◆ 我愛尓 War I Need


◆公演時期   2008年3月8日〜9日
◆会場 東京スクールオブミュージック専門学校渋谷
2階イベントルーム
◆作 田中守幸
◆演出 鈴木健之亮

あらすじ
政府軍と反政府軍が争う戦場。
B、ギーヨ、フェイ、シン、そして負傷したサンダースがある建物の中に逃げ込む。
そこにドールのキリコを発見、さらには医者の鯨を見つけるのだが・・・
観劇感想
本当のタイトルは「我愛尓」の尓の左側にはにんべんがつきます。

よしもとザ・ブロードキャストショウ東京
新人セクション&1期生旗揚げ公演です。

これから東京でも活躍する劇団のようですね。
旗揚げということでチェックしてきました。
会場は本当に小劇場。椅子は30席ぐらいで、後は床にクッションという感じです。
時間が休憩無しの1時間50分。
開演5分前ぐらいに言われても、会場が満席で動けないため、トイレに行けません(爆)

この1時間50分というのは、普通の人にしてみると長いと思います。
ただ、今回の客層を見ると関係者や友人が多いので、みなさん集中してご覧になっていました。
これが一般のお客さんを入れる舞台となると、ダレル可能性があります。
というのもテーマが重い。
戦争もので、何の為に戦うのか?を問う感じです。
その部分部分に、今の日本の現状を表しているところもあります。皮肉的な要素。
私は深いテーマでも大丈夫ですが、一般の人にはちょっとつらい内容かもしれません。
話しが複雑ですし。
ただ、前半の1時間をクリアすると、流れがわかってきて、けっこうスラスラ〜と観られました。
ここをクリアできるかどうかですね(汗)
ここがクリアできないとダレてしまいますが、うまく切り抜けると舞台にかなり集中できます。
後半の方がとても安心して観られました。
難解な話って、私好きなんですよ。
舞台を観ながら自分の頭の中でも想像が膨らみますから。

人間とドール(人形)
この設定がある時点で、じつは私、ちょっとオチを予言できてしまいました(汗)
最近、意外とある手法ですから。
ちょっと検索してみると、この作品自体はずいぶん昔からあるようです。
元々ある作品を新たに演出し直したのかな?

それからドールが「雨が降ってる」とか「シャワーが」とか「水が」という言葉が出るところ。
意外と小説や映画で使われます(この作品が先なのかな?)
ただ、このよくあるセリフをキリコ役の栗原梢が抜群の演技力でカバーします。
すごいんですよ、これがまた。
ここは屈指の名シーンだと思います。
彼女の演技力に惹かれますから。

とあるところで人が倒れるシーンがあるのですが、そこからずっと倒れたまま。
ここも演技大変です。

この舞台、主役という主役はいないのですが、要は間違いなくキリコ。
それを演じる栗原梢
この子は只者ではないでしょ?
ちょっと凄過ぎます。
演技力は抜群、何よりカツゼツが素晴らしい。
喋るシーン一番多いのですが、ずっと変わらず、しかも声が大きい。
失礼ながらそれほどの美少女キャラではないのですが(爆)
ずっと見続けてしまうほどの演技。
これは相当な逸材。
もちろん、他の役をやったらまた印象が変わるとは思いますが、この役に関しては文句無しです。すごい。
かなり舞台をこなしている人・・・のような気がします。

ちなみに、鯨役の藤田亮平とは抜群のお笑いコンビなので、
M−1に言っても面白い(爆)
それぐらい高いレベル・・・だと思います

鯨役の藤田亮平は三枚目役ですごくうまい。
のらりくらりとした演技はいいですね〜
前述しましたが、栗原梢のコンビは抜群でした。

B役の星野寛典は、カッコイイルックスで、なんとなく戦隊物のリーダーにもなりそう。
不器用ながら物事に対しての真っ直ぐな心、純粋さが出ていたと思います。

ギーヨの小野明洋は荒削りな感じ。だがそこがいい!
前半部分はイマイチカツゼツが怪しい部分があったのですが、後半は持ち直しました。
後半部分がピックアップされるので、その時の方が印象深いです。

フェイの斉藤千夏は、う〜ん、そんなに印象ないです。すみません。
長いセリフがあるのですが、そこのセリフいらないかな〜?と思ったぐらい。
あまり心には響かなかったんですよね。申し訳ないです。
ひとりひとりにスポットを浴びさせないとまずいですから、仕方ありませんが。

シン役の池下奈々は、ひとみパッチリで、とてもかわいいルックス。
うまくすれば花形として、集客力につながるかもしれない。
演技もいいし、芯の強いシン役も好演でした。

サンダース役の水谷真理子、彼女はなかなか個性的な役者ですね。
男性的な雰囲気で、独特なサンダース役を好演。
役どころとしては、かなり難しい役だと思います。
やはり最後のシーンが印象的。

コジロー役の丸石彩乃は鬼気せまる雰囲気が面白い。
ただ、他のメンバーとのからみが少なかったので、意外と印象に残らない。

将軍役の吉本想一郎は声の張りが素晴らしい。一喝する声は緊張感走ります。

ナタリー役の滝沢路子
珍しく美人な奥様役(爆)
おしとやかな演技もなかなかいいですね。
彼女は元々色気があるので、こういう役も似合います。
本当はダンスシーンがあると、もっと彼女のセクシーな雰囲気をかもしだすことができるのですが、
今回は仕方ありません。
動くことの好きな彼女が動かない役というのはもったいないのですが、
わざとそういう役にした可能性もあります。
まっ、こういう動きの無い役も勉強のひとつでしょう。
王女というわけではありませんが、神々しい雰囲気、気品ががもう少しほしかったかな?
発声も、たしかに他のメンバーに比べるとまだまだ。
ジュニアでは通用しても、大人の舞台でずっと喋り続ける時の発声はこれからだと思います。

総括
前半部分の重厚な雰囲気を乗り切ることができれば、楽しめる舞台です。
後半はテンポアップしていくので、観客自身にも舞台への集中力を切らせない力が必要。

戦争物+SFですが、その重厚感を緩和させるためのお笑いも多いです。
ここが大阪のノリなのでしょうね。
それを表現する栗原梢の演技力には一見の価値あり。
東京進出第一弾ということで、これから公演が増えていくことと思います。

(敬称略)


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