本文へスキップ

エターナルファンタジーはファミリーミュージカル公演サイトです。

博物館では、夜毎(よごと)、罪人(つみびと)たちが夢を見る。

星組 満足度星星星半分空星空星
公演時期 2018/5/30→6/3
会場 テアトルBONBON
脚本・演出 友池一彦

あらすじ

コレといって売りのない地方の博物館は閉鎖の危機に瀕していた。
そこに祖父の紹介で働く事となった新人職員の乃愛。
たまたまレプリカを作ったはずが、国宝級の展示品となってしまう。
自分が作ったものだと言い出せないまま、逆にそれを利用して、注目を集めようとする人々。
なんとか嘘がばれないうちに隠そうとする職員。
さらにそれを狙う侵入者…
(パンフレットより一部抜粋)

観劇感想

メディアンプロ第5回本公演。
まず、パンフレットの表紙の色使いは素晴らしい。
そしてそこに横たわる、
奥村優希が演じる乃愛の雰囲気、これがじつに良く表されている。

笑いのツボ

まず申し訳ない。自分の笑いのツボには合いませんでした。
これはどうしようもない。
他の観客からは笑いがあるので、ツボに入る人、入らない人で別れる。

客層も違う。
観劇メインの人と、お笑いメインの人とでは感性が違う。
頑張って笑えるところを探したのだけれど、見つからない。
私の感性が悪いんだろうな、うん。

「お笑い」と「演劇」の融合が・・・

かつて、「野菜とキュウリとごめんなさい」という舞台を観劇しました。
こちらも芸人がたくさん出演していたし、お笑いの部分も多かったです。
でも、物語はしっかり進行していて見応えがある舞台でした。
どちらかというと、お笑いより演劇の方が強めだったかな?

それと比べてはなんですが、
何か「お笑い」の部分と「演劇」の部分が噛み合っていない。
脚本もしかり、役者もしかり。
うまく融合すれば楽しい舞台になるのだけれど、それがイマイチ。

「大声を出しておけばいい」的なお笑い

特に面白おかしくないことを、真面目に大声を出すことで笑いを誘う。
そんな感じを受けました。
ここの笑いのツボが、私には全くついていけない。

オープニングの導入部分


幕が上がってから、けっこう淡々とした舞台。
これから始まるぞ!というワクワク的なノリが無い。
乃愛と先輩である清水翔子の過去話なのだけれど、
そんなに導入部分的なノリかな?
まぁ、乃愛の妄想が舞台に表れ、
キャスト全員登場の、いわゆるオープニングは始まりますが。
そこに至るまではけっこう長い前日談。

キャラクターが空回り


泥棒が一組、ディレクターとAD、イベントプロデューサー、
三角関係の大学生、市議会議員と市民団体代表、評論家、警備員、
ストーカーと化した恋人、
キャスト、キャラクターは多いのだけれど、いずれも中途半端。
本当に必要?と感じるキャラクターもいる。

たとえば、泥棒が土器を盗めば終わりのはずなのに、
なかなか取らない。
取って戻す。
また忘れる。
そういうことの繰り返し。
それを笑いにつなげようとしているのだけれど、
私は笑えませんでした。
逆にイライラする。
ストレスすらたまる。

これは、久松景子とストーカーと化した恋人、
乃愛と小野寺のやりとり、三角関係の大学生、泥棒のやりとりにも言える。
イチイチねちっこい。
お笑いとしてはこういう感じで面白おかしくやりたいのはわかるのだけれど、
普通に演劇を観たい私としてみると、
テンポが全然違う。
明らかにこれはお笑いのテンポなんですよね。
だから話が全然進まない。

そして、こと真相がわかるところになって、
ようやく話しがドンドン進んでいく。
その前までの遅滞は何なの?って思う。

乃愛と宇田川をもっと掘り下げてほしい。

ネタバレしたくないので言えませんが、
意味合いとしては二段落ちかな?
乃愛の過去の出来事が2件と、
博物館がらみが2件。

乃愛の思いのところはファミリーミュージカルっぽい。
アルゴミュージカルでも似たような最後がありました。
それに関連しての市議会議員とのやりとりも重要。
私的には、ここはもっと深く掘り下げるべきだったと思います。
時間的な制約があるかもしれませんが、私はここを推したい。
奥村優希と中川真由美のからみは絶対に重要でしょ?

姉とのからみ、親友とのからみ、祖父とのからみ、
たくさん重要なシーンがある。
その中でもこの舞台の本筋はここのような気がする。
過去回想はそのためですから。
もちろん、掘り下げてないわけではないけれど、
私には物足りない。

エンディングありきの脚本?

この舞台はお笑いがメインなこともあり、
落ち、もうひとつ落ちがある。
何だかここにつなげるために、
前倒しでいろいろな要素を組み込み入れ込んだ感じがしてしまう。
感動を盛ろうとした弊害かな?
何かあっちこっち飛んでしまう。
1本すじが通っていない。
だから観ているこちらはイライラする。

BGMは少なめ、場も長め

BGMがあればいいというわけではありませんが、私は少ない気がしました。
印象的には3回ぐらいかな?
場面の雰囲気を変えるところでの音楽。
それ意外はほぼ役者の力量。

それがしっかりした意味のある脚本、セリフならいいのだけれど、
あまりよくわからない。

また、ひとつのシーン、ひとつの場が長い。
しかもほとんど話が進まない。
他のキャラクターを活かすためなのかもしれないが、
ここはつらい。
短絡的に思える。
展開を早くしてほしいと観劇していて思いました。

ピックアップ

  • 清水翔子と倉持乃愛の先輩後輩のところはもう少し深堀してもいい感じ。恋愛とか。前半部分だけではよくわからなっかた。
  • キャスト多めかな・・・
  • ヲサダコージは、元プライムニュースの反町理に似ているな~

スポンサードリンク


気になった役者は・・・


みなさんプロなので、気になった方のみ抜粋。

奥村優希 倉持乃愛役。
古い話しで申し訳ないが、ミュージカルアニー2004ではケイト役。
最近だと、青春バスケットボールミュージカル「FAB FIVE THE MUSICAL」~2番目の気持ち~で宮前にかほ役。
2013年以来なので、5年ぶりか?

率直に言って、彼女はルックスがミュージカルアニーのケイトの時からほとんど変わっていない。
目つき、唇、あの当時のまんま。
体の線も細くて本当にビックリ。
いかに健全とした生活を送っていたかがわかる。

言うまでもなく、ルックスは抜群。
「華」がある。
目立ってしょうがない。
白さが際立ち、美白も光輝く。
透明感ある女優。

そんな奥村優希の一番の個性は瞳だと思う。
「憂いある瞳」
あの瞳、目の使い方はなかなかマネできない。

物語上、倉持乃愛はある部分において気が強いというシーンがある。
もしかしたら、演出家にも奥村優希の奥底がわかっている気がする。

天然ボケ系、ホワッとした性格の子が、
ある部分、ある一線においては頑固。
絶対に妥協しない部分がある。
テコでも動かない。
それをあのシーンと奥村優希本人と重ね合わせてしまう。
本当の性格までは私もわかりませんが。

さて、今回は主役。
失敗ばかりで、ドジでノロマで、彼氏を見つけるセンスも最悪、
でもなぜだか、お茶目で人を引き寄せるという性格。
イメージはピッタリ
素直に演じている。

ただ、今回の脚本だと、彼女の実力を活かしきれていない。
脚本自体が面白くないので、相手とのいろいろなやりとりを見ても面白くない。
これは役者のせいなのか?
脚本、演出のせいじゃない?
と、私は思ってしまう。

ひとつひとつが地球の思い出、みんなの思い出、
過去と対峙する乃愛。
真っ直ぐな温かさをもって自分の思いを伝える場面は、
この舞台においてのクライマックス。
奥村優希の素直な感情がここで爆発する。

小林令奈の久松景子(ニヒル)役。
彼女は声質がいい。
じつにハッキリしていて、舞台声。
印象に残る声。
影の主役とも思えるほど存在感がある。
時には主役の奥村優希を上回りそうな時も。
もっといろいろからんでも面白い。

足立彩佳の木下絵美役はひじょうに良かった。
市民団体代表という、少し特殊な役。
これがなかなか合っている。
表情がよくわかる。
あの独特な表情付けって難しい。
よく研究していると思う。

スポンサードリンク


総括

今回、満足度は5点満点中の2.5点ですが、
脚本的には2点。

申し訳ないが、私には笑いのツボが全く当たりませんでした。
純粋な舞台演劇として見たかった。
笑いのエッセンスが多過ぎ。
テンポを変えて、展開を早くすればもっと変わったはず。

笑いと演劇が、何だかチグハグ。
両方とも別物の感じ。
ここを融合してほしい。
脚本のバランスがイマイチなのかな?
役者自体が活かされていないように感じる。
もったいない。

私が偉そうに言う必要はないのだけれど、
改善できる点が多々あるので、いろいろ削ぎ落とす作業が必要だと思う。
物語の二段落ちは素直に面白かった。

※敬称略
キャスト表