◆虹の向こうに続く道

満足度
◆公演時期   2010年4月16日→18日
◆会場 ラゾーナ川崎プラザソル
◆演出 遠藤真理子
◆脚本 ヒロセ ヤスタカ
◆音楽 秋山浩司
◆振付 KAORI/稲葉愛
◆歌唱指導 観堂恵理子

あらすじ
西暦2031年。
異星から飛来した謎の生物による侵略により、
人類は絶滅寸前に追い詰められていた。
そんな戦況を一変させるために、地球軍が開発した最終兵器。
最終兵器を乗りこなすことができるのは若い少女たちだけ。
その乗組員候補生の少女たちが訓練している学校に、
新任教師、風間ユウスケが赴任してくる。
(パンフレットより一部抜粋)
観劇感想
私が観劇できたのは、Aチームのみ。Bチームは観劇できませんでした。

脚本はいいと思う。話しも面白い。
ベタベタな脚本で、マンガ・アニメチックではあるが、
それそれでいい。
ベタな展開こそ王道だもの。
ドジっ子キャラ、ブリッ子キャラ、ハイテクキャラ、ツンデレ、チュッパチャプス、
個性はいろいろ。
エヴァンゲリオンと同じように、姓が漢字で名前がカタカナ。
この意味合い、出演者は気付いた人がいるでしょうか?

ある意味主役のイキカズマが、
思う存分、少女たちと学園生活を満喫するという感じでしょう。
男性にとっての、夢物語でもあります。

生徒4グループ+先生メンバー3人ということで、
練習はしやすかったと思います。
出番がキッチリ固定されていて、パートがしっかりわかれている感じ。
ただ、後半の重苦しい場面での先生3人のところは少し長かったでしょうか?
あの場面だけちょっと話しが重くなりすぎた気もします。

オープニングのダンスは、少ない人数ながらかなり激しいです。
導入部分はいい。
前述しましたが、生徒が4グループいますからね。
そのグループをうまく回しながら、休憩等を調整できます。

じつのところ、私としては、
先生に憧れる部分や、弟がいる設定、全員の記憶自体が操作されていて、
すべてが刷り込まれているものかな〜?と予想をしていたのですが、
そうではなかったんですね。ここは大ハズレ。

アカネがミサキに対して、自分の好きな本を渡します。
この時、「そして誰もいなくなった」って言ってたような・・・
この部分が気になり、じつはこのネタバレのような設定になるかな〜?
と予想をしていたのですが、こちらもハズレ。
けっこう伏線を読んでいたのですが、ことごとくハズレました。

どうやらアイドルユニットとして、イベントにも活躍している方も数人。
その方は当然自分の振付なのでうまくて当然ですが、
そうではない二人のアンサンブル、ダンスはとてもよくやっていると思います。
本職ではないから、後から振付覚えたのでしょうね。
私がわかる範囲では、近藤亜紀と本橋舞衣かな?
ものすごくよくやってる。
このアンサンブルがきっちりしているからこそ、
遠藤るかや細川さりかが映える。

特に私の印象としては、細川さりかの出来ばえがすばらしい。
演技がしっかりしていて、声もよくでている。声に張りがあってよくとおる。
歌唱力もありますからね。
他のカンパニーの舞台に登場しないのが不思議なくらい。
ちなみにアイドルイベントも勉強がてら拝見させていただきましたが、
ひじょうにいい出来ばえでした。
細川さりかの実力はもっと評価していいと思う。

せっかくなので、その舞台終了後のライブイベント。
基本はアイドルのライブ。
ライブということもあり、遠藤るかも、佐川トーコも、
笑顔全開、ダンス全開で弾けます(笑)
一番思ったことは、生歌だということ。
ここは物凄いと思う。
最近はのイベントは生歌がありません。ほぼ口パク。
そんな口パク全盛のなか、今回出演したアイドルユニットは全員生歌。
ここはめちゃくちゃ評価してあげていいでしょ?
生歌で歌いながら激しいダンス、ホント大変なんですよ。
今のアイドルは、ほどほどにダンスはしますが口パクですから。
あれは、舞台好きの私にしてみるといただけない。
それのあてつけ・・・というわけではありませんが、
生歌で勝負!という気合が私に感じ取ることができました。

ちなみに別件として、この会場には小さな子も見にきていました。
そこでこのライブを見て、
私もアイドル、ライブをやりたいな〜と思う子がでてくるかもしれません。
舞台系は子役が多いですらか。
その需要促進、入り口としては、とてもいいアイデアだと思います。
なんだかんだで「きっかけ」は大事。
底上げするこはとても重要。

少女を題材に、テーマが戦争。
これってすごく難しいんですよね。
私は好きなのですが、
いろいろやっかいな大人の方が「あ〜だこ〜だ」言ってくるわけです・・・
だから最近は穏便な戦争ものが多い。
批判をなるべく受けないように、柔らかめに。
テレビは無難に、舞台はきわどく!というのがあったのですが、
今はなかなか難しいのが現状。

過去に南青山少女歌劇団で「マーガレット戦争」というのがありました。
これがまた黒歴史になっているのもつらいところ。
普通に銃が登場しますし、慰み関係も出てくるし、死亡者多数。
当時からかなりきわどかったです。
「すばらしい仲間さ、そうさ俺たち」とか、
「たとえばあなたと私が〜」とか、今でも口ずさめるミュージカルナンバー多数。
私、普通にさらで歌えますから。
こういうところの記憶力だけは凄い(笑)

なぜかこの舞台、かなりスルーされているんですよね・・・って、
構成・演出 犬石隆先生だ(汗)

最近だと滝沢路子が出演した「我愛尓 War I Need」
こちらも少女が戦士。
こちらは男性も出演しているので、また意味合いが異なりますが。

今回のこの舞台に関しては、
銃や格闘技、殺陣のような、戦争のシーンはほとんどなく、
簡単な訓練と休憩時間?がメイン。
前半から中盤にかけては、戦争ものではあるけれど、普通に学園ものでした。
リアルの戦争ものではありません。それはそれでいいと思う。

ただ、敵?の存在が全くわからなすぎるのはちょっとつらい。
見せない定義もわかりますが。
一応戦争ものであることから、
何と闘っているかが観客にはわからないと、こちらも感情移入できない。
演じている出演者の子供たちは理解できたのでしょうか?
自分たちは何と戦っているのか?
シリアスな場面を入れるのであれば、こういった部分がないとよくわかりません。
悲しさ、悔しさ、虚しさ、そういった感情が伝わりにくい。
基本、「友情」がテーマなのかな?
う〜ん、子供向けだから別にいいか。

思うに、ミュージカルではない。
途中途中、歌が入りますが、あくまでアイドルイベントのライブのような感じ。
歌っている内容も、本編と関係あるのかないのかよくわかりません。
そのため、ちょっと舞台の流れが切れる気がしないでもない。
物語の内容、セリフ、心の思い、それらを歌にするわけではありませんから。
だからこそ、パンフレットにもミュージカルという記載はなく、
演劇エンターテイメント。
厳密にいうと、歌えばなんでもかんでもミュージカルにあたるようですが。
定義はいろいろあって、私にもよくわかりません。

SE的な音楽は少なめ。
それもあってか、音楽の印象は薄い。
各ソロナンバーもあるんですけどね。

4チーム組分けで、髪形も4チームごとに統一されています。
黄色い小さい子チームはともかく、
紫のチームの個性が私はイマイチ把握できませんでした。

孤児たちを学校集め、教育させ、
なぜか子供たちでなければ動かすことのできない最終兵器に乗せる。
言葉でいうのは簡単なのですが、
それをすることになった経緯は?
国会は?議会は?
民主主義国家?それとも独裁専制国家?

よくあるゲームのロールプレイング。
ほぼ間違いなくお城が登場します。
王様、女王様、王女様、お姫様。
これって独裁国家。
民主主義の国なんて登場しません。
だって、いちいち決めるのに時間がかかるし面倒くさいから。
行政、立法、司法の三権分立。
何かを決める際にいちいちこれをやっていたら、
ゲームの進行速度ガタ落ちです。
だからこそ独裁専制国家の方が、やりやすいことはやりやすい。

軍事国家ということで、この学校も独裁専制国家なのでしょう。
孤児ということで、学校が終わっても家に帰るのではなく、寮生活?
家族やら、兄弟、親戚関係もない。
ただ、ミサキは弟がいましたね。
弟役の瑠偉も本当にご苦労さまでした。
もうちょい、本当は過去映像として、
いろいろミサキと関わって欲しかったのですが。
みなしご設定は正直ずるいな〜
戦争もので親子愛とか描かなくていいですから、その部分に関しては楽です。

大人ができることがなく、子供に押しつけてしまう苦悩。
これって、これから間違いなく上がるだろう消費税や、
国の膨大な借金のことを思い出してしまいました・・・
いや、本当に大変ですから。
大人が一生懸命、死に物狂いで考えないとね。

気になった役者は・・・
主役 七沢アカネ役、藤松祥子
派手な印象、華やかさという意味合いとしては少ないかもしれない。
ただ、彼女の演技力は抜群だと思う。
ほわっとする演技。
表情の変化は楽しいのだけれど、
イマイチこのアカネ役をつかめていない感もあります。
ドジっ子キャラなのにパイロットとしては優秀、
行方不明となっている先生への淡い恋心、
もともとこの役自体が主役主役していないので、演じ方は難しい。

一本木マイ役の近藤亜紀
近藤亜紀がこういう役をやるの、初めてじゃないかな?
気の強い、男っぽいキャラ。
意外といい。
どちらかというと、妹っぽい少女的なキャラが多いけれど、
気の強い役ができるのは意外でした。
低いドスがきいたような声質もよくやっていると思う。
予想以上にいい。

加藤ミオ役の本橋舞衣
彼女が出てきた瞬間、
言葉を発せずとも雰囲気から役を演じていることが感じとれました。
雰囲気だけで加藤ミオ役のオーラを出すのすごいと思う。
ここまで成長したかという感じ。
伊達に「ラブリーズ」に出ていたわけではありませんね。
ものすごく成長の跡が見える。
しっかし、スタイルがいい。そっちにも驚きます。

雪乃シズク役の近貞冬奈
私的に彼女の実力はかなり高く評価しています。
「ミュージカル・アニー2008」ではのケイト役を好演。
本編だけでなく、
アニーのクリスマスコンサートでのダンスも素晴らしかったです。
ただ・・・申し訳ないのですが、
この役では彼女の実力の10分の1も発揮できない。
たしかにアイドル系のユニットで、ダンス、歌は披露しましたが、
それだけでは、もったいなさすぎる。
また違った舞台、役を観てみたいです。

そんなチビッ子メンバーの黄組の中で、
もちろん一番目立つのは近貞冬奈なのですが、
岩松キリコ役の岡田紗織のダンスはなかなか見応えがありました。
見落としがちですが、わかる人にはわかります。
なるほど、彼女も何かのアイドルユニットのメンバーなんですね。
ダンスができるのも頷けます。
ひじょうに良くやっていたと思う。

伊集院ランコ役の佐川トーコ
常にチュッパチャプスをなめている恥ずかしがり屋な女の子の役。
出番は多いのですが、ほとんど喋りません。ダンスもしない。
ところどころ笑いをとるらしいのですが、
何が面白いのか私にはさっぱりわかりませんでした。
独特な役柄なので、誰がこの役を演じたとしても難しいでしょう。
最後のネタバレはなかなか面白かったのですが、
その前までのコメディチックな印象が私は苦手。
そのぶん、ライブイベントでは弾けていましたが。

タナカ役、中村伽奈美
ちょっと気になるのですが、彼女何歳かな?
年齢によって判断わかれます。
服を着ていたせいもありますが、かなり年齢が高く感じました。
もう少しセリフの声の抑揚がほしい。
怒鳴る時は怒鳴って、落ち着く時は落ち着く。
そのメリハリがあってこそのこの役だと思います。
謎めいている厳しい先生なのだから、声の印象はもっと強くほしかった。
写真とか、字の雰囲気から想像すると、実年齢は低いかも・・・
低いとすると、良く頑張ったとも言えるのですが。

平和島アキコ役で横井結衣も出演しているのですが、
当然顔は覚えているので出演しているのはわかるのですが、
役柄のことはほとんど覚えていません。
この役のイメージが希薄。
役柄のせいかもしれませんが、実力者なのに残念。

沢渡ミサキ役の遠藤るか
遠藤るかの舞台を観るのは、
2003年のミュージカルアニー以来。ものすごく久々。
ペパー役は当たり役でした。
そういえば、Kiddy2002にも出演していましたね。懐かしい。
この当時からルックスは全く変わってない。
大きな瞳の印象は変わらず、スタイルもそのまま、
体の成長はあると思いますが、ほぼあの当時の雰囲気。
それを維持しているということは、人知れず努力していることでしょう。
ダンスもしっかりしているし、演技もいいし。
歌もいいのだけれど、
歌唱力に関しては細川さりかの歌唱力の印象が強いです。

グループの仲間はいるけれど、なぜか孤独感があるミサキ。
それは弟のミライを心配するゆえなのかもしれない。
そんな中で、七沢アカネとの友情・・・
難しい役柄だけれど、結局、孤独感の方が強かったです。
Bチームで演じるであろう、七沢アカネ役の方も観てみたかったのが本音。

総括
前述していますが、
意味合いとしては舞台がメインで、途中途中ライブが入るという感じです。
自分の思い、セリフを歌にする・・・というものではありません。
ただ、脚本は好き。
ベタベタな展開だけれど、ハチメチャな部分は観ていて楽しいもの。
後半は話しがやや重くなりますが。
コストの問題はあるとは思いますが、
最後は4人の凛々しい戦闘服姿が見てみたかった。

それからビデオカメラで撮影をしていましたが、
普通はモニタの電源は切って、ファインダーでのぞきますよね?
モニタの光りが後ろに漏れて不快でした。
観劇のマナーとして、観劇中に携帯を見る行為は、
液晶の光りが後方の観客の視線に入って不快になるのと一緒。
チケットを買ってきた観客をなおざりにして、
映像として残すことが優先であることはやめてほしい。
そのためにファインダーがあるのだから。次回はぜひ改善してほしいです。
(敬称略)


トップ     観劇一覧     キャスト     女優