本文へスキップ

エターナルファンタジーはファミリーミュージカル公演サイトです。

なにをシェアするハウスター

満足度 星星星空星空星
公演時期 2020/1/22→26
会場 赤坂RED/THEATER
作・演出 保科由里子
音楽 藤本藍
振付 原田美穂

あらすじ

未婚・子無しの花園が経営する、ヨガの先生見習い、地味なコスプレイヤー、ホストクラブで働くゲイの男性などが住む女性専用シェアハウスに、離婚したてのシングルマザー・西澤が中2の娘・美咲と入居してくる。そこで知り合う「普通の大人たち」のカッコ良さに勇気を得て、美咲は「私は明日からズボンで学校に通います」と突然宣言する。しかし、その美咲の一言により、カッコイイと思っていた「普通の大人たち」の無自覚な偏見や差別心が見え隠れし始め、西澤親子の為の歓迎パジャマパーティの雲行きが怪しくなっていく。 ※公式サイトより引用。

観劇感想

客層を見ると、年配、女性客が多い。 宝塚や、劇団四季に出演していたキャストも多いので、気軽に観るというタイプではないかな? けっこう玄人感がある。 ちなみに公演場所の赤坂RED/THEATERの座席は、 3列ぐらい段差がなくそのままなのでちょっと観にくいと思いました。

女性向けの舞台?

まず思ったのはこれ。 上田亜希子が演じる西澤薫子が、いわゆる大阪のおばちゃん的なノリ。 チャキチャキした感じ。 なぜか観客の女性に受ける。 遠藤瑠美子が演じる森出衣明日が張り切ってジョギングをする。 それだけで笑いが起こる。

申し訳ない、私は何が面白いのサッパリわかりませんでした。 笑いのツボがあってないのかも。 もしかしたら、女性目線の舞台のせいなのかな~とも思いました。 男性だとちょっと理解に苦しむ。 「だから男性は女性の心がわからない」なんて言われそうだ。

スポンサードリンク

物語的には・・・

ストレートプレイと思いきや、途中途中ミュージカルナンバーがある。 そのキャストにスポットが当たった時に歌う感じ。 そこまでミュージカルミュージカルはしていない。

西澤親子がシェアハウスに入居してきたことにより、今まで入居していた人々のバランスが崩れ、 心の奥にしまっていた思い、悩み、不満が爆発する。 観客が今まさにシェアハウスの中で起こっている出来事を楽しむ感覚。 リアルタイムで観ている感じだ。

言いたいことばかり言うと・・・

南潤の中学生を口説くかのような発言、 おっとり温厚だと思われていた花園みゆきも、心の中では他人の人生をうらやましく思う妬みがあり、 山本優も自由気ままに生活しつつ、心の中はみゆきと同じように妬みがあり、 優しく明るく元気印と思われていた森出衣明日も彼氏といる時は別の顔に。 チャキチャキでお節介やきな西澤薫子の態度、 物静かな子と思いきや皮肉屋で一本筋のとおった西澤美咲、 ザキヤマは言わずもがなのゲイでの差別、 英語しか喋らないみゆきの弟であるゆうきもじつは。

と、一癖も二癖もある住居人だらけ。 自分の悩みを吐露したり、他人の気になる部分をズバズバ言ったりするが、 それは結局のところ自己主張をしているだけ。 だから嫌われる。 男も女も複雑だ。 なんて思いました。

ちなみに特に印象深かったのは 英語しか喋らないみゆきの弟である西澤ゆうき役の富永雄翔。 最初はなんで英語ばっかり喋ってるの? なんて思いましたが、やはりというか、予想通りというか、 じつは相手の日本語も聞き取れていて、普通に日本語を話すこともできていました。 ではなぜ英語ばかり喋っていたのか? 帰国子女的な扱いで奇異な視線に心を閉ざし、あえて英語を喋っていたとのこと。 しかも海外では海外で自分が英語を話すと奇異な感じで見られるという始末。 そのどっちちかずの表現をミュージカルナンバーにしていましたが、 ここが本当に素晴らしかった。 笠井日向のミュージカルナンバーに続いて印象深い。

シェアハウス=地球

意味合いとしてはワールドワイドな展開。 いろいろな国の問題、ヘイト、差別をこのシェアハウスに組み入れたのだと思う。 そういった社会的メッセージのようなものを私は感じました。 特に笠井日向が演じる西澤美咲は、最近、環境問題で話題になっているグレタさんをイメージしているかのよう。 私的な意見として、グレタさんの環境問題の取り組みは素晴らしいけれど、 大人はそこに経済とのバランスを組み込まないといけない。 環境第一だと経済ボロボロになりますからね。 だからアメリカの有識者もグレタさんに大学で経済の勉強をしてほしいと言われるわけです。 そこで一度勉強をして環境の発言をしてほしいと。

その西澤美咲もじつのところ自己主張ばかり。 回りが見えていない。 若いから仕方ありませんが。 だからこそ大人はそのバランスを考えて諭すわけだ。

スポンサードリンク

ピックアップ

  • 今回の出演者もある意味みんな皮肉屋。 言葉に出ない人は、心の中で隠し続けている。
  • 差別をやめよう!という意味合いが強い。 個性をからかうな!みたいな。
  • 女性同士のワチャワチャした早口の会話は、私にはちょっとつらかった。 ああいった部分は合わない。

気になった役者

みなさんプロなので、演技も歌唱力も抜群。 私が感じた部分だけ。

秋園美緒 花園みゆき役

ほんわかして面白い雰囲気な人。 明るく陽気でほがらかでボケキャラで、誰とでも仲良くなれるような心の広い性格、 と思いきや! 心の中では相手を皮肉る部分もある、じつのところは普通な人。 そんなに主役主役していなかったけれど、 みんなをまとめる安定剤のような役柄だった。 役柄のイメージで申し訳ないが、ほわ~んとした優しい感じの女性だ。

上田亜希子 西澤薫子役

前述しているように、お喋りをよくするものの、 人の話しをきちんと聞けないせっかちな女性といったところか? たしかに娘の美咲の言うとおり「ウザイ」感じではある。 そういう役どころだから仕方ないが。 男性はこういうタイプは苦手だな~ というか私か(笑) ハキハキ、ズバズバ、人の心の中に無断で入り込んできそうな感じだ。 悪い人ではないんですけどね、自分でも知らないうちに相手側が壁を作ってしまう。

遠藤瑠美子 森出衣明日役

とても明るく元気でハキハキ、優しい雰囲気の女性、 と思いきや彼氏の前だと様子が変わってしまう。 彼女の心の抑揚が感じられ、観客席からでも 「良い人そうなんだけれど、そういうことなのか~」 と、少しひいき目で見てしまう。 ほんと、現実にもいそう。 とても良い演じ方で印象に残る。 意外と瞳の印象も強い。目つきの表現かな?

笠井日向 西澤美咲役

大人キャストを差し置いて、じつは一番出番が多いのではないだろうか? そしてミュージカルナンバー、歌う機会も若干多いと思う。 それゆえの印象度の高さ。 だけでなく! ミュージカルナンバーの歌は物凄く素晴らしかった。 子役ながら低音で、思いが伝わる歌い方だ。 お世辞でもえこひいきでも何でもなく、観劇している人が観ればすぐにわかるもの。 かつての「ハイジ」「FUN HOME」でも、 その年齢において最高のパフォーマンスを舞台にぶつけてくれたけれど、 今回はそれをも上回る。 今まで一番素晴らしい。 なんと言うかな、大人と子役の中間といったところか? 観客の心にも間違いなく響いている。 あの歌い方は、正直今回の全キャストの中でもナンバーワンかもしれない。 ちょっと言い過ぎだが。

舞台にブランコがあったが「ハイジ」「SHOW BOY」に続いて三度目。 ブランコに3度も乗る機会があるなんてことは、本当に珍しい。 西澤美咲役の配役もピッタリ。 おとなしそうでいて、皮肉たっぷり。 演出の保科氏の信用度大だからこそできる。 大人キャストも自信満々な彼女の雰囲気を感じとっていることだろう。

ちょっとだけ気になった部分は普通のセリフ自体も低音ボイスだから、こもりそうになる。 ハキハキした方が聞こえはいい。 ただ、女子アナになるのであれば、高音よりも低音。 低音の方が視聴者に伝わる。 昨今の女子アナは高音ばかり。 笠井日向の低音ボイスは個性だけれど、これからそこがどうなるか成長に期待したい。

子役でのミュージカルナンバーの歌唱力は物凄く秀でていると思う。 問題は大人になった時。 子供レベルでは差がついたが、大人になると他の役者もうまくなる。 スタートラインが同じになる。 そこでいかに自分の個性を出していくか? そこで真価が問われる。 そうそう、場内アナウンスも笠井日向だった。

高橋卓士 南潤役

一番女性から嫌われるような役。 中学生に相談にのるみたいな口調で、口説くような雰囲気。 それを悟った美咲のキモイ発言にも静かに怒る。 そもそも彼女である森出衣明日にもパワハラまがいな高圧的な態度で接していた。 完全に女性の敵という枠で、観客から見れば非難轟々だ。 それをわかって演じるのは逆に言えば快感かもしれない。 あからさまに怒らず、静かに怒るのがまた恐い雰囲気。

ただ、彼の言い分にも一理はある。 自分を犯人扱いされたことに対する怒り、 シェアハウスの住人たちが言いたい放題言うことへの反論、 こういった部分においては男性としては共感できる部分もある。 もちろんほとんどはないですが、一部分だけ。 そこが男性と女性の感覚の違いかな?

富永雄翔 花園ゆうき役

前述していますが、彼のミュージカルナンバーはとても印象に残りました。 心にグッとくる。 最初はほんと「何なの?」って感じの役なんですけどね。 真相がわかってくると非常面白い。

中村美貴 山本優役

別件だけれど、ヲタクというのは三つ編みにメガネというイメージなのかな? 「アサルトリリィ×私立ルドビコ女学院」で緒方ありさが演じた雰囲気とかなり似ていた。

山﨑将平 ザキヤマ役

ゲイの役柄。 お姉に近い感じ。 女性のみのシェアハウスにゲイの方がいるのは、 たしかに微妙ではある。

私が観た会は、谷内愛がゲスト出演。

簡単にいうとシェアハウスを見学しにきた主婦という役柄。 「ライオンキング』2006年2月でナラ役。 観てますよ、私。 林愛夏と共演してますね。 当日からアイドルルックスで可愛かった印象。 今回はあわてんぽうな主婦って感じかな? あいかわらずコケティッシュなルックス。 ただ雰囲気敵には濱田マリっぽい感じでもある。 目をまん丸くしたところとか表情の変化も楽しい。

スポンサードリンク

総括

前述しているように、私の見方からすると女性向けの舞台だと思う。 さらには笑いのツボが私には合わなかった。 シェアハウスというこじんまりした住居の世界ではあるが、 じつは地球で起こっているワールドワイドな社会的問題も提起している。 コメディというよりかは、けっこうシリアスな内容でした。

※敬称略
キャスト表