◆  雪のプリンセス

◆公演時期   2006年4月3日〜4月4日
◆会場 国立オリンピック記念
青少年総合センター
◆脚本 高橋 知伽江
◆音楽 片野 真吾
◆演出 八木橋 修
◆振付 NAO
◆技斗 野崎 数馬
◆衣装 尾口 えり子

あらすじ
地球温暖化の影響で、すでに四季は失われていた。
過去に冬と呼ばれていた今も、夏のように暑い。
山奥にあると言われる、雪のプリンセスが住む宮殿。
彼女が影響しているのでは?と考える人たちもいた。
その宮殿では、雪のプリンセスの話相手となる人間を探していた・・・

観劇感想
「劇団スーパー・エキセントリック・シアター、ジュニアスクール発表会2006」です。
日によってダブルキャストなのですが、私は4月3日公演のみ観劇です。

SETというと、ミュージカル・アクション・コメディーですが、
コメディは無かったもののアクションシーンがありました。
流石に技斗が野崎数馬さんだけあって、ジュニア公演としてはいい感じでした。
殺陣がうまい子は、ひじょうに見応えある感じになります。

ダンスが多いのもいいですね〜!
ヒップホップ系ですが、SETお得意の振付。
やはりダンスにも重点を置いているのでしょう。
出演メンバーのダンスは切れがあってかなり良かったです。

ジュニア公演にもかかわらず、音楽もひじょうにしっかりしていてビックリです。
歌のナンバー、BGMがあると舞台がしまりますから。
舞台のセットもなかなか豪華。
もっとシンプルな舞台を予想していたのですが、
「ジュニア公演でも手は抜かない」というSETの意気込みを感じさせます。

演出として一番印象深いのは、コユキたちの前にフブキとともに冬の精が集まってくるところでしょうか?
SETらしい独特な登場シーンがいいです(映画エクソシストのように仰向けで歩くなど)

今回の舞台は二部構成だったのですが、
私的には一部通しでも良かったと思います。その方が舞台により集中できましたから。

気になった役者さんは・・・

コユキ役の平林靖子ちゃん。
「アルゴ・ミュージカル」でも、「葉っぱのフレディ」でも活躍しているので、
実力は折り紙つき・・・・・
今回も、すばらしい演技を見せてくれました。
というか、段違いのレベルの演技。
普通にSETメンバーとして入っていたとしても不思議はないほどのレベル。
演技力は抜群にうまいし、表情のつけ方もいいし、発声が響いてカツゼツがいいし、
歌声も伸びがあって素晴らしいし、殺陣も迫力があります。
舞台役者として申し分のないバランスの良さ。
見応えありました。

あえていうのなら、彼女のそのレベルの高い演技力を受け止める相手がいなかったことかな?
佐達ももこちゃんも頑張ってはいるけれど、まだまだ成長過程なので、
平林靖子ちゃんクラスのレベルには届いていません。
受け止められる役者さんがいれば、さらに靖子ちゃんの演技力が光ったことでしょう。

彼女の役というと今まで男の子の役が多かったのですが、
久々に女の子っぽい役だったので、それも新鮮で嬉しかったです。

雪のプリンセス役の佐達ももこちゃん。
すみません。登場シーンでいきなり爆笑してしまいました(汗)
青いカツラをつけて登場するのですが、似合いすぎ(爆)
さらに、雪の女王役のツンケンとした性格が思いっきりマッチしています。
素っ気なく、やぶからぼうな喋り方もじつにいい!
完全にハマリ役でしょうね。

彼女は去年から歌が上達してきていたのですが、
今回の歌唱力もかなり聞き応えありました。
伸びやかな歌声もグッド!
彼女のことですから、まだまだ成長していくでしょう。

さらには笑顔。
今回の彼女の笑顔の作り方は抜群にいいです!
これは相当研究したでしょ?
彼女の過去の舞台からして、笑顔がぎこちないことが多いのですが(爆)
今回はそれを完全に払拭しましたね。
これはとても印象深かったです。

あえて注文をつけるのなら、冬の精たちの前に現れる凛とした姿と、
話相手であるツララに見せる気弱な部分のギャップがあればもっと良かったかな?

ツララ役の田中佑季ちゃん。
う〜〜〜ん、微妙だな。微妙。
演技的には、サラサラ〜〜っと流されてしまう感じ。
ただ、彼女の独特の雰囲気は面白いです。
たぶん、彼女のこの雰囲気からこの役を与えられたのではないか?と想像します。
一部ではあまり印象に残りませんでした。

ただ、二部で雪のプリンセスと会話をするシーンかあるのですが、
ここはなかなかいいです。
プリンセスを思いやる雰囲気がとてもよく出ていたと思います。
彼女の雰囲気がじつにマッチしているんですよね。
素っ気ない雰囲気の佐達ももこと、穏やかで真面目そうな雰囲気をもつ田中佑季。
平林靖子の段違いの演技レベルは別として、
この舞台の一番印象深いシーンがここででした。

シズク役の江澤可南子ちゃん。
うん。なかなか笑顔の可愛らしい女の子ですね。
声も良くでていました。
三女として演技もまずまず頑張っています。
もう少し活躍の場面があると嬉しかったかな?
意外と地味な役なんですよね(汗)

コガラシ隊長役の綿引塁人くん。
たくさんセリフがあるし、長セリフもあって、大変だったことと思います。
この舞台の役の中で一番迫力あるキャラなので、声の軽さは気になりました。
もう少し威厳のある迫力があると良かったです。

冬の精のアラレ役、篠原麻綾ちゃん。
「葉っぱのフレディ2004」にも出演しているので、実力はあります。
今回はダンスが良かったです。なかなか見応えありましたし、印象に残りました。

オツカレ役の釣遥子ちゃん。
面白い役なのですが、なかなかうまいですね。
おそらく、彼女はこういったちょっとクセのある役の方が真価を発揮するかもしれません。
と思ったら、ダブルキャストではシズク役!
私は見ることができませんでした。
このキャラとは違うタイプの役なので、見たかったです・・・残念。

雪女 フブキ役の佐藤遼子さん。
彼女は表情のつけ方がうまい。
倒れて上目づかいで見上げるシーンがあるのですが、そこが好きですね。

サンタクロースの孫 クリス役の篠原悠伸くん。
彼を見るのはアニーのタップキッズ以来です。
髪の雰囲気を変えたんですね。そこがひとつ。
それから、彼はどうやら変声期を迎えても声が高かったままなのかもしれません。
高音でビックリしました。
演技的にはそれほどうまくはないと思う。
ただ、彼のおっとりしていて、淡々とした雰囲気。
このクリス役に関してはひじょうに合っていたと思います。
その素直な雰囲気を演技として出せるともっと良くなるのにな〜と思います。
この役では難しいかもしれませんが、声としての覇気がもう少しほしいですね。

総括
SETの母体があるので、舞台の構成はしっかりしています。
脚本も良かったし、八木橋さんの演出もかなり好きです。
ただ、平林靖子の段違いの演技レベルに対応できる、他の役者さんがいなかったことが残念。
まっ、ある意味、平林靖子がいない方がそれはそれでバランスが良かったのかもしれません。
彼女ひとり、ジュニア枠ではおさまりきれませんから。


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