優しい魔法のとなえ方2011

Aチーム 満足度
◆公演時期   2011年11月2日〜6日
◆会場 ラゾーナ川崎プラザソル
◆作・演出 ヒロセヤスタカ
◆演出補 イキカズマ・大熊誠一郎
◆音響 井上恵介
◆照明 小坂章人
◆舞台監督 渡邊歩
◆振付 渡部光夏・Tomomi
◆音楽 秋山浩司
◆デザイン振付 北乃友利
◆制作補 柳田健人
◆主催 株式会社ヒロセプロジェクト

あらすじ
幼なじみで学園の国語科教師・神崎ヒロトに恋する少女、五十嵐あんず。
生意気だけど可愛い妹・なつめや、親友・加藤くるみに囲まれて、
学園生活を送っていたが・・・
(パンフレットより一部抜粋)
観劇感想
久々のヒロセプロジェクト。
Aチームのみの観劇。

学園もの、という流れがありつつSFチックな物語。
ネタバレになるので、あまり詳しくは言えませんが、
重要な流れがふたつあるんですよね。
これが平行線で終わってしまうのは残念。
ひとつにつながってもいいし、
つながらないとしても、最終局にむけるフラグなり伏線として、
それをさりげなく告げてもいいかな〜と思いました。
接点はあっていいと思う。
ダンス部の噂レベルの話しとの関連性が、
あるような、無いような感じではありますが、
観客にわからない設定はいかがなものかと。

そもそも、五十嵐あんずの恋、ダンス部、生徒会、ダンスユニット、
いろいろな流れがあって、つかみどころが難しい。
普段の稽古はパート別にそこに集中できる、というのは理解できますが。
一過性がちょっと。
何かひとつに向かってほしかった。

やっぱり主役である藤沢玲花をを中心で観たい。
神崎ヒロトとのからみばかりで、
ダンス部、生徒会、ダンスユニットとのからみなんて、
ほとんどありません。
藤沢玲花中心で、何かが起こっていくほうが面白いと思う。
たしかにもうひとつの流れである福永マリカも魅力的だけれど、
中途半端な三つの流れだから印象が薄くなってしまう。
近藤亜紀や井上優美なんて、
もっともっと話をふくらませることができる実力者ですし。

メインのひとつであるダンス部の個性もイマイチ足りない。
永瀬千裕、田中翔子ぐらいかな?
もう少し性格付けがほしかった。
ま〜普通の生徒、というのであれば仕方ないけれど。
後半はダンスシーンありますけど、前半あったかな〜?
印象は薄いです。
メンバーが多いのだから、
「部活の歌」とか、全員が歌える面白い曲がほしいところ。

ダンスシーンや、歌もありますが、ライブ的雰囲気。
俗にいうミュージカル的な流れの上でのシーンではありません。
自分の思いを伝えるバラードの曲とか、
メッセージ的な曲も欲しかった。
あと、どうせ歌うのならもっとコミカルな曲とか、
不思議な歌とかもほしい。
せっかくバラエティにとんでいる出演者がいるのだから、
歌唱力が厳しくても聞きたかった。

クライマックス場面では、
井上優美も福永マリカと一緒に歌ってほしかった。
ここだけは仲良く明るい感じのノリで。

後日談的なところは、アレはアレでいいと思う。
普段の学校生活だもの。
ただその前に、藤沢玲花を中心で、
もっともっと盛り上がるところがあってよかった。

気になった役者は・・・

とにもかくにも、主役、五十嵐あんず役の藤沢玲花
彼女の演技は「ミュージカル・アニー」のストリートチャイルド役、
「ココスマイル」時代から観ていて、
ほどほどに知っているのですが、最近は全く観ていなかったので、
どのくらいレベルアップしたのか物凄く興味がありました。

これがまた、尋常ではないほど素晴らしい。
ルックスがかわいいのは昔からですが、
ほとんど変わっていない妹キャラ。
ダンスシーンや、歌が無いのは残念ですが、
そこは演技で魅せる。
セリフ回しもうまいし、指の動き、手の動きもじつに計算されている。

私が一番評価したいのは、後半のヒロトを探すシーン。
この場面の表情付けが秀逸。
せつなさ、はがゆさ、戸惑い、混乱、困惑な表情を浮かべていく。
神がかり的。本当にすばらしい。
真に迫る演技というのは、このこと!ってぐらい、いい。
この私でさえ泣きそうになりました(泣きませんが)
素晴らしい女優になりましたね。
これだけできるのだから、もっともっとステップアップしていいと思う。

五十嵐なつめ役、津田彩花
初めて演技を観ましたが、なかなか面白い。
何歳かわかりませんが、小さいのに良い演技をする。
「かわいい」という演技ではなく、ちょっとぶっきらぼうなところとか、
ブーたれているところとか、皮肉った部分が面白かったです。
舞台を観る限りですが、じつに落ち着いていました。
大物になる予感・・・あくまで予感。

加藤くるみ役 近藤亜紀
「フレンズ」時代から観ていますが、彼女の演技も久々。
なんとなくですが、声質がけっこう大人な感じになりましたね。
背が低いこともあり、見た目はちょっと幼い印象を受けますが、
声はもう完全に大人。

藤沢玲花が昔から美少女で、今でも変わらずの美少女であるのに対し、
近藤亜紀は、徐々に美少女になった感じ。
本当にビックリする。
透明感のある子。
藤沢玲花の親友役ということで、一緒の場面が多いこともあり、
観客もよく目に付くことでしょう。
「藤沢玲花もかわいいけど、となりも可愛いくね?」
と、じっくり観たいところを、けっこう急に舞台からはけます・・・
ま〜主役をたてないといけませんから。
「ココスマイル2」ではないけれど、
あんず、なつめ、くるみの、
仲良し3人組みたいなナンバーとか欲しかった。

小倉つかさ役の永瀬千裕
前述しているように、
ダンス部はひとりひとりの個性が私にはあまり響きませんでした。
その中でも 永瀬千裕は良くやっています。
ダンスはしっかりしているし、ちょっとぶっきらぼうな演技もいい。
ボーイッシュ的な雰囲気も良くでていました。
意外と優しい感じなので、個人的にはもっと強めでもいいかな?

長澤かをる役の田中翔子
メガネをかけた女の子役。
彼女はうまい。
ちょっと古い話しになりますが、
アルゴミュージカルの「子猿物語」
小嶋亜美が演じたガリ役の雰囲気。
まず喋りがしっかりしていて、メリハリがある。
落ち着いた雰囲気も好印象。
ダンス部の中では優等生的な役柄で表現はしやすいですけど、
それでも私は凄く印象深い。
別件として、ライブを見たのですが、
彼女は歌うまいですよ。
物凄い声量で、よく響く。
彼女みたいな玄人受けする女優を、
本当はもっとキーポイントな部分で起用できるといいのですが。

新堂まこ役の井上舞
役柄的には、けっこう美味しいです。
津田彩花も妹キャラですが、
井上舞の方がさらに妹キャラ。
演技はまだまだこれからだけれど、
素材としては非常に面白い存在。
のびしろが相当ありますね。

影山アイ役の井上優美
「ココスマイル」ではカジ役
私もよく覚えています。
まず彼女は笑顔。
表情が印象的。
かわいらしいルックスに、この笑顔ですからね。
まいります。
演技力もあるし、存在感もあるし、華もある。
出番がほどほどにありますが、もっともっと観たい感じ。
いろいろなチーム、場面があるので、けっこう間が飛ぶんですよね。
正直もったいない。
もっといろんなことに使える女優だもの。
福永マリカと二人組ユニット、という妄想の場面もあって良かった。
ポっと出で終わってしまう感じは、本当にもったいない。

氷室ナナ役の福永マリカ
彼女の演技は初めて観ましたが、普通にうまい。
歌もダンスも、ものすごくよくやっています。
驚きました。
キャラ的にも強い印象を受けるし、華がある。
井上優美とのからみの演技は、じつに見応えありました。
そのぶん、ひとりになってしまうと、何か物足りない感じ。
やっぱり、自分の演技に対抗できる相手でないと、強く跳ね返ってこない。
彼女を中心にしたお話しであれば、
ひとり芝居のところももっと集中して観られたのでしょうけど、
人数が多く、場面展開も多いこの舞台では致し方ありません。
ただ、興味深い女優であることは間違いない。

総括
特筆すべきは、藤沢玲花の存在。
ここに尽きる。
満足度3.5星のうち、0.5は彼女の演技ゆえ。
芯がある彼女がいたからこそ、なんとか観られた感じ。
できうるなら、福永マリカもうまくからめてほしかった。
結局のところ、団結みたいな部分が薄れてしまったのは残念。
「みんなで・・・」という意味合いの舞台ではないのでしょうね。
物語として、何も無かったことになるのは寂しいけれど、
それが現実・・・という意味合いなのかも。
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