぱりちょっと気になるのは、
まだ視線が不安定に動くこと。
ここだけかな?
もういっそうのこと、動くのは仕方がないとして、
しっかり目を見開くように動いた方がいいかもしれない。
不安な形で動くよりも、
あえてしっかり動かした方が逆にいい・・・かもしれません。
まっ、それは今後の課題としても、
澤田樹里亜の華やかさはけっこう意外でした。
良い感じに成長している。
前と比べても断然いい。

日野千歳役 中庭ひなこ
2011年、私が最優秀新人賞を勝手に受賞させました。
それだけ、演技の才はあります。
セリフ回しも、発声も、ダンスも歌も、無難にこなしますから。
じつに器用。
みんなをまとめるリーダー格的な役には適任。
ショートカットは新鮮でした。
テキパキとなんでもこなす分、
インパクトは足りない。
これがあえて抑えた演技なのか、
役に徹した為なのかはわかりませんが、
前回のような弾けたキャラではなく、落ち着いた演技のために、
安定しすぎて印象度は薄かったです。
この役だと、そこまで強く押し出す必要はないので、
当たり前のことかもしれませんが。

山本遥香役 廣田真海
まだ小学生ですか。
まだまだ演技ってほどのものでもないけれど、
元々大人しい役なので、役柄的にはあっていました。
はかなげな感じもいいと思う。
セリフもおとなしい。

私的に、歌う場面はかなり下手くそ。
これがいい。
ミュージカル女優だと、
歌のレッスンを積むことによって、
歌を下手に歌う演技は凄く難しいことだと思います。
その後、だいたいうまくなる流れですから、結局歌えないといけません。
下手に歌うのは難しいです。
それを彼女は、じつにうまく音痴の歌を歌っていました。
回りのメンバーが引くような、不安になるような歌い方。
ここは私も感情移入できました。

森井真咲役 花房里枝はけっこう観る機会が過去にありましたが、
年々美人になっていきますね。
さらにスタイルも抜群。
普通にモデルとして通用するレベル。
それに加えて、演技の実力もあるし、歌も、ダンスも安定していますから。

ただ今回、この役柄としてはそもそも「華」がある役ではないから、
少しオーラを削っていたのかもしれません。
私的にはもう少し「華」を出して良かったかも。
テレビドラマ「ショムニ」の櫻井淳子が演じたような役柄、
あそこまでとは言いませんが、
美人をアピールするような部分があってもいいと思う。
何かもったいない。
ちょっと前のツンケンしているような、イジメ役?のような感じも私は好き。

彼女の本領が発揮するのは、後半の歌を歌うところから。
ここは美味しい場面でした。

水川かえで役の渡辺杏実
名前をどこかで聞いたことあるな〜と思ったのですが、
ミュージカル トゥインクル 君がくれたものココスマイル2010年の時に、
出演していたんですね。
両方ともにチェックできず申し訳ありません。
なかなか全員をチェックはできないのもので。
でも、今回はちゃんとチェックしました。

アニメ声のような声質にもかかわらず、
セリフがすごくしっかりしていて印象深い。
瞳も大きく、眉毛もしっかり、唇も厚く、
今後成長するとかなり色っぽい感じがでる・・・予感。
まっ、それはそれとして、
この水川かえでに関しては雰囲気ピッタリ。
役に合わせたのか、役があっていたのかはわかりませんが、
大人しい不思議な感じは良かったです。
ダンスもうまいですよね。
今後さらに伸びていく予感。

山谷希未役の古川未結は、
ミュージカル「GANG〜がんばれタイガー!」」ではデイジー役、
ミュージカル シュガー〜空色のプールサイド〜では高辻あや役。
両方ともに印象に残っています。
どちらかと言うと性格女優タイプ。
表情のつけ方がかわいい。
それから歌唱力は相当あるでしょ?
よく聞こえました。
この山谷希未役としては、もうちょいパワーがあってもいいかな?

TEAM風
日野千歳役 越川萌花
正直、彼女ひとりでこのチームを引っ張って、
舞台を作り上げるにはつらすぎる。
演技力においては、本当に抜群の女の子だし、
アドリブもうまいし、コメディチックなこともできる。
ただ、今回は基本、みんなのまとめ役。
あんまり派手な行動に出過ぎてしまうと、
他の役者とのバランスもあって、逆に浮く。
やっぱり彼女の演技に対抗できる役者がいないと、
舞台全体としては違和感をもってしまう。

ひとり芝居であれば、それで問題ないのだけれと゛、
5人にあわせた演技をしないといけないのはつらいところ。
彼女の演技を観ていると、日野千歳役の役柄のことよりも、
全体的なバランスのことを考えてしまう。

花村みくに役の布川玲菜は初めて観ました。
演技、歌、ダンス、セリフもしっかりしていて、
無難に安定。
ルックスも可愛らしく、
なんとなくですけど、AKB48の峯岸みなみ似な感じ。
トロンとした瞳が印象的。
全体的に、もっと覇気というかパワーがほしい。
フラッパーズに途中から加わるから、
インパクトは欲しい。
彼女だったら、もっと「華」も身につけられるでしょう。
特にここは課題にしてほしい。
もったいないもの。

山谷希未役 松崎れいみ
おそらく、声質はもうこれ以上変化することはないのだから、
元気の良さとパワーがもっとほしい。
山谷役は、気合とか、気迫がほしい。
それに独特の声質だから、
それにあったヴォイス・トレーニングが必要でしょ。
気になる人は気になる。

森井真咲役 輿石あかね
彼女は性格女優タイプ。
毎回こなれた演技でうまい。
歌、ダンスもいいんですよね。
歌がうまいからこその、この役はあってる。
コーラス部に入っていただろうことも、普通にうなずける。
ただ、このメンバーであれば、
彼女が越川萌花と演技で対抗しないとだから、
そのあたりは苦心したと思います。

山本遥香役の辻友里香は、前にも増して可愛くなって、
足もさらに伸びた印象。
太股の色気も感じてるほど。
か弱い役は「当たり役」ってわけでもないけれど、
彼女にはすごく合っていると思う。
下手であることを印象づける歌も頑張ってました。

水川かえで役 島田侑佳
正直、まだまだこれからの子ですね。
あまり印象に残らなくて申し訳ない。

総括
長セリフを覚えて頑張っているのは十分にわかるけれど、
全体的に個々の魅力がないと、
そもそもお客様がついてこない。

お客様を飽きさせない、
「個」の魅力を磨くことも必要ではないか?
と、今回の舞台では強く感じました。

ミュージカルであれば、歌やダンスでの印象が加味され、
他の部分を分散できますが、
基本、ストレートプレイ。
じっくり演技を追う観客としては、
舞台を見ながらいろいろと考えてしまいます。

人それぞれの個性、性格、雰囲気、
いろいろあっていい。
みんな同じじゃないもの。
ただ、全体の舞台として、商業演劇として観るとすると、
華やかさが足りない。
「華」を持つメンバーがいるからこそ、
他の子の「個性」が光るというもの。
その相乗効果が無いから、舞台にいまいち集中できませんでした。
チームの「和」だけでは、なかなか解決できない。

越川萌花なんて、おそらくみんなに合わせてるでしょ?
あまり派手にすると、チームのバランスが悪くなるし、
逆に自分だけ浮いてしまう。
だから、やや抑えて、当たり障りのない感じで平均的に。
それが私には見え隠れする。
申し訳ないけれど、私は気になりました。

今回はかなり若手中心ですし、
このメンバーでの1年後を観てみたい。
(敬称略)
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