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劇団ひまわり「赤毛のアン」2002年観劇感想

満足度星星星星星満点
公演時期 2002年8月16日~9月1日
会場 シアター代官山
原作 L・M・モンゴメリィ
掛川恭子
演出 菊本健郎
脚本 劇団ひまわり文芸演出部
音響 高橋浩平
衣装 中川雅子
照明 川村寧磨
舞台監督・美術 今野忠明
プロデューサー 砂岡不二夫

あらすじ

カナダ頭部のプリンス・エドワード島に赤い髪をしたひとりの少女がついた。 名前はアン・シャーリー。男の子を養子に迎えに来たマシュウは、 手違いに戸惑いながらも、いつしかアンの楽しいお喋りにひきこまれていく。 マシュウの妹マリラに、男の子じゃないからいらないと言われ、失望するアン。 だが、マシュウのたっての願いでこの家、 グリーン・ゲイブルズに置いてもらえることになる。 豊かな想像力とおしゃべりで次々と事件を引き起こしていくアン。 マシュウとマリラに次第に育っていく愛情。 腹心の友ダイアナとの友情。 いつしかアンは、グリーン・ゲイブルズに欠かせない一員になっていく。 (日本コロムビア発売「世界名作劇場主題歌大全集」より抜粋)

観劇感想

小川亜美ちゃん、そして刑部飛鳥ちゃんが出演する舞台ということで、 とても楽しみにしていました。 私が観たCASTの組み合わせは、

  • アン→小川亜美
  • ダイアナ→浦野遥
  • ギルバート→入野自由
  • プリシー→刑部飛鳥
  • ルビー→宮島菜摘
  • ジェーン→粕谷聡子
  • ソフィア→下山彩那
  • ジョシー→清水理沙
  • ルーシー→斉藤来未子
  • トミー→高橋徹

さて・・・・・ 「赤毛のアン」ものすごく楽しかったです! シアター代官山というキャパシティは小さなところですが、 舞台の上で繰り広げられる熱き演技のぶつかりあいは、 客席を感動の嵐に巻き込みました。 劇団四季も「赤毛のアン」をやっていますが、 もしかしたら、その上をいってるかもしれません。 よくマンガなどで「うっ!」というように、 言葉を失って、一瞬唖然とする場面がありますが、 今回の舞台は、まさにそんな感じです。 小川亜美の恐るべき演技力に、 観客の誰もが言葉を失いました。

基本的にストレートプレイなので、演技が中心です。 ちょっとだけダンスもありますが、ほとんど演技ですね。 音楽も場面転換で少し流れるだけです。 しかも出てくる役者さんはアンの亜美ちゃんと、 マリラ役の麻志さん、マシュウ役の菱谷さんの3人が中心。 これで3時間近く、舞台をこなします。 この3人をかなり集中して観ることになります。

子役が出る場面は学校の場面。 じつはここ、本当に少しだけです。 ちょっと残念だな~ 演技のうまい子がたくさんいるので、 もうちょっと長くしてあげてもいいかな~と思いました。 場面転換ごとに、中嶋朋子さんのナレーターが入ります。 特に不自然ではありませんでした。

気になった役者

アン役の小川亜美

もぉ~、とてつもなく素晴らしかったです。 まずは、なんと言っても表情。 はかなげな表情は桂亜沙美に似、 三日月瞳の笑顔は冨田真帆に似、 なんか他の役者さんのいいところを、すべて吸収してしまった感じ。 次にカツゼツの良さ。 3時間近い舞台で出ずっぱり。セリフも当然のことながら膨大。 にもかかわらず、ほとんど噛むことなく、しかも聞き取りやすい声質。 ほんと、ここまで完璧にやられると言うこと無し。

最後に演技。 もう、まんまアンそのもの。 昔、テレビアニメで「赤毛のアン」を包装していたのですが、 そのアンにうりふたつ。 空想好きのところも素晴らしいし、落ち込んでしまうところもカワイイ。 ルックスに加え、これだけの演技をすると、 観客の視線は彼女にしか向きません。 舞台の中で11歳から大学生まで成長するのですが、 その変化もすごくスムーズ。 ルックスが可愛らしいのは前からですが、それも手伝ってか、 ずぅ~と集中して亜美ちゃんの演技を見続けることができました。 3時間近い舞台ですが、まったく苦になりません。

舞台が終わり、少しお話する機会があったのですが、 疲れた様子もなく、まったくアンと違ってました(笑) ガラスの仮面、北島マヤの急変ぶりを思い出します。 ダンスや歌唱シーンが無いのは残念ですが、 それを補ってあまりあるほどの演技。 おそらく、この舞台は『伝説』になるかもしれません。 『昔、小川亜美がやった赤毛のアン、すごかったらしいよ!』 そんな声が今から聞こえてきます。 本当に大満足でした。

感動的なシーンで舞台が終わり、客席が拍手の嵐になります。 で、幕が開いてカーテンコールですが、 みんな感動シーンの余韻をひきずることなく明るく登場(笑) かなりギャップありました。まっ、いいんですけど。

マリラ役の麻志那恂子

『文学座』の方ということで、もういうまでなくベテラン女優。 すごくしっかりしていて、彼女もマリラそのものでした。 いかつく、いじわるそうに見えて、じつはアンを愛している。 その微妙な気持ちを、じつにうまく演技していました。 彼女と亜美ちゃんのかけあいは、 本当に観ていて緊張かつ、楽しめました。 おそらく、麻志さんも亜美ちゃんの演技に、 思う存分自分の演技をぶつけていたことと思います。 素晴らしかった。

マシュウ役の菱谷紘二

足が不自由という役でしたが、それを淡々とこなすところが流石です。 のらりくら~りした演技は、とても味があります。 アンを支えるその姿、本当に暖かいものがありました。

レイチェル役の真田登久子

うん、すっごくいいですね。まさにお喋りおばさんって感じ。 マリラとの掛け合い、すっごく楽しかったです。 そしてアンとのからみも、一興でした。

ダイアナ役の浦野遥

相手が亜美ちゃんということで、 比べたりするのはちょっと可哀相な気がします。 演技力の差がありすぎました。 決して悪くはないんですけどね。アンが凄過ぎ。 でも、お酒を飲むシーン。あそこは良かったです。 すっごくハマってました。

ギルバート役の入野自由

う~ん、厳しいですね。 なんでこう男子陣はイマイチなのかな~ けっこういろいろなところで活躍しているみたいですが、 今回の舞台は、正直パッとしませんでした。ただ、後に彼が有名声優になろうことは、この時点で知る由もなし。

プリシー役の刑部飛鳥

私、おすすめの飛鳥ちゃん登場です。 チョット痩せましたね。アゴのラインとかスッキリしました。 アルゴの時よりも表情が良くなった気がします。 ちょっと残念なのはダンス。 ちょびっとだけダンスシーンがあるのですが、 じつは飛鳥ちゃんはセンターでたたずんでいるだけ。 彼女はダンスが得意なので、本当は見せてほしかった。 これは役柄的に仕方ありませんが。

演技も頑張ってました。 おしとやかで真面目で頭の良い生徒の役かな? 本当のところはどうなのかわかりませんが(笑) 演技的にはまずまず無難にこなしていたと思います。 でも、ほんとはもっと弾けた役が良かったな~ ジョシー役とかがあってたかもしれないです。

ルビー役の宮島菜摘

この子の表情いいですね。 とても可愛らしかったです。

ジョシー役の清水理沙

この子も表情がいいです。 たしかに美味しい役ではありますが、すごく自然に演技していました。 実力かなりある子ですね。 アン以外の女の子では、彼女が一番印象に残っています。

ソフィア役の下山彩那

とても可愛らしいルックスですが、意外とイマイチ。 ちょっとセリフが聞きづらかったですす。

ルーシー役の、飯田あかね

この子は目に特徴ありますね。 表情もいい、演技も良かったです。 意外と深く印象に残りました。

トミー役の高橋徹

う~ん、もう少し頑張ってほしかった。 もちろん、気が弱く、女子に弱い性格だとは思うんだけど、 もうすこし自分を出してもいいような気がします。

フィリップス先生役の増田陽介

えっ・・・なんか、一番イマイチなんですけど・・・・・ どうして?

総括

基本的に、小川亜美ちゃん、 そして麻志那恂子さん、菱谷紘二さん、3人の舞台でした。 感動したし、楽しめたし、なによりも3人の演技のぶつかりあいが、 とても素晴らしかったです。 長時間なので、お子さまは飽きてしまうかもしれませんが、 舞台好きな人は間違いなくハマルでしょうね。 リピーターがいてもおかしくありません。 ただ、開演時間19時30分は厳しいです(涙) 終わったのが22時40分近くですから。 地方の人はかなり厳しい。 2002年、夏、この舞台を観ることができて、本当に幸せです。

※敬称略
キャスト表