スマイルファンタジー2014

満足度
公演時期 2014年10月4日→13日
会場 全労済ホール スペース・ゼロ
脚本・演出 末満健一
音楽監督 和田俊輔
振付 YOSHIKO

あらすじ
もうひとりの自分と出会う冒険。
アヤカ、カノン、カナ、アカリ、リナ、メイミの6人の少女たち。
アイドルとして人生を送る彼女たちは、ある日、不思議な世界へと足を踏み入れる。
そこは、もしも彼女たちがアイドルになっていなかったら生きたであろう「もうひとつの人生」。
彼女たちは if世界 で、自分ではない自分の人生を生きることとなる。
(パンフレットより引用)
観劇感想

アイドルグループ「スマイレージ」の初主演のミュージカル。
先に言っておきますが、私は「スマイレージ」という名前や、
少しぐらいの歌、プロモ映像は見聞きしたことがありますが、
ほとんど知らないレベルに近いです。

どうやら今回のこの舞台は、ありのままの「スマイレージ」をイメージしています。
出演しているメンバーは本名で、自分そのものを演技している。
(そもそもスマイレージ内での性格なので、さらに本当の性格はわかりませんが)
スマイレージの自分を演じるというもの。
本人役。

全体としては、ミュージカルというよりかは、ストレートプレイに近い。
全員が、普段楽屋でワイワイやっているような会話。
それが台本ありきですから。
この流れるようなトークは素晴らしい。
みんなうまいもの。
普通にお喋りしているのと全く違和感ないレベル。
ここまで喋りがしっかりしているのには驚きました。

ただ、前述したように、ミュージカルというよりかはストレートプレイ。
なんでかっていうと、途中途中でかかる曲が、彼女たちスマイレージの曲だから。
それをソロで歌ったり、メンバーで歌ったりするわけです。
ノリはライブに近い。
だから、演劇を観るというりよも、スマイレージのライブを観ている印象。
それを楽しむ感じでしょうか?
客層を観ても、それが十分に理解できます。

話としては、
→和田彩花の部屋に、メンバーがパジャマパーティーと称して集まる。
→ひとりひとり、もしスマイレージに入っていなかったら、
どういった学生時代、恋愛をしていたか、という妄想を語りだす・・・

こんな流れです。
最初に「不思議の国のアリス」の話しがあり、しかも田村芽実のソロがあるので、
彼女が主役で引っ張るのか?
なんて思いましたが、そんなわけもなく、ひとりひとりがピックアップされます。
基本、この流れが最後まで続く感じ。

妄想?の恋話。
相手の男役を、他のメンバーが演じるのも面白い。
田村や和田が特に良かったかな?

「出会ってくれてありがとう」というメッセージを考えると、
やはり、「スマイレージ」という存在をここに集結した感じ。
というのも、2014年でスマイレージという名称は無くなり、新しい名前へ。
それとともに6人体制から新規3人追加の9人体制へ。
そういった節目ゆえの今回の舞台であることは理解できる。
ラストの方では、おそらくメンバーの中でも感情豊かであろう、
和田彩花は普通に泣いていたもの。
リンクする部分があるのでしょう。
それが何を意味するのか、現時点ではわかりませんが。
ちなみに、このエンディング時、観客席からもすすり泣く声や、鼻水をすする音が・・・
ファンにも、いろいろ想像をかきたてるものがあったのでしょう。

気になった女優は・・・
基本、本人役を演じているので、演技・・・というか微妙な部分もありますが。
ただ、それよりも何よりも、
「スマイレージ」のメンバーがここまで個性的で、
キャラがわかりやすいとは思いませんでした。
本当の性格はわかりませんが、キャラの設定がしっかりしている。
ファンはエンターテイメントとしても入り込みやすい。

勝田里奈
率直に言って、メイクバッチシ。
ここまで化粧で変わるとは思いませんでした。
このメイク技術が本人なのか、プロによるものなのかはわかりませんが。
映像で見るよりも、実物の方が美人に思える。
それに、彼女は天然キャラというか、マイペースで毒舌キャラ。
しかも割合としては毒舌が強い。
こういう子だなんて、初めて知りました。
ひじょうに面白い。
さらには歌唱力。
私の予想以上にいい。
ここまで歌えるとは思いませんでした。
声質もなかなかいい。

竹内朱莉
彼女はイジラレキャラ。
メンバーの中でボケキャラが多いから、彼女がツッコミなのかな〜?と思いきや、
たしかにそうではあるのだけれど、そのツッコミをみんなが受け流してしまい、
自身がイジラレル。
そういう子なのか。
けっこう面白い。
キャラ設定は独特で、なかなか他にもいないタイプだと思う。
ちょっとキャラ違いますが、さまぁーずの三村のような、ツッコミ、ボケ両方できる感じ。
それでいて、自分がイジラレルと。
「スマイレージ」の中でマスコット的存在が彼女なのかも。

それから、彼女は声が特徴的で、じつに聞き取りやすい。
普段でも、演技でもあのまんま。
ただ、ひとつ気になるのは歌。
彼女はこの声質のまま歌っているんですよね。
下手ではない。
でも、なんか単調。
というか独特。
松任谷由実の声質が苦手、という表現に近い。
好きな人は好きなんだろうけど、私は合わない。
まんますぎるのも考えもの。

田村芽実については、言うことない。
元々舞台女優ですから。
この中では一番の実力者。
歌のナンバーでも、ダンスの振りの部分でも、一番ミュージカルミュージカルしてる。
絶対に手を抜かないもの。
それがすぐにわかる。
他のメンバーだと、エコ振付とか、すぐにわかりますから。
さらには歌唱力。
特に前半は彼女のひとり舞台。
かなり重要視されているのがわかる。
ひとりで歌うソロの部分も、他のメンバーに比べて多かったように思える。
他のメンバーがソロで歌うところでも、フォローやら相槌がてらに入ってくるもの。
非のうちどころがない。
お見事。
次回は、役らしい役を観たいかな?

中西香菜
彼女は、他の子のサポートやら、自分以外の歌の時の声量が少ない。
歌が得意ではないのかな〜?と思ったぐらい。
ところが、いざ自分の番になると、声量をだし、歌唱力もパワーアップする。
おそらく、彼女は抑えていたのかもしれない。
温存していた気がする。
のどが弱い人は、こういうことをしがちですが。
彼女は歌い方が少し低音なんですね。これは知りませんでした。
じつのところ、このメンバーの中で一番色っぽいかもしれない。
まだまだ謎が多い子かな?

福田花音
彼女も演技をしている方なので、特に違和感無し。
「我らジャンヌ〜少女聖戦歌劇〜」でも気になっていたけど、
ダンスは流すタイプ。
体力うんぬん言ってましたが、一番省エネダンスなのが彼女でしょ。
歌唱力は言うことないな〜
ルックスも美少女ですし、ファンがつくのもわかる。
一番冷静沈着に物事を見るタイプ・・・なのか、そう演じているだけなのか。

和田彩花
「我らジャンヌ〜少女聖戦歌劇〜」ではダブルの裏の部分しか観られなかったので、
今回全部を観ることができて良かったです。
美人なルックスですが、改めて見ると、彼女って凄い筋肉質な体なんですね。
肩幅の部分とか、よくわかる。
相当鍛えているでしょう。
本人は言わないでしょうが。
歌唱力は、ちょっと弱いかな?
ただ、彼女のルックス、そして演技に引き込まれる部分はたしかにある。
なんというか、かつて高橋愛が主演をした、
モーニング娘。『リボンの騎士 ザ・ミュージカル』
あの感じを再び感じました。
テレビ等で見るともっとゴツゴツした印象が強いけれど、
生で見ると、柔和な感じを受けました。
前述していますが、彼女は感情移入が激しいタイプ。
それだけ入り込むのでしょう。
テレビのドラマでも、舞台女優としても、面白いかもしれない。

今回、スマイレージ以外にも、
ハロプロ研修生、演劇女子部オーディション合格者が出演していましたが、
私が特に気になったのは、野村みな美、斎藤夏奈、杉本涼葉
もちろん全員頑張っているのだけれど、
私の中では、この3人の表情付け、特に笑顔が気に入りました。

特に秀逸なのが、野村みな美
彼女だけではないと思うけれど、終始ナンバーを口ずさみながらダンスをしています。
その時の笑顔も素晴らしい。
どちらかというとこのメンバーの中では、一番センターにいたと思います。
運営が推しているのもわかる。
パンフレットの写真はイマイチなんですが、舞台での表情は抜群。
今後のハロプロの主力になってくる予感。

逆に言うと、田口夏実はパンフの写真は美人なのに、舞台はまだまだ固い表情。
ここが段々と慣れてくると、いい笑顔になってくると思う。

その次に印象に残っているのが、杉本涼葉
彼女の笑顔も、表情の変化も素晴らしい。
ハロプロの次期メンバー?も実力者ぞろい。

蛇足ながら、石井杏奈も頑張っているのだけれど、
ちょっと雰囲気がおばちゃんチック。
もう少し若さがあっていいと思う。
ここを次回改善してくれると嬉しいな。

総括
スマイレージの各メンバー、
ここまで、ひとりひとりに個性的なキャラ設定があるとは思いませんでした。
ちょっと別件になるけれど、
萩本欽一が前川清や柳葉敏郎を発掘したように、
スマイレージのメンバーにコントをやらせても、相当面白いと思う。
それぞれに個性があって臨機応変に対応できると思う。

基本ストレートプレイの舞台でしたが、
セリフは全員流れるよう。
止まることなく、とにかく自然体。
この雰囲気を作り出すことに、時間はかかったことでしょう。
普段話しているような会話を、舞台上で毎回繰り返すわけですから。

どうしてもライブの延長線のミュージカルではあることは否めませんが、
ファンあっての舞台ですし、
「スマイレージ」として集大成という意味合いが大きい。
新しい名前に変わって、メンバーが加わって「どうなるか」ですね。

(敬称略)
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