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劇団こどもSET旗揚げ公演「カジノ・シティをぶっとばせ!!」~丁半コマ揃いました~

劇団こどもSET旗揚げ公演「カジノ・シティをぶっとばせ!!」~丁半コマ揃いました~

満足度星星星空星空星
公演時期 2018/8/22→24
会場 スクエア荏原ひらつかホール
演出 三宅裕司
脚本 吉高寿男

あらすじ

国会でカジノ法案が可決されたのを受け、京都市長の清水(きよみず)(三宅)は、故郷である京都の田舎町・梶野(かじの)町を盛り上げるため、カジノの候補地への立候補を決める。
反対派の抵抗や、利権が目的だ!といった疑惑に晒されつつも、清水は故郷を盛り上げたいという一心で熾烈な誘致合戦に挑んでいく。
そんな彼に、幼馴染であり多数の芸者を抱える置屋のボス・伏見(ふしみ)(小倉)が協力を申し出る。
伏見の発案で日舞や華道を取り入れた京都ならではのプレゼンを敢行、お台場など他の候補地には真似できない方法で町をアピールする。 
そして、当初の予想を覆し、見事プレゼンに勝利! 過疎化に悩んでいた小さな田舎町が歓喜に包まれる!

だが、この誘致合戦の裏には、ある大きな陰謀が渦巻いていた・・・!?
(公式サイトより引用)

観劇感想

そもそも「劇団こどもSET」とは。
劇団スーパー・エキセントリック・シアター創立40周年企画の第1弾として、座長・三宅裕司がエンタメ界を担う新たな才能を発掘するべく小学1年生~中学3年生を対象にした「劇団こどもSET」を創立!
昨年の劇団SET本公演で上演された「カジノ・シティをぶっとばせ!!~丁半コマ揃いました~」をオーディションで合格した約50人のこどもたちだけで上演
というもの。
ちなみに大人の舞台を私は観劇しています。
SET第55回本公演「カジノ・シティをぶっとばせ!!」~丁半コマ揃いました~
(舞台の流れはそちらで)

この大人の舞台の内容を、全員子供で演じる。
中々のチャレンジ精神。
私も長年ファミリーミュージカルを観ていますが、
全員子供というのは珍しいですね。
1人ぐらいは大人がいるかな~?

ちなみにSETは過去に、
「劇団スーパー・エキセントリック・シアター、ジュニアスクール発表会2006」
もありました。
今はどうなっているのかな?

さて本題。

子供補正がかかるコメディ

ハッキリ言って、すごく面白かったです。
大人と同じ脚本の舞台をどこまで似せるか気になりましたが、
ほぼ全く同じことには本当に驚き。
(カジノ町側のマナー講座とか、ダンス系は別として)

舞台前のアナウンスも子供。
舞台前の注意コメントも子供。
ここは本当に徹底している。

キャスト一覧を見るとわかりますが、
演じる役名と演じる年齢が書いてあること自体が、すでにひと笑い。
6歳の子が66歳の役を演じますからね(笑)
それだけで面白くなっちゃうもの。
(ひとつツッコミをいれるとすると、パンフレットにも役名表示が欲しかった)

つまりは大人が演じた舞台よりも、
子供が演じた舞台の方が面白くなってしまう。

政治がらみ、カジノ、IR、土地取引、中国との関係、
大人の社会風刺を子供が演じるという時点で面白いもの。

旗揚げ公演ということもあるが、
正直言って、演技も、歌も、ダンスも、カツゼツも、セリフ忘れも、つまる所もある。
他の有名なファミリーミュージカルと比べると、見劣りする部分が多大にある。
あるんだけれど、コメディ要素が強い舞台なので、それすら許容してしまう。
全部が笑いにつながる。
これも笑いのひとつ。
子供補正だ。

有名舞台に出演している子役にしてみれば

観劇していたら、おそらく?マークがつくことは間違いない。
私が今まで観てきた子役は物凄い実力者ばかりだし、
歌も演技も表情もセリフ回しもダンスも半端ない。
自分と比較したら・・・と思うこともあるだろう。

ただ、大人の目線でこの舞台を見ると、少し感覚が違う。
物凄く未完成な子供たちばかりだけれど、
それが今後どう成長するのか楽しみになる感覚だ。
言うなれば、野球やサッカーが下手くそだった子、学校が、
甲子園、国立を目指すぐらいに成長していくのを見守っていく・・・そういう感じ。

ファミリーミュージカル系は今まで似たようなものがあったけれど、
特にコメディに特化した舞台だと、それとは異質な感じがしました。
これはこれでアリだと。
舞台に正解なんてありませんから。

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演じた子供たちは

演技演技していないので、素人同然の子もたくさん。
俗に言われるプロ子役ではなく、駆け出しのド新人。
今後、役者を目指す子もいるだろうし、他の目標を持つ子もいるだろう。
今回の舞台はコメディが多いので、お客さんから得られる「笑い」が快感になる子がいるかも。
いろんな選択肢があっていい。

彼らが大きくなって自分たちの演技を観れば、
「下手くそだな~」と思うことだろう。
そうかもしれないが、舞台の内容としては面白く感じてしまうんだよな~

練りに練った「笑い」と、ハプニング的な素人の「笑い」
でも、同じ「笑い」
いずれは子役といえども、
大人と同じような安定した「笑い」を目指すことになるのだとは思います。

観客の反応は?

大人も受けているけれど、子供の受けがいいのにも驚く。
大人も子供も笑いが絶えない。
子供向けだと、だれたり飽き足りすることもある。
ただ、今回の舞台に関しては私自身も、
そして子供たちも集中して観ることができたと思います。
やはりコメディ要素が強いせいかな?
普通に楽しいもの。
1時間半弱ぐらいの舞台でしたが、
私はとても楽しめました。

本家SETとの連動

おそらく、本家である大人のSETを観ていない人も観劇していただろう。
そこからの観客層の取り込みもあると思う。
もちろん、大人だけでなく未来の観客につながる子供も。
演じた子供たちも。
この戦略はいいと思う。
ウイン・ウインの関係だ。

殺陣も頑張った

SETと言えば殺陣。
子供たちがどこまでできるか不安だったが、
十分にできていたと思う。
打ち合い、蹴り合い、側転、バク転。
おそらくは、アクロバティックなことができる子も入れたと思う
そんな中でも、ジュウ・ヨンウォク役の五十嵐雄輝の敏捷さは目を見張る。

子供たちが大人になった時の法律、ルール、出来事が新鮮

舞台とは話が変わりますが、
パンフレットに載っていた子供たちの意見が面白い。
空飛ぶくつとか、
小学生でも働ける法律とか、
正しい日本語を話すための「日本語」科目とか、
コミュニケーション力の為の「演劇」科目とか。
子供は斬新。
今は「ダンス」があるから、十分ありうる科目だ。

ピックアップ

  • 舞妓の踊りや、ヒップホップ系のダンスはかなり頑張ってると思う。
  • 舞妓のところで、ゆっくり京都弁を話すところは子供でも面白い。
  • 全身タイツ、子供がやるとは思わなかった。
  • ダンスメンバーの子供たちが、胸パッドのことを話すなんて、それだけで笑える。
  • チーム横浜の歌も頑張っていた。
  • 同じくチームカジノ町の歌手も聞き応えあった。
  • 現場工事の人が突然話しだすシーンも、子供だとなお面白く感じる。
  • 66歳、大覚役を6歳が演じるなんて、ズルイぐらい面白い。
  • パンダ落ちはハズレがない
  • 中国関連はジュウ・ヨンウォク役の五十嵐雄輝が効いた。イントネーションが素晴らしい。
  • 中国のマナー講座の受け答えも面白い。
  • 前も書きましたが、中国政府ではなく中国マフィアとするのは防御線だ。
  • 丸美屋さんがスポンサーとはこれはありがたい。

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気になった役者は・・・

上田弦 清水(京都市長)役(59)
主役である、三宅裕司が演じていた役。
演技的にも、カツゼツ的にも、正直全然まだまだ。
ただ、当たり前のことながら、セリフ量が半端ない。
それを覚えるだけでも大変だ。

彼の独特なところは、ツッコミ。
一生懸命な、けれんみのない、独特なツッコミ。
おそらく私の想像としては、主役を選ぶにあたり、
ボケた相手に対してどのようなツッコミをするのか?が重要視された気がします。
ツッコミしただけでも面白い。それが彼の特徴だと思う。
なんとなくだけれど、彼の真面目な雰囲気も良かった。
何より、大人の難しいセリフばかりですから。
十分及第点・・・とは言えないが、頑張った。

涼誠 伏見役(59)
本家SETでは小倉久寛が演じた役。
全キャストの中で一番難しいと思う。
と言うのも、小倉久寛というキャラに似た人、
後継者みたいな人はいない。
それが今回よくわかりました。
小倉さんの偉大さが。
誰もできないんですから。

少し比較は違うかもしれないけれど、西田敏行。
ようやく彼の後継者っぽいのが濱田岳かな~と思う。
「釣りバカ日誌」の新入社員の方だが、ハマちゃん役になるのもうなずける。
そんな小倉久寛の似たタイプの後継者を探しても見当たらない。
難問だ。

それはそれとして、涼誠はそこまで独特な雰囲気もなく、
普通の子。
財津一郎のところとかは面白かったです。
印象度あまりなく申し訳ない。

中嶋杏果 音羽(清水の妻)(48)
演技的には全キャスト中、一番バランスがいい。
ほどほどに安心して観られる。
カツゼツがいいから、ホッとする。
表情や目つきも良く頑張っていた。

持田陽音  鞍馬(清水の同級生)(59)
鈴木蒼一朗 八坂(カジノ誘致反派)(37)
ふたりともメガネなのでわからなくなってしまうこともあったが、
両者とも、ひじょうに面白かった。
どちらかと言えば、鞍馬の方がツッコミかな?
八坂の方がボケ。
暑いな~といいながらTシャツを脱ぐところとか、いい感じだ。

中津川紗衣 南禅(カジノ誘致反派)(60)
本家SETでもそうだが、嫌いな人が隣にいるから反対派をやめて、
賛成派に回るという一連の流れが面白い。
この子の雰囲気に合っている。
この配役は絶妙。
デレッとした表情がいい。

佐々木洸太 上賀茂(ボディーガード)(27)
鈴木渓斗 二条ジョー(ボディーガード)(38)
ボディーガードの二人、けっこう強く印象に残っています。
ある意味、対比ですからね。
佐々木洸太は通常のシーンだけでなく、アクションシーンでも頑張っていました。
背が高いからは見栄えがいい。

かわって、鈴木渓斗のボケもかなり頑張りました。
本家SETと似たようなノラリクラリな雰囲気はいいと思う。
美味しい役だし、目立つし、キーポイントな役ですから。
私はとても好印象。
無論、もっともっと頑張ってほしい。

貫井音 本願寺(秘書)(32)
正直言って、カツゼツはまだまだ。
カツゼツがいい子は他にもいるので、
あえてこの子を選んだ理由は雰囲気だと思う。

素直そうで、律儀そうで、しっかりした雰囲気。
そこのギャップが・・・というところでしょう。
最後のなんて、まさにそれ。
なんなとく影が見える、というのが良いのかもしれない。
物凄く重要な役ですから。

稲垣蘭 歌手(チームカジノ町)
佐々木純 歌手(チームカジノ町)
早瀬日那 歌手(チームカジノ町)
森田晴子 歌手(チームカジノ町)
チームカジノの歌手は、予想以上にみんな上手でビックリ。
私的にこれだけ歌えたら十分。
なかでも、稲垣蘭のルックスは異常に目立つ。
あの目つき、堂々たる歌いっぷり、まったくドギマギしない。
この舞台における「華」は彼女。

市川みらい 歌手(チーム横浜)今宮
佐々木佳音 歌手(チーム横浜)野宮
長谷川雅  歌手(チーム横浜)梅宮
チーム横浜では目立つ3人。
ほんとキラキラしてる。
これだけでも、彼女たちにとって出演した意味はあったと思う。
もちろん歌も頑張った。

染川更紗 北野(清水の同級生)(59)
役柄的には地味だが、笑顔がとてもチャーミング。
表情がいい。
背が高く、舞台映えする。
セリフ回しもそれほど悪くない。

山田桜花 コーラス・ダンサー(チーム横浜)
彼女は笑顔。
これがとても印象深い。

五十嵐雄輝 ジュウ・ヨンウォク(中国大使館員)(27)
前述していますが、中国側の場面では彼がキーポイント。
演技がしっかりしているし、独特のイントネーションの発音も良かった。
アクロバティックなところも見せ場がありました。

チーム横浜のダンス・センターの緑の子も印象深い。
名前がわからず申し訳ない。

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総括

旗揚げ公演。
まだまだ未熟な部分も多いけれど、これからの底上げに期待できる。
今回が底辺で、後は上に行くだけですから。
大人の演出、脚本をそのままできる子供のみの作品なんて、なかなかありません。
とても貴重な経験をしている。

特にコメディに特化しているので、
大人向け社会風刺が子供補正にかかって、笑ってしまう。
ズルイな~卑怯だな~と思ってはいても、笑ってしまう。

ミュージカル・アクション・コメディですから、
歌もダンスも、殺陣も笑いもどんどんと成長していってほしい。

来年もまた、今年大人が演じる舞台を上演することが決まっているようです。
予想以上に楽しい舞台でした。

※敬称略
キャスト表