公演時期 | 2021/11/14→28 |
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会場 | 東京キネマ倶楽部 |
原作・脚本・演出 | 西野亮廣 |
作曲・音楽監督 | Ko Tanaka |
あらすじ4000メートルの崖に囲まれ、外の世界を知らない『えんとつ町』えんとつだらけで 黒い煙に覆われた"えんとつ町"の住人は、青い空も輝く星も知りません。そんな中、この町でただ一人、紙芝居に託して“星”を語っていたブルーノの息子・ルビッチは、父の教えを守り“星”を信じ続けていました。しかし、ルビッチは町のみんなに嘘つきと後ろ指をさされ、ひとりぼっちになってしまいます。 そこへハロウィンの夜、ゴミから生まれたゴミ人間・プペルが現れ、のけもの同士、二人は"友達"に。「煙の向こうにある星を町のみんなに見せるんだ!」ある日、ルビッチとプペルは大冒険に出ます。父を信じ、友達を信じて飛び出した二人が紡ぐ奇跡のファンタジー物語。(公式サイトより引用) 観劇感想の前に観客への愛まず思ったことは、回りの関係者、スタッフが若いということ。しばし観客への対応を見ていましたが、すこぶる機械的。言うなれば学生のノリ。来ていただいたお客様に対する愛情、感謝の気持ちが足りないように思えました。これがベテランのスタッフだと、劇場に足を運んでいただいたことへの感謝の気持ちが凄く伝ってくる対応をします。ま~若いので仕方はありませんが。 機械的な作業であれば、人間はいらずAIで十分です。我々は血の通った人間。舞台を見る前に、スタッフの対応でテンションが下がったり、上がったりするわけです。 プログラムの売り場も活気がなく寂しい。そういえば笑顔も無かったな~「劇場に足を運んでくださってありがとう!」「舞台を観に来てくれてありがとう!」演劇に対する「愛」がほしい。観客とのつながりがほしい。そこは大事。 申し訳ない、私はちょっとこの部分でテンションが下がってしまいました。おそらく今まで観劇していて、3回目ぐらいかな?テンションの下がり具合は。こういった部分は次回改善を願う。 開演前のセット撮影OKこういうところはとても良いと思う。後述しますが、セットがとても豪華。だからこそ始まる前からのテンション高まります。開演前の注意事項にはスコップ役の藤森慎吾が登場。ここも撮影OK。やるじゃん西野亮廣。家族向けの作品ゆえ、盛り上げ方はとてもいい。この時点で、藤森慎吾のセリフ回しが独特というのもわかった。芸人さんは舞台あがりだからカツゼツはいい。彼の登場で観客の心を鷲掴みにしていた。うまい演出。 また、家族向けの演出として、公演上で手拍子や足踏みで盛り上げる手法も伝えます。ファミリーミュージカルとしてよくあることだけれど、いざ使うことになる本番の場面でのパワーが足りなかったかな?ピーターパンでの「もっともっと拍手を!」というアピールがもっとあっていいかも。 スポンサードリンク客層この舞台、チケットが即完売だったので、どんな客層が観に来ているのかも興味深かったです。回りを観るからには家族向けが多い。普通のファミリー層。 キャスト主体で観に来たのか?ミュージカル「えんとつ町のプペル」という題名からか?はたまた西野亮廣がメインなのか?そこらへんがわからず謎。ちなみに 、私が観た回では彼が観ていたこともあり、観客が西野亮廣に手を振っていました。最初私、キャストがいるのかな~?と思ったのですが、西野亮廣の人気の高さがうかがえる。 生演奏ありオーケストラピット、生演奏というのも意外でした。そういうところはこだわっていますね。出演するキャストもテンション高まります。生演奏で歌えるというのはとても光栄なこと。本格的なミュージカルにしようという意気込みが伝わってきます。 超一流のキャスト陣だが・・・有名どころ。大御所。誰もが観たいと思えるキャスト陣。私が個々の感想を言うなんて、本当におこがましいほど。このキャスト陣を迎えて、さぁ「ミュージカル えんとつ町のプペル」を創ろうという意味合いだろう。 料理に例えて申し訳ないが、ブランド名がつくほどの肉、野菜がある。さぁ、料理にとりかかろう。料理人である西野亮廣が、自ら作ったレシピを元に完成しようと取りかかろうとする。ただ、ところどころレシピが欠けていて、料理の出来ばえが不透明。スパイス、調味料も目分量。そんな感じがします。 そもそも原作、アニメを見知っていることが前提?物語の流れがイマイチわからない。途中途中の場面が、プツンと切れる時がある。しかも気になっている間に物語が進んでしまう。テンポも早い。何か脈絡もなく展開も早い。なんとなくはわかるけれど「あれ?今のは?」と、おいてけぼりに。完璧にはいかないまでも、丁寧に深堀して説明してほしいところはありました。 この舞台、元気はもらいましたが、後半は???マークのつきっぱなし。煙の向こうに星がある?言ってはいけない?ゴミはなんなのか?この星の意味合い、何も解決されていないし、秘密も解き明かされない。 よくわからないうちにプペルがいなくなって、ルビッチがペンダントを持っているし。死んだということなのか?というか、そもそも本当に父親だったのか?謎は謎のままか。 思うに、この舞台に来ている観客は原作、アニメを全て見ている人が前提だと思う。謎も結末も全て知っているゆえの、この舞台。であるから、白紙状態で何も事前情報を知らずに観にきた私としては、チンプンカンプンなことが多い。泣ける舞台ということで、泣く準備万端だったのだがそこには至らず。本当は最初から知らない人前提で、丁寧に演出、脚本してほしいのが正直なところ。ここは一観客として強く思いました。プペル初見の人は、ほんとわからないと思う。 舞台セット舞台セットは物凄い。今バブル時代?と思うほど凝りに凝っている。東京キネマ倶楽部という劇場の箱は抜群だった。このぐらいの広さがちょうどいい。とても観やすい。プペルの世界観に没頭できますね。 それに加えて照明、レーザー演出もとても素晴らしい。コンピューターで管理されているとはいえ、ド派手な演出。ここはワクワクしました。 ただスモークは正直好きではないんですよね。そもそもが煙の世界なので当たり前すぎるほど当たり前の演出ではあるのですが、観客として観る方としては、キャストをじっくり観たいという欲望があり、スモークは無いといいな~と思ってしまう。 コメディ系のノリは合わなかったここは申し訳ない、私の感性が合わなかっただけ。ルビッチとプペルのやりとり、えっ?えっ?と繰り返したり、おならのくだりとか、プペルがルビッチを肩車してマントで体を隠し、成長期だから背が伸びた的なノリとか、私には合わない笑いでした。ここは仕方ない。ただ、子供たちが笑ってくれればそれでいい。 ダンスシーンは見どころいっぱいあまり多く語られてはいませんが、ダンスも見どころのひとつ。被りもののシーンでも、いかに切れがあるのかすぐにわかる。ダンサー以外もダンス切れ切れ。田野優花には「華」があるからさらに見映えがいい。 スポンサードリンク演劇からミュージカルナンバーへの違和感ミュージカルでは当たり前のことですが、普通に話をしていて突然歌いあげることがあります。そこが意味不明とか言う人もいますが、これがミュージカル。「レ・ミゼラブル」等の場合は、全編のセリフ全てで歌いあげる。 それはそれとして今回のこの舞台、長年観ている私にさえ唐突に歌いあげる場面は気になります。普通、ミュージカルナンバーはミュージカルナンバーとして確立されていて、曲という印象が強い。「レ・ミゼラブル」はセリフ劇の歌。これが今回ごっちゃになっている。 言い方としては、 ストレートプレイの舞台に突然「レミゼ」のようなセリフ口調のミュージカルが入る。 違和感なく入るのではあれば問題ないのだが、私はすごく気になりました。 個々のミュージカルナンバーは楽しいんですけどね。 ところどころ、突然ミュージカル口調になるのは違和感ある。 ちょっとアンバランス。 ピックアップ
気になったキャスト吉原光夫、岡幸二郎、宮川浩、私が感想を述べることすらおこがましい。 ただ、吉原光夫があんなにお茶目な役でコメディチックな雰囲気をかもしだせるのは意外でした。 役者さんだから当たり前ですが。 原作やアニメを全く観ていないので、私としてはこちらのプペルが基本になる。 笠井日向この有名どころが一同に介する中では無名の部類。 ただ、知っている人は知っているが、 「FUN HOME ファン・ホーム ある家族の悲喜劇」で少女時代のアリソンを演じ美声を披露。 で、今回はほぼ主役のルビッチ役。 文句の無い出来ばえ。 雰囲気的には「魔女の宅急便」のトンボ役のよう。 友達からの疎外感もあり、もっと暗く内向的なイメージがあったのですが、 かなり強い個を持ちハッキリと自分の意見をいう性格でした。 少年役としては十分すぎるほど十分。 特に彼女の素晴らしさは歌声。 共演者は「レミゼ」等の出演者ばかりなのに、全く引けをとらない。 難しいナンバーなのに、キーがはずれるなんてことは全くない。 なんというかな、普通の演技をしていて突然スイッチが入って歌声を爆発させる。 そんな切り換えモードのよう。 気持ちのこもった歌声は迫力ある。 半端ない。 ミュージカル俳優が凄いところは、演技は当然として、 毎回毎回常に安定したベストの歌声を観客に披露できるところ。 素人の私にして観れば感謝しかない。 それをこの少女は平然と歌いあげる。 私的に一番好きなミュージカルナンバーが、吉原光夫と笠井日向、二人の場面。 このハーモニーが強烈。 悪寒が走るぐらい鮮烈。 体が震えるとはこのこと。 だってあの吉原光夫の歌唱力に負けず劣らずついてきますから。 他の超有名出演者ならいざ知らず、そこまで有名でない彼女が引けをとらないのは本当に凄い。 とにかくもこの出演者の中で主役をはる度胸というか、肝っ玉が凄い。 恐縮したり、萎縮したりすることがないのだろうな。 全く意に介さない。 おそらく、西野亮廣のミュージカルということで、一般客以外でも観劇に訪れている人は多いと思う。 そこでまだ無名の彼女を観てどう思うか。 間違いなく今後いろいろな舞台で起用されることが想像に難くない。 舞台関係者が観ればすぐにわかるもの。 これだけ強い印象を残せば。 私的に言わせてもらうと、若い時の笹本玲奈「ピーターパン」に匹敵だと思う。 歌だけであれば、笠井日向の方が上かもしれない。 それだけの逸材。 おそらく「一度起用してみようか」なんて「ガラスの仮面」の一コマのようなことが、現実に起きているかもしれない。 今後の動向が非常に気になる。面白くなってきた。 ローラ役の知念里奈「ミュージカルひめゆり 2010年」「ミュージカル『レ・ミゼラブル』2019」 と観ていますが、じつのところキミ役のミュージカルひめゆりの印象が強い。 やっぱり最初のイメージは強いな~ 思うのですが、あの頃から体のスタイルは全く変わってないでしょ? あの細い体からどうやってあんな素晴らしい歌声が発せられるのか本当に不思議。 ただ、出演場面的に何かもったいない。 もっともっと活かせるはず。 アントニオ役の竹下瑠花初めて知りましたが、キャストオーディションで合格した方なんですね。 歌声はとても素晴らしい。 ソロが多いのもうなずけます。 よどみない歌声。 少年役も無難にこなします。 レベッカ役の田野優花どこかで聞いたことあるな~と思ったら、 なるほど、元AKBで宮本亜門演出のオーディション、覚えています。 なるほどあの子か。 私は今回、生の舞台で初めて観ましたが、とても印象に残りました。 まず、表情の変化。 とても楽しい。 コロコロと良く変わる。 しかめっ面の表情、笑顔、全然雰囲気違うもの。 今回の舞台は、ダンスも多いのだけれど、彼女のダンスもとても魅力的。 ダンサーメンバーに負けず劣らず頑張っていました。 しかも彼女は「華」ありますね。 ダンスでは楽しさが伝わってくる。 観ているこちらも楽しい。 特にキツネの面を被っていたダンスは、まるで表情がわかるかのよう。 あそこは観ていてとても印象に残りました。 田野優花やるな、と。 ソロナンバーはたしか一曲だけだったかもしれないけれど、十分な歌声。 というか、もっと歌声を聞きたかった。 スーさん役の乾直樹、ダンサー役の杉原由梨乃、加賀谷一輩ダンスシーンは本当に素晴らしい。 特に好きなのはウエイター役で、藤森慎吾が歌っているミュージカルナンバー。 もちろん藤森慎吾も良いのだけど、おどけて踊っているダンスシーンが楽しい。 ここだけは、二人に目がいくんですよね。 ダンス切れ切れ。 表情の変化も楽しいし。 雰囲気かもしだしている。 異彩が放っていることがすぐにわかるもの。 ちなみに、大きなお世話ながら、加賀谷一輩は「kiddy2001 Live your Dreamから観ています。 古いな、おい。 当時の印象、今でも忘れませんから。 「うたっておどろんぱ」も楽しかった。 あ~いうのやらないかな~NHKは。 スポンサードリンク総括私がかつて観劇していた「葉っぱのフレディ」や「森は生きている」など、当初はそこまでエンターテイメントではなく、面白味も少なく、集中して観られる舞台とは言いにくい舞台でした。それが修正、改善していって、楽しくなっていきます。毎回観ることによってその変化も楽しめます。 今回の舞台、謎な部分、気になる部分はたくさんあるのだけれど、 今後いろいろ改善していき、またグレードアップした舞台を観てみたいですね。 物語、素材としてはファミリーミュージカルに適した舞台ですから。 定番ネタ、マンネリと、いつか言われるぐらいしつこく上演していってほしいな~ ファミリーミュージカル需要の底上げにも頑張ってほしい。 ※敬称略 |