公演時期 | 2019/8/7→9 |
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会場 | スクエア荏原 ひらつかホール |
演出 | 三宅裕司 |
脚本 | 吉高寿男 |
あらすじ「ヤツラをものづくりで見返してやれ!」 東京、下町にある定時制工業高校は、生徒数の減少で廃校寸前。同じ学年に16歳から50代の会社員までおり、大半は学力とは無縁のヤンキーたちだ。校長以下教師たちは、そんな生徒たちを見捨てており、廃校の危機を救おうという思いは微塵もない。 この底辺校に、熱血漢の教師が赴任してきたことで、生徒や同僚の教師たちの退屈な日常に変化が訪れるのだが・・・。 16歳から六十代まで、さまざまな問題を抱えた生徒たちが在籍するこの“底辺校”は、生徒数の減少で廃校寸前となっていた。しかしある日、熱血漢の教師が赴任してきたことで、生徒や教員の日常に変化が訪れ……。 (公式サイトより引用) 感想前回と比べて大人の舞台の子供版なので、物語の流れはそちらで。 前回、旗揚げ公演を観劇し今回は2回目。 まず、ずるいのが(笑) 背も年齢も高いメンバー(おそらく岩下零時と佐々木洸太)が、 万引きした、してないの喧嘩。 その仲裁役にちびっこ警官が登場。 これは卑怯でしょ。 これだけで笑える。 しかも日本は簡単に銃は撃てない・・・というのを逆手にとって撃つ始末(笑) 最初の出たしでつかみはOKという笑い。 これからいかに笑いが巻き起こるかが想像できる。 ここだけでなく、年齢差、背の高低差さが極端なのでそれだけで本当に笑える。 子供の舞台の面白さのひとつ。 ただ今回は大人の舞台をそのままというのではなく、吉本、パワハラ等の時事ネタや、 役者の個性、カマキリ、ビリケン、令和のアンジェリーナ・ジョリーとか、 ひじょうにオリジナリティも豊富でした。 自分の個性で客席から笑いが起こるって、嬉しいだろうな~ 子供たちの殺陣子供たちの舞台では珍しく、アクションシーンがたくさんあります。 特に相手高校との戦い。 テンポもあるし、迫力も抜群。 小さい女の子まで切れ味鋭い蹴りを飛ばしますから。 実際当たってるんじゃね? と思うぐらいギリギリの当たり具合。 迫真の殺陣。 さらに動体視力を鍛えたライバル校の見切りの殺陣、 これもかなり練習が必要でしょうね。 テンポがとても重要。 ここも切れ味抜群で良かった。 ロボットダンス、早口言葉後述する上田弦も素晴らしかったけれど、 ほんと出演者全員のロボットダンスは素晴らしかった。 子供たちだけでここまでよくやったよ、 と、父親のような感覚で観てしまった。 ちょっと観劇感想の主旨とずれるが、 やはり子供の舞台ですからね。 そう思えてしまうのは仕方ない。 早口言葉の部分も大人とそんなに遜色ない。 子供の方がカツゼツ、早口言葉は得意ですから。 かくいう私も子供の頃はなぜ大人がこんなに簡単な早口言葉ができないのか不思議でした。 大人になると、カツゼツが悪くなる。 だからこそ練習、努力が必要。 気になった役者主役である日立渋光役は前回も主役だった上田弦彼はめちゃくちゃうまいっ!という子役ではない。 セリフもたどたどしい。 ただ、彼には熱意がある。 目に見えて一所懸命さが見える。 我武者羅さがある。 それが自然に感じる不思議。 大人の舞台ではおおたけこういち氏の熱い演技が私としてはとても気に入ったのだけれど、 子供の彼も熱さだけは引けをとらない。 彼を主役にするのが本当によくわかる。 3秒数えて深呼吸は私も真似しないとな~ 短気になるのはよくない。 そう言えば「SHOW BOY」で神田沙也加が演じる支配人も深呼吸してたっけ。 呼吸法は大事だ。 今回はなんとビックリ、ロボットダンスも披露。 いや、たしかに大人の舞台ではやっていたけれど、 子供の舞台で、しかも彼がやるのか?というのは疑問であった。 元々彼は演技の人なのか?ダンスの人なのか?歌の人なのか? 全く定かではないけれど、ロボットダンスがまた素晴らしかった。 おおたけこういちに負けず劣らず、 というのは言い過ぎだが、ひじょうに見応えあるロボットダンスを披露してくれました。 どれだけ練習したことか。 首を落とすところはどうかな~?と思いましたが、これも見事に落としきりました。 やるね! ほんと素晴らしかった。 鈴木或斗役の黒川胡桃黒川胡桃?なるほど、どこかで聞いたことあると思いました。 鈴木或斗役はこの舞台ではちょっと異質。 少年っぽいけとじつは女性。 しかも、とある男の子に恋をしている。 本筋とはちょっと異質な部分を、黒川胡桃が非常にうまくまとめていた。 比較しては失礼だけれど、演技の質的には回りの子とはかなり違う。 彼女の演技力が秀でているのがすぐにわかる。 淡々とした演技なのだけれど味わいがある。 ひとり芝居っぽい部分もとても良かった。 そんなに目立たないけれど、気づく人には気づく、彼女の実力。 ボケキャラ的には、寺島千瑛が演じる久保田利太がホワッとした感じでいい。 薬の話しばかりだが、いいあんばいのまったりさ。 意外と効いてましたね。 ネタとしては非常に面白い。 不良メンバーヤンキー系の二人、松田瑠子留役の早瀬日那、小松断夫役の星川莉帆も雰囲気そのまんまでいい感じ。 予想以上に自然に演じていてビビッた。 やりやすいのかな? ヤンキー系、独特のアクセントも問題なし。 観るかぎり違和感が全くない。 広瀬すず、石原さとみのくだりも面白かった。 キャピキャピ系のコギャル、山葉真凛役の森山紗光、川崎希望役の藤井煌璃はだるそ~な雰囲気も良かった。 そこはかとないダルさ加減ですからね。 意外と難しい。 旭華星役の中嶋杏果、小室聖子役の小川あみの演劇部、部長、副部長コンビも良かった。 ハキハキしてるし、役に合っている。 雰囲気も役柄そのもの。 ロボット五木も頑張った。 特に部長役の中嶋杏果のキリッとした表情、視線は印象的。 刃金陽雪役の蒼一朗は、父親の演技。 派手な部分もコメディ的な部分もなく、地味な感じの場面ばかりだが、 しみじみとした「受け」の演技が良かった。 そして今までのことを吐き出す場面も。 大人がやる重荷を子供がやってますから。 さすがに本当の苦労までは理解できないと思うけれど。 この舞台にとって違う流れではあるが、キーポイントでもある。 地道に良く演じてくれた。 住友風童役 高山桂吾日立渋光の上司にもかかわらず、背が低いおこちゃまで声がおっとりでたどたどしいセリフ回し。 その対比だけで笑えてしまう。 もしかしたら、こどもSETの中で彼がキーポイントになるかもしれない。 彼の独特な雰囲気は非常に興味深い。 今後が気になる。 天堂忍役の小川まゆ、瀬賀小南役の佐々木佳音のお笑いコンビ芸人。 彼女たちは大人のメンバーとほとんど遜色がない(笑) 十分なボケっぷり。 松下美恵良役の山田ソラも、しっかりした先生役そのまま。 アクションシーンも良かった。 半田小鉄役の持田陽音彼は前回も出演。 大人の舞台では小倉久寛が演じていた役柄。 正直この舞台で一番難しい。 小倉さんが演じる役は独特すぎるので、マネなんてとてもできません。 そんなことは露と知らずか、持田陽音、彼自身の個性をガンガン発揮してくれました。 自分のワールドを嫌というほど見せつけてくれた。 アレで十分でしょ。 練習だと本当に笑えるのか難しかったかもしれないけれど、 いざ客入りしてみて、 「あっ受けるんだ」 というのがわかる感じかな? 大変な役だったけれど、とてもよくやったと思う。 誰が演じても小倉さんの役は大変だ。 裏の主役とも言える刃金研磨役の太田巡演技はしっかりしている。 セリフ回しも自然でいい。 不良の演技も特に違和感なし。 私は普通に「ヤンキーだな~」という印象で観てたぐらい。 特に表情付けがいいかな? ちょっと軽い感じで「やってみろよ」みたいな。 高圧的なタイプではないが、生意気そうな雰囲気がプンプン出ていた。 神戸成幸役の森田晴子も小さいながら、喋りもしっかりして頑張った。 可愛らしいルックスだし、今後に期待できる。 ちょっとうろ覚えで申し訳ないが、三和有海役の市川みらいが宝塚っぽい物真似をした子かな? とても面白おかしく演じてくれました。 東芝丹次役の涼誠大人の本公演では三宅裕司氏が演じた役なのだけれど、 当時治療していたこともあってか、そこまで大きく本編とはかかわらない。 淡々としたツッコミ役だけれど、重厚感ある演技は頑張った。 米黒柔役の斎藤衣千花9歳でaqqleの社長。 そういう狙いだな。 可愛らしいルックスの女の子で、おしゃまな感じ。 ま~出落ち感のある役だ。 総括大人が演じた舞台をそのまま子供が演じる。 第2回公演だけれど、コメディはとても合うと改めて思いました。 年齢差、背の高低差、しゃべり、そのままで笑える要素がたくさん。 それに加えて迫力あるアクションシーンと、ダンス、歌。 本家SETと変わらない部分もたくさんある。 大人でも十二分に楽しめる舞台。 ※敬称略 |