公演時期 | 2009年8月14日~16日 |
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会場 | TACCS1179 |
作・演出 | 井保三兎 |
あらすじとある駅前のよくある食堂。 仕事が出来ない長女、ゆかり。 仕事にやる気のない次女、美紀。 仕事に情熱を燃やす三女、瞳。 ある日、常連客である近藤が、後輩の石井を連れて来店。 石井はひとりの女性に恋をするが・・・ (チラシより、一部抜粋) 感想2008年の舞台の再演。 物語の流れ、ネタバレはそちらで。 日常生活の物語ながら、深い話が満載。 今回、私が観たのはAチーム。 基本はどこにでもある風景。 「みゆき食堂」中心。 ほんと、なんの変哲もない日常の生活が題材というのは難しい。 再演ということで、前回と同じ。 ということでネタバレをわかって見ていると、それはそれで楽しい。 全体としては上演時間、休憩無しの45分ぐらいでしょうか? 前回よりも少し尺を伸ばすために、 三女のピアノの話しや、三女の友人を増やしていました。 そのぶん、優希の出番が増える。 ま~、あっても無くてもいい感じではありますが。 前回と変わった部分として、 食堂が広くなって、椅子が増えて、さらに木製になりました。 けっこう質が良くなった気がします。 前回のイマイチ人気の無い食堂の雰囲気も、私は好きですが。 後半のネタバレのシーンで、 会場内からはすすり泣く声や、鼻水をすする音がたくさんしてきました。 客層もけっこう年配の方もご覧になっています。 taccs1179は、客席は120~130席ぐらいでしょうか? 小劇場ですが、ちゃんとした座席なので、左右の余裕は取れます。 後方でも問題無しに舞台が観やすい。 途中、セリフ無しで音楽がかかるシーンがあるのですが(前回もあったかな?) さすがにちょっと長過ぎるような・・・ 時間経過を意味していることはわかるけれど。 最後、長女が元夫に対して「あなた」というセリフを語りかけるのですが、 前回はその時、次女、三女、近藤とかいたかな~?ちょっとうろ覚え。 そこで暗転に入り、 優希のエピローグへ。 それだけ優希はキーポイントなので、重要視されていることがわかる。 気になった役者長女のゆかり役、榊玲奈前回私が観なかったもうひとりのダブルキャスト。 ということで初めての役ではありません。 で、私は初めて観ることになるのですが、 う~~~ん、独特ですね。 たしかに、ネタバレの話しがあって、 そのための演技なのかもしれないけれど、 ちょっとクセがある。 わざと彼女の自己解釈によってそういう演技をしているのだとは思いますが。 たしかにこの役はそうとう難しい。 普通の役ではないし、病気持ちというハンデの演技ですから。 良いとか悪いとか、点数をつけられない役。 にしても、ちょっと私には抵抗ありました。 前回の人と比べては恐縮ですが、 ちょっと、とっぽい、ふわふわした穏やかな感じの方が良かったかな? こちらは演技自体に違和感があって、 ネタバレの為の影響なのか、よくわかりませんでした。 次女の美紀役の内田ゆか何の因果か去年と同じ人。 うん、明るく積極的で行動的な演技はすばらしい。 去年見たせいもあるけれど、 次女役は彼女が適任!と思えるほど私は秀逸だと思う。 完全にハマリ役。 この役を自分のものにしたと思う。 それから、足がめっちゃ細い。 モデル体形で、お水っぽい雰囲気なのに、 パジャマは・・・というギャップがいい感じ。 三女の優希ミュージカル「アニー」2004のケイト役。 三女 瞳役の優希は去年に引き続いての出演。 雰囲気は前回とやや変わって、次女に似て積極性が出てきたと思う。 前髪をおろさず、おでこ全開は珍しい。 一応、食堂ということで、清潔感をだすため、アップにしたのだろうか? あくまで見た目だけだと、前髪をおろした方が可愛いのですが。 彼女は手足も長くて細い。 それもあって、ハーフパンツも似合う似合う。 去年よりも背が伸びているのが良くわかります。 彼女はアニーのケイト時代から、まゆげの表現力はうまかったのですが、 今回もその表現の能力は健在。 さらに演技面でも成長しているのがわかる。 膨大なセリフもカツゼツよくきちんとこなすし、表情の演技も抜群だもの。 前回よりも出番が増えて、ピアノの話までふくらんできたのには驚き。 それだけ彼女の役者としての演技の幅があっての、追加シナリオだと思う。 「20世紀少年」の映画の話がけっこう出てきて、 なぜこの映画?と思ったのですが・・・ なるほど、本人が出てるってことか(笑) 今回もストーリーテラー役で、話を説明していきます。 そしてまとめも彼女で終わるという、ある意味三女の日記。 ルックスは相変わらずコケティッシュでかわいいし、 チラシや写真で見るよりも、まだまだ子供の雰囲気。 人なつっこい笑顔は昔と変わらず、独特な華やかさをもつ女優。 ただ一点。気になる。 変わってないな・・・と思うのが声。声質。 なんだかアニー時代と全く変わっていない。 可愛らしい声質で、子役、子供してはとてもいいのですが、 舞台の声となるとなんだか軽く感じてしまう。 まだ声変わりしてないのかな? 現在14歳。 女性の声変わりは男性とは異なって、 あまり極端に変わらない人も多いのですが。 良い意味でのだみ声、低音、少し舞台上に残る声質に変化してほしいと思う。 低年齢の子役なら問題ありませんが。 テレビ等の映像媒体はど~でもいいのですが、 あくまで舞台役者としてはちょっと気になる。 全員が大人で、彼女だけ子役という、物語上の性質もあるとは思いますが。 智子役の澤崎アケミ初めて観ましたが、 私が前に見た役者の演技とはまた違った智子役。 前向きで、行動力があって、積極的で、じつにハキハキしている。 カツゼツばっちりで、声の張りが大きい。 独特の雰囲気ありますね。 上司の近藤役の丸山裕征前回の人と違って、ネチネチとした暑苦しさがない。 意外と思慮深く、生真面目さがある。 どちからというと、何かの事件を捜査している刑事のような雰囲気。 新人の部下の石井役の明石純とにかく彼は、超真面目で、清潔感があって、清廉している演技。 純粋、素直さもよく表現している。 最近は芸能人の髪形を真似した人が多くて、うんざりしているのですが、 今回の彼の役の髪形はさっぱりしていい。 無骨な雰囲気ではあるけれど、純朴な青年役は素晴らしい。 私はとても興味深く観させてもらいました。 お父さん役は、また微妙な雰囲気だな~ あまり怒らず、優しくのほほんとした雰囲気で、口調が独特。 これは・・・演技なのか、素なのか、よくわからない・・・ これはこれでいいって言ったら、いいのですが。 私の中では判断が別れます。 漫画で「ヘタウマ」というジャンルがありますが、 あえて言うなのら、そんな感じでしょうか? ヘタウマな演技というジャンルを、私が勝手に認定します。 それがいい悪いは別にして。 総括基本、前回と変わらず、 何気ない日常生活の中に「不安」を入れる舞台。 生活臭漂う舞台なので、 エンターテイメント性を求める人にはおすすめできません。 ただ、人間味あふれる三姉妹の絆や、 石井の真面目で素直な実直性は、心の中でとても癒される。 観終わった後に、家族ぐるみの温かさ、優しさが残る舞台。 ※敬称略 |