本文へスキップ

エターナルファンタジーはファミリーミュージカル公演サイトです。

TOURS ミュージカル赤毛のアン(2008年)観劇感想

満足度星星星星空星
公演時期 2008年8月20日~21日
会場 新宿文化センター
音楽監督・作曲 山口琇也
演出・振付 田村連
プロデューサー 戸田幸比古
脚本 上村祐二
美術 岩崎顕二
照明 高見和義
音響 戸田雄樹
衣裳 神場やす江

あらすじ

カナダの東北部に浮かぶプリンスエドワード島。 その中のアヴォンリーという村に、 マシュウとマリラのカスパート兄妹が暮らしていました。 静かに二人きりで過ごしていましたが、兄のマシュウが年老いたこともあり、 農作業の仕事を手伝ってもらえる男の子を、孤児院から引き取ることなりました。 ところが、マシュウが駅まで男の子を迎えに行くと、 そこにいたのは赤い髪の女の子だったのです・・・ (パンフレットより一部引用)

観劇感想

エステー株式会社協賛のミュージカル。 舞台途中に商品宣伝も登場しますが、こういうものは全く問題ありません。 おおいにけっこうだと思います。 じつのところ、最初に断っておかなければならないのですが、 赤毛のアンの舞台は、 2002年の劇団ひまわり「赤毛のアン」の印象が強かったことを明記しておきます。 映画や舞台は、ど~しても過去の作品を美化してしまうクセがあるので、 なんとかそれを払拭しなければなりません。 演じる方も、観客も。

話の流れ

駅で、アンとマシュウとの出会い→自宅でのマリラとリンド夫人との出会い→ 学校に登校→ダイアナとのいちご水事件→収穫祭→マシュウの死 こんな感じですね。

気になるというほどのことでもありませんが、 スタッフが異常に多い。 凄い厳戒体制。 北京五輪かと思いました(汗)

メイキング映像

舞台が始まる前に、メイキング映像が流れます。 オーディションの様子。 じつは一発で誰が出ているのか、わかってしまいました(笑) 落ちてしまった方なので、ここは割愛。 そしてメイキングCM 夏ということで、水着が多いな~と思いました。 宇野まり絵はスタイルいいですね~ でもって、おっとビックリ、柳下花恋も水着。 ま、いいんじゃないでしょうか。

オープニングから楽しい

さて、オープニング。 いきなり主役以外が総登場。 ダンス、歌、ともに素晴らしいです。 この瞬間だけで、出演者たちのレベルの高さが感じられます。 地方公演だけのアンサンブルの方も出演するのですが、 出番が意外と多いので嬉しいでしょうね。 ダンスも素晴らしいです。 誰ひとり下手な子はいません。 オーディションは熾烈だったことでしょう。

舞台内容としては、歌がベースで音楽が流れるため、 それに沿って物語も進む感じです。 その進行がかなり早く、どんどん進んでいきます。 観客が置き去りにされる感もあるんですよね。 もう少しゆっくりとしたテンポにして欲しかったです。 役者も、個々の間合いがとれないのがつらいところ。

照明が独特

今回、照明が独特です。 私の座席の位置からは照明の設備が見えないほど。 何かでカバーされている感じ。 よく客席後方上部からスポットライト的な照明があるのですが、 そういったものはありません。 にもかかわらず、舞台上はとても明るく、役者の表情がよく見えました。 新宿文化センターの特徴なのか、照明の特徴なのかわかりませんが、 役者を綺麗に映し出していたのは事実。

ミュージカルナンバー

印象深いナンバーのひとつは、やはり学校の場面。 「歌って踊れば~」というナンバー。 「赤毛のアン」は、みんなで集まるというシーンは学校が多いので、 このナンバーは一番楽しく明るくしてますよね。 生徒とのやりとりは本当に楽しい。 ただ、アンサンブルは二人しかソロがないのは少し寂しい。

恋愛関係は控えめ、コメディは女性向け

今回の舞台では、アンとギルバートとの恋愛関係は控えめでした。 よ~やく普通の友人関係になったかな~という感じです。 このぐらいの方がちょうどいいですね。 あんまりベタベタするのも困りますし。 厳密にいうと、最初はマリラの体調が悪くなり、マシュウが介抱し、 マリラの体調が良くなったと思ったら、マシュウが突然倒れてしまった・・・ みたい流れなのですが、この舞台では、はぶいていました。

また、コメディ部分もあるのですが、 なんとなく女性向けのコメディっぽいですね。 私はほとんど笑えなかったのですが、 観客の女性の笑い声は多かったです。 まっ、感性の問題ですけれど。

気になった役者

アン役、島谷ひとみ

歌唱力に関しては、もともと歌手ということもあり、全く問題ありません。 すばらしいです。 特にこの舞台は歌ベースで、 演技のセリフもさることながら、歌うシーンが多いですから。 彼女の実力をいかんなく発揮できる舞台でしょう。

演技もじつに生き生きとしていて、 明るくお茶目で早口で妄想癖のアンを演じていました。 アンの場合は早口のセリフが多いので、 カツゼツがどうなるのか気になっていたのですが、全く問題無し。 じつに聞き取りやすいセリフづかい。 努力していることがすぐにわかります。これは素晴らしい。

ただ、実際のところ、年齢的な問題はちょっとあるな~と感じました。 特に初登場シーン。 少女ではないんですよね・・・やっぱり。 仕方のないことですが。 後半の年齢を重ねたアンなら、全くもって大丈夫なんですけれど。 妄想癖の早口というよりは、お喋り好きなおばちゃんみたいな感じも受けました。 けっこう眉間にしわを寄せることが多いので、そこはちょっと怖いかも。 2002年の劇団ひまわり「赤毛のアン」の、 アン役小川亜美が、あまりにも神演技でしたので、 そちらのイメージが強く申し訳ないです。

マリラ・カスバート役の安奈淳

完全にプロなので、言うことありません。 演技のみならず、歌唱力も抜群ですから。 かつて、私は麻志那恂子のマリラ役を観たことがあるのですが、 そちらと比べると、こちらの方が優しいマリラです。 あちらは完全に厳格なイメージでかなり怖かったです(笑) ただ、だんだんと打ち解けていくので、 その過程としては、麻志那恂子の方が面白さはあります。

マシュウ・カスバート役の下馬二五七

アンのためにプレゼントを手渡すシーンはなかなか印象深いです。 もちろん、亡くなる場面も。

ギルバート・ブライス役の良知真次

う~ん、彼はすごい。 美形のルックスという華だけでなく、 演技力もあるし、歌唱力抜群で声量も物凄いです。 さらにダンスの切れもすごい。 本当に切れ切れという感じ。 バク転も軽々とこなすほど。 何この人(笑) 彼の実力には本当に驚かされました。 間違いなく、舞台でこれからどんどん活躍していくことでしょう。

後半のアン役の島谷ひとみとのハモリのナンバーは秀逸!! 最高。 ミュージカルナンバーとしては、私はここが一番好き。 学校の場面の、自己紹介っぽいナンバーも好きですが。

ダイアナ役の宇野まり絵

1996年の「アニー」でアイリーン役。 さすがに私も覚えてません・・・ 真っ黒な黒髪で、演技も、ダンスも抜群! ルックスもとても可愛らしく、少女的雰囲気も持ち合わせているので、 全く違和感がありませんでした。 う~ん、ハマル人はハマルでしょうね。 島谷ひとみより、こちらのファンになる可能性大(笑)

リンド夫人役の大和田りつこ

完全にプロなので、言うことありません。 歌も演技もプロ。 ただ、出番が多いのにはビックリ! う~ん、いろいろだな~

フィリップス先生役の宮内良

私は好きですね~ 意外とダンスに注目。

ミニー・メイ役の柳下花恋

「レ・ミゼラブル」のリトルコゼット役でもあり、 けっこう注目してました。 基本はダンスの子だと思います。 ダンスの場面では、かなり輝いていました。 他の子役のダンスよりも目立ちますね。

ただ、演技は普通な感じで、カツゼツもそんなに良い方ではないです。 パフレットの写真映りはいいものの、 実際の舞台だと、イマイチ華がないんですよね。 意外とのっぺりしている感じ。 このあたりを、またパワーアップしてきてくれると嬉しいな。

ピックアップ

駅員役の、設樂みのるもなかなかいい感じです。 パンフレットにはダンスに注目と書かれており、 たしかにダンスも素晴らしいのですが、歌もなかなかいいんですよね。 意外と印象に残っています。

アンサンブルのメンバーでソロがあるのは、たったふたり。 そのひとりがルビー役の今井沙那恵。 これに選ばれるだけでもすごいです。 それだけ期待されているのでしょう。 あくまで私自身の印象ですが、歌い方が変わったでしょうか? 前は、高音パートを担当していたこともありますが、 やや高めの声質でした。 今回は、すごく伸びのある歌声に変化し、声量も物凄い。 これは相当練習したことでしょう。その結果が如実にあらわれてます。 物語クラブのリーダーということもあり、けっこう目立ってました。 ダンスシーンにもたくさん登場しますが、 ある意味ベテランなので、全く申し分のないでき。 指の先まで心がこもっている美しいダンスです。

篠原杏里は久々に観ましたが、 すっごく美人になっていてビックリ!! 前からほっぺあたりがふくよかでしたから、 どうなっていたかと思ったら抜群のスタイル。 これは本人相当努力しているでしょう。 見えないところで頑張っているのが、なんとなくわかります。

前述していますが、東京公演のグリーン・ゲーブルズ TOKYOアンサンブルは、 本当にレベルが高いです。 表情付け、ダンス、ものすごくレベルが高いのがわかります。 パンフレットには名前が記載されているだけで、 顔写真は掲載されていません。 ので、誰が誰やらわかりづらいのですが、 田辺桃子 広川結希、あたりは私の印象に残っています。 観ていて表情の変化は楽しかったです。

総括

歌、ダンスともに、とてもレベルの高い舞台で大満足。 やや、歌メインのミュージカルナンバーが続き、そのままセリフも進行するため、 観客としては、物語が勝手にどんどん進んでしまうイメージがありました。 もう少し、落ち着ける場面があると嬉しいかな~と思います。

※敬称略
キャスト表