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「SET 第56回本公演 テクニカルハイスクールウォーズ~鉄クズは夜作られる~」

満足度星星星空星空星
公演時期 2018/10/12→28
会場 池袋サンシャイン劇場
演出 三宅裕司
脚本 吉高寿男
出演 三宅裕司 小倉久寛
劇団スーパー・エキセントリック・シアター

あらすじ

「ヤツラをものづくりで見返してやれ!」
東京、下町にある定時制工業高校は、生徒数の減少で廃校寸前。同じ学年に16歳から50代の会社員までおり、大半は学力とは無縁のヤンキーたちだ。校長以下教師たちは、そんな生徒たちを見捨てており、廃校の危機を救おうという思いは微塵もない。
この底辺校に、熱血漢の教師が赴任してきたことで、生徒や同僚の教師たちの退屈な日常に変化が訪れるのだが・・・。

16歳から六十代まで、さまざまな問題を抱えた生徒たちが在籍するこの“底辺校”は、生徒数の減少で廃校寸前となっていた。しかしある日、熱血漢の教師が赴任してきたことで、生徒や教員の日常に変化が訪れ……。
(公式サイトより引用)

観劇感想


あらすじの時点でハズレが無い脚本だろうな~と予想はしていました。
下町、ものづくり、工場、
定時制高校、幅広い年齢層の生徒、
おそらく相手高校もいると思っていましたが、
その高校とどうやって戦うかは謎でした。
まさか、ロボコンならぬ、メカニックコンクール、
メカコンでのリニアモーターカーカー対決というのには驚き。

「とりあえず高校に入ってるだけ」という、
本人たちも自虐的に話す不良たち。
その彼らが「メカコン」を目指す。
ちょっと「ルーキーズ」的な雰囲気も漂います。

物語の流れ的には、


→特になんの夢もなく、のらりくらりしている生徒たち。
→そこに物作りの素晴らしさを説き伏せたい先生が赴任。
→とある高校と揉め事になるが、唯一のとりえだった喧嘩でも負けてしまう。
→そんなおり、ロボコンならぬ、メカコンに参加することに。リニアモーターカーカー対決。
→その夢に向かって、開発を始める。
→この大会は応援にも重要な部分があり、昼間に通っている演劇部に応援を求める。
→研磨の父は大手最先端の会社勤めだが、独自開発をしても特許を会社に取られてしまう。
→部下たちもリストラ。ついには自分も・・・
→メカコンの決勝。相手は東京理工科大附属高校。

と、予想通りの流れ、物語としては非常にわかりやすい。

全体的な印象


喧嘩のシーンはあるけれど、そこまでアクションというわけではない。
ダンスの方が多い感じかな?
今回は歌の印象も少ない。
その分、演劇部のハモリ、早口言葉がある。

裏切りとかサスペンスチックな部分は今回は無し。
物語の展開的にはベタな感じだけれど、
今回の物語に関してはベタで良かった。
安心して最後まで観られました。
ま~三宅さんが「全部良い人に変わると思ったら大間違いだぞ」
みたいなノリもありますが、それを含めてベタでいい。

私的には、後半のメカコンによるリニアモーターカーカー対決。
いきなり決勝からの話しになってしまいましたが、
他の高校との対決も見てみたかった。
速さ重視とか、安定重視とか、トリッキーな技とか。
そういう戦いを経て決勝へ、というのも面白かったと思う。

テレビを見る高齢者と、見ない若者の客層

脳科学者、茂木健一郎氏のブログでの記事ではあるが、
「明石家さんま」を知らない中学生、
「西郷どん」を見ている人が2000人中、たった「1人」
というものがあったそうだ。
どこまで本当かどうかはわからないが、そういった人が増えているのは間違いないと思う。

かく言う私も、テレビはニュースのみ
あとは海外ドラマのみ。
たまに芸能のニュースを見ると、全く知らない芸能人が増えていてビックリします。
ネットのニュースでもテレビ番組や芸能人を取り上げて記事にしていますが、
それを忖度かな~?なんて思ってしまう。
私でさえこういう感覚なので、
小学生の時からスマホで「ユーチューバー」の動画ばかり見ている子にしてみれば、
当然のテレビ離れかもしれません。

今回の舞台では、ロボット五木ひろしが出てきましたが、
私には合いませんでした。
おそらくは年齢層が高い客層へのアピールだと思います。
毎年観ていますが、観客の年齢層は高い。
高齢者はテレビを良く見ているので、受けもいいことでしょう。
でも今後は?

テレビで話題のことを舞台で振っても、
若い客層だとそもそもテレビを見ていないので、
その人物、現象を知らない人も多数出てくる。
テレビのネタを舞台で使うのは難しくなるかもしれない。
そういうご時世かな?

テレビドラマ自体が事務所の忖度ばかりの配役なので、
本物の演技を観たい人は、舞台観劇を欲する。

ピックアップ

  • 演劇部の早口言葉は生ならでは。緊張感もあっていい。
  • きんかん(丸山優子と白土直子)のふたりのロボット五木ひろしは面白いけれど、ネタが古いか?
  • おおたけこういち中心のロボットダンスは迫力満点。小倉さんも頑張った。ちょっと痛々しいところもあるが。
  • 公演時間がやや短くなったかな?

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気になった役者は・・・

基本、おおたけこういち(日立渋光役)が主役だと思います。
裏が刃金研磨役の栗原功平。

おおたけこういちは、そのまんま熱血な感じがいい。
ただひたすら我武者羅。
ストレートに彼の思いが観客に伝わるのがいい。
舞台上に関しては変な裏表がない。

三宅さんや小倉さんのように、
脱力でいつもどおり、何気なく日常的な演技をするのも凄いこと。
ある域に達している。
でも、おおたけさんの熱さがわかる演技も好きだな~
今回はロボットダンスも、めっさ頑張ったし。
私は大満足。

セリフ的には、
定時制高校に一番最初に来た時、
不良の生徒から「こんな場所で何ができる?」と言われ、
「自分を卑下するな」みたいな言葉が印象的。
さりげない言葉だけれど、じつに良い言葉だ。

裏主役の刃金研磨役、栗原功平は、荒削りな感じがいい!
最初はヌボ~ッとした感じで、やる気の無さ、かったるしい雰囲気。
それが徐々に成長していくのがわかる。
若手はみんな背が高い。ガタイがいいな~

三宅裕司さんは病み上がり、
小倉久寛さんも,中盤に出てこない時も多い。
ちょっと間が空いているのはそういうわけなのかな~?なんて思いました。
演劇部のシーンが長いのもそのためかな?

小倉さんが演じる半田小鉄は、多摩川工業高校の定時制生徒で、
三宅裕司演じる東芝校長の小中の同級生。
青春をもう一度ということで、60歳を過ぎて高校に入学。
一見、何とはなしに馬鹿らしい話、面白おかしい脚本のようにも思える。
ただ、よく考えると、奥深いものがあるな~と私は感じました。
年齢を重ね、仕事に全力、家庭に全力、のらりくらり生きる、新しいことにチャレンジ、
いろいろな生き方があることを伝えていたと思います。
哀愁漂う。

ちなみに蛇足ですが、
こどもSETでは、この役は逆に超若い子供が配役されそうですね。
そのギャップが面白くなる予感。

良田麻美好きな私としては、嬉しい配役(鈴木或人役)
最初は誰が演じているのかわからなかった。
そういえば、良田麻美いないな~と気づいて少年役。
おっと違った、じつは女性で男装役、でいいかな?

元々演技達者だから、少年っぽい表情は抜群。
お肌もピチピチだから、違和感全く無し。
なんというか、魔女の宅急便に出てくるトンボみたいな感じだ。
あのまんま。
おどおどした感じも抜群。
今回はメインキャストで出演シーンも多く、じっくり観ることができて嬉しい。
本公演で彼女がいなくなると、
キーポイントがいなくなるで絶対に必要な人材。
あえて言うとしたら、ダンスとか歌うシーンが無いのが残念なくらいかな?
本当は歌もダンスも観たかった欲求はある。
東京メッツ時代からだからな~
やっぱり思い出は深い。

私的に西海健二郎の演技とかアクションとかキャラとか大好きなのだけれど、
今回はちょっと少なくてもったいない。

今回の永田耕一は渋くて真面目でいい!
いつもダメキャラとか、ボケキャラとか、何か残念なキャラが多いが、
今回は普通に真面目一徹な感じがよくあらわれている。
今までで一番いい役かもしれない。
じゃ今まで・・・というツッコミは無しで。
でも、本当に良かった。

白井美貴は松下美恵良役。
多摩川工業高校の教師で、今回の舞台ではヒロインチック。
コケティッシュでかわいいルックス。
ちょいアヒル口かな?
スタイルもいいし。
私は非常に印象に残りました。
SET的には、彼女をうまく使っていきたいところ。

立川ユカ子(木屋音役)は相手高校、
東京理工科大附属高校の生徒。
唯一の女生徒だったので印象深い。
アクションも良かった。
彼女も含めて、相手高校をもっと観たかったかな?


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総括

前述しているとおりベタな展開だけれど、
高齢者にも安心安全な物語。
そこにコメディやら社会風刺、哀愁を入れる感じ。

未来を荷なうのは若者。
そして、大手有名企業で働くこと、下町で少人数で働くこと、
いろいろな選択肢がある。

長年観ている人はパンフレットを観るとわかるけれど、
以前よりも増して、さらに中堅どころがごっそりいなくなっている。
ほんと驚く。
ここはつらい。
超ベテランと若手の構成。
今の若手が長く続けられるよう頑張ってほしい。

※敬称略