ミュージカルアニー2015

T組 満足度
S組 満足度
公演時期 2015年4月25日(土)→5月17日(日)
会場 新国立劇場 中劇場
演出 ジョエル・ビショッフ
演出補 伊藤明子
翻訳・訳詞 瀬戸千也子/伊藤明子
振付 ボビー吉野
音楽監督・編曲 神尾修
歌唱指導 青木さおり
訳詞 片桐和子
タップ振付 藤井真梨子
美術デザイン ピーター・ウルフ
照明デザイン 沢田祐二
舞台監督 長沼仁
ミュージカル『アニー』の原作者
脚本 トーマス・ミーハン
作曲 チャールズ・ストラウス
作詞 マーティン・チャーニン

あらすじ
1933年、ニューヨーク。
孤児院で暮らす、赤毛の少女アニー。
孤児院には父親や母親を亡くした子供たちが、たくさんいます。
ただ、アニーの両親だけは、まだわかりません。
『すぐに引き取りにまいります』という、
自分が赤ん坊の頃に書かれた両親の手紙・・・・・
その言葉を信じて、アニーは11年間支えにしてきました。
しかし、いつまでたっても両親は迎えに来てくれません。

ついに、アニーは孤児院を出る決心をします・・・・・
観劇感想

ジョエル氏、15年目の演出。

「青山劇場」から、新しく「新・国立劇場」へ。
座席自体の空間は前後左右、足も伸ばせるほどのスペース。
ただ、オーケストラピットを入れることになる為、
最前列から舞台までの距離がかなり遠くなりました。
前列で見ていても、かなり距離を感じる。
仕方がないこととはいえ、私は残念。
舞台と距離があると、一体感が減少する。
後方の席だと、なおさらでしょう。

予算的なこともあってか、
パンフレットが2000円。
いつもこの値段でしたっけ?
チケット代を安易に上げることができないから、
こちらにしわ寄せがきたのかと、私は感じてしまいました。
私は必ず買いますから。

パンフレットの子役の私服のシーンは、
かなり違和感を感じます。
何か、子ども向けファッション誌のよう。
服のアピールが強い。
まぁ〜いろいろ事情があるのかもしれませんが。
私のうがった見方なのかな?

それはそれとして、
やはり、青木さやかのミス・ハニガン役。
どう演じてくるのか、とても興味深く拝見しました。
正直、ドアが開いた瞬間「ヤバイ」と思いました。
表情は固く感じ、舞台声でもないし、間の取り方、
雰囲気、演技も淡々とした感じ。

そもそも青木さやかという女優?自身、
それほど表情豊かな人ではないのかもしれない。
ムスッした印象が印象に残る。

だからこそ、ハニガン役を演じるというよりも、
芸人青木さやかが、そのままの芸風でハニガンを演じたように感じました。
そのメリットとしては、
全体的に「アニー」がコメディ要素が多いミュージカルになったと思う。

歌唱力は・・・ま〜青木さやかが歌ってるかな、という普通の印象。

青木さやか要素全開のミス・ハニガンは間違いなく好き嫌い別れる。
激情タイプのハニガン、グレース、そしてアニーが舞台上でぶつかりあうと、
かなり面白く感じます。
会場的には、大人受けよりも、子供受けしている雰囲気。
青木さやかまんまのハニガンだけれど、
慣れると、これはこれで良いかなと。

さて、今年も微妙に変わった演出がありました。
「大好きで〜す、ミス・ハニガン!」
が、
「愛してま〜す、ミス・ハニガン!」
ここはわかりやすい。

大統領室でアニー、大統領が歌う場面も、最初はセリフで、次が歌。
ここも変わった気がします。

孤児院での、月1回の外の空気を吸うための散歩。
ここは、行進が1回多くなりました。
おそらくは舞台装置の影響と推測。

気になった役者は・・・
激戦のオーディションで選ばれる子役たち。
下手な子なんていません。
あくまで私が気になった人だけ。

T(トゥモロー組)
前田優奈 アニー役。
葉っぱのフレディ2014で主役のフレディを演じたこともあり、
なんとなく、私もイメージがわいていました。
アニーのタイプとして、王道、変化とだいたい2種類にわかれますが、
彼女は変化タイプ。
これは意外。
私としては、王道系でくるかと思ってました。

歌唱力はあるけれど、私の印象度としては普通かな?
なんとなく、私が観た回は覇気がないような、疲れた印象も。
ただ、ずっと観ていると、
この雰囲気が彼女の間、素なのかもしれないと理解。
1回しか観ないので断定はできないけれど、
そういうタイプなのかもしれない。

表情は面白いし、コメディチックな演技ができることから、
青木さやかハニガンとのからみも適応能力が高い。
ウォーバックスとの「男同士の話」のところもいい。

受け答えの面白さとして、
「じゃ〜マッジ夫妻は何者なんだ↑」という軽いノリ。
青木さやかハニガンの「お幸せに」に対しての「ありがとう」の返し。
ここはさすが前田優奈、おもしろい。
観客も沸きました。

大人のミュージカルを最近多く観たせいもあるけれど、
歌の印象が軽い気がする。
大人だと、ここに気持ち、感情が入ってくるのだろうけど、
それを彼女に求めるのは酷かな。

そして、もうひとつ気になるのが、彼女のクセかな?
下唇を上げて不満げな表情をする。
それが一回や二回ではないので、おそらく唇の部分はクセなのかもしれない。

吉田明花音 モリー役
クリクリ目玉、上目づかいも印象的。
表情も面白いし、ダンスも面白い。
最後のルーズベルト大統領のひざの上にのってはしゃぐポーズも、
相当かわいい。
これは計算なのか?

鶴若咲季のペパー役は、怖い系かな?
錦織多希のジュライ役は王道系。
川村咲季のダフィ役、子供を抱えてのダンスシーンの回転速度は速くていい。
「ファミリーミュージカル ココスマイル7〜夏色のマイソング」ではちぃ役。
この時はかなり印象に残ったのだけれど、今回はあまり気づかず申し訳ない。
藤巻杏慈のケイト役は、かなり不思議ちゃんか?表情は面白いけれど、独特だ。
伊集院茉衣のテシーは歌唱力かな?(「おしゃれは笑顔から」が強いせいだけど)
まゆげをいかした悲しそうな表情はいい。

S(スマイル組)
こちらの組は、私の印象だとテンポが少しだけゆっくりかな?

黒川桃花 アニー役。
正直あまり期待していなかったせいか、雰囲気が良くてビックリ。
期待しない先入観があると、最初の印象は変わる。
まず、笑顔がいい。
セリフもハキハキしている。
メイキング映像で普段の明るさがあるのでコメディ系のアニーと思いきや、
まさかの王道系。
歌唱力は、あくまで私が観た回では良かった。
抜群!というわけではないけれど、印象度としては前田優奈よりもいい。

ただ、演技的にはセリフ先行かな?
セリフに感情がのってこない。
自然な発声で、演技演技していないさわやかさ。
それがこってりせず、あっさりすぎるので面白さがない。

比べる必要はないのだけれど、
相手との距離、面白さを引き出す間合い、演技の実力は前田優奈の方が上。

宮島瑠南 モリー役。
ちょっと顔だちはハーフっぽい。
なかなかコテコテの演技で、逆に面白い。
わかりやすい演技の方が、観ている方は感情移入しやすい。

中村華 ケイト役
う〜ん、なかなか怖いぞ。
子役で怖さを伝えるなんて、末恐ろしい。

齊藤真尋のペパー役は歌の印象かな?

林英美衣 テシー役。
意外と目立つ。
笑顔もいいし、歌もいい。
彼女だけではないと思うけど、
リップクリームが気になった。
照明のせいなのか、たまたまなのか。
舞台では唇乾きますからね。

三浦理香子 ジュライ役。
可愛らしい王道なジュライ。
歌も印象的。

片岡芽衣 ダフィ役、彼女は視線かな?
ちょっと独特な感じだった。

両ストリートチャイルドとも印象度が少なく、申し訳ない。
今枝桜北川真衣
ふたりともに、ルックス、タイプ的にも似ている気がする。

三田村邦彦 オリバー・ウォーバックス役
前回から引き続き2年目ということもあってか、
非常に安定感がある。
アニー、ハニガンよりも、
私はウォーバックスの安定感があるゆえに、
非常に落ち着いて観ることができました。
三田村邦彦独自のウォーバックスをものにしつつある。
私は凄く好印象。

木村花代 グレース・ファレル役。
ま〜見る前から、ハズレはないなと思っていたけれど、
全く問題なし。
とにかくも、衣装チェンジした時のスタイルの良さ、
ウエストの細さにビビリます。
「Ordinary Days 〜なにげない日々〜」 でも観劇済み。
歌は当然の実力として、ファレル役でもダンスの部分がたくさん。
ハマリ役間違いなし。
パンフレットを読むと、ハニガン役もいつかはやりたいとのこと。
女優は、いろいろな役を演じたいもの。
ただ、観客として見ると、なかなか想像が浮かびずらい(笑)
もう少し年齢を重ねてもいいかなと。

崎本大海 ルースター・ハニガン役。
舞台「銀河英雄伝説 第一章 銀河帝国編」2011年でもかなり印象的。
キルヒアイスですからね。
ルースターの印象としては、かなり若々しくなった感じ。
全体的にシャープになったぶん、雰囲気が少し軽くなった気もする。
重厚感、力強さ、渋さがあるルースターの方が私的には好き。
ただ、全体的なルースーター像は崩していないので、
大きな違和感はあまり感じません。
ダンスシーンも魅力的。

甲斐まり恵 リリー役。
前年に続いてのリリー役で、演技がひじょうに良くなっている。
色気も増しているけれど、ミュージカルナンバーの方がかなり頑張り度が高い。
やっぱり、ミュージカルですからね。
ここのナンバーが秀でると、舞台も締まる。

篠塚勝 ルーズベルト大統領役。
初めて拝見しましたが、今までの方と特に違和感なく感じました。
どちらかというと、強硬、熱さが伝わる感じ。

違和感があるのは、もうひとつの役である、
花売りの少女にプレゼントを渡すおじさん役。
ここはまだまだぎこちない。
笑いのセンスが問われる。

総括
前述したように、新・国立劇場になり、
舞台と客席が青山劇場より遠くなりました。
家族向けの舞台なので、
ここをなんとかやりくりをして改善してほしいのですが、
仕方のないことか。

舞台の内容自体は、大きく変わることはありません。
まんま青木さやかのハニガン、
歌、ダンス、演技とスペックの高い木村グレース、
変化球のコメディタッチな前田優奈アニー、
予想外の王道系な黒川桃花アニー、
そして、それをまとめる安定した三田村ウォーバックス。
同じ演目を毎年続けながらの微妙な変化。
今年も十分に伝わったと思います。
(敬称略)

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