3LDK第10回公演「カサブタかきむしれっ!」2014

海組 満足度
◆公演時期   2014年10月21日→26日
◆会場 中野・ザ・ポケット
◆作・演出 佐藤秀秀一
◆企画・制作 演劇ユニット3LDK

あらすじ
福島県いわき市にある農業高校。
そこでは、今まさに牛の出産が始まろうとしていた。
だがその時!!
生徒たちが牛舎に閉じこめられてしまい・・・

時計の針を止めた女 vs 前に進もうとする男
忘れることを選んだ女 vs 過去に抗う男
そして選択を迫られる生徒と教師たち
カサブタで覆われた傷口は、
ジュクジュクしたまま疼いている。

(パンフレットより引用)
観劇感想

海組のみの感想。
ジュニアから観ている、指出麻琴を観られなかったことは残念。
これも運。

3LDKとしては、
3LDK第9回公演「 (改訂版)おい!オヤジ。」
ソラリネ。#10「止むに止まれず!」以来。

抜粋しますが、
そもそも、「3LDK」というのは、
2003年、佐藤秀一(作・演出)、上田裕之(俳優)、大原やまと(俳優)の3人により、
結成された演劇ユニット。
「限定された観客にのみ向けられた作品ではなく、
初めて演劇を観る方から目の肥えた方まで、
幅広い人たちに楽しんでもらえる作品を創りたい」という趣旨のもと活動。
固有の特色が強くなりがちな“劇団”という形はあえてとらず、
各公演ごとに映像・舞台・その他幅広い方面から出演者やスタッフを募る
“ユニット”という形態をとっている。
メンバーは個々に様々な場所にて活躍。
そこで得た経験を持ち寄ることによって、
よりクオリティの高い作品作りを目指している。

とのこと。

舞台のセットは職員室。
意外と奥行きがあります。

基本、ストレートプレイの舞台。
3LDK第9回公演「 (改訂版)おい!オヤジ。」のように、
何気ない普通の日常生活の中から、いろいろな出来事が徐々に出てくるというスタイル。
簡単なあらすじにも記載しているように、
福島原発の事故から3年後の農業高校のお話がメイン。
原発事故。風評被害による、食品や食肉の販売価格の低価。

この話を聞いて思い出しました。福島産の桃。
一個90円ぐらいでした。
ありえない。
普通に5〜6個買いましたから、私。
冷蔵庫の野菜室で少し熟成させてから食べる。
みずみずしく、そして甘い。
これが100円以下なんて、普通では考えられない。
福島産のキュウリだって、夏の時期は全国一だったはず。
市場に出しても値段設定が・・・という部分、私は凄く印象に残りました。

震災、原発の影響を受けている人たちも見受けられます。
蛭田優子と猪狩寅彦の子供は津波に。
それゆえに離婚へ。
学校に赴任したはるかの彼氏は、
地元が一大事ということで車に資材を積み込んで向かったが、
無念にも交通事故に巻き込まれ亡くなる。
過去を引きずったまま、なかなか前に歩み出すことができない人々。

それだけではなく、高校生で子供を身ごもってしまった園部灯。
母親にそのことを伝えることができず、彼氏を信用していたが、じつは・・・
この母親は東電関係者かつ、学校のPTA副会長(でしたっけ?)でもあり、いろいろ複雑。

もうひとつの方向性として「牛の出産」
このテーマが平行してあるのも面白い。
単なる、原発、震災ものだけでなく、ここに「牛の出産」を絡めてくるのもいい。
その結果も結果として、リアリティをもって受け止めることができる。

農業高校で頑張っている、ちょっとおっちょこちょいな男子生徒、
上遠野順平は、マンガチックではあるが面白い。
多少は面白い要素を混ぜないと、ですね。

気絶してしまう上遠野順平を起こすためにみんなが歌を歌います。
そこでの歌・・・まさか、ここで田村花恋が絡んでくるとは、思いもよりませんでした。
永作あいり相手に、歌唱指導は大変だったことでしょう(笑)

気になった役者は・・・
基本、全員プロなので言うことありません。
あくまで私が気になった方だけ。

永作あいり 小島はるか役。
ソラリネ。#10「止むに止まれず!」でも主演で、良い演技をするな〜とは思ったけれど、
今回は「さらにできるようになった」と言える出来ばえ。
完璧超人でしょ、これ。
冒頭と、途中退席する部分をぬかすと、ほぼ2時間出ずっばり。
それであの膨大なセリフ量。
褒めないわけにはいかない。
それでいて、彼女の特徴である聞き取りやすい声質、かつセリフ回し。
美人なルックスだから、舞台でも集中できるできる。
役どころとしては、赴任したばかりの都会から来た若い先生で、
どちからというと、真っ直ぐで純粋な性格。
基本、やりやすかったとは思う。
変なクセがついていないので、彼女のペースではるか役をものにできたことでしょう。
過去をひきずる場面もあり、そこはけっこう感情移入するタイプですが。

おそらく、彼女を主役に抜擢したのは実力があるのをわかっているが故でしょう。
100%ハズレはないもの。
グラビアアイドル、歌手活動、そして舞台女優。
まさに本当のマルチタレント。
ただ、今回の内容を見るかぎり、
ハッキリ言って、NHKの連ドラ主演に抜擢してもいいレベル。
お世辞無しで。
同じ意味合いにする必要はないけれど、倉科カナ的な感じ。
これだけ美人で、演技もできる女優を、テレビドラマで放置させるのはもったいない。
テレビ関係者が観劇感想を読んでいるわけはないけれど、
物凄く推奨したい衝動にかられました。
それだけ今回の彼女の演技は秀逸。
とてつもなく長い間、彼女の演技を見続けているけれど、
今回は集大成とも言える。

そしてもうひとり、里美黎 園部灯役。
この子は何者だ?
役柄として、灯は芯が強く一筋縄ではいかないような強い意志の持ち主ではあるけれど、
それを体現している。
彼女の真っ直ぐな瞳。
威圧感ある表情。
そして演技。
どれもこれも引き込まれます。
ただのグラビアアイドルではないでしょう?
おそらく、永作あいり同様、グラビアアイドルをやりつつも、
女優としての演技の稽古、レッスンを積んでいる子でしょうね。
でないと、ここまでの演技、発声なんてできません。
下地があることがよくわかる。
女優として今後どういった活動をするのかはわかりませんが、
ルックスもコケティッシュで可愛らしいし、物凄く期待できる女優。
私はとても高く評価しています。
本当は高校生ではないようだけれど、制服は全く違和感ありません。

釘宮理恵 蛭田優子役
声優としては超有名で、じつはどんな舞台女優なのか、
自分の目で実際に観たくもあり、今回、念願叶いました。
なるほど〜とりあえず普通な人だ。
首すじ、手の甲で、35歳という年齢も感じる。
悲鳴をあげたりする場面で、若い声を出すところは、ネタ的な部分もあるのでしょうね。
そういったお客様向けとして。

なすび 箱崎勉役
久々に観ましたが、3枚目役、抜群にいいです。
イケメンキャラでは全くないけれど、
舞台の深刻さを緩和する意味において、コメディな部分をかなり任されていました。
地方に飛ばされるの嫌ですもんね(笑)

総括
3LDKは、エンターテイメント的な舞台ではなく、
日常生活、現実路線の舞台。
今回は、原発、震災関連も取り入れてきました。
そればかりだと重くなので、「牛の出産」「高校生の妊娠」
それプラス、少しコメディッチックなところも入れてくる感じです。

ただ、申し訳ないのですが、私はこの笑いにはついていけませんでした。
観客席からは笑いがあるので、私の笑いのセンスが合わないだけ。

日本のテレビドラマがつまらないので、
本物のドラマを見るために、お金を払って舞台を観劇する。
そういった考え方、スタイルがあっていいと思う。
(敬称略)


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