カゴメ劇場2011「長ぐつをはいたネコ」

満足度
◆公演時期 2011年7月22日
◆会場 大宮ソニックシティ

あらすじ
ある粉引き職人が死に、3人の息子に遺産が分けられます。
長男には粉引き小屋、次男にはロバ、三男には猫が遺産として分けられました。
ガッカリする三男。
落ち込む三男に、猫が「まず、私に長靴をください」と話しかけてきます・・・
観劇感想
カゴメのミュージカルは初めてです。
1972年から公演していて、今回で39回目だとか。
それだけ舞台芸術にも力をいれ、
子供たちに野菜の重要性を説いていたんですね。
これには驚き。
野菜を食べることへの重要性を低年齢の子供たちには舞台で発信させる、
ということを考えると、
野菜嫌いな若者には向けてAKB48を起用・・・ということなんでしょうか???
これは、私のうがった見方になってしまうので、ここまで。

ミュージカルの前に、関東支店の方のお言葉。
ご高齢とは思うけれど、喋りがじつにしっかりしていて、
MC力が高くて驚きました。
子供にも呼びかけますからね。
上に立つ人間も、やっぱり言葉に力がないといけないのでしょうね。
こういった超低年齢の子供が多いこの舞台で、
いかにしっかり物事を話せるか、かなり重要だと思います。

舞台は2部構成。
ひとつは、
子供たちが野菜の国に行って、野菜の栄養素を勉強する物語。

小さなお子様にも、
野菜には、体の調子を整える大事な役目があり、
栄養素があることを学んでいただき、
野菜を好きになるきっかけを作る、大切なお話。
私自身、野菜の色についても勉強になりました。
ナスが紫って、けっこう重要なんですね。
アントシアニンなんて、プルベリーのことばかり思ってました。
こっいった、大人でも新発見する楽しみがあります。

それと、あまり関係はありませんが、
最初にいただけるはずの、栄養素のことが書かれていたうちわは、
大人はもらえないんですね。
子供だけ。
子供の人数をこれで計算しているのでしょうか?
別に私がねだるわけではありませんが、
私は何でも勉強したいので、正直うちわも欲しかったです。

基本、全員着ぐるみ。
おそらく、セリフを録音し、それに合わせて進行しています。
一番気になるのは、ぬいぐるみの足の短さ。
物凄く短いので、歩くのは至難の技。
しかもさらに凄いのは、これでジャンプしますからね。
着ぐるみは、普通の動きよりもオーバーに表現しなければなりません。
振付も大きく。
となると、中の人なんていませんが、
やっぱり物凄く大変だな〜と、そちらに思いがいってしまいました。

15分休憩の後、もうひとつのお話し、
「長ぐつをはいたネコ」

登場人物は、ネコ、三男、王様、執事、カエル三匹、魔王、王女様。
意外とカエル三匹が、ストーリーテラーというわけではないけれど、
ネコと一緒に物語の進行を手伝っていきます。

主役の長靴をはいたネコに小林風花
今はかなり有名になりましたが、
当時の「NEWSエンターテイメントスクール」は発展途上でしたからね。
そこの「歌姫」の異名を持っていた彼女。
その後、ミュージカルキッズ・アルゴ ユー・ガット・ア・フレンドを初めとして、
ミュージカルにも出演していきました。
彼女だけがネコの衣装を着て登場し、他の登場人物はすべて着ぐるみ。

まず驚きなのが、小林風花の演技。
男っぽい雰囲気。
そして、男のような、ややダミ声。
これを演じるのには驚き。
なんとなく、元祖「子猿物語」の俵和也のよう。
かなりこなれた演技力に驚き。
今までの小林風花のイメージは、
凛として、静かで落ち着いたたたずまい、という感じでした。
それがこの役を演じるとは。

例えるのであれば、
マンガ「ガラスの仮面」で、
姫川亜弓がファミリー向けの舞台「王子と乞食」で、
その両役を演じたぐらいの衝撃。
ファミリー向けの舞台、特に今回の舞台は通常の舞台よりも、さらに低年齢。
赤ちゃんを抱えたお母様方も、たくさんいます。
ちなみに、ベビーカーが凄く多いことも印象的。
走り回る子はいませんでしたが、鳴き声やわめき声は多数。
その中で演じるというのは、本当に大変なんですよ。

小林風花にしてみれば、
自分の今までのイメージとは違う男っぽい役、
そして、超低年齢向けのファミリーミュージカル、
それに出演することによって、
自らもレベルアップしようという意欲が感じ取れます。
この中で、素の人間は彼女だけですから、
そのプレッシャーたるもの想像に難くありません。

会場の雰囲気も元気な子供が多く、
ネコに対して声援を送っていました。
「この土地は誰の土地か?」
と王様に聞かれた時に、
「カラバ公爵〜」という、子供たちの声援。
さらに魔王がネズミになった後、
長靴をはいたネコを助けるため、
子供たちがあちこちに現われるネズミの居場所を手助けする声援も凄かったです。
一般の生活で大声をだすことなんて、あまりないですからね。
ある意味いい発散かもしれません。
そういえば、子供たちが大きく口を開けなくなり、
子供でも低音で発音が悪い・・・なんて話しも聞いたことありますが、
こういうことで大きな口を開けないとね。
帰り際にはお土産ももらえるしで、子供たちは楽しかったことでしょう。

欲を言えば、燐とした小林風花の生歌を聞きたいところですが、
それはそれでおいておきます。

(敬称略)

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